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第四話:戦争

2004年 ノースポイント 入間統合自衛軍司令部 7月20日 15:00
「騒がしくなってきましたね・・・この基地も」
完全武装の自衛官が漆黒の統合自衛軍の第一種制服と制帽を着ている刹那と話し合っていた。
「まあ、な。ISAFの連中も連戦連敗だから、藁にでもしがみ付きたいんだろ」
刹那は落ち着いた口調でノースポイント機と訓練に向かうISAF軍機を見る。明らかに練度不足による被弾が多いと最前線に居るR・1から報告があった。まるでベルカ戦争を思い浮かべる光景だ。連戦連敗をきしたISAFはノース・サウスポイントに基地と弾薬の提供を要求、見返りにもしもこの戦争に勝利したら戦勝利益の半数を謙譲すると言う事だ。
「この国の役人は目の前しか見ていない。武器弾薬燃料は是が非でもやるなと言ったのに、石頭共は何も分かってない。政治とは50年、100年先を見て、群集の味方としてあるべきなのに、な。こんな事ならクーデターでも起こした方が良いかも知れん・・・さもなければ国を滅ぼすだけで何の徳も無い」
ギリッと歯軋りをしていつもは無表情な顔が怒りに満ちている。
「では・・・」
自衛官は真剣な表情で刹那を見た。刹那の政治的カリスマ性が自衛官等を本気にさせているのだ。
「だが、民主国家でそんな事が許されるはずも無い。何しろ国民が許さないからな」
表情が少し柔らかくなり、クルッと踵を返して基地地下への通路に歩いていった。
「勿体無いお人だ。時世が時世なら総理大臣にも成れる方なのに・・・」
その自衛官は肩をすくめて自身の仕事、基地の警備に集中した。

ノースポイント 入間統合自衛軍司令部地下本営 16:00
日ごとに小さくなるISAFの国境を出しているスクリーンのみの光が室内を照らす。
「・・・・」
誰一人喋らない。1ヶ月前に臨戦態勢に入ってからずっと緊迫した空気になっている。
プシュウ・・・・ゴン
誰かが扉を開けて中に入ってきた。
「刹那一佐、今日は何の御用で?」
レーダー員が少しレーダーから目をそらして入ってきた人、刹那を見た。
「ISAF軍の戦績と模擬戦結果を頼む」
刹那がオペレーターに声を掛けた。
「ハ・・・」
小さなスクリーンにデータがズラッと並ぶ。
「酷い負けっぷりだな・・・。大半がSTNか・・・。だが、STN射程圏外に出ても損害率が高い。さらに言えば、うち等との模擬戦で勝った部隊陸海空全ていない・・・・練度が低すぎる。」
ぼそぼそと独り言のように敗因までも詳しく分析する。
「これでは、ユージア大陸の雄とも言えるエルジアには勝てん。よくもまあこんな軍隊を持っていたもんだ。」
溜め息が大きく出た。この程度の軍隊ではエルジア所か、ノースポイント一国にすら敵わない。
≪業務連絡、霧島 刹那一佐、第8ハンガーで河崎 亮子三佐がお呼びです。至急第8ハンガーまで≫
館内放送で呼び出しをくらって急いで地上へのエレベーターに向かう。
(やっと出来たのか?)
ちょっとした希望が出てきた。地上に着くと早速駐機場端っこのハンガーに向かう。
「遅いわよ。一佐・・・まったくこれの為に整備員を使うなんて、工場に回せば良いじゃない」
ハンガーの前で一人の女性佐官がぶしつけで言ってきた。
「工場に回せない理由があったんだ。開けてくれ」
ゴオオオオン・・・・ガアン
ハンガーの扉の向こうには纏められた戦闘機の残骸と一機のF-4ファントムがあった。
「久しぶりだな・・・・相棒。お前も俺もこんなに変わっちまったんだな」
あちこちオリジナルとは違う感じになっている。カナード、三次元ノズル、大型化された主翼とエレベータ、さらにレーダーを全廃した変わりにIRSTの死角が無くなり、M61A2と言う新たな短刀と長くなった機首。機種転換を急ぐ為に戦闘機の死神と呼ばれた刹那があくまで廃棄するのを拒んだ唯一の機体。エンジンも最新型になっている。さらに機体のあちこちも補強されて後6~7年は使えそうだ。
「一応・・・仕様通りではありますが・・・・」
整備員がおずおずと刹那に言った。
「良くやってくれた。暫く休んで良いぞ」
刹那は満面の笑みで答えた。すると敬礼をして整備員は自分の宿舎へと歩いて行った。
「何故・・・それにこだわるの?」
亮子三佐が後ろから声を掛けた。
「亡霊には亡霊が一番だろ?」
苦笑しながら機体に触る。
「・・・・・付き合いきれないわ。本当に」
そう言うと彼女はそそくさととハンガーから立ち去る。
「他の何に変えても、愛機は愛機だ・・・・例え、肉体が違っていようが、な」
1995年時に刹那は確かに死んでいた。ならばこの刹那は誰なのか?その疑問に答えられるのは本人しか居ない。
「オリジナルでも、こんな感傷に浸ってたのかな・・・」
そう、彼はクローン、本当の刹那が死ぬ事を想定して作り出した、クローン人間。いや正確に言えばクローンVer.1と言った所だ。刹那のクローンは一人ではないのだ。とは言えども同時に何処かの漫画のように多数の刹那は存在する事は出来ない。実はヒトゲノムを初めて解析しようとしたのはノースポイント人だったが、学会は認める所か、異端として芽を潰した。それ等の科学者を父親と母親が残した多大な報酬で買った広大な土地の地下の刹那自身が手がけたクローン研究施設に匿い、そして擬似記憶を埋め込んだ今の刹那が生まれた、被検体一号と言う所だ。死にに逝く前にノースポイントによったのは機体の入手ではなく、これが目的だった。しかも、特に外見のDNAを他人のに変えている為、どんなに照合しても30%以上は違う。
「・・・・・まだ仕事は残ってるからな急がないと」

