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軍事講習第二回:狭義のステルスと、それを体現する兵器

狭義のステルス

即ち「電波のステルス」とは、レーダーから逃れる術である

レーダーの原理は、電波を照射し、物体に当たった時に跳ね返ってくる電波を受信する事で目標を探せる

レーダーの目から逃れるには、要は受信装置に電波を返さなければいい

と言っても、全部は事実上無理なのである程度は受信部分に帰ってしまう。その数値を「レーダー反射断面積RCS:Radar cross section」で表す。因みに、この数値は物体の大きさに依らない

ステルス性
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%80%A7

レーダー反射断面積の項より

RCS
A5ECA1BCA5C0A1BCCAFDC4F8BCB0.png
レーダーの方程式
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最低受信電力Prが判れば、RCSがσ である目標からの最大探知距離Rmaxが求められる
38ed41453425bdac6a5e9dffd6d2185d.png


そこで考案されたのが光の性質と同じレーダーの特性を利用した「電波を特定方向に反射させる」事で見つからないようにする事だ

この手案は、WW2末期での日本海軍が量産した潜水艦に取り入れられている(艦橋を斜めに設計する事で、哨戒機や艦艇のレーダー探知される距離を縮めようとした)

今となっては、戦闘機・爆撃機・艦船の設計では性能を落とさないようにしながらも、基本採用されている

F-16等のブレンデッドウィングボディBlended Wing Bodyがその典型になる。本格的なものになるとF-22やF-35と言ったモノになるだろう

そう遠くないうちに、戦闘車両にも採用されるだろう。何故なら、対地レーダーもミリ波レーダーの採用や、レーダーマッピング性能と処理能力の向上が著しいからだ

また、戦闘機のキャノピーに蒸着金薄膜かインジウムとスズの酸化物の薄幕を張るのは、コックピット内の機器やスイッチ類等に乱反射して電波が受信機器に跳ね返るのを防ぐ為だ

次は、素材の選定になる

電波を良く反射するのは、金属になる

レーダーが生まれたのは第二次世界大戦なのだが、意外にも当時からかなりのステルス性を備えた航空機があった

デ・ハビランド モスキート

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89_%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%88

殆どが木製のこの機体は、木製ゆえレーダーに察知されにくいと言う特性を持っていた

今や、航空機では木製は使えない。空気との摩擦熱が高い高速で飛行し、地球上の多種な環境ゆえに木製では耐えきれないからだ

艦船(主に掃海艇)でも同様である(木製では腐食が発生する上に、今や高価なものとなりつつある)

そこで注目されているのが、非金属でありながら腐食や多種多様な環境に適応できる炭素繊維・ボロン繊維などの強化プラスチック系列だ

繊維強化プラスチック
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B9%8A%E7%B6%AD%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%83%E3%82%AF

木製の様に電波を反射しにくい性格を持ち金属の様な耐久性を兼ね備えるコレは、技術の進歩により広く使用され安価・高品質になり兵器にも大量に採用される様になっている

チタンやアルミより軽量化が可能で、強度があるので航空機に採用しやすい

今や、FRP無しではステルスを語る事は出来ない

また、ガラス繊維や合繊繊維中に吸収する波長の2倍の長さのステンレス繊維を分散させた電波吸収材も忘れてはならない

これが「電波吸収素材:RAM(Radar absorbent material)」である。電波によって発生する電流を吸収するもの(導電性電波吸収材料)や分子の分極反応に起因する誘電損失(誘電性電波吸収材料)、磁性材料の磁気損失によって電波を吸収するもの(磁性電波吸収材料)等でRCSを減らしてステルス性能を極端に高める事が出来る

しかし、これだけでは敵に探知されてしまう

レーダーは集中的に捜索する事で目標を追跡する

これをトラッキングと言うが、これを行うのは処理装置と人間である

RCSを小さくして静電気等で発生するやECM(Electronic Counter Measures、電子的対抗手段)等の空電ノイズの中に隠れただけでは、処理装置と人間の判断からは逃げ切れない

追跡処理装置は、ある一定の条件を果たした反射源に対して追跡を開始(画面に表示)する。それ以外は全て空電ノイズとして処理する

その条件とは、「一定以上のレーダー反射面積を持つ」目標で、パルスドップラーレーダーであれば「一定以上のレーダー反射面積を持つ、設定された以上の速度で移動する」目標を追尾する

勿論空電ノイズも追尾する場合もあるが、それを判断するのが「レーダー員」即ち「人間の脳」である

護衛艦の熟練のレーダー員であれば、時化の中でレーダー画像を見るだけで漁船(追跡対象物、RCSが小さい)と波(ノイズ、RCSが大きい)を見分けられる

理由は漁船は一定の周期で波に隠れるので、追跡を補助すれば発見は容易・・・らしい(伝聞なので未確認)

これだけであれば、ユーゴ紛争でF-117が撃墜された(殆ど同じ時間に同じルートを通っていた為に予測され、火器管制レーダーを現地改造されたレーダー誘導式地対空ミサイルによって撃墜された)様に等速直線運動をするステルス機は撃墜されてしまう

ステルスとは「被発見率の低下」しかしないのであり、ステルス性さえ求めればいいというものではない

従来の作戦を組み合わせる必要が無くなるほど万能ではないのである


そこで重要となるのが、レーダー網の突破のやり方だ

どんなに分厚くレーダー網を張り巡らせても、必ず「穴」は生まれる

特に地形と区別する為に高い処理能力が必要となる低空では穴の大きさは顕著になるのだ

仮に、隙間もない様にレーダー網を張り巡らせたとしても、防空網制圧機が一部のレーダーを一時的にでも機能停止にさせれば穴は出来上がる

そこにステルス機を突入させるのだ

被発見率が低いステルス性能の高い機体がECMやビーム機動(パルスドップラーレーダーは、レーダー受信機から見て前後方向に移動する目標を探知できる様にして移動目標を捜索している。つまり、構造上横行目標の探知が困難なのだ)や地形追従飛行(レーダー波は地形を貫通しない)などを駆使して「レーダー網の穴」を通る事で突破する

この作戦で重要なのは、レーダーの位置やレーダーの特徴を調べる事、レーダーの障害となる地形を調べる事が重要になる

平時から電子偵察や、衛星や戦略偵察機(有人無人を問わずに)を駆使して戦略偵察を繰り返している軍が最もこの作戦をしやすい軍とも言える

攻撃側も防御側も、ただ単にステルス機を保有すれば良い。と言う事ではない

この攻撃に対抗する側は、ステルス機の特性を掴んで、従来の作戦にも対抗できる余力も持たなければならない

攻撃側は、ステルス性能の限界を知り、敵のレーダーの性能も把握する必要がある


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