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軍事研究第28回:F-Xに関する事案

http://www.afpbb.com/article/politics/2666846/4949346

・・・マジですか

この記事を読んだ時に、一番最初に頭をよぎった感想はこれしかなかった

我々に軍事マニアとって「最も可能性が低いであろう」と推測されていた機体が採用される見込みとなった

F-35

第5世代機だが、空対空戦闘能力はウェポンベイに計4発のAAMと貧弱そのものである

改修次第では、短距離AAM2発分のレールを取り付け可能ではある

しかし、空自の中距離用空対空ミサイル:AAM-4こと99式中距離空対空誘導弾では大きすぎてそのままではウェポンベイに収まらないだろう

中距離空対空ミサイルは一体どうするのであろうか?

それに、自国での生産は前にも言った通り、不可能だ

現在撤退中の企業の人的資源の戦闘機産業への復活は絶望的、といっても過言ではない

つまりF-XX(F-15後継)での国産戦闘機の可能性はグッと低くなる

さらには、FMSによる最も早い配備であっても2014年、つまりF-4の退役には絶対に間に合わない

普通に待てば、優先顧客のイスラエルやシンガポールの分もあるので2016~18年前後だ

その時期になれば、韓国もF-35を購入し、中露も自前のステルス機を出してくる

要は将来の継空脅威と対抗するには、戦力不足だ(F-4が完全に退役した後に揃え始める為、編成に時間がかかる)

それにFMSでは部品供給がちゃんと出来るのか、激しく不安が残る

有事の際に「稼働率が低くて使えません」では、お話にならない

正直言えば、この決定を信じたくも無いし、支持なんてできない

・・・と思っていた矢先、この情報に続報が一切なく、さらには防衛大臣に公式否定された事が確認された

「次期戦闘機はF-35で内定」は誤報だった模様?防衛とリアリズム


Q:F-Xの話なのですけれども、一部報道でF-35の方向だということなのですけれども、現在の検討状況というのはどうなのでしょうか。

A:あの報道は全く根拠がありません。従来、我々が内閣を引き受ける前に、色々と省内で検討したりしたことがあったことのパッチワークのような話が出ただけで、あれについてコメントする気もありませんし、防衛省の方針があそこに表れているということは全くありません。


大臣会見概要 平成21年11月24日

・・・・・・マジですか?(2回目)

要反転→管理人(むう、驚かされた。UPを遅らせたのは続報が無いかしばらく様子見していたからです)

さて、今回はこれの続きとしよう

前にも言った通り、F-35は実質無理な話である

F-XXの為に繋ぎ機体を購入するのが一番現実的だ

F-4EJ改の後継機に求められている能力をもう一度纏めると

・長い航続距離
・高い速度性能
・高度な空戦性能
・低被探知性(ステルス性)
・対艦/対地攻撃能力
・航空自衛隊における円滑な運用
・国内航空宇宙産業育成

この7点だ

この条件の多くを満たす機体はF-15FX/SEだろう

F-15E

MASDF

EAGLET

WORLD MILITARY GUIDE


F-100/110とF-15の機体フレームの加速性能や空戦能力、航続距離は既に実体験済み

F-15Kにおいて、対地/対艦攻撃能力がある事も確認済みだ

また、AN/APG-63(v)4レーダーの発展性がまだあり、十分高性能である

防空軍的な性格を持つ空自には持って来いであろう

ステルス性においては、未だに不明瞭な点が多い

F-15の場合、直線的なインレット(空気取り入れ口)がエンジンのブレードを隠す事が出来ていないからだ

エンジンブレードはレーダー波を正面に跳ね返す大きな要因になる

これがリフレクターとしての機能を果たし、RCS値が400まで跳ね上がる事もある
出典:http://www10.atwiki.jp/fsx375/pages/97.html
【F-35】JSF総合スレッドPart 3【X-32】

RCS値
F-15---405
F-4----100
B-52----99.5
Su-27----1
F-16-----5
F-18E/F--1
Rafale----1
Typhoon--0.5
F-22-----0.0065
F-117----0.003
B-2------0.0014

正面RCS値 ロシア機は憶測
Mig-29-----1.8
Su-27.-----1.3
F-16.------1
F-2.-------0.9
SU-33-----0.95
F/A-22----0.000002
F-35A-----0.000017

まあ、電子戦支援能力次第でレーダーから身を隠せるだろうが、常に受けれるとは限らない

次の候補は、EF-2000ユーロファイタータイフーンだ

EF-2000ユーロファイタータイフーン

WORLD MILITARY GUIDE

EAGLET


トランシェ3が候補に挙がっている

トランシェ3では、AESAレーダーや最新の先進アビオニスク、さらに強化されたエンジンを積みこむ最終バージョンと言っても良い

トランシェ2まで問題であった航続距離はCFT(コンフォーマル型燃料タンク)により改善され、候補機の中では最も加速性能が高い

また、防御能力もトランシェ1から英空軍仕様機でお墨付きである

機体の9割は炭素系複合素材等の非金属、これにより第4.5世代戦闘機中最小の正面RCSを持っている

また、空対空戦闘能力を一切落とさずに複合任務に就く事も出来る、スィングロール機でもある

さらには一番有利な条件で売り込まれている機体でもあるし、航空産業にも貢献する機体であろう

しかしながらレーダーの性能がイマイチであり、F-2程度のレーダー視程と推測される

仮に採用するのであれば編隊間データリンクやAEW(早期警戒機)やAWACS(早期警戒管制機)、レーダーサイトや移動警戒管制隊の支援が重要であろう

最後の候補は、F-2の増産だ

EAGLET


WORLD MILITARY GUIDE

国内産業に最も貢献し、第4.5世代戦闘機としては十分な性能を持ち合わせている事が最大のメリットである

防御能力も申し分なし、対地対艦性能も同様である

デメリットと言えば、機体の発展性と米国の生産部分の国内移転問題ぐらいであろう。日本の外交力にどこまで期待できるか・・・

当ブログ「SS」及び「防衛研究」には著作権があり、無許可転用を禁ずる

第11話:旧敵2

11月11日 ソロ島 スクラップヤード 11:25
「・・・「Dr」は生きている?馬鹿な、あなたが奴を殺したんでしょう?」
ノースポイントの情報士官は苦笑しながら言った。「Dr」とはアントン・カプチェンコ。そう、15年前のベルカ戦争後に起きた「国境なき世界」のクーデターの首謀者の一人である。ウィザードこと、ジョシュア・ブリストーは既に別のテロ事件の容疑者として投獄されている、アンソニー・パーマーは保険会社に勤め危険分子ではない、ラリー・フォルクはベルカ騎士団に合流し一応友軍である。それ以外に彼の事を知る者はクーデター時、又はその後に死亡している。

