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第十九話:"死神""死の鎌"と自らを呼称する所以・・・・・ 

ノースポイント 入間統合自衛軍基地 C-1輸送機用格納庫 1月1日 01:20
「ほ!こりゃあ良いねえ!」
「基地司令からお楽しみがあるって言われたんだが・・・これかあ!」

パイロット達の前には大量のワインやバーボンなどといったアルコールと様々な食事とHappy New YearとGod Job SAF And ISAF Air Force And Navy Forceと書かれた横断幕が用意されていた。
オペレーションカウントダウンから何とか戻って来たパイロット達は新年を戦闘機機内や母艦で明けたのだが、着陸後に基地の司令から「お楽しみを用意した」と言われ現在に至る。海軍の奴等も早速嗅ぎ付けて防空をイージス艦に任せて早々に飛んできた。
「もう、ドンチャン騒ぎを始めていいのか?何時でも交戦できるぞ?」
「誰か交戦許可を!」
「此方スカイアイ、此処の奴等が用意したようだしな。交戦開始!」
「良し!花火の中に突っ込むぞおぉ!!!」
「「「おおおおおおおお!!!!」」」

傭兵を中心に再編したISAF空軍だった為酒の誘惑には弱い。特に命懸けの戦いの後なら最上の旨さが出るからだ。AWACSのオペレーターもそれに乗り、ISAF正規軍の整備員や雑用の兵士達までが続々と交戦エリアに突っ込んで行った。


こうやって司令が酒類を用意したのは訳がある。


それは"もう一つの戦闘"を彼等に見せたくなかった為だ。


刹那はたった今その真ん中にいて、咽返る様な硝煙の香りと血の臭いの中で死闘をしていた。


それを知るのは現場で死に掛けている重態の重傷者とそれを輸送する輸送機の乗員と医師達だけだった。


その大量の命のリレーを繫ぎ、此処を目指し続けて最終ランナーにその手がゆだめられそうになっていた。刹那はそれを妨害しようとする火の粉を退け続けた。


その戦い振りは後にエルジアの軍事教本に載るほどだった。
それは・・・・

何よりも疾く

何よりも正確に

何よりも冷たく

何よりも強く

何よりもおぞましかった

エルジア軍で迎撃に当たった者の中で唯一の無被弾の帰還者はこう言った。

「まるで鬼神か死神かドラゴンを相手している様だった」
そして
「僕は輸送機に長距離ミサイルを放ったんだけど、そいつが命中寸前に割り込んで来て僕の僚機に命中させたんだ。そして輸送機に近づく味方機を最小限の射撃で行動不能にして来たんだ。僕は怖くて逃げ出したよ。あれは純粋に何かを守る為のような飛び方だったけど、何よりも鋭くて迷いの無い飛び方だったよ。あれこそ守護者としてのACEだろうね。そいつの御陰で今も臆病者共として僕らの飛行隊の部隊員は全員生き残っているんだ。・・・・・・今思えば結果的にそいつに僕らも救われた。まあ、代償として空を飛ぶのが怖くなったけどさ・・・・」
・・・・と


刹那は一機も撃墜せずに最小限の迎撃戦闘で重傷者の乗る輸送機を守りきった。襲撃を受ける事10回・・・それらを単機で受け流し、受け流し・・・・・弾が尽きても敵機に機体を擦り付ける様にして13mm拳銃弾を敵機に当てた。そしてそれも尽きると敵機の攻撃を利用して同士討ちを喰らわせた。そしてとうとう此処までたどり着いた。
≪キャリア1、損傷、被弾箇所はあるか?≫
≪いいや・・・・それより、有り難う。御陰で皆助かりそう≫
≪礼には及ばない。護衛可能だったのが当機だけだったからな≫
≪・・・相変わらずね、死神。次も頼むわ。たぶん今度はそっちだと思うし≫
≪・・・・・そうか。・・・・・貴官の心配性もな、化け物鷲。ただ・・・・当機はビンゴヒューエルに陥っている。燃料節約の為に高度を取ってエンジンを止めるが良いか?≫
≪了解≫
操縦桿を引いて機を上昇させる。グラスコックピットのパネルに表示された燃料は残り2500を切っていた。高度1万メートルでエンジンを停止させてグライダーの様な滑空を始める。スラストベクターノズルとカナードが無ければ20機以上の敵機を撃退するのは無理だったに違いない。改めて自分の機体に感謝した。
(有り難う、デスサイズ(死神の"鎌")・・・・・)
そうやってゆっくりと高度を降ろしながら輸送機が滑走路に着陸するのを待った。

貴方は本当の死神の意味を知っていますか?

