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第七話:

9月17日 ノースポイント近海公海 ISAF海軍第一艦隊 空母[ウィスコンシン]医務室 1400
「・・・・いくら暇だからってこれは無いだろう」
刹那は一人の女性パイロットの看病を任された。昨日の戦闘で流れ弾を被弾して空母近くに不時着した奴で、不時着の時に頭をぶつけて脳震盪を起こして気を失ったらしい。それは一度刹那に会った事のある人物だ。甲板で野球ボールで壁当てを黙々とやっていたら、声が掛かったのだ。元々無口な性格だったのでそのパイロットを襲うような心配は無いと判断されたらしい。
「メビウス1、ね。たいしたコールサインだこと・・・ん?」
ドックタグやらそのパイロットの所持品をあさっていると一つの写真入れを見つけた。30人位の集合写真がある。
「ISAF空軍最強部隊と呼ばれた残りはこいつだけになったのか。」
ISAF空軍の中でもアグレッサーとして有名だったISAF空軍第118飛行隊メビウス中隊はストーンヘンジ攻撃時に護衛部隊として参加したが全滅したと聞いていた。
「・・・・・暇だ・・・・毎日が戦闘だったら飽きないんだが・・・・」
窓も無いため360度見渡しても似たような風景だ。
「これだったらJSOGの時の方が飽きなかったなあ・・・・」
JSOGに居た時は週一で戦場への出張があったし、人を殺すのに大した制約が無いから楽しかったのだが・・・今は傭兵として制約に雁字搦めになっている。戦場は刹那にとっては自らが死すべき場所と決めていたのだ。
「敵が来ないかなあ・・・・・」
不謹慎な事と判りながらもついつい呟いてしまう。
「ん・・・・」
どうやら気が付いたらしい。早速医務官を呼んで見てもらう。
「異常は無いみたいだね・・・後二時間ほど安静してなさい。君がもう暫く見てくれないかな?こっちはそうそう終わりそうにならないのでな」
医務官はそう言うとまた仕事に没頭した。どうやら船酔いする奴が多いらしく、その手当てで忙しいようだ。
「りょーかい・・・はあ・・・・」
溜め息を吐きながら軽く腰掛けてた椅子にさらに深く座る。
「此処は何所?」
「え?」
突然質問されて質問に即答できなかった。
「船の中なの?」
「あ、ああ」
ようやくそれに答えるても相手はさらに質問を続けた。
「あなたは誰?エルジア軍ではないみたいだけど」
「私か?私はただの傭兵だ。さっきの医務官に頼まれてここで君の看病をしているだけさ」
その娘の目は疑いの目だ。どっからどう見ても傭兵の様には見えない自分の姿を疑っているんだろう。何と言っても今の自分は整備員のツナギ(作業服)を着ているのだからだ。愛機の整備中に他の整備員のちょっとしたミスで油が多量に付いてしまった為に他人から借りたものだ。いまそのパイロット服は洗濯中だ。乾燥機にかけたら直ぐに着替えようと考えている。
「・・・ふーん」
「・・・女性は苦手だと言ったのに・・・・」
刹那はボソッと呟いた。此処に来て2度目の言葉だ。
「どうして此処に運ばれたかは知っているだろう?」
今度は刹那が彼女に聞いた。コクッと頷くのを確認するとさらに言い付けた。
「運が悪かっただけ。たまたま・・・でも死ぬ事はあるんだ。例えそれが流れ弾でもな。お前の場合は運が良かっただけだ。デブリーフィングで確認したけども君の動きは無駄が多い。しかも君はそれに気付いている・・・・何故飛び方を変えない?まるで無意識に死にたがっている様だった」
見ず知らずの傭兵に此処まで言われるのはショックだったらしい。顔を少しシーツにうずめて目をそらした。そして体を小さく身震いさせて何かを呟き始めた
「ジョンも・・・ハヤテも皆死んで・・・私だけ生き残ったって・・・・」
それを聞いて刹那はある情景を思い浮かべた。それは自らが犯した最初の殺人。実の父親と母親が殺され、怒りに身を任せて初めて人を殺したあの時を・・・。
(馬鹿馬鹿しい・・・・)
今の刹那にはそんな話はごく当たり前のように聞く。だが、慰めも必要だと思い頭を撫でながら言った
「お前が死のうが別に構いはせんが、それで死んだ奴が喜ぶと思うか?私だったら嘆くだろうな」
それを言われて相手は何も言わなくなった。医務官が仕事を終えて戻ってくるのを見るとその娘の頭を撫でるのをやめてこう言った
「もし、戦場で生き残りたいと少しでも思っていたら1610に駐機番号015まで来い。さもなくばお前が言っている事が現実になる。それに死んだ人間を思ったり感情的になる人間は戦場では足手纏いで構ってられんし、そんな人間に空戦は出来ない」
その娘・・・姫森 玲はコクと頷いて目を閉じて軽く眠りに入った