否、「刹那」を除けばであるが

そうだ、私が奴を殺し。そして私も一度死んだ。奴と私はどうやら「同じ化け物」の様だな

刹那はノースポイント自衛軍時代から使用している64式小銃を分解し、丁寧に手入れしながら答える。情報士官は彼が銃を整備する意味がわかっていた
「・・・どこにお出かけで?」

これから行くところと言えば、一つだ。襲撃してきたベルカ人の敵兵からこんなモノが出てきてな

「・・・何ですか、これは・・・この数字は・・・緯度と経路が書かれてますね。場所は・・・ベルカ領内ですか」
刹那が彼に渡した紙には緯度・経路の数値が書かれた紙だ。勘の良い彼は、一発で意味がわかった
「ま、まさか・・・乗り込む気ですか?死んだ筈の「Dr」の元に!?・・・老婆心ながら忠告させて頂きますが、罠だと思わないのですか?」

ああ、思ってる。だからこれを持って行くんだ。連中はアマチュアだけだ。そんな奴らに蜂の巣にされるほど私は愚かじゃない

「・・・解かりました。移動手段は陸路ですか?」

当然だ。・・・ああ、愛機の機嫌を損ねない様にしておいてくれ。そいつは寂しがり屋なんだ

「了解。ボートを急いで用意しておきます」

軍オタやめます

ふ・・・はははは!踏んじまったぜ!

地雷バトンですので足跡を残された時点で見たものとされます

続きからどうぞ

軍事研究第21回:SAMの今後

今自衛隊に新たなMDシステムの導入が検討されている

そのシステムの名称は「Terminal High Altitude Area Defense」通称THAAD(サード)だ

その諸元は以下の通りである

THAADミサイル
全  長:6.17m
弾体直径:0.37m(インターステージ部分)
重  量:600kg
最大速度:2500m/秒以上
最大射程:200km以上
最大射高:150km以上
最低射高:約40km
メーカー:ロッキード・マーチン社他

THAAD発射機
全  長:12m
全  高:3.25m
重  量:40000kg(ミサイル搭載時)
メーカー:オシコシ社他

最低射高40km・・・つまり、対弾道弾専用のSAM(地対空ミサイル)だ

射程は対中距離弾道ミサイルを第一想定として約200kmとされている。つまり北朝鮮からのミサイル防衛向けとも言えよう

現行のMDには欠点が幾つかある

1:SM-3ではディプレスト弾道(浅い角度で発射、浅い角度で落下する弾道)に対して対処困難(SM-3は最低射高=迎撃高度が高いからである)であり、PAC-3ではロフテッド弾道(急角度で打ち上げ急角度で落下する弾道)に対して対処困難

2:PAC-3の有効防護範囲は20km、ロフテッド弾道ならばさらに狭まると推測(ヘッド・トゥ・ヘッドでは無くなる為。対空ミサイルは正面から突っ込んでくる目標の方が有効射程が長くなる。PAC-3の場合だとVLS(垂直発射)では無いからでもある)

3:SM-3は数が少ない(少なくとも現状では)

これらの欠点を克服するにはロフテッド・ディプレスト弾道両方に対処できて、長射程のミサイルを、数多く導入する事だ

そこで上がったのがTHAADミサイルシステムだ

1990年に開発が始まったが、2009年に米軍配備が検討されている代物である

何故THAADが此処まで開発が遅れていたかというのは、実射試験がほとんど成功していなかったからだ。一時は開発中止も検討されたほどである

しかし、プログラムが何度も改良され、最近になって実射試験は成功した。因みに既にTHAADのレーダー部分であるFBX-T(移動式前方配備Xバンド・レーダー、制式名称AN/TPY-2)は青森車力分屯基地に前線配備されている。警備には民間軍事会社「Xe」(旧ブラックウォーター社)の社員が行っていて監督は米軍である(Xe社はもはや死に体ではあるが)

THAADの特徴は、ロフテッド・ディプレスト弾道両方に対処できて、長射程の対空ミサイルである事だ

先程の諸元からうかがえる通り、射程は200kmある。千葉県にある陸上自衛隊習志野駐屯地に配備すれば群馬県はすっぽり入り、新潟県の南半分が入る程なのである

これが高射部隊に配備されればPAC-3よりも少数の高射群で日本全土を防空出来る

では、PAC-3はどうなるのか?

PAC-3は「相当の対弾道弾能力を持つ対航空機・巡航ミサイル」である。それに対しTHAADは「対弾道弾ミサイル」でしかない

THAADを護るにはPACシリーズやその他のSAMが必要不可欠だ。今後もPAC-2・3のJADGEとリンクした混合運用が続くであろう。当然THAADが撃ち漏らした弾道弾迎撃の為に駆り出されるのは言うまでも無い

導入に当たって問題が無いという訳ではない

現状では空自が長距離SAMを、陸自が中距離SAMを運用しているが、空自の高射部隊の人数が不足しかかっている上にTHAADはPAC-3の後継などでは無い。その為、どう勘定しても現状の体制に合わせた人員定数では間に合わないのだ。現にナイキ導入時に陸自高射特科の運用要員が空自に転向している様に、今回は定数の多い陸自にTHAADの管轄が回される可能性はある(03式中距離地対空誘導弾で既に目標情報は射撃レーダーだけではなく、DADS(師団対空情報処理システム)、またBADGE(自動警戒管制組織)を通じて警戒管制レーダー(移動式警戒管制レーダーを含む)やAWACS(空中警戒管制機)やAEW(早期警戒機)からも目標情報を入手することが可能なので運用上は問題はないだろう。将来的には開発中の対空戦闘指揮統制システムともリンクするだろう)

米軍においては陸軍の管轄ではある為にこのような問題は起こり得ないのだが・・・


次はXRIM-4に関する話題

XRIM-4とはAAM-4の艦載型の短SAMだったミサイルだ。シースパロー(RIM-7)の後継として導入される予定ではあったが、ESSM(発達型シー・スパローミサイル)でも対処可能、として計画は中止となった

そのXRIM-4だが、今度は陸自高射特科の中SAM(03式中距離地対空誘導弾)の補完として、採用される可能性がある。陸上自衛隊のホーク地対空ミサイル後継の03式中距離地対空誘導弾(03式中SAM)があまりにも高価な為、これを補完する役割としてXRIM-4計画を陸で拾ってみようという話だ。

因みに前例としてドイツ軍でも次期主力地対空ミサイルMEADS(PAC-3MSEを流用)の補完用により小型の地対空ミサイルIRIS-T SLを採用する気で、中小型2種類の対空ミサイル二段構えで野戦防空を行う計画がある

XRIM-4の特徴としては、アクティブレーダー終末誘導によりイルミネーターによる最終誘導が必要無い事だ。これにより、同時誘導可能数が理論的に無限となった点だろう

03式中距離誘導弾の特徴は、XRIM-4同様のアクティブレーダー終末誘導である。恐らくAAM-4(99式空対空誘導弾)の研究結果を反映したものと思われる

尚、射程はXRIM-4がESSMと同程度の50km以上、03式中距離地対空誘導弾も50km以上と推測されている

しかし、両者一点において違いがある。大きさである

XRIM-4はESSM程度の大きさ、弾頭重量が同等(重量は約300kg、弾体直径約25cm)とすれば、03式中距離地対空誘導弾の重量約570kg、弾体直径約32cmと比べ小型なミサイルとなる

