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第十二話:屍人

11月2日 サンサルバシオン スカイキッド 1:30
「で?敵地のど真ん中で顔を出して歩く理由は何だ?」
エーリッヒは持っていたギターを置き、寝てしまったハーモニカの少年を4に預けた。
「これはICPO(インターポール:国際警察組織)の命令でもあるが、この男を捜してるんだ。昼に襲撃を受けて、お返しに1時間ほど前にそいつの居場所に奇襲を仕掛けたんだが既に奴は部下を犠牲にして逃げ出していた」
写真を見せながらも、尚も喋る刹那。そいつはエルジア軍の最高指揮官だった。
「こいつは・・・エルジアの大将だろう?此処まで来て撃ち合いをしたのか。と言うよりICPOの命令ってのは確かか?」
エーリッヒは正面から刹那を睨んだ。当然の事だ。エルジア軍の最高指揮官をそうそう殺していい物ではない。
「私の組織はUNF(国連軍)とICPO直属の独立傭兵部隊だ。暗殺許可なら既に取ってある」
そう言うと刹那はコートの内側からバッチを取り出した。それはICPOの殺人許可証だった。それはMI5やCIA、ユーク各情報部、特殊警察等の特別な捜査官にしか手に入らないものだ。何故なら贋物は製造できないようにありとあらゆる偽造防止用のコーテイングが成されているからだ。
「それはISAF軍に加担しないのか?」
エーリッヒがさらに問い詰めると刹那は首を横に振った。
「こいつを殺害した所で他にこいつより優秀な奴がエルジア軍には居るんだ。ちょっと動揺が走るだけで何らそっちの作戦に支障はない」
刹那は終始落ち着いた言動で言った。
「確かに・・・・」
エーリッヒはそれに頷いた。確かにエーリッヒも此処に居る黄色中隊の連中もそれは知っていた。
「だが、お前はISAFの人間だろう?交戦中の敵としてほっとく訳にはいかないんだ」
他の隊員が詰め寄ると刹那はそいつを睨んで言った。
「私はUNFの所属だ。何時ISAFと手を組んだ?ある程度ISAFが有利になったらISAFから出て行く。んでもって講和の準備に取り掛かる。それだけだ。因みに一つだけ言っといてやろう、UNF所属のISAFに敵対する形でもう一人エルジアに私と同レベルの実力を持つ奴が居るんだ。確か・・・・スカーフェイス1だったな」
そこまで言うと周囲がざわめいた。スカーフェイスは何所に行っても有名である。大陸のクーデターを僅か数十機で制圧した奴だ。
「・・・だが、てめえは!!」
あっけにとられる中で一人の隊員が刹那の胸座を掴もうとした。刹那はコートの中からSIGと9mm機関拳銃を取り出した。勿論黄色中隊の面々もレッグホルスターからガバメント拳銃を取り出す。
「ブラッド・バス(血風呂)は御免だぜ、エーリッヒ・クリスマン。撃ち合いは上等だが、そこのガキと上のお嬢さんの二人の子供が寝てんだぜ?この子等の発育ぐらいは健全じゃねえとな・・・・」
刹那はそう言いながら9mm機関拳銃のスライドを口で引き、初弾装填した。数じゃ不利だが、技量ではレンジャー部隊を軽くあしらえる位だから五分五分と言った所だ。さっきの戦闘で体の傷を回復させるのと不老の為の特殊な液体・・・・細胞成長促進液が不足している為に此処で撃ち殺されたらたまったもんじゃない。自分のクローンも擬似記憶も準備出来ているのが唯一の救いだが・・・・。死ぬと言うのは息が出来なくなり、だんだん意識が遠ざかっていくから嫌だし、銃で死ぬのもガツンと殴られる感じが嫌になる。殺す事なら楽しみだがポンポン死ぬのは流石に敬遠したい所だ
「それならそっちが降ろすべきだ。刹那」
「ああ、そうだろうよ・・・だが、黙って銃を降ろしてくれ。指に力が入る」
冷や汗が背中にベットリついている事が分かる。此処で奴等を殺したらUNFから追われる結果になる。それだけは避けたかった。
「頼むから銃を降ろしてくれ。指がもう限界なんだ」
「じゃあ、こうしよう。10秒後に同時に降ろす。いいな?」
「ああ、頼むよ」
10秒後にエーリッヒが言った通りに全員が銃を降ろした。安堵の息が一斉に吐かれた。
「やれやれ、こっちにはこっちの事情がある。お前が話が分かる奴で良かったよ。だが、戦場なら話は別だ」
刹那は改めてエーリッヒを見た。
「ああ、空だったら話は別だ。思いっきりやらせて貰う」
そう言うと耳に取り付けた連絡用の通信機器に迎えを要請した。
「此処でドンパチをするのは後5、6ヶ月先だな・・・。それまでは死ぬなよ?エーリッヒ」
「貴様もな、刹那」
早速一台の車がやって来て、中から零式小銃を持った兵士が刹那を車の中へと誘った。
「あ、そうそう。忘れてたよ。お前から借りてたこいつを帰すぜ。」
刹那は開いた車のドアから何かを投げた。
「チャーム?そんなの貸したか?」
それは飛行機の形をしたペンダント。裏には何か書かれてる
「黄色の騎士へのプレゼント。黒き死神より・・・・フン、貴様らしくない。爆弾でも入ってんじゃねえのか?」
エーリッヒが不思議そうに見ていた。刹那が少し笑って言った。
「正解だぜ。ファッカー」
ポン!
エーリッヒが貰ったペンダントが急に割れて顔が煤だらけになった。
アッハッハッハッハッハッハ!!!!出せ!奴がキレる前にだ!!してやったぜ!!ハハハハ!!!」
運転手に思いっきり叫びながら刹那は笑った。エーリッヒは少し呆然として刹那の車がアクセル全開で走り出した時にようやく気付いた。
「てんめえ!こんの野郎!!待ちやがれこのファッカー!」
その時酒場の中からも笑い声が上がった。いつもは冷静な隊長がいとも簡単な悪戯に引っ掛かったのだ。笑う以外にない。
「あー、クソッたれ!やってらんねえぜクソ!」
エーリッヒは一人その空気の中で取り残された。4も必死に笑いを堪えていたがついに耐え切れずに苦笑をこぼした。そんな中ハーモニカの少年までもそれを見てしまった。
「・・・・・?・・・ZZZZZZ」
だが運の良い事に寝ぼけていたようで直ぐ寝てしまった。

