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軍事研究第20回:F-Xに関する事案§6(ステルスに関する話・防護ハンガーに関する話)

F-Xの最大最強候補F-22が日本への輸出を検討する議案が通って数日たった。果たしてオバマ大統領は拒否権を行使するのであろうか・・・

まあ、それをしてくれた方が防衛関連企業の自衛隊向けの部門は助かる。F-Xに関係する大口の契約の一つである戦闘機の生産・維持・開発などがあるが、F-Xを早期に決めなければならない状態になりつつある事を言わなければならないだろう

F-2の生産終了をもって戦闘機関連の生産ラインは閉じてしまう。そうなると技術を持った熟練工が他部門に散ってしまい、彼らが後任を育てる前に定年退職する可能性が高い

尚、新人から熟練工を育成する為に必要な期間は30年程度である

そうなってしまえば、戦闘機の生産が再開したとしても未熟な技工者が多くなってしまい問題が発生しても解決するまでの時間が長引く事、問題が多発する事、それらに伴うコスト増等が考えられる

そういった問題は当然ながら開発・整備といった事にも直結する。要は航空自衛隊の戦闘機運用で多大な支障が出るという事だ

さて、そろそろ本題に戻ろう

従来機(4.5世代戦闘機のF-X候補)に関しては先に挙げた様に従来機の能力比較も参照にして欲しい。

では、仮にF-22が輸出された。としよう。確かに航空戦力としては圧倒的なまでな向上は望める。だが、それは一時的な可能性が高い

F-22を導入できたとしても、FMSの可能性が非常に高い。さらには整備にロッキードマーチン社か米軍の関係者のみ、という事もありうる

さらには、部品調達で不利が生じる。部品供給が途絶えれば運用は非常に難しくなるだろう(FMS導入により他の機体の稼働率が低下+稼働率の低下+高額なので予算をただでさえ圧迫している=戦力の低下)

さらに言えば機体を改修して日本製のミサイル(特にAAM)を搭載できない可能性も非常に高い(特にAAM-4は指令送信機の為に大型化している。改修・・・出来るのか?)これに関しては米国議会と政府の許可(ライセンス取得後の改修以上に難しい)が必要不可欠だ

そして、時代に合わせた改修できる能力も戦闘機が生産されない事により格段に下がる(F-22の売りでもあるユニット式アビオニスクの意味が薄れる)

と言った様な極めて良くない事が連発する。出来れば従来機の方が良いのである

F-35は既にF-22に匹敵する様な価格となるだろうし、ライセンス生産取得まで時間のかかるものであるし、仮に米国仕様のが輸出されても上記の理由で戦力の低下を招きかねない。つまり、第5世代戦闘機は総合的に考えれば取得しない方が良いのだ。F-35までの繋ぎとしてF/A-18E/Fを導入したオーストラリア空軍の様に"繋ぎ"を用意すべきだろう(つまりF-XXで第5世代機を取得する)

因みに大規模な研究機関のSu-35を1とした場合のキルレートとRCS値は以下の通りだ

米国が実施したSu-27/Su-35との戦闘シミュレーション結果(被撃率)
U.S. F-22 10.1 : 1 (10.1 Su-35s lost for each F-22)
European Typhoon 4.5 : 1
French Rafale 1.0 : 1
Russian Su-35 1.0 : 1
U.S. F-15C 0.8 : 1
U.S. F-18D 0.4 : 1
U.S. F-18C 0.3 : 1
U.S. F-16C 0.3 : 1

イギリス防衛評価研究所(DERA)の試算
改良型Su-27(Su-35相当)との性能比較
F/A-22 "Raptor"        9:1 - 10:1
Eurofighter Typhoon       3:1 - 4.5:1
F-15 modernisiert(J改相当) 1.5:1
F-15E "Strike Eagle"     1.2:1
Rafale               1:1
F-18E/F "Super Hornet"   1:1.2 - 1:3
F-15C "Eagle"(pre相当)   1:1.3 ← 非MSIP F-15
F-18C "Hornet"         1:3.8
F-16C "Falcon" (Block 40)  1:3.8 

ステルス性(RCS)比較
           RCS(dBsm) RCS(平方m) RCS(平方ft)
F-15 Eagle         +26   400    4,305
F-4 Phantom II      +20   100   1,076
Su-27             +12   15     161
F-16 Fighting Falcon   +7     5       54
F-18E/F Super Hornet   0     1      11
Rafale            0      1      11
Typhoon           -3    0.5      5.5
F-22 Raptor         -22   0.0065   0.07

軍事板FAQwiki ロシア機 より引用

この結果をどう受け止めるかは個人の自由である。しかし、RCS値やキルレートを考えればユーロファイターの能力の高さが伺えると思う(個人的にはF/A-18を推しているので多少歯痒い・・・)