これでコストも抑えられれば、高価(470億円、パトリオット850億円より格段に安いが、防衛予算削減のあおりを受けている)な03式中距離地対空誘導弾とハイ・ローミックスや前述のドイツ軍のMEADSとIRIS-T SLの例の様に運用できるだろう

確かに、03式中距離地対空誘導弾にはライフサイクルコスト削減を目指した03式中距離地対空誘導弾(改)が開発される予定ではあるが2016年装備化予定では遅すぎるだろう。現在高射教導隊と第2高射特科群のみにしか配備されていない03式中距離地対空誘導弾だが、他の高射特科群は未だにMIM-23 改良ホークを使用している。早急に装備転換を図った方が得策でもある

尚、96式多目的誘導弾の直径は16cm程度である。これを高機動車は6基搭載できる(つまり許容範囲は96cm)これならばをESSM程度の大きさのXRIM-4ならば3基分、多少ミサイル間のクリアランスを無理をすれば4基分のスペースが出来る計算だ。高機動車をベースにした発射装置を多数配備すれば発射機に対する敵近接航空支援や砲兵射撃、小規模襲撃で防空能力を一度に失うリスクを分散できる事も上げておくべきだろう。

これならば辺境の地や離島に空輸する事が出来る。03式中距離地対空誘導弾の利点である「見越し射撃」を無視すれば幹線無線伝送装置、幹線無線中継装置及び射撃統制装置等、高機動車で出来ているシステムをそのまま流用してコストダウンさせ、残りの捜索兼射撃用レーダー装置車、発射装置車、運搬・装てん装置車・レーダ信号処理兼電源車を高機動車ベースで仕上げれば陸自のCH-47大型ヘリで全ての装備を運搬できるかもしれない

発射・装填装置はNLOS-LSの様に車両固定式で、再装填時は発射装置のコンテナを小型のクレーンで取り換えても良いだろう。ESSMは300kgあり、XRIM-4が同程度ならばNLOS-LSの様に人力再装填は現実的ではない。何故ならNLOS-LSは53kgしかないからこそ人力再装填が出来るからだ

将来的にも「ダクテッドロケット飛しょう体」の研究により射程の延伸をすることも可能だと思われる

当ブログ「SS」及び「防衛研究」には著作権があり、無許可転用を禁ずる

軍事研究第19回:F‐X選定に関する事案§5

今回も゛また゛F‐Xです。やはり気になるものです。候補の詳しい解説(上級者向け、前編が機体解説・後編が機体の配備状況、ミッション内容)

F‐15(FX)
前編

後編


F/A-18E・F
前編

後編


ユーロファイター
前編

後編


以上が現状において最も可能性のあるF‐X候補だ。(恐らく全部見るのに3時間はかかるだろうが・・・)

空自のF‐Xの要求は他国空軍とは異なり、かなり特殊なものになっている。今回特にクローズアップされているのが

・長い航続距離
・高い速度性能
・高度な空戦性能
・低被探知性(ステルス性)
・対艦/対地攻撃能力
・航空自衛隊における円滑な運用
・国内航空宇宙産業育成

といった具合である

F‐35はもはや候補から外されたのも同然な扱い、F‐22の輸出型開発ももう間に合わない。となれば、この3機種又はF‐15(FX・SE)vsユーロファイター(トランシェ2・3)かF/A-18E・F※vsユーロファイターとなる(F-15・F/A-18はボーイング製品なので売りに来るとすれば片方しかない)

※と言ってもSEの登場で事実上のF-15vsユーロファイターだが

では3機種の能力を見てみよう
ユーロファイター(トランシェ3)
・レーダーは機械式ながらも比較的強力だったキャプターレーダーからAESA化されたレーダーへ変更(レーダーの能力向上、現在試験中)
・PIRATE(IRST+FLIR)の能力とAESAの組み合わせによりトランシェ3はさらなる対地・高隠密性対空攻撃能力を得ている(F-15・F/A-18は機外搭載装備品・さらにライトにングⅢを機体胴部下面に搭載可能)
・正面象限RCSは第4.5世代機最少、側面はF-16の3倍増
・超音速巡航能力所持(さらなる遠距離からの攻撃が可能となり、離脱も早い)
・対電子戦・自己防衛能力もデコイ・チャフ・フレア・RWR(レーダー警戒受信機)・レーザー警戒受信機・ALAAM・HARMによるWW(ワイルドウィーゼル:防空網制圧)能力など当初より豊富・強力である
・FBW・カナード+デルタ翼による低速時の高い機動性・デルタ翼機の特徴である高速一撃離脱も強い
・WVRAAMのインターフェースは自衛隊の使用するものと同等で流用可能だが、BVRAAM用の半込み式ランチャーにAAM-4の太さでは入らない(要改修)
・トランシェ3ではコンフォーマルタンクが新設され、航続距離が延びる
・エンジン出力も上げられ、現状でも推力重量比は10:1(ドライ時)近くとされる
・BAESから機体への改造が許可をされている(ただし、その情報を共有する)
・その為、これに施した改造後の結果をATD-Xに反映できる(ATD-Xの先、次のF-Xの際に国産機として出る可能性が上がる)
・トランシェ3はまだ出来ていない(限定対地能力仕様のトランシェ2ならばある)

F-15FX/SE
・設計が古い。特にFX仕様の場合、正面象限RCSが450以上(F-16を1とした場合)に跳ね上がる場合がある(エンジンのフィンが正面から見て露出しており、これがレーダー反射面積増大の理由)
・ただしSEの基本性能verならばこれは解決される(最大でF-35並の低正面象限RCS)
・いずれもF-15の対空戦闘能力を引き延ばしつつも(APG-63(V)3・AESAレーダー搭載)、非常に高い対地攻撃能力を持っている(APG-63(V)3対地モード、LANTIRNやスナイパーXRポッドなど)
・搭載量では圧倒的(空対空においてもステーションNo.1・No.9が使用できるようになり自衛隊のWVRAAM・AAM-5を追加で4基搭載できる)
・LANTIRNポッド(暗視装置、レーザー照射装置、地形追従レーダー)を常時搭載している。対地・対空レーダーに合成開口能力を備えたAN/APG-70を採用しており、LANTIRN(航法用ポッドAN/AAQ-13と照準ポッドAN/AAQ-14のセット)と組み合わせて目標の地図を瞬時に作成する。これらにより、夜間での山間部飛行も可能としている
・しかしソフトウェアの輸出規制に抵触する可能性があり、その面では不利
・バンカーバスター(高貫徹力誘導爆弾)・SLAM-ER(長距離空対地スタンドオフ兵器・パイロットが目標選択可能)の運用能力がある
・SEもまだ実機どころかウェポンベイの技術実証機すら出てきておらず、SEの装備(ウェポンベイ付コンフォーマルタンク・レーダーブロッカー・レーダー吸収塗装・素材)がFXに追加される可能性が高い
・航続距離・戦闘行動半径などもずば抜けているが、超音速巡航能力は無い
・F-15Jに比べ若干格闘戦能力が低下している(HMDを用いない場合)