ノースポイント 入間統合自衛軍司令部 19:00
「なんつーか・・・平和だな」
ガフェイン・ブルフィンチは部隊を引き連れて反抗作戦の為に作られた貯蔵部隊(予備部隊)に配属された。早速、報告をする為に司令室に向かおうと思ったら、結構二番機がはしゃいでいる。
「ハイドラ!何やってんだ!置いて行くぞ!」
ハイドラことウレイ・ナシナは突然地下から飛び出した戦闘機に驚いていたようだ。
「隊長・・・あれ・・」
ナシナの目線の先には二機の戦闘機が80度のハイレートクライムで上昇する姿があった。
「キリュウ・・・?」
機体のシルエットは分かりづらかったが、かろうじて判明した。この国ではF-15に取って代わっての英雄の機体として注目される機体だ。何と言っても、ユリシリーズを迎撃した唯一の機体で世界に驚きを与えた機体だからだ。
「機龍が配属されてるって事は此処の基地の部隊の練度は高いって事ですよ。あー模擬戦が楽しみだ!」
戦争をしてんだと言う事を忘れないでくれよ・・・とブルフィンチは厭きれていた。
≪業務連絡、滑走路を直ぐに開けろ。被弾機が来るぞ≫
突然消防車がサイレンを回して突っ走っていく。どうやら同時刻に到着するダルモエード隊とメビウス中隊の生き残りの様らしいが、不穏な空気だ。
≪スクランブルしたコブラ隊とエルジア軍機が接触、戦闘に入った。総員第二種戦闘配置≫
「!?何故第二種戦闘配備なんだ!?エルジア軍が怖くないのか!?」
ブルフィンチは余りにも対応がぬるいので驚いた。だが実際はその真逆だった。