サンサルバシオン 新市街 超高級ホテル 02:52
「・・・・」
刹那は久々に立派なベットの上で寝る事になった。勿論爆弾チェック、盗聴、盗撮チェックを済ませての事だ。彼の部下達も当直以外は刹那と同じ部屋で眠る事になっている。
「刹那中佐、暫く此処に滞在ですか?」
「ああ、暫くは―――ッッ!・・・・・全員伏せろ」
刹那は何かを感じて命令を出した。疑うまでもなく全員が伏せた。すると―――
バリン!ガキュン!
刹那の手が誰の目にも止まらない速度でガラスを突き破った物を掴んだ。手がボロッと落ちる。その手を広げると弾丸の拉げた物が落ちた。
「狙撃・・・か」
刹那は13mm対物拳銃を抜き出し、片手で構えると勘で引金を絞った。
ドガン!!!
「・・・・命中・・・したな」
確かな手応えを感じる。殺気を感じて全員に伏せるように言って、弾丸を防ぎ、的確に反撃を行なった結果、相手の殺気が完全に消え失せた。
「ちゅ、中佐・・・・手は・・・」
兵士の一人が不安そうに刹那の手を見た。手の捥げた先から血が止まらないのだ。
「安心しろ。1時間すりゃ元通りさ」
刹那は自分の手を元の位置に戻して、コートから緊急オペ用の糸と針、さらにメスを取り出して右手で治し始めた。
「軍曹、湯を沸かせ。消毒する必要がある。衛生員は補助と固定、そして細胞成長促進液をありったけ頼む・・・・やっぱり生身の体より機械化した方が便利だな」
少し愚痴りながらメスを動かし続ける刹那。痛みはあるが銃で撃たれたり、ナイフで突き刺されるよりは良かろうと思って顔に出してないだけだ。指揮官は何時でも部隊に安心を与えなければならないとの自身が定めた事を破る訳には行かなかった。
「湯を沸かしました。細胞成長促進液も5ℓ位準備できそうです」
兵士が刹那の腕を固定しながら報告を入れる。
「ああ、直ぐに術器具の再消毒を、神経を繋ぎ直したら細胞成長推進液に漬ける。多分さっきのは前座だ。奴等はしつこい・・・あと一時間、此処を持たせられるか?出来れば抜糸も終わらせたい」
慣れた手付きで針と縫合糸をルーペ(頭に付ける一定倍率の顕微鏡、詳しくは"医龍"等を参照)も無し、照明も無しで神経を一本ずつ繋ぐ。
「あったりめーよ」
「フ・・・これでも使え大尉」
刹那はMPプレイヤーを兵士の一人に渡した。
「ショウタイムだ!踊ろうぜ!!」
その兵士はMPプレイヤーの電源を入れて曲を選択した。
「刹那中佐、お前さんクラシックが好きなのか?まあ、少しは良いものが入ってるな。良し、こいつにしよう」
激しいロックが掛かる。どうやらACES HIGHの様だ。
≪野郎ども、敵が来たぞ!ロックンロール!!派手に殺ってやる!≫
耳に取り付けた無線機器からさっきの兵士の声が大きく聞こえる。
≪大尉、引き付けろ・・・・6.5mmARISAKAの大放出バーゲンと行こう≫
刹那は無線に言いながら部屋の端っこに行って治療に専念した。
≪了解、サイレンサーは付けたろうな?≫
≪此方ブラヴォー1、スタンバイ≫
≪此方アルファー2、スタンバイ≫
≪先頭の奴が後五歩前進したら射撃開始だ≫
≪ラージャッ。踊ろうぜ≫
≪3・・2・・1・・Open Fire!≫