F/A-18E・F(Block2仕様)
・格闘戦能力が非常に高く、一機種で高度な対空・対地・対艦戦闘を展開でき、空中給油(E型のみ)・電子戦(F型をEA-18Gに改修すれば可能となる)までもが可能
・加速性能が悪い 
・超音速巡航能力は無い
・航続距離が短く、増大化も不可能
・最新鋭のアビオニスクと高いレーダー性能を持つ
・左右非対称装備により、どのような任務にも即時対応できる(この3機種は対地・対空混合搭載が可能だが、対空・対地を同時に運用できるのはF/A-18Fのみ)
・既に配備が始まっており、すぐにでも機体を配備できる
・AMRAAMを12基、AIM-7相当でも8基と非常に高い空対空戦闘能力を持つ(同時8目標に対し攻撃が可能)
・騒音値が高い(ターボジェットのF-4よりは小さいが)

いずれもデータリンク装備はNATO規格である。若しくは僚機・AWACS・地上施設と連接・情報共有できる


なおイギリス防衛評価研究所(DERA)の試算(実際の戦闘機パイロットがJOUSTシステムと呼ばれる戦闘シミュレーターを使用し、仮想敵機スホイSu-35と西側諸国の戦闘機が交戦したケースをシミュレートした)では
Su-35を1として
ロッキード・マーチン F-22 ラプター 9.0:1
ユーロファイター・タイフーン 4.5:1
スホーイ Su-35 フランカー 1.0:1
ダッソー ラファールC 1.0:1
ボーイング F-15CMSIPⅡ イーグル 1.5:1
ボーイング F/A-18+ 0.4:1
ボーイング F/A-18C 0.3:1
ロッキード・マーチン F-16C 0.3:1

とされている。贔屓されている可能性は完全に否定できないものの、信頼性はかなりある数字だろう(他の研究組織の数値がないのもあるが)

なお、F/A-18+とはF/A-18Cの能力向上型である。ライノ(F/A-18E・Fの公式愛称)は少なくともF-15CMSIPⅡ以上の対空戦闘能力は保持しているが、F-15E系列はF-15CMSIPⅡと同等の対空戦闘能力を有している 。しかし、F-15SEの装備を装着できればF-15FXは一気に性能が向上する(ステルス性の向上=生残・隠密性の向上=攻撃・防御能力向上)

なのでまとめると以下の様になる

・空対空戦闘能力 ユーロファイター≧F-15FX(SE装備)>F/A-18E・F>F-15FX(SE装備なし)

・空対地戦闘能力 F-15FX≧F/A-18E・F>ユーロファイター(トランシェ3独自改良型)>ユーロファイター(トランシェ2独自改良型)

・空対艦戦闘能力(対水上レーダーの視程・対艦ミサイル搭載可能本数) F/A-18E・F>F-15FX>ユーロファイター

・友軍機支援能力 F/A-18E・F>ユーロファイター≧F‐15FX

・ADIZ侵入彼我不明機対処能力 ユーロファイター>F‐15FX>F/A-18E・F

・敵地攻撃能力 ユーロファイター(トランシェ3独自改良機)>F-15FX≧F/A-18E・F>ユーロファイター(トランシェ2独自改良機)

・柔軟な作戦遂行能力 F/A-18E・F>ユーロファイター>F-15FX

・自己(編隊)防御能力 F/A-18F(EA-18G改修対応機)>ユーロファイター≧F/A-18E>F-15FX

・戦力化(独自試作型生産・改良・量産機生産・試験・配備)までに要する時間 F/A-18E・F≦F-15FX<ユーロファイター

恐らくはこのような形になるだろう

なお、空中給油の受油方式に関してはC‐130Hの完全なKC型化、若しくは機体の方の改修(ユーロファイターは改修をやり易いとの事)で対応する

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第10.5話:旧敵

ソロ島 スクラップヤード内の飛行場 11月8日 01:00
キイイイイイイイイ・・・・キュッ・・・
誰からも見られず、島全体が飽和状態となった為に廃棄された航空機の墓場、それが・・・この島。そこに、まだ若きF-4Eスーパー改Ⅱが降り立つ。人の気配はある。それは、オーシア軍の管理人やこの様な場所を好みとする海賊やマフィア等の荒くれ者ではなく、ノースポイントの正規軍人だ。此処に駐留しているのはノースポイント航空自衛軍第501偵察飛行隊のRF-14戦闘偵察機とその搭乗員と整備員、そしてその消耗品などの部品や食料を運ぶAIP搭載潜水艦から乗り込んで来た警備の陸上自衛軍のレンジャー小隊や海上自衛軍の潜水艦のクルーたちだ。この基地は火山性の島の中にあるのでレーダーからは映りにくく、航空機の飛行ルートからは外される。衛星すら上を通らず、衛星携帯電話や、電気・ガスも無い。普通の有線電話等すら通じない世界から隔離された島。刹那は機体をタキシングさせながらふと思った
(相変わらず、寂れた所だ)
真水は出るが、こんな所に立ち寄るのは海賊かスクラップヤードの航空機の部品を盗って売りに来る連中、そしてマフィアの裏取引所としてでしか賑わうことは無い。そこに目をつけ、周辺の海底に低周波アクティブソナー・パッシブソナーを設置し、赤外線・サーモグラフィを用いた監視カメラと対空用の赤外線探査装置で島とその上空・海上・海中全体を監視。ありとあらゆる無関係の人間の接近を排除し、完全に世界から隔離させる事でノースポイントは自国軍の展開を隠す事に成功した。それを手引きしたのは刹那だ
ヒイイイイイイィィィィィン・・・・
「お疲れ様です、刹那二佐」

お迎えご苦労。カーウィン島のベルカ騎士団は上手くやっている、状況は悪くない。・・・ゼネラルの連中がブリックスのファルケンの奪取に乗り気だそうだ。カーウィンの連中にやらせるらしい。上手く情報をリークできたようだな、一尉