ノースポイント防空識別圏内 19:10
≪!?ノースポイント方面に敵影、真っ直ぐ突っ込んで来る!≫
ISAF軍機と交戦中のSu-37黄色中隊機に乗っていたイエロー14は僚機に注意を促した。既に視認圏にその機影は入っており、明るい航空用ライトを照らして突っ込んで来た。
≪隊長、指示を≫
イエロー4がイエロー13に指示を求める。
≪迎撃だ。警戒しろ。こいつ等の動きは異様に早い!ISAFの連中ではないぞ≫
イエロー13は今まで追っていた蒼いリボンの機体の追撃を諦め、新たな敵機の迎撃に向かった。
≪敵機確認、迎撃に入る≫
イエロー14は目標にR-73をロックしようとするが、まったく赤外線シーカーの反応が無い。どうやら先にこっちの赤外線シーカーを何らかの方法で惑わせているようだ。即座にGUNに切り替えた。Gsh-301の残弾数は150発中75発、十分戦える。すると、無線に雑音が響く。さらに上手なエルジア語とFCU語で何かを言ってきた。
≪警告する!警告する!此方、NASDF第零中隊機、其処のISAF、エルジア軍機に告ぐ。直ちに戦闘を中止し、此方の指示する針路を取れ。さもなくば直ちに強制着陸させる!≫
有無を言わさない強い声と鼓膜が破れるほどの声に驚きながらも、直ぐに言い返した。
≪何言ってんだ!このトーヘンボク!俺達は天下の黄色中隊だ!!さっさと家に帰って母ちゃんのおっぱいでも吸ってな!!≫
相手はこの挑発にはまったく乗らずに、何かを喋っている。そしてそれが終わると同時に閃光が走った。
ドヒュウン・・・・・
≪な!?何だ!今のは!?≫

突然の閃光に首を竦めながら周囲を見た。敵も味方も全機確認出来た。
≪エルジア軍機に告ぐ。今のは威嚇射撃だ。司令部からの交戦命令を受諾したため、最後勧告を行なう。直ちに発進基地まで撤退しろ。さもなくばレーザーが君等の機体のコックピットを貫くぞ。既に君達の機体は誤差30センチ未満で我々と地上、海上から狙っているんだからな≫
どうやら本気らしい、このまま戦っても全滅するだけだ。イエロー13は直ぐに決断した。
≪クソ・・・全機退くぞ、戦ってもやられるだけだ。≫
5機のSu-37は機を翻して西へと飛び去った。
≪さて、生き残りはあの三機か。其処のISAF軍機に告ぐ、此方の指示する針路を取れ、最短コースで入間まで案内する≫
≪助勢有り難うでございますです・・・。≫
≪此方メビウス1、メビウス2が負傷しています。最優先でお願いします!≫
応答したのは二名のA-10とF-22のパイロットだけだ。あと一人のF-14Bは単座のようだが、そのパイロットはかなり苦しそうだ。
≪ラジャー。おい、コブラ2、ワイヤーであの機を連れて行け≫
NASDF機二機のうちの一機が傷ついたF-14の前に来て、機体の尾部からナイロン製の内視鏡のようにくねくね動くワイヤーのような物を数本流した、するとそれは正確にF-14の上部エアインテークや前縁フラップに絡みついた。
≪此方コブラ2、目標を固定した。最速でRTBする≫
そのワイヤーらしき物を引っ付けた機影はスーパークルーズによってどんどん加速して行く。
≪此方コブラ1、ダルモエード3、メビウス1、我に続け≫
命令に従いながらそれの機体に蒼いリボンのF-22とA-10が続いていく。