ノースポイント近海公海上 ISAF海軍第一艦隊 ニミッツ級原子力空母[ウィスコンシン]格納庫 1612
「すいません・・・遅れました」
軽く息が上がりながら彼女はやってきた。刹那はまだ損傷部分が直っていなくて海水で濡れているF-22に乗りって見ながら言った。
「二分の遅れだ。まあ、よかろう。玲、此処を見ろ」
コールサインでもタックネームでもなくいきなり本名で呼ばれて玲は驚いた。
「な、何故その名を?」
玲は刹那の本当の顔を見たことが無い。初めて会った時も、訓練の時も顔を極力見せなかったからだ。
「おや、この声を忘れたのかい?私は霧島 刹那"元"一等佐官ですよ。ここかな?ヨッ・・・良し取れた」
刹那は被弾した後から弾丸がつぶれた物を取った。
「判るか?これがお前を死に至らせるものだ。これが頭に直撃したらまず頭蓋骨を破壊し、脳をズタズタにして血を噴き出して死ぬ。体でもな、体が真っ二つになるか、体に大穴が開き、麻酔が打たれるか、死ぬまで延々と苦しむんだ。地面に叩きつけられたらショックと共に延髄が破壊されて息と心臓が止まるが一瞬だけ体がグシャグシャになってバラバラになる激痛を感じるんだ」
その弾丸だった物を突きつけながら言った。
「は・・い・・・」
その眼つきは人を殺す目よりも恐ろしい眼つきだった。
「お前はそれを受け取ろうとしている。そんなつまらん人生ならとっとと自殺した方がまだ人間らしく死ねるってもんだ」
苦笑しながら、玲のオーシア系の蒼い目をじっと見つめる。獣の目・・・いやまさしく蛇に睨まれた蛙状態。
「・・・・・」
ようやく目をそらすと刹那は愛機の方へと歩き出した。そこでようやく玲の頭に疑問が浮かんだ。何でこの人は此処に居るのだろう、と
「あ・・あの」
質問をぶつけようとしたその時に彼は立ち止まった。自分の愛機の前に着いたからである。
「何故此処にいるか?それを聞きたいんだろう?」
刹那は機体に触れながら言った。こっちの考える事を先読みしていたのだ。
「それはな、この機体の名前と同じだ。判るか?」
そう言うと機体の各所をチェックし始める。
「・・・ファントム(亡霊)・・・ですか?」
それに玲が答えると、刹那は主翼に飛び乗った。
「そう・・・亡霊だ。亡霊ってのはな、殺すに殺せない奴なんだ。こいつも私も9年前はスクラップのまま朽ちる筈だったが、そうはさせてくれないらしい」
ニヤッとしながらラダーやフラップを動かして様子を見る。物凄く良く稼動しているのに驚きを覚えた。
「例え、F-22だろうがSu-37だろうがEF-2000だろうがF-14だろうがな、相手がこんな屑鉄寸前の旧式でも零戦21型相手でもやられる時はやられるんだ。不死身な奴など、この世には存在しない。それが鬼神だろうが、エイセスコミューンの連中だろうが、世界一のエースだろうが、な」
チェックを済ませると、主翼から飛び降りた。
「私はこれからどうすれば・・・・」
玲が心配になって聞いてきた。
「今度の出撃の際、私の機体にIROとして乗ってもらう。"黒き死神"と呼ばれた私の空戦技から盗めるだけ盗め。いいな?チャンスは一回だけだ」
ククク・・・と微笑いながら言った。玲は本当の死神にも負けないくらい恐ろしい人間だと思った。