「はい、所詮は企業ですからね。連中はオーシア軍から一大ビジネスを潰されて、それの埋め合わせに躍起になっていますからね、まるで餌を与えられた犬です」
刹那は機体から降りた所で待っていたノースポイント防諜部の情報官の一等陸尉と話し始める。ゼネラルリソースはオーシア軍がユーク軍の追撃作戦中に灰色の男たちの手によって発生した「ユークトバニア国立第七工科大学襲撃事件」の最中に下水プラントを破壊された。当然刹那とノースポイント軍はその光景をカメラに収める様に指示して、第501飛行隊を極秘裏に派遣した。灰色とブリックスの戦闘機が工科大学とその周辺を攻撃する映像と、ベルカ騎士団と彼らが交戦しブリックスの新鋭機、「ファルケン」が撃墜され、逃げ帰る所を抑える事に成功した。しかも、その事実に誰も気付いていないし、灰色の男達が使用している飛行場上空まで空中給油してまで追跡し、「灰色の男たち」が使用する飛行場の位置も把握させた(灰色の男たちとブリックスが使用している飛行場は複数ある)
「この情報もいつかは役立つでしょうね。ところで途中で寄り道をされたのですか?随分と遅かったですが」

まあ、な。ちょっとした「地雷」の設置さ。強大な企業や個人が世界をコントロール出来る程に肥大化したら、作動する地雷だ。何年後に作動するか分からない代物だが、その時が来れば確実に作動し、それらの力を格段に落とせる。その後は普通の陸上戦術と一緒だ。・・・・私を「100%裏切らない駒」が連中が動けなくなった所を「雑草すら残らない程度」に叩いて、「永久に」一切の抵抗力を消す。それの資金集めとか、準備とかに奔走されるよ、まったく・・・。ところで、ユーク軍による都市への同時多発報復攻撃と、それへのオーシア軍の連鎖的報復攻撃の場所"も"押さえたか?

刹那はいつもと変わらない調子で情報官に聞く
「勿論です、二佐。協力者のお陰で連中の行動は筒抜けですからね。10~20年後位に役に立つような代物ですが・・・灰色とブリックスを叩いた後に再起不能にさせるには十分な証拠は集まっていると思いますが?」

否、まだ足りない。連中はその程度では足りない。奴らは15年耐えた。その証拠の意味が薄れる30年くらい耐える事など、容易な事だ。奴らは表の世界・裏の世界に出来た「癌細胞」だ。物理的にも叩き潰し、30年後も有用な証拠を取り、30年後それらを掻い潜ってまた奴らが息を吹き返してきたら、その時に散々他と叩き合って弱体化した後に誰一人残さず、一族郎党もあの世へ送る。証拠が足りなければそれより早く連中は息を吹き返す。しかし、私には長い準備期間が必要だ。だからこそ徹底して連中の息遣い一つ抑えて洩らすな。・・・・私がこの肉体を消す時は連中が滅ぶまで。それまでは諸君らにはついて来て貰わねばならない



「フフ・・・まさに人生をかけた「トラップ」ですね。我々はあなたに我が国の体面を守り、侵略者から守ったと言う大きな借りがある。あなたが死ぬまで、我が国はついていきますよ。途中で裏切る可能性は"あるにはあります"が」

裏切っても構わないさ。そのトラップは私が死んでからしか作動しない、それに今死亡して、準備不足のまま「その時」が来て、作動してもその効果はかなりある。・・・・だが、出来れば完璧の状態で仕上げたいものだ。中途半端だと意味を成さない。世界は統率された国家の軍事力・外交力・経済力よる統治以外は「危険すぎる」。そんな事はさせる訳にはいかぬ

刹那は苦笑いしながら、彼の言葉に答えた。刹那はまるで預言者の様に、企業が大きくなる事を見込んでいた。そう・・・・数十年後、国家という枠組みが、軍事力を有する多国籍企業の台頭によって意味を成さなくなる事を予見し、今は策を練っている真っ最中だ

彼はクローン人間になる過程で外見上の年齢を誤魔化す為に「成長加速」と言う細胞培養技術を使っており、ある設定年数までは「培養終了時の肉体を維持できる」が、その年数を超えてしまえば「急速に肉体は衰える」と言う副作用を持つ。刹那はそれを20年と設定した。クローンとして生まれてから既に15年が経っている上に、今回の件でクローンプラントをノースポイントに渡さねばならなくなり、自分の手から離さなければならなくなった。その為、その時が来ても戦う事は無理に近い。「いずれこうなるだろう」と予想していた彼は、決して「老い」も「死」もない場所で戦えば良い、と考えていた。

そこは人類が体験した限りなく熱戦に近い冷戦が終わった直後に世界に普及し、今も、そして未来も人類にとってなくてはならない「現実空間には存在しない空間」・・・彼はそこに「誰も逆らえない」、「誰も気付かない」、「全てを永久に支配し続ける」絶対的な「駒」を置く事で、肉体が死んだとしても刹那の意思で人類がそのシステムを「完全に捨てる」まで世界を手中に収め続ける事を目論んでいる。その空間の名は

electrosphere


彼は、もはや人ではなかった。人に倒されるべき「化け物」となって戦い続ける事で、その空間に仕掛けている巨大な、あまりにも巨大なトラップから人々の目線を背けさせていた。彼の本当の目的は「国家と言う名の組織による統治」。だが、これまでの国家と違うのは、その規模だった。彼が作ろうとしているのは自分が作り出したAIが考え、ベストより安全策のベターの道へと進ませる「誰の意思にも拠らない統治」で、さらに「決して崩れさせない」と言う不可能に近い政府を作る事だ。それを喩えるべき名称は

世界政府


第10話:反攻

10月23日 14:00 カーウィン島基地
整備格納庫の中で機体の部品交換をしていた刹那の携帯がバイブで震える。ヘルメットをかぶり、その携帯を機体の端末に接続させる。そうする事で相手と擬似音声で会話する事が出来る
≪・・・刹那さん、大統領が拉致されたそうです≫
刹那はMFD上に相手の名前を見る。それはユークバニア軍の情報部員の名だ

・・・・予定通りだな。南雲の奴、うまく情報をリークしたようだ。追跡出来ているか?

当然です。第247・第359・第220偵察衛星が灰色配下のオーシア人部隊を追跡しています。HH-60ヘリでベルカ領に向かっているそうです。今送りますね≫
そう言うと愛機のMFDに大量の赤外線衛星写真を映した。撮影された位置情報は狂いも無く北東へと向かっている。最後の一枚はシューティア城の座標で、さらに映像には城が写っている

・・・シューティア城の監視部隊からの報告は?

≪本日01:15時、衛星が追跡していたHH-60が着陸したのを確認済みです。ハーリング大統領らしき人物を確認しております≫
赤外線画像の連続写真が受信される。城の開けた地点に着陸したHH-60から降りてくる複数の男達を写し、最後の一枚は城へと入る瞬間だ。

これで、ハーリング・ニカノールの居場所が判明したな。奪還は時機を見てからになるだろう。それより、2ヵ国間の政府に入り込んだ犬共は?

≪現在、それらを特定し灰色とのレポ(連絡員)が誰かを洗い出しております。特殊部隊や正規軍の長達は比較的協力的です。CIA、GRUは我々の話に対しては多少懐疑的でしょう。ユーク内務省及びDIAは我々の話を完全に否定しました。よほど自信があるんでしょうね、自分らのほうが完璧だと≫

・・・国家の暴力装置たる軍隊は政治的な事は然程考えないからマシだが、諜報組織はそういうことを考えるから扱いが難しい。首脳部を拉致した連中はどうせそういう所にいた奴だ。ユーク大陸反攻の部隊規模は?

