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第四話:戦闘準備

2004年 8月6日 ノースポイント 統合自衛軍入間基地 地上第5ハンガー 08:13
「あ~もう、何て練度を持ってんだ奴等は!!」
ブルフィンチは連日の訓練で疲れきっていたが、それよりも恐ろしいのはノースポイント航空自衛隊の戦闘機部隊の練度である。模擬戦20戦中、19敗1引き分けと言う感じなのだから仕方ない。しかも15連敗中だ
「本当にどうかしてるでございますです・・・」
地上攻撃の訓練を重点的にやっていたニーダヴェリールも溜め息を漏らした。嵐の中での海上低空飛行でノースポイントの対艦対地攻撃隊は3mの大時化の中で10.5フィートで機体をマッハ0.95で飛ばすと言う神業的な所業をやってのけた。さらに山間部の攻撃でも地上追従レーダーを使わずに編隊飛行しながら目標までレーダーに引っ掛からずに接近して見せた。その上、ダムの放水口に飛び込んだり、誰も立ち入れない様な峡谷にも無線を使わずに突っ込むほどだ。どうかしてるとしか言い様が無い。しかも地上の迎撃部隊も何時敵が襲ってくるか否かの状態を95時間耐えて最高の状態で迎撃してきた。だが、そんな部隊でも刹那一佐はまだ未熟者と言い続ける。0.1秒目標のタイムを下回っただけで鉄拳が飛んでくるのだ。何故其処までするのかと言う問いには防衛関係費がGDP1%に抑えられているからこそもっと練度が必要である事を強調した。そんなんでは専守防衛は出来ない、と教えているのだ。地上部隊の訓練の仕方も物凄い、腕立て1000回やれと言ったら「1!2!3!・・・・・・・545!546!今何分だっけ・・・12分か。13!14!」と何度もカウントをリセットしているし、戦闘訓練では一個中隊が警戒態勢から戦闘体勢に移行が完了するまで10秒をきるかどうかのレベルにまで行っている。さらに山の中で1週間何も飲まず食わずで生き抜かせたり、隊員一人が目隠しをして、10人位の隊員が囲んでナイフに似せた小さな木刀を強烈な殺意を持って投げて、それを何本交わせるかと言う遊び半分訓練半分でやっている。中堅・ベテランの隊員だとほぼ全て避けるが、その他はまったく交わせない。自分達も思いっきり投げてみたが投げた瞬間に相手の回避運動が始まってしまい、必ず外れる。中には目隠しをして完全装備になった隊員が室内でねずみを走らせて、一歩も動かずにねずみを傷つけずに捕らえるという芸をやれる奴も居る。スコープも付けずにただの小銃で500m先の標的の頭を狙撃できる奴すら居る。どうやったらそんな芸当が出来るのかを聞いてみたら、自然とやってる内に何だか周りの動きが分かると言った。他の陸軍では基本的に人対人の訓練が多いがこの自衛軍では人対自然という変わった訓練を多くやっているのが特徴的だ。
「一体どうやったらあんなことが出来るのやら・・・・ん?」
つい最近来たばかりのセレスティアは管制塔の前に整列する人の集団を見つけた。管制塔の前にはノースポイント国旗が半旗が掲げられている。時計を見るとAM8:15だった。何だったかを考えていたら突然スピーカーが起動した。
≪全世界のNBC兵器被害者に対し、黙祷≫
放送が流れ、集まった人間の全員が敬礼をする。
「な、なんだあ?ありゃ・・・・何かの新興宗教か?」
セレスティアと同じく来たばかりのザハール・F・アフマドは呆然とその姿を見ていた。
「あれ?知らないんですか?今日はヒロシマ原爆の日ですから休日ですよ?彼等に休みは無いですがね」
ウレイ・ナシナが呆然としている彼等に説明した。
「へ~・・・・って事は毎年やってるのか?確かこの国は二回核を落とされたんだよな?一年に二回もあるのかよ」
あきれた感じでアフマドはそれを見た。集まっていた彼等も1分後にはそれぞれの職に戻った。
「確か、この後にも模擬戦があるんじゃなかった?いつもならお呼び出しがかかるはずだけど」
ミハエル・レオーネは機体のチェックを終わらせて。暇をもてあます彼等の元に集まった。
「今日は無いみたいでございますです。何か色々忙しいみたいでございますです」
ニーダヴェリールはいつもの口調で事情を説明する。この基地の地下では今も厳戒態勢が取られている。何時またエルジア軍機が給油機を使って此処まで来るか判らないからだ。地上ではそれとは別に忙しい。噂では新型機のロールアウトが終わってテストを済ませてやって来るそうだ。それももう直ぐに。
「新型機か・・・・ISAFはそんな余裕も無いってのに・・・・」
ISAF軍パイロットの誰かが呟いた。
≪業務連絡、機龍の新型が降りてくる。地上整備員は準備をしろ≫
スピーカーが連絡を入れてくる。どうやら到着の様だ。
キイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!
機影は二機、やはり心神がベース機体の様だ。だが、これまでのと妙に機体のアスペクト比がおかしい。段々その形もはっきりしてくる。その形はまるで―――
「・・・・X-01・・?とSu-47・・・か・・・・?」
一機は主翼はSu-47のような前進翼だが、よく見ると速度域にあわせて後退している。さらによく見ると二機とも水平尾翼と重なっていた垂直尾翼も速度が遅くなって行くとどんどん垂直に近くなっていて、コックピット直下の1本ずつの小型ミサイルが格納できるウエポンベイ2基の間に地面に接触しないほどの大きさのが一本、さらに二つのエアインテーク後部ウエポンベイに突き刺さるようになっている補助稼動翼。もう一機はこれまでの機龍と同様の主翼だが、此方も速度域に合わせて広がっていく。ランデイングギアが地上についた瞬間に特徴的なエンジン排熱口のパドル4枚中2枚が重なるように排気口を塞ぎ、逆噴射をした。これまでの機体とは一線を越えた機体だ。見た限り明らかに高いステルス性と高い機動性をかねた機体だ。駐機場に止まった機体はまるでXF/A-27にそっくりの機体と、エルジアが開発していたのX-01の瓜二つ的な機体。F-15に匹敵するほどの大きな機体だ。
「驚いたか?あれが私がここに居る間に書き上げた設計図を元に製作した機体だ。後2週間後には量産機10機が出来上がり、退役し、そちらに譲与するF-4改とF-15の無改造機全95機と引き換えに年間10機のペースで2007年まで生産を続ける物だ」
突然後ろから声を掛けられて全員がビビッた。
「刹那一佐!?何時の間に!?」
ナシナが振り向いて驚きの声を上げると音も立てずにブルフィンチのYF-23に寄りかかっている。
「そっちの誰かが[新興宗教か]と言った時には居たが?にしても貴様等は気が抜けてるな。足音を出さずに近づいてみたら誰一人気付かないとは。」
漆黒の制服に制帽の刹那は表情を変えずに答える。
「ってことは・・・あれはあんたが設計したのか?」
セレスティアが刹那に聞いた。如何見ても量産に適しているとは思えないのだ。
「まあな、ああ見えても部品の4/5は機龍と同じ規格、しかも主翼とレーザーはモジュール式で簡単にドライバーとスパナで交換できる。こいつ専用の細いF-14の様な主翼の後退角は-20度から78度。つまり前進翼と後退翼が両立できる。可変翼は速度域に合わせた最新の軽量スーパーコンピューター制御と人間が操作する半自動可変翼のままだ。整備は機龍同様専用のノートパソコン一つで出来るし、コストパフォーマンスを考慮して機体のエルロンなどの稼動は油圧式でやっているが、それらの指示を出すのは最新型のローレライⅡ型と連動する完全自立型のAIだ」
体をYF-23から離してさらに続けた。
「我々の切り札の一つと言った方が良い。我々は君達を受け入れてはいるが建前上は中立国だからな。例え、霞ヶ関の君等のGHQが精密爆撃されても独立部隊である第零中隊が交戦するか、それともその上が交戦を許可しない限り我々は交戦できない。エルジアがこっちに宣戦布告すれば話は違うが」
その口ぶりはまるで戦争を望む様な口ぶりに聞こえた。
「兵器としての幸せ、我々としての幸せは一生国民の陰として平穏に生きたいが、君等の対応が生温いせいでそうも行かなくなった。それにあんた等が勝手に起こした戦争にこっちを巻き込んだのはあんた等だ。我々を敵に回す覚悟があるんだろうな?」
刹那の威圧的な目が彼等にかかってくる。
「・・・・・」
誰一人としてそれに答えられない。
「慈悲深い国だから助けてくれるだろうなどと考えるなよ。貴様等が死ぬ時は我々は関与しないし、援助は基地と弾薬の一部だけしかやらん。」
そこまで言うと刹那は新型機の方に歩き出した。
「待てよ」
誰かが刹那を呼び止めた。
「あんたは目の前で苦しんでいる人間が居るのに何もせずに立ち去る男か!?」
その声はブルフィンチが出したものだった。刹那は振り向かずに答えた。
「もし、その人間が助かるなら助けよう。だが助からないなら殺すまでだ。それとも貴様等は助からなくても助けようとするのか?これだから人間は駄目なんだ」
吐き捨てるように言った刹那は、その後は何も言わずに陽炎でゆらゆらする地面の向こう側へと歩いていく。
「ッッ・・・・おい!!」
ギリッと歯軋りをしたブルフィンチは刹那の肩を掴んだ。
「何だ?私はこれからエルジアとの戦争準備で忙しいんだ。鉄火を持って闘争を挑むイカレタ連中を教育する為のな。鉄火を持って闘争を挑む奴には人間も非人間もあるまい。どれだけリスクがあるのかを教えてやる為に教えてやらんとな」
その口元は酷く歪んでいた。
―――笑ってやがる

