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第三十話:戦いの果ての戦い

6月6日 デインズマルク ベルカ首相官邸 14:42
「そろそろ、限界だな。あいつ等も空母[リュウジョウ]に着いた頃だろうけど」
首相官邸の首相執務室で今も尚、抵抗を続行するセツナ。アサルトライフル類は揃って弾切れ、拳銃も残り30発ほどだ。空母[リュウジョウ]とは試験航行を兼ねてノースポイントから来た軽空母で、旧海軍空母「龍驤」の設計図を元に再設計、最新イージスシステムを搭載、高い防空能力を持つ防空、対潜、対艦空母。二番艦に「ソウリュウ」が建艦中。今回のラストバタリオンの軍勢の約三分の一を運んで来た。パイロットが精神的に着艦を楽にする為に、飛行甲板・カタパルトの下に艦橋があるが、この艦橋の防音能力は100m位上空でソニックブームが起きても、ジェットエンジンが5000m程はなれた所で聞こえるのとほぼ同じ位なのだ。
「奴等ももう痺れを切らしてるみたいだからな・・・」
敵軍は何とか正面玄関まで来たが、クレイモアのワイヤー切除に時間を掛けている。せいぜい15分と言う所だ。
「・・・・例の計画書・・・通ったかなあ」
ギッと椅子に深く腰掛け、フト思いにふける。計画書――今後のノースポイントに対する行動への具体的な意見書と2001年制式化を目指す更新の遅い89式に変わる64式小銃を全て更新する低コスト・高性能新式多目的用小銃、ステルス戦闘機「心神」の再改造設計図・性能要求書、零式奮進弾の改良計画書、新たなCQB技術、対テロ攻撃対応戦闘術etc、etc・・・だ。一介の一佐の意見だがラストバタリオンの初代実戦指揮官なら如何にか通りそうな物だ。
「7発の核は、起爆するだろうなぁ・・・結局、止めらん無かったか」
核兵器99発の内93発は報告通りなら破壊、水没処分で再使用不可になった筈だ。だが不明の七発は行方は解らず、使用を許す結果になる。とは言え、北半球壊滅・核の冬による閉鎖は現状では有り得無くなった事は大きい。
「・・・まだ、死ねないな・・奴等を、徹底的に殺すまではな・・・」
外を眺めながら呟いた。そう、この戦いの次には「国境無き世界」との決戦があるのだから――
ドカッ!!
「フリーズ!!(動くな!!)」
下手なオーシア語と共にベルカ兵達がG3を手に突入してきた。
「やあ、招かれたお客さん。良い景色だねえ、ここは」
親しそうに声を掛けるセツナ。隊長格らしき老いたベルカ兵は驚きの顔をした。
「な!?ば、馬鹿な!?・・・ローザさん!?そんな馬鹿な!!あんたは・・あんたは10年前に死んだんじゃあないのか!?」
その台詞を吐き終えるか否かの時、南から強烈な太陽の光とも言える光が、あとから轟音がやって来た。
「始まったな・・・ホ・ロ・ビが」
ニヤリとしながら椅子から立ち上がった。
「う、動くな!!」
ベルカ兵が銃を構えたがセツナはそれよりも早く黒き風の様に割れた窓から飛び出ていた。
「お、追えー!!逃がすなー!!」
ベルカ兵が無線に叫んだ頃には既に視界から消えていた。
「顔はローザさんにそっくりだったが・・・声は流だった・・・まさか・・・いや、あいつだって行方不明の筈だ。生きていたなんて聞いていないし・・・」
老いたベルカ兵はブツブツと言っていた。
「何が正義だ・・何が正統だ・・言ってる事もやってる事も全て悪だろうがッッ!!」
セツナは南に全力疾走しながら、ギリギリギリッッと歯軋りしてこう呟いた。