刹那はさらに情報を求める。相手は刹那の貪欲さに失笑した
≪やれやれ、あなたは情報が無ければ安心できないのですね。・・・ユーク大陸への攻撃部隊はオーシア陸軍第5師団から選抜された4個中隊です。支援に第二艦隊、空軍一個飛行中隊が確認されています≫

あの国にしては珍しいな。最初に海兵隊を出さないとは・・・

≪海兵隊は縮小されつつありますし、MEUは廃止されましたしねえ・・・ま、陸軍も功績を残したいのでしょう≫

・・・全て順調だ。どうせユークも、もう一隻のジョーカーを残しているだろう。奴らが派手に殺りあってくれれば、動きやすい。そうだろう?サーニャ中尉

≪勿論です、中佐。我々にとっても丁度良い煙幕ですよ。ただ・・・・祖国を荒らされるのは良い気分ではないですね・・・≫

貴様の祖国の威厳は地に落ちた。国家として機能しなくなるのは後10~20年後の話だが、それまでは持って貰いたい物だからこそ我々は動く・・・・それ以外の何があろう?・・・もういいな?では

≪ダー。重要情報が入り次第、連絡いたします≫
ブツッと端末から携帯のコードを引っこ抜き、携帯を元からあったところに戻す。多少満足そうに作業を続行する

・・・クリストフからの方面での切り込みは失敗したが・・・こっちからなら横槍を突けそうだ。楽しみだ。実に楽しみだ

彼は今、ベルカ騎士団の本拠地のカーウィン島の航空基地に邪魔をしている。目的は接触し、情報を引っ張り出して利用するはずだったのだが、条件を出された上に協力しないと言った「人の心を読む男」を運ぶ事と不足してきた物資の補給だ。と言ってもノースポイント軍からの高品質の消耗品供給がセーフハウスをソロ島に移動させた為に途絶えてしまった。そこで、ここまでの運送屋としての移動の代金として機体の品質の保持の為にある程度の部品交換と比較的新品の配線を調達するだけだ。しかし、暫くAIがフル稼働状態での放置が多かったり、飛行頻度が増えたせいか、部品の損耗が酷くなってきている為、予想以上に足止めを食う事になっている。その間、別の組織からの情報に頼らざるをえなくなっている。先ほどのユーク軍情報部の一部はオーシアの国益を第一とするCIAと情報提携している。何故ならばどちらにとってもこの戦争は無益だからだ。刹那もそれをつい最近、知った上でそれらと情報を多少なりとも共有している。そして、クリストフという男も刹那にとっては思ってもいない不確定な存在だった。全ては10月のサンド島侵攻直後から動いていた

10月5日 14:20 オーシア・廃棄された飛行場
刹那はオーシア南部の山岳地帯の廃棄された民間飛行場で愛機の端末に「灰色の男たち」が使用するデータリンクシステムを接続して通話を行っていた。「ADF-01:ファルケン」の状態報告を行っていた整備クルーに化けていたスパイからだった

・・・もう一度言ってみろ。クリストフが、何だと?

≪は、彼が突然あなたに会いたいと。・・・詳しい合流地点は今から送ります。罠かも知れませんが・・・此方の考えを読める奴です。奴がその気なら私は今頃警備兵に連行されているでしょう。信用してもいいでは?≫
そのスパイは冷静に、慎重に情報を得ていた。しかし、刹那が接触しようとしている男は人の考えを「直接」読める人間だ。その気なら既にスパイの存在は気付かれていた筈なのだ。もし、明日以降に反応が無ければ強襲して奪取するつもりだった

・・・その件は了解した。・・・ファルケンにバックドアを今から仕掛け、情報を吸い出したいが、データリンクを立ち上げられるか?

≪私を誰だと思っているんですか?整備主任ですよ?そんなの簡単です。・・・許容時間は1分です。それ以上だと警備兵に怪しまれます。出来ますか?≫

これまでありとあらゆるデータリンクシステムをこれに積み込み、散々試験してきたのだ。出来ない筈が無い。ハッキングは不可能だが、バックドアなら非常に簡単だろう

≪Roger・・・あなたは末恐ろしいですね。世界中の全てのインターネットシステムにバックドアできるようにしたのですから・・・試験目的でエンジンを回します。12分後、バックドアをお願いします≫

了解。クリストフに「よろしく」と伝えてくれ。Out

10月5日 21:45 ノースオーシア スーデントール市街地
「・・・驚いた、まさか一人で来るとは思わなかったです」
その男が最初に放った台詞はそれだった。恐らく周囲は既に「サーチ済み」の様だ。男に紙を渡す。刹那は周囲に溶け込む為にいつも上にあげていた前髪を垂れさせ、Yシャツ・スーツ姿だ。はたから見ればサラリーマンにしか見えない上に、体の動きも軍人のそれとはまったく異なる動きをしている。

私が何を考えているか、分かっているだろう?今後は喋らずに並行して歩け、周辺に監視している連中が居る

「え・・・は、はい。何故いきなり接触を取ろうとしたのか、でしょう?しかし、何故見張りが居る事が?」
(臭うんだよ、あっちこっちからな。とてもじゃないが、火薬の臭いが堪らない。一番近いのは11時方向・40mのビールバーのオープンカフェで新聞を読んでる奴、次に5時方向・52mのホテル2階部分)
どうやらスパイの報告は確かなようだ。内心驚きつつ、この「実験動物」の成果を確かめてみる
(早速試さないでください、刹那さん。しかし、あなたの嗅覚・聴力・知力、どれもずば抜けていますね・・・もしかして、自分と似たような事を「された」のですか?)
(フフ・・・私が自分で「した」のだ。それ以外の何がある?私は言うなれば「生物兵器」だ。お前の様にモルモットと同義語だ。お前ですら読めない所もあろう)
刹那は心の声でクリストフと会話する。刹那の「中」に入り込めるクリストフはあちこちを「漁って」いた
(・・・確かに核心部分は見せてくれませんね。まるで暗号化されているようだ。しかし、その他は丸見えですよ)
(確かに、それらを組み合わせればその暗号の配列は解けるだろうな。しかし、「AIの言語」を訳せなければ中身は分からんぞ?お前ではその情報を持って元の場所に逃げ込み、解析する事は不可能だ。従って貰おうか?)
確かに刹那の計画の核心部分は「パズルの様な断片的な情報」と「刹那の人工知能が持つ専用言語」によって2重に暗号化されている。しかし刹那の中を漁り終えたクリストフは苦笑交じりに言った
(・・・・その台詞は此方の台詞ですよ、刹那さん。あなたには協力しません。・・・カーウィン島に連れて行ってください。さもなくばこの情報を組織に回します。・・・・此方の能力を舐めないでください、解析要員に情報を渡せば解読可能です。そうなればあなたは破滅ですよ?)
(逆に脅しに来るか、小僧。・・・・・・いいだろう、興味がわいた。乗ってやる)