と言っても欧州機、規格違いである為整備性からその導入には多少高いハードルがある。ただ、かなり有利な条件も出されている。現状においてF-22の次に有利なのではないのだろうか。唯一痛いのはトランシェ3が出ていないのと、実戦の実績が無い事である

その次に有利なのがF-15SE/FXであろう。これらは多くの実績を持つ戦闘爆撃機だ。湾岸・アフガン・イラクにてその多大な搭載量を生かした作戦をこなしてきている

SEにおいてはRAM(レーダー吸収素材・塗装)を多用しレーダーブロッカーでステルス性を高めている。日本・韓国などのF-15ユーザー向けに約180機が製造されるとの事だが、その内の1/3~約半分を占める60~80機の需要があるF-Xにボーイングは期待しているだろう

しかし、待ってほしい。タイフーン・SEともに従来機だ。ステルス戦闘機とは、低RCS(レーダー断面積)、素材、ELINT、そして機内の構造から成り立っている

RAMを塗りたくれば良いと言う訳ではなく、機体の構造が従来機のままでは第5世代機と呼ぶには程遠いだろう

何故なら、非ステルス機の機体構造によってRAMに吸収されなかったり、機体で跳ね返らなかったレーダー波は機内に浸透する。これは決して避けられない事である。その時、機内構造がレーダー波の周波数に共振したり、跳ね返させたりする事が多い。つまりリフレクター(増幅反射器)の役割をしてしまうのだ

主に主翼、次に胴体や燃料タンクなどにその設計が為されているのであろうか?F-22がレーダーに捉まらないのはスーパーコンピューターと最新のCAD技術が合わさっていて、人間の脳では想像もつかない様なほんの僅かな機体の傾斜に考慮した結果でもあるからだ

次にELINT(電子情報の諜報)、自衛隊にとって頭の痛い話であろう。未だに進空しないC-Xとは異なり進空していて今後長い活躍が見込め、P-3C改修機退役前に任務に付けるであろう海自のXP-1の改修機ならともかく、空自のELINT機は耐用飛行時間が迫っているYS-11の改修型に頼っている。

C-Xが進空し、その発展形の一つである電子偵察型が出るまでの間、飛行が制限されていくだろう。ステルス機に重要なELINTが遅れる可能性がある。海自や在日米軍のデータを受け取れば良い、と思う方も多いが自前のものを装備した方が安上がり且つ制約もない。その上自分で情報を得られるなどの利点がある

こういった問題点を解消せねばならないというのが、空自におかれている現状なのだが・・・もう一つ、空自に問題点がある

それは「防護ハンガー」だ

空自はDCA(防勢対航空作戦)である事は周知の通りであろう。しかし、それに海上の航空優勢確保に必要不可欠な航空機を護る強固な掩蔽体があまり無い。完備されているのは千歳基地のみである

世界第2位の空軍(当然ながらトップはUSAFである。第3位は航空自衛隊だ)であるイスラエル空軍はエジプト空軍に「完全な奇襲攻撃」を受けた第4次中東戦争においての地上での損耗は少なかった。何故なら多くの空軍基地に防護ハンガーを設けていたからだ

今はレーダーの発達によりその様な航空攻撃による奇襲をするのは難しい。ただし、第5世代戦闘機に関してはどうかと思う点もある

しかし、ゲリコマの攻撃はどうだろう。彼らはRPG(対人・装甲ロケット弾無反動砲発射機)を持っていると推測され、戦車の側面・後方装甲を貫く事が十分可能だ。それだけの威力を持っていれば唯のハンガーなど紙切れ同然である。下手すると口径20mm程度のアンチマテリアルライフルで貫けるかもしれない

航空機は地上にいる間は何も出来ない、ただの高価な的でしかない。あまり知られてないが、旅客機は拳銃弾でも弾は抜ける。エアマーシャルの様なプロ以外が不用意に発砲すれば機体の重要システムが破損するだろう。戦闘機は一応装甲化されているがE-767・KC-767・C-X・P-Xなどは基本的に装甲は施されていない。喰らえば一溜りもないだろう

そうなれば離陸は出来なくなる。当然RPG等と言った対物火器を喰らえば、二度と使い物にならないだろう。仮にHEAT弾頭を喰らったと仮定すると表面上はあまり損害が無いように見えても、中身はジェット噴射でグチャグチャなのだ

特に沖縄の那覇基地は大きな問題である。沖縄には第204飛行隊が展開しているし在日米軍のF-15や臨時配備の繰り返されるF-22もいる。在日米軍の基地はともかく、那覇基地には防護ハンガーが無いに等しい。アラートハンガーが辛うじて施されているかどうか・・・

日本は戦略的縦深が浅く、敵軍に上陸されれば負けに近い。例え空海戦力が残っていても、である

今後出てくるであろう第5世代戦闘機やゲリコマに貴重な航空戦力を奪われたくなければ、防護ハンガーの新設も急務なのである

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