シュカカカカカカカカカカカカカカカカ!!
兵士がだだっ広い一直線の廊下に並んだ敵兵に発砲した。敵兵はどうやら灰色の奴等が差し向けた殺し屋のようだ。統制が取れていない。
≪何だ?こいつ等・・・話にならん・・・≫
≪飛び出ても平気だな。行くぞ!≫
兵士の何人かが廊下に飛び出た。敵兵の懐に目に止まらぬ速さで入り込み、銃弾と銃剣で確実に仕留める。
「畜生!何だこいつ等!?弾を避けやがるッッ!!」
「弾が、弾が当たらない!!」
「畜生!!畜生!!クソッたれ!当たれ化け物ッッッッ!!」

やつらは銃をあちこちに向け乱射するが、ろくに当たらない。
≪駄目だなこいつ等は・・・狙って撃つ事を知らんのか≫
≪下手な鉄砲、数撃ちゃ当たるなんて事は無い。戦場を駆け抜けて、弾雨の中に身を投じた者相手じゃ乱射したって無駄さ≫
彼等は人間の中でも反射神経を研ぎ澄ませ、カールルイスばりの足の速さを持ち、敵の心理を読み当てるだけで殺し屋共の銃弾をかわしているのだ。彼等の目と体は敵が発砲する直前の指の動きと銃口を見てそこから銃身のブレを計算に入れ身をかわすだけで銃弾をかわしている。
≪ハッ!これじゃ鹿狩りだぜ?つまらんったらありゃしない≫
≪愚痴るな、敵を殺すのは一つの任務だ。にしても奴等にしちゃ手がぬるい≫
≪ああ、トラップがあるかもな。死体には触れるな。カミカゼ仕様かも知れんからな≫
≪思い出させんでくれ。特攻の記憶が俺の中にはあるんだ。ッと!≫

敵の死体を踏んづけそうになって慌てて身をかわす。
≪奴等、殆ど死んだみたいですね≫
≪オールクリア。中佐ー?終わりました?≫
≪助かったな。たった今縫合が終わった。後は漬けるだけだ≫
ふう・・と一息吹きながら、ビニール袋一杯に溜まった液体に左手首を入れて、バンドで6重に口を止めた。見る見るうちに腕の傷口が塞がっていく。
≪あと5分で腕は完治する筈だ。そしたらさっさと此処から逃げ出す。痕跡を消毒して死体はトラップに注意しまとめてティルミットで燃やせ。銃痕と血は致し方ない。さっさと行方をくらますのが上策だ≫
≪ラージャッ。集結地点04ですか?あそこならさっさと撤退できますが≫
≪いや、09だ。あそこには誰も近づけん≫
≪ラージャッ≫
刹那はそこまで言うと縫合したばかりの自分の腕を見た。
「・・・・・もう、人間には戻れないんだな・・・」

Fin
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プロフィール
プロフもう一回書いてくれとのことなので

氏名:ガフェイン・ブルフィンチ
CS/TAC:シグマ1/クロス
年齢:31歳
性別:男
乗機:YF-23(大型の無誘導爆弾が搭載できるように改造してある)
陣営:ISAF
ロスカナス出身。
ヘッドオンでの戦闘を得意とするためエルジア軍パイロットから「メデューサ」の異名をつけられている(目を見たら「死ぬ」ため)。
ミグが好きなのか嫌いなのか、ミグ系統の敵機を見かけるとターゲットそっちのけで襲いかかる。
基本的に性格は温和、だが中身は腹黒く計算高い。
身長181cm 体重78kgと大柄。趣味は茶葉の収集と弓道。
実はありえないくらい酒に強い。
ちなみに元飛行冒険家でそのときの経験から多少の異常事態では驚かない。
ロスカナスに妻子がいる。口癖は「まあ、その時はその時だ」「うぇーい」など。

本名:ウレイ・ナシナ(梨名 雨玲)
CS/TAC:シグマ2/ハイドラ
年齢:26歳
性別:男
乗機:AV-8B
戦術:一番機がヘッドオン戦闘で撃ちもらした敵機をホバー状態で後ろを向いて攻撃。
ノースポイント出身。

本名:ミハエル・レオーネ
CS/TAC:シグマ3/センチネル
年齢:22歳
性別:男
乗機:Su-27
戦術:一番機と同じくヘッドオン戦術。
サンサルバシオン出身。
戦闘中でもうるさいくらいによく喋るが、なぜか家族の事は決して喋らない。

余談ですが個人サイトを製作中。公開に値するレベルまで達したら公開しようかと思います。小説も書く予定です。テーマは↓これ。
ガフェイン「谷抜け?俺のときは岩が落ちてきたぜ!」

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