そんなこんなでベルカ騎士団の元に来たのだった。刹那にとってはどうでも良い目的だったが、情報が漏れるのは極力嫌った為止むを得ない事でもあった

第9話:行動へ

オーシア サンド島より北東15nm高空 10月4日 01:00
(アークバードには爆薬を設置した、後は・・・連中の驚く顔を見ていれば良いか)
刹那は酸素マスクを直しながら思っていた。殆ど休む間も無くパセット宇宙センターから秘匿飛行場へと移動して愛機に乗り込み友軍と連携しつつ、ユーク軍とオーシア軍の行動を監視せねばならない。いつもであれば衛星で一発だが、今は全ての戦力を別の所に回していて、自分の衛星(と言ってもアークバードに収容された衛星を再利用しているだけなのだが)も引っ張りだこ状態だ。頼れるものは自分の目しかない。
(しかし・・・機体を飛ばすだけでも時間がかかるものなんだな。やれやれ、どれ程権力が偉大なのかが良く分かるよ。まったく・・・)
刹那が今乗っている機体を飛ばし、ここまで来るのに4時間ほどかかった。いつも通りであれば自分の軍事力を背景に各国から空軍機としての認識番号を得て通行許可証として使うのだが、今はECMで感づかれないよう飛行している。彼としては"面倒な事"をやらなければならない。さっきから慣熟訓練らしいサンド島機の離陸を数度確認している。
(そろそろ怪しまれるかもな。一応偽装はしてあるが・・・)
偵察には流石に基地に近付き過ぎてるのかもしれない。まあ、いざと言うときには逃げるから問題ないのだが
(・・・!)

JNSDF・SOCOMより入電 [シューティングスター]No.12がユークトバニア第4軍の上陸艦隊出撃を確認、JNASDF偵察機[ブーメラン4]が戦力調査開始 順次情報更新中

(ユーク軍が動いたか・・・ナスターシャ少佐の掌握率は低いと見るべきか)
刹那はコンソールを叩いてマスターアームを外す、と同時に降下を開始しサンド島の西側海域に戦術偵察用のブイを投下しに向かう。
(見つけないでくれよ、月光が反射しなければいいんだが)
上空にはF-14A2機とF-5E4機が飛行している。サンド島の新人部隊だろう。その他にもラファールやF-16CJ、F-16XL、F-14Dなどが駐機しているのを確認している。迎撃体制は整いつつあった。ただし、サンド島には空軍守備隊しか居らず大した兵力や装備もない。上陸されれば、まず保たないだろう
(・・・まだ此処が陥落するには早すぎる。そうなれば、灰色の思う通りになる。だが、何も出来ぬとは歯がゆい限りだ)
灰色の目的が混乱の創造ならば、オーシアの方で混乱を起こした方が奴等なりに良いのだろう。何と言っても、ベルカを滅ぼした勢力は「鬼神」等の「傭兵」部隊などではない。それを行なったのは「超大国」なのだから。正直な所・・・刹那は国も抗争も企業もどうだって良かった。

「ただ戦いたい。殺したい」

(何時からだろうか、こう思う様になったのは・・・・「ただ戦いたい」が為に・・・第三者の利益に首を突っ込む私は愚か者なのか?まったく・・・・)
クローンじゃなかった頃から・・・そう、物心ついた頃から、血の臭いの真ん中に立っていて、誰もが自分を避けていく。ついて来るのは同じ傷を持つ奴だけだ。だけど彼らは自分とは違う、「最初から血の臭いしかない所に居た」のではない。そのとき、HUDの向こうの月光を反射する海面が黒く染まった

よう、私。そんなシケた顔をしてどうしたのだ?

(!・・・誰だ・・・私の心に入り込んでくるのは・・・)

「私はお前で、お前は私だ」そう・・・お前だよ。どうだ?人を切り刻み続ける「死神の鎌」でいる気分は

それはもう一人の自分、15年前のアヴァロンで死んだこの体の元になった「セツナ」だ。死んだ時の両腕が無くなり、内臓破裂や複雑骨折で不釣合いな肉体を包むパイロットスーツは深紅を通り越して黒く染まりきっている。
(・・・久しいな、私か、15年前のアヴァロン以来だな。今度こそ私の命でも喰いに来たか?)

いや、随分深い考え事してるなと思ってな。「ただ戦いたい」から、か。わからないでもない。自分の「本当の一生」を見れば分かる事だ

(・・・この"擬似記憶"が間違っているとでも言うのか?)

その「私」の記憶は間違ってもいないが、正しくもない。思い出したければ、あの銀髪の女に尋ねるべきかもな

(・・・興味が無い)
刹那はそうソイツに言い放つ(といっても声が出ているわけではない)と、そいつは消えた。もう一人の自分、それは「死んだ自分」だ。ドッペルゲンガーとも呼ばれるそれは見た者を不幸へと導く。だが今の刹那にはこれ以上の「不幸」は無い。否、死ぬ事も生きる事も刹那にとっては幸せなのだ。戦う為だけに、地獄の底から這い上がってきたのだから

軍事研究第8回:弾道ミサイル防衛(MD)に関する事案

MD・・・それは弾道ミサイルの脅威を可能な限り減らす為に行なわれる迎撃ミサイルによる国土防衛である

世界初の巡航ミサイルV1が実戦投入されて以来、敵地への攻撃の第一撃は地上発射・航空機・艦船搭載のミサイル・ロケットによって行なわれるか、長距離の弾道ミサイルによる攻撃だ

それを防ぐには同じ様に発射する機体・艦船・施設・車両を直接・又は電子妨害で無力化することであった。だが、最新コンピューター技術そして超高度に自動化・リアルタイム化が進んだ防空網を成す高度なレーダー・赤外線・レーザー・衛星による監視技術を利用してレーザーでミサイルの装甲を焼き切って推進剤・炸薬を爆発させたり、ミサイルにミサイルを命中・近接信管によるエネルギーで破壊させる事も可能となった。

それの対弾道ミサイル用に特化したのがミサイル防衛システム、略称「MD」である

それの始まりは、敵弾道ミサイルに、非常に高い威力をもつ核を搭載した弾道ミサイルによる空中爆破である

しかし、宇宙・成層圏上部にて核兵器を起爆させれば「EMP」と呼ばれる一種の電磁パルスにより、ありとあらゆるコンピューターの回路が焼きつき、長年に渡りその爆破周辺地域で使用できなくなるのだ(真空管は除く※1)そして、第2波を防ぐのを困難にしてしまう
※1:真空管を利用し、システムがシャットダウンしないようにした兵器も70年代辺りまで使われていた。主な例としてMig-25がある。ただし反応速度は遅い