ノースポイント 入間統合自衛軍司令部 22:10
「メビウス1、2、ダルモエード3、シグマ1、2、3の着任を認める。」
刹那はISAFから届いた書類に目を通しながらもテキパキと言った。
「私はこの基地の司令であり、統合自衛軍航空自衛隊の最精鋭隊第零中隊隊長であり統合自衛軍唯一の特殊部隊JSOGの総指揮官だ。欲しい情報があれば直ぐに開示する準備があるが・・・何か質問はあるか?」
愛想も何もなく、さっさと言うその言葉には感情がこもっていない、指揮官として無用なものは捨ててきたような口の聞き方だ。
「あの・・・メビウス2の容態は?」
メビウス1こと姫森 玲は恐る恐る聞いた。
「良好だ。ただ、足に食い込んでいた弾片が足の神経を圧迫していててな、暫く足に麻痺が残ると医療官から報告があった。戦闘機乗りとしては暫く休業になる」
それを聞いて玲は少しほっとした。
「あんたの名前はまだ聞いてなかったが?」
ミハエルが刹那に聞いた。
「一番言いたくない事だが、霧島 刹那一等佐官だ。一応有名にはなってるからな」
口を少しゆがめながらも即答する。
「話には聞いた事はあったでございますです」
「もしかして・・・・シューティング・スター(本当の意味は流星だが、ここでは星を撃つ者の意味)と言われたあの刹那一佐!?」
ざわざわと騒ぐのを見て、ああ・・・やっぱりか、溜め息を吐く。
「頼むからそれは言わないで欲しい。今の私はただの一戦闘員で、ただの走狗だ。それを誤解しないで貰いたい。では解散。部屋への案内は表にいる自衛官に頼んでもらいたい。此処の基地の人間は全員が君等の部屋割りを知っているから安心しろ。機体は第5ハンガーに纏めておく」
ぞろぞろと皆が移動を開始する。誰も居なくなった司令室を刹那も一旦出る。向かう先は小銃武器庫だ。
「・・・・」
何も言わずに64式小銃を取り出す。そして戦闘服に着替えて向かったのは訓練区画のキルハウス(CQB訓練用の小施設、大体一戸建ての住宅に似せて作る)。CQC訓練中の隊員達が敬礼して止まる
「始めてくれ」
刹那はモニターを見ている隊員に頼んだ。
「了解、では・・・はしごを上ってロープの前まで」
言われた通りにしてロープの前に立った。丁度二階建てのキルハウスが見下ろせる
「地上についてからタイムアタックを始めます。最速はSATの西山ニ曹の10.4秒です」
隊員が言い終わるのと同時にロープに捕まり降下した。地上についた瞬間にテロリストを似せて書かれた標的が窓の向こうに現れる。
ドン!ドン!ドン!!ビビビビビビビビ!!
「Tango DAWN!!NEXT!」
全力疾走で二階に駆け上がる
「フラッシュバン!」
ドカンドカン!!ドン!ドン!ドン!ドン!!ビビビビビビビ!!
「クリア!NEXT!」
今度は一階の廊下に複数の敵が現れるそれをナイフと拳銃とで上手く倒していく。
「オールクリア・・・すげえ・・・9秒42・・・・最速タイム更新です。重い64式小銃でどうやったらそんなに早くできるんですか・・・」
軽く息が上がりながらも刹那は全ての武器を他の自衛官に預けた。すると今度は20mm対装甲車用ライフルを持ち出して狙撃訓練場に向かう。1ヶ月前から狙撃とCQC、さらに模擬空戦をやっていたのだ。
「ようこそ一佐、ゼロイン(狙撃スコープの調整、これが出来ないと命中するのは難しい)は大丈夫ですか?」
自衛官が狙撃銃のほうを見ながら言った。
「当然だ。ターゲットは3000m先で頼む。風力は2~4、風向きはランダムで頼む」
直ぐに射撃位置に伏せる。
「了解、3km先にターゲットを出します。」
だだっ広い射撃場にたった一人の人間がポツリと居るようにしか見えない。
(ターゲットロック・・・湿度62%、風速3.45、風向きは南からか・・・・ならば修正角は・・・・よし・・・)
目標を定めると息を止めて狙いを定めた。相手は約4km/hで動いている。それも修正に入れる。
ドガン!!!・・・・・・・
「ほー・・・命中ですか・・・素晴らしいですねえ」
自衛官が賞賛の言葉を言う、スコープを覗き見ると確かに目標に当たりはしたが、急所は外してしまったようだ。
「まだまだだよ。これではまだ戦場では生き残れない。もっと力を蓄えなければ、な」

fin
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