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第三十二話:裁き①

6月20日 デイレクタス基地 牢獄 18:00
「何!?・・戦争が・・終わった!?」
セツナは看守が伝えた情報を再度確認した。
「ああ、既に調印式は終わった・・貴様はオーシアで極秘の戦犯として裁かれるそうだ。明日にはオーレッドに移動、との話だ。貴様は本国じゃあ、既に事故死と報道されているからな」
看守は軽く嘲るように言った。だが、セツナ自身にはとても喜ばしい話だ。
「まあ、せいぜい後悔する事だ。多分、極刑か、終身刑が妥当だろうな」
最後まで嘲るように言い切った看守はすぐに自室へと戻った。
「良かった・・もう、殺さなくて済む・・・後は、総理に任せるとしよう」
俯き加減で呟いた彼は、夕食をまったく取らないままベッドに倒れこんだ。

6月21日 移動中 08:00
「・・・・」
セツナは囚人として運ばれている。まるで豚箱の様な粗末な列車内だ。周囲には、A級戦犯達が絶望の底に落ちた様な顔をしながら座っている。
「まったく・・戦勝国ってのは卑怯極まりないな、戦争を起こすように仕掛けておきながら、勝ったら戦犯と称してこぞって裁きたがるからなあ」
皮肉りながらセツナは言った。周りの戦犯は驚きの顔をした。
「た、確かにそうじゃが・・・今の我々じゃあ・・如何しようも無い」
大きな階級章をつけた老人の一人が弱々しい声で反論した。
「安心しなよ。誰一人、死刑にはさせないから」
ニッとしながら周囲に言った。
「・・・?」

6月24日 オーレッド 軍事裁判所 12:00
「では、今戦争においての戦争裁判、第一回公判を開始します」
裁判長が大声で言うと皆立ち上がって一礼をした。
「・・・・・」
ノースポイントの検事代表は明らかに他の判事とは違い、この裁判に嫌悪感を持っていた。
(何が、戦犯だ・・戦犯は大国オーシアと戦争を後押ししたユークとエルジアだろうが・・・)
と思いながら。そして、彼は一つの絶対命令を受けていた。それは、例え戦争になる危険性があっても、ありとあらゆる手段を持って、この法廷で裁かれる戦犯を誰一人死刑にはさせない
「では、特A級戦犯・・・」
既に、彼も別の場所でもう一つの裁判がある事を知っている。

オーシア オーレッド ??? 12:45
「では、B級戦犯、セツナ・コバヤシの裁判を始める。・・さて、貴官の氏名、階級、生年月日を答えよ」
裁判官は冷徹に言い継げた。
「やれやれ、そんな古い情報しか知らねえのかい・・私の名は流 刹那一等空佐だ。何時までもそんな偽名を使うもんかい。生年月日?ハンッ、そんなのとうの昔に忘れたよ」
飽きれた様に言い返す刹那。そう、レクイエム作戦の際、階級が一佐変わる時に名を変えていたのだ。生年月日は実際問題自身の誕生日を知らないし、確かめる事など出来やしない。
「そうか、では流一佐、貴官の罪状を伝える。"1.連合軍に対する反逆行為、2.ハイエルラーク・クレスタ両基地での過剰な破壊・虐殺行為、3.明らかな大口径銃の対人発砲によるハーグ陸戦条約違反、4.宣戦布告していない国軍の兵器を使用し、連合軍兵員を大量虐殺による国際法の違反、5.ホフヌングにおける連合軍に対する明らかな殺意によるパラシュート降下中のパイロットを射殺による陸戦条約違反"・・以上だ。間違いないな?」
確認を取る裁判官に苦笑しながら言った。
「罪状の1と3と5は間違ってますよ・・・第一、我が国はハーグ陸戦条約には批准していない。そして1はウステイオ作戦司令部から刹那三尉に離脱を含む自由行動を許可する、とここに、作戦令状がありますし、ね」
バサッと一枚のB4用紙に書かれた作戦指令所を出す。それ以外にも大量の自身の戦闘記録を複数の視点から見た報告書が証拠として提出した。
「ふ~む、まあ、良かろう。罪状1,3,5は無くそう。では、残りは認めるのだな?」
裁判官は刹那の上手い切り抜けに感心しながらも、確認を取った。
「ええ、一切の嘘はありません」
サッと答えた刹那は、既に死を覚悟していた。

ノースポイント 防衛省 15:00
「・・・この計画書を見る限り、採算性・有効性等からも言って、あの刹那と言う士官は、非常に使えます。大臣、まさか、あのまま優秀過ぎる人材を殺すつもりでしょうか?」
防衛次官は大臣に問いた。
「それが出来れば苦労はしない・・・だが、我々はもう大きくは動けん・・じき、総理も、我々共々責を取って辞任せにゃならん。そして、我が国は大きな批判を受けるだろうな」
はあ、と溜め息を漏らしながら、天井を眺めた。
「やはり・・お覚悟を・・」
次官はグッと何かを堪えながら言った。
「心配するな。もう代役は決まっておる。・・後は議会が何と言うか・・・とにかく、これからのこの国の守り、いや世界の守りは君達が主役だ。頼んだぞ」

オーレッド ??? 20:00
「あそこまで頭の切れる奴とはな・・・もう少しで、無罪になってしまう所だった。・・奴は危険すぎる。死刑とまでは言わなくても、せめて禁固刑にせねばなるまい」
裁判官はソファーにドッと座り、テーブルの向こうがはの男にこう言った。
「確かにその通りだ。奴はとてつもなく優秀な技術士官であり、情報士官で空軍士官だ。放って置いおいたら世界の軍事バランスと我々の利益が崩される・・・」
その男はふう、と煙草の煙を吐いた。
「せめて、30年くらいは幽閉せねばな・・なあ、外務次官殿?」
「ああ・・・」

FIN
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コメント

>追伸:セツナの罪状にあったハイエルラーク・クレスタでの行為は、どの話に書かれていますか?自分のところの小説に絡ませようと思うので、お手数ですがよろしくお願いします
はい、了解しました。えっと・・・ああ、これこれ第十五話:特攻作戦、です
拝見しました。

ようやく終戦。セツナはオーシアにて極秘裁判ですか。それだけ軍人さんは彼を警戒してるってことですかね?しかし裁判になっても強気な態度を取り続けるとは・・・計算の上とは言え絶対マネ出来ません(汗

それぞれの思惑の上に成り立つこの裁判でセツナはどうなるのか。楽しみにしています。

追伸:セツナの罪状にあったハイエルラーク・クレスタでの行為は、どの話に書かれていますか?自分のところの小説に絡ませようと思うので、お手数ですがよろしくお願いします
拝見
おっ!!
どうやらただ死にに行くつもりは無いようですね…
しっかり自分の事を見つめている人物ですし、その上で自らの罪を知っている……
やはり、歴史の闇に埋もれさせるのは惜しい人物ですな

しかし、どうやってそんだけの証拠を揃えたんだ…
やっぱり諜報部の黒メガネたちは凄いんですねー・・・

次回も期待して待たせていただいてます

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