9月19日 ノースポイント 浜島"旧"レーダーサイト 11:00
「・・・・良し、仕掛けた」
工作員が爆薬を設置したのはレーダーサイトのレーダードーム内部だ。
「撤収しろ!急げ!」
他の工作員が警務の自衛官に注意を配りながら言った。
「良し・・・爆破・・・」
パン!ドシュウ!
「バズ!!」

突然その工作員は頭を撃ち抜かれた。自衛官に気付かれて発砲されたのだ。
「くっそおおおおお!!喰らいやがれええ!!」
ガチッ!ズガアアアン!!!

爆薬が炸裂してレーダードームが吹っ飛んだ。
「やった!・・・グアッ!」
その工作員は刃物を足に喰らってその場所に倒れ込んだ。
「ご苦労さん。保坂一曹」
その倒れた工作員を確保しながら自衛官はナイフ・・・・いやダマスカス銅を配合して強度が格段に上がり研ぎ澄まされた小刀を投げた自衛官に言った。
「いえ・・・しっかしこいつ等は馬鹿ですねえ・・・我々がISAF、エルジアに流した偽情報を信じて古くてしかも偽物のレーダーサイトに爆薬を仕掛けるなんて。」
工作員に小銃を突き付けながらその自衛官は言った。
「な、何だと!?じゃあ・・・この作戦は・・・・」
パン!ブシュウウ・・・・・

ノースポイント領海 浜島"旧"レーダーサイト近海深度10m キロ級原潜 11:05
「目標撃破確認!」
潜望鏡を覗き見ていた艦長はついつい叫んだ。艦内が歓声に包まれる。
「まだ仕事は終わっていない!通信用意!アンテナ露出せよ!暗号電波発信!」
直ぐにそれは復唱されて電波が発信された。
「よし・・・潜行ー!深度400!」
艦長の指示ですぐさま無音潜行に入った。後は予定時間に再浮上して工作員を確保し撤収するだけだった・・・のだが・・・・
「・・・・・・!?・・・・・!!!艦長!後方約800にスクリュー音4!深度600から高速で本艦に接近中!!速度50ノット!!」
「何だと!?機関始動!デコイ用意!」
「駄目です!!ま、間に合いません!!!!ひ、被弾します!!!!」
「原子炉スクラム!!予備電源にして衝撃に備えよ!!」
ズガアアアアン!!!!

キロ級潜水艦はあっと言う間もなく轟沈した。炸薬を増やした威力の高い有線魚雷での至近距離一撃必殺。交わせる訳も無く。魚雷発射管、ソナードーム、機関室、そして艦橋に直撃させたのだ。無論生存者はいない。それを沈めたのは最新鋭潜水艦カイリュウだった。まるで殺した相手を弔うように八の字に周り、深海へとまた没して行った。

ノースポイント近海公海 ISAF海軍第一艦隊 空母[ウィスコンシン]甲板 12:00
「敵戦爆連合が接近!全稼動機は即時発進せよ!」
スピーカーから緊迫した声が響く。待ってましたと言わんばかりに刹那は乗機に飛び乗る。玲もその後直ぐに刹那の機の後席に座った。
≪どうだ?あれ以来考えが変わったか?≫
刹那は後席の玲に聞いた。
≪はい≫
ヘルメットのバイザーから凛とした声が返ってきた。
≪そうか・・・では、行くぞ。ちゃんと目と身体で感じろよ≫
刹那は落ち着いた声で彼女に言った。
≪Mebus1、Cleared for TAKE OFF!≫
バン!ギュアアア
アアアアアアア!!!

fin
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