そう問われると多くの人は人の命を刈り取る悪しき神という

・・・だが本来の意味は生物の出生と死を管理する神の事を指す。

刹那はそれを現実世界で体現しているような人間だが、周りは殺戮者としか理解してくれない。何故なら人は強烈な事をしている者を見るとそれがイメージに直結するからだ。特に殺人を何百回・・・いや何千回もしている人間だと死神と呼ばざるをえない。だがこうして命を助けている事は何度もある。彼は唯の快楽殺人者でない事は解るだろう。

≪そこの戦闘機ぃ!!さっさと降りろぃ!≫
ようやく刹那は滑走路への進入が許可された。機体をゆっくり降下させて行く。だが誘導させられたのは最も短い第3滑走路(780m)だった。まあ、元はといえば明後日までに着陸する機は無かったのだから酔ってても良いのだが。しかもGCIでもない唯の民間会社の研修管制官らしい。GCIは本来迎撃戦闘機の管制を行なう為、着陸は管制塔の通常勤務の管制官に繫げないといけない。
(・・・・あの管制官、酔ってるなこりゃ・・・・良し、ちょっくら酔い覚ましを食らわせてやるか)
エンジンを空中で再動させるにはスロットルを下げてからスロットルを最大に叩き込まなければならない。何故ならスロットルはエンジンノズルを絞るったり緩めたりするのと同時に燃焼室に送り込む燃料の調節も行なう為、燃焼室の燃料が少ない状態からスタートさせないと空中爆発防止の安全装置で再動しないからだ。その動作を終えると、A/Bで管制塔を目指した。
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
≪あぐんmyうえあ!?≫

ビリビリッという衝撃波でその管制官はすっ転び頭を打った。これなら酔いから覚めるだろう。そして第三滑走路に機体を下ろした。勿論普通では降りれないので速度を100ktまで落として着陸した。失速ギリギリだったが、上手く行った。

5時間後 C-1格納庫 07:50
「ううう・・・・飲み過ぎた・・・」
「もう飲めねえよ・・・・」
「・・・・ヒック・・・・」
様々な呻き声が聞こえるC-1格納庫は死屍累々といった感じだった。そんな彼等を刹那はククッと微笑った。彼は今迄死にそうな重傷者の手当てに追われて真っ赤な血を体の彼方此方に付いていた。
「・・・・・・・・初日の出・・か」
登って来た太陽の明かりを受けながらそう呟くと、金属製の笛を取り出してそれを吹き始めた。何を思ったのか自分でも解らなかった。ただ吹きたいと思ったのだ。曲名は無い。ただ悲しい曲である事は確かだ。それに近くの教会の鐘の音が重なった。

そうすると死んでいった人間一人一人の死ぬ直前の自分に対する恐怖で引き攣り脅えきった顔が頭の中に現れては消えていく。吹き終わった後は何故か哂っていた。

「闇に属するが故に愚かなのか?愚かゆえに闇に飲み込まれるのか?

そう、横から声を掛けられた。それは黒い死に装束を着た人らしきものだった
「いいや。闇を飲み込んでいるから愚かなのだ。それに・・・・賢者は戦いよりも死を選ぶ、更なる賢者は生まれぬことを望む・・・・というではないか?・・・・本物の死神よ」
自分が答えるとその黒石に装束を着た人は、被っていたフードを取った。それは自分自身だった。そしてそいつはこう言った。
「生き残りたくば何にも巻かれるな、己を信じろ。たとえ・・・人殺しでしか自分の渇きを癒せぬ壊れた己でもな」
刹那はそんな"自分"に銃を突きつけて向き合ってこう言い放った。
「生き残る・・・か。私は生にはもう興味は、無い。唯自分を殺せる"人間"を求めているだけだ」
そして引金を引いた。

パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ!!

乾いた銃声と共に薬莢が飛んでいき弾装が空になったためスライドが手前に引かれていた。硝煙がたなびく銃口の先には何も無く、唯いつもの基地の風景があるだけだった。

fin


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コメント

読みました
読みましたよ~。
死神はどこにいる…?
そう、死神は常に自分の間近にいるんですね……。 戦争の中で生きることを選択した者は、これほど迄に強いのか…?
誰にでも近づいてくるようなモノは、真の意味で死神とは言えないのかもしれませんね。
では、次回更新を待ってます(〇□〇)ゞ

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