スーデントール最前線 1505
「何てこった・・・・・」
オーシア兵士は核爆発を眺めながら呟いた。偶然物陰に居たため核の爆発で火傷もせずに済んだが、体がだるく、銃で体を支えていた。自分でも気付いていたが、放射能のシャワーを既に浴びているのだ。周りには多数の火傷者と同じくだるい人間が多かった。
「て、敵襲ーーッッッ!!!!!!!」
誰かの大声が聞こえた。咄嗟に銃を構え、敵の居る北に向け。体を伏せた。だが銃弾は飛んでこない。
「何だ?・・・な、なあッッ!?
其処にはライフルに銃剣を付け、血をあちこちから垂れ流しながら突っ込んで来るベルカ兵だった。
「う、撃てぇ!!撃って撃って撃ちまくるんだぁ!!!」
誰かが叫び、その直後ありとあらゆる銃火器が火を吹き、戦車砲や迫撃砲、滑空砲、対空機関砲も応戦を開始した。
ドン!!グワッ!!ダダダダダダダダダダ!!!!!ダカカカカカカカカカカカカカカ!!!!ドガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!ドウッ!!!ドタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!
だが、数千単位のベルカ兵を止めるには至らず、あっちこちで白兵戦が始まった。
「グハア!!」
「だ、誰かぁ!!援護をぉ!!!」
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
「た、助けて・・た、たすけ・・ひっ!!ヒギャアアアアア!!!」
「スコット!!しっかりしろ!!おい!!・・う、うあああああ!!!GYAAAHAAAAAHAAAAAAAAAAHHAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」
「う、うあ・・・や、やめろぉ!!!!落ち着け・・おい、冗談じゃない・・ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「止めてくれえ・・ゴフッ・・ゲフッ・・・もう、止めてくれ・・・ガハア!!」

狂った相手には並の白兵戦ではあまり歯が立たなかった。まさに地獄・・・・・・・・いやむしろ地獄でもまだかわいい物だ。これが様々な前線で行なわれた。セツナが言ったホロビとはこれだったのだ。地獄でも滅びでも無く、何よりも強いホロビ。今のセツナにはほんのちょっとの事しか出来なかった。それは・・・
「ヒッドイ風景ダナ・・・」
「ああ、まったくだ」
前線基地から500M東の小丘に対NBC装備を万全にし、偽装している90式戦車・89式装甲車をも含む約二個機動小隊がそれを眺めていた。
PIPIPIPIPI
「指令だ。征くぞ!」
隊長格の男は命令を下した。と同時にこの二個小隊は戦闘地域に突撃して行った。
タタタン!!タタタタン!!パン!パン!ドン!ドン!グワッ!!!パパパン!!!タタタン!!
機動展開をしながらも正確に狂っているベルカ兵を撃ち抜いて行き、ベルカ兵に反撃の隙を与えずに効果的なヒットアンドアウェーをして行く。彼等も「SOG」通称ラストバタリオンの隊員達だ。
「まったく・・慌てずに戦えば良いのにねえ・・これだから数を物に言わせる大国の軍隊は・・・」
彼等はWAIRの隊員達で、ゲリラ戦、対ゲリラ戦、電撃戦のエキスパートたち。彼等は正確な射撃をしながらも慌てて後退もままならないオーシア軍やユーク軍に飽きれていた。
「もう、大軍の時代は終わった。今は一騎当千の兵をより多く持つものが勝つ」
古い思想かもしれないが、大軍ではすぐに素早く動き回れる小規模の部隊には対応出来ないのだ。それは戦場が野戦よりCQBを大きく意識しやすい市街地、うっそうとした森林、室内での戦闘を想定しているノースポイント陸上自衛軍上層部の議論の結果だった。月月火水木金金の勢いで訓練し続ける自衛軍ならではの戦術だ。彼等の強靭な体力、精神力はこんな状況でも落ち着き払っていた。
「う~ん、やっぱり動きずれえな・・」
軽装甲機動車に乗る隊員が言った対NBC装備+セラミック防弾プレート入り防弾チョッキ+対陸戦装備なのだからメチャクチャ重い。
「我慢しろ。それより早く撃て」
隣の兵士も重さに耐えながら89式小銃で狙い撃ちをする。
「これらが実戦ねえ・・訓練のほうが10倍キツイわ」
笑いながらも敵兵に発砲する隊員達。勿論この笑いは嘲るのではない、余裕の笑みだ。ハイパーレンジャー隊員が三分の二を占める「SOG」の訓練はあまりにも厳しすぎて実戦が緩く感じるくらいだった。
「5ヶ月潜伏訓練とか、近距離機動射撃訓練とか・・色々あったけどさあ。実戦が一番楽だねえ」
運転席でカーレーサーもびっくりの素晴らしいハンドリング捌きを左手でしながら運転する隊員も9mm機関拳銃を右手で車外右に発砲しながら余裕の表情を見せる。
「対戦車ミサイルやロケット弾なんて掠りもしねえじゃん。基地施設が邪魔してさ」
車上で状況報告とM249によって射撃をしている兵士も余裕そうな声を出す。機動戦闘では彼等の右に出るものは居ない。90式戦車にはSOGではなく教導隊がやっているが、此方もべルカのレオパルド2等の機動主力兵器を上手く撃破していく。誰も想定しなかった援軍はたった20分戦闘したけで引き上げたがその頃には連合軍が反撃体制を整えていた。

fin
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