次にSDIと呼ばれる計画がアメリカでスタートした。(通称「スターウォーズ計画」)

これは宇宙空間にて衛星に搭載したレーザーなどをで弾道ミサイルを破壊するシステムだった。しかし、開発には巨額の予算が投じられたが、実現には至らなかった。この計画は当時の技術力ではあまりにも非現実的であったのだ

これを縮小・現実的な手段を用いた小規模弾道弾攻撃に世界規模で対応するのがGPALSと呼ばれるものだった(MDの基礎とも言われる)

そして、国家規模でもっと確実で現実的な防衛手段として研究されてきたのがBMDである

BMDの迎撃可能回数は3回のみ

1回目は上昇段階(ブースト・フェイズ)

この状態ではミサイルは上昇加速中であり、速度はさほど出ていない=迎撃が最も容易。しかし、迎撃するには迎撃兵器の有効射程まで接近せねばならない=発射兵器に護衛or防空網破壊等の事前攻撃を必要とする

2回目は中間段階(ミッドコース・フェイズ)

この状態はブースト・フェイズが終了し、推進剤の無くなった弾道ミサイルと共に巡航高度で目標に向けて地上概算でマッハ20近くまで加速し終えている状態=迎撃は最も難しい

3回目は終末段階(ターミナル・フェイズ)

設定された目標を完全に定め、弾頭が大気圏内に突入してきており重力に引かれて最も加速した状態=迎撃は索敵装置に確実に捉えられれば比較的容易。だが、EMPの効力圏内に自国の領土が入っている可能性がある。

しかし、これ等で撃墜するのを比喩として「発射された銃弾に、発射した銃弾を当てる」と言われるほど高度な技術力と迎撃時の即応性と高い対処能力が求められる

現時点で敵地への直接攻撃能力が高くない自衛隊が想定しているケースはミッドコース・フェイズとターミナル・フェイズでの撃墜だ。

マスコミで報じられるように

"「MD対応イージス艦のSPY-1レーダーで捕捉・追尾、RIM-161スタンダードミサイル・SM-3を使用してミッドコース・フェイズで迎撃」し、「地上のFPS-5レーダーとSPY-1で捕捉・追尾しターミナル・フェイズでMIM-104 パトリオット・PAC-3にて迎撃」する。"

これが、基本想定だ。しかし、これでは確実な迎撃性に不安が残る(100.0%被弾したくなければ、発射台を発射前に叩けば良いのだが)

そこで防衛省は早期発見・高ステルス性能を持つ弾道弾迎撃の為に衛星・航空機による監視技術、新型ミサイル・高出力レーザーによる全フェイズにおいての撃墜技術の研究をしている

前者はAIRBOSSと呼ばれる航空機搭載型赤外線センサーシステムと宇宙開発

後者は日米共同開発のSM-3 Block2を既に2014年配備を両国で決定しており、自衛目的のスタンドオフ攻撃(発射台だけを破壊する攻撃、今の自衛隊に敵地侵攻できるほどの輸送力はない)・THAADに相当する地上発射型運動エネルギー迎撃体の開発、そして2008年度には高出力レーザー兵器の研究、開発(地上発射型及び航空機発射型)に着手している。

しかし、北朝鮮のテポドン・ノドン(数の上ではノドンが上)の発射危機や中国の第二砲兵(弾道ミサイル専門の中国人民解放4軍の一つ)が此方に弾道弾を向けている事を考えれば多少遅すぎるのかも知れない。迎撃技術が完璧と言えるほど確率するまで、外交面で決して仮想敵国に弾道弾を撃たせない様にする事が重要なのだ

しかし、自衛官のイージス艦情報の他局流出やWinny等での国産兵器の諸元流出など、自衛隊・外務省等の関係部署内でもまだ情報管理が徹底されていない所も見受けられる

そう言った観点から見ても、厳しい罰則(懲役刑や高額な罰金)を設けて防諜というのを今一度下士官・一般隊員・公務員にも徹底させるべきではないか

第8話:部隊再編開始

ノースポイント 国防省 統合自衛軍 即応作戦司令部 10月1日 14:25
「事情は大体分かった。まず君が望む事は?」
薄暗い地下20階のノースポイント陸・海・空・宇宙の4軍の統合自衛軍の即応作戦司令部ではオーシアのARC支部から脱出してきた刹那と4軍の幕僚長、そしてその副官らが座っている。彼は喋れないので専門の読唇術の心得を持つ者が通訳を行なう。
「えー・・"既に状況は一転し完全に最悪な方向に進んでいる以上、もうこのARC以下我が私兵の"大きな組織"では目立ちすぎて行動する事は出来ない。そこで、我が隊のほぼ4/5以上の即応戦力をそちらの指揮下に入れてそちらで対灰色・及び要人奪取・そして両国国民への焚き付け等に活用してもらいたい。此方の残存する戦力1/5については此方で別の任務に付けさせる"・・・と」
「ふむ、だが・・・これ以上国民に秘匿するのは無理があるのだ。元上級幹部の自衛官なら我々がどれ程危険な橋を渡っているか、お分かりだろう?中佐」
刹那はコクッと頷く。そしてさらに続けた
「"その通り、下手をすれば貴方も我々も消される事ぐらい承知の上です。ですが、ここまでしないと対抗するのも難しいです。リスクが高いのであれば、ここでビジネスをしましょう。・・・・報酬として私が持つ全ての部隊・及び全ての施設・技術を貴国に全面無償投与、というのはどうでしょうか"」
「虚言だ!!貴様は今まで自分が心血を注いで育ててきた全ての資産・戦力・技術を投げ出すだと!?仮にも一国の戦力に匹敵する戦闘部隊の総指揮官だろう!?そんな事、出来る筈が無い!!」
刹那の元上司の航空自衛軍の航空幕僚長が机を激しく叩いて反論する。刹那は一度フッと微笑って言った。
「"お分かりになられていない様ですね。別に組織が無くとも彼らの穴程度一人で塞げます。私は戦う為に地獄の底から這い上がって、此処まで来たのですからね。その程度出来ないでどうすると言うんです。それに、私の部下は揃って感情が高ぶっている。こんな部隊を私流に動かせば、どんな作戦をしようとしても失敗します。【[人間]と言う不確定要素は極力排し、その上で最高のコンディションで作戦に望む】これが私流の用兵術です。彼らは私にとっては足手纏いに過ぎない"」
「ほう・・・では、やれるというのだな?確証は?」
「"正直に言えば1%、いや・・・0.5%の成功率でしょう。私の作戦が上手くいっても、制御しきれない勢力が多すぎる。ですが、これをしなかったら0%です。この分の非常に悪い賭けにBETしますか?"」
刹那の不敵な笑みが薄暗く、楕円形テーブルの情報モニターの青白い光で妖しく光る。
「・・・・良かろう。私は乗る。異存があれば出て行くが良い。何もしないよりかは可能性はある」

 

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