ユージア大陸 8月15日 最前線 19:00
「オイ飯はまだか?流石に腹が減ったぞ!」
最前線のエルジア前線基地の兵士はむすっとしながら言った。
「今もってく!待ってろ!!」
物資保管所からレーションが運ばれてくる。
「ほらよ。腹が減っては何とやらって奴だ。さっさと食え」
他の兵士が自分の分を貪りながら届けてくれた。
「ありがとよ。ISAFも、もう終わりかぁ。クリスマスまでには戻れるだろうよ」
他の兵士も笑いながらレーションを食う。
――――二時間後
「ちょっとトイレ・・・」
一人の兵士が30分前からよくトイレに行っている。何だろうと思いながらも警戒を続けた。すると・・・・
「お、おれも・・・・」
「なんだあ?急に腹の具合が・・・・」
急に多くの兵士がトイレに行きだした。
「どうなってんだ?一体・・・・うっ!」
その兵士も直ぐにトイレに走り出した。すでにトイレには行列が出来ている。出てきた奴はさらに顔色が悪い。一人の兵士が急に倒れた。
「ま、まさk・・・」
また一人倒れる。ざわっと騒ぎ出した頃にはもう遅かった。
感染症・・・しかも、即効性が高くするために人為的に作ったコレラ菌によるものだ。一週間で最前線の兵士達が2000人戦闘不能になってしまった。しかも死に至る可能性がある。ノースポイントの特殊部隊が密かにレーションに混ぜ込みばら撒いたものだ。しかも、民間人にはちゃんとワクチンを渡してある。そのことを知らないエルジア軍は進撃を中止せざるおえなかった。此処から刹那の謀略が始まる。すでにこの戦争は彼の手の中で踊らされ始めていた。

Fin
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コメント

おおヾ(*´∀`*)ノ
しっかり名前出してもらえましたhttp://blog115.fc2.com/image/icon/e/820.gif" alt="" width="14" height="15">

しかも気の抜け方が私によく似てる(≧Ⅲ≦*)

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