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第11話:旧敵2

11月11日 ソロ島 スクラップヤード 11:25
「・・・「Dr」は生きている?馬鹿な、あなたが奴を殺したんでしょう?」
ノースポイントの情報士官は苦笑しながら言った。「Dr」とはアントン・カプチェンコ。そう、15年前のベルカ戦争後に起きた「国境なき世界」のクーデターの首謀者の一人である。ウィザードこと、ジョシュア・ブリストーは既に別のテロ事件の容疑者として投獄されている、アンソニー・パーマーは保険会社に勤め危険分子ではない、ラリー・フォルクはベルカ騎士団に合流し一応友軍である。それ以外に彼の事を知る者はクーデター時、又はその後に死亡している。

否、「刹那」を除けばであるが

そうだ、私が奴を殺し。そして私も一度死んだ。奴と私はどうやら「同じ化け物」の様だな

刹那はノースポイント自衛軍時代から使用している64式小銃を分解し、丁寧に手入れしながら答える。情報士官は彼が銃を整備する意味がわかっていた
「・・・どこにお出かけで?」

これから行くところと言えば、一つだ。襲撃してきたベルカ人の敵兵からこんなモノが出てきてな

「・・・何ですか、これは・・・この数字は・・・緯度と経路が書かれてますね。場所は・・・ベルカ領内ですか」
刹那が彼に渡した紙には緯度・経路の数値が書かれた紙だ。勘の良い彼は、一発で意味がわかった
「ま、まさか・・・乗り込む気ですか?死んだ筈の「Dr」の元に!?・・・老婆心ながら忠告させて頂きますが、罠だと思わないのですか?」

ああ、思ってる。だからこれを持って行くんだ。連中はアマチュアだけだ。そんな奴らに蜂の巣にされるほど私は愚かじゃない

「・・・解かりました。移動手段は陸路ですか?」

当然だ。・・・ああ、愛機の機嫌を損ねない様にしておいてくれ。そいつは寂しがり屋なんだ

「了解。ボートを急いで用意しておきます」11月13日 ベルカ領内アヴァロンダム 18:25

(・・・さて、ここまで上手く来れたが・・・歓迎委員会の気配を感じないな)

紙に書いてある座標まで来たが、そこはただのダムだ。しかし、一つ違うのはそこが「自分が死んだ」ダムでクーデター軍がMIRV「V2」を撃ったが、阻止された事件があったと言う事のみ。今は完全に貯水湖兼水力発電所として機能している・・・少なくとも表向きには

しかし、その割には静かすぎる。この時期は雪が降るがこのダムが必要なほど電力は不足しない。ダムの水は凍りかかっている様に感じるほど寒い。しかし、この場に人がいれば非常に目立つ上に、刹那の狩人としての能力から逃れようなど夢のまた夢である。暫く散策する事にした。周囲は何もなく、ただただ白銀の世界だけ。しかし、3分も歩いている内に金属の物体を見つけた
(・・・?)
その金属の物体を携帯用スコップで掘り下げてみる。それは戦闘機の残骸だった。いまだに片付いていない機もあったのかと、不思議に思っていたがコックピットに人影があった。既に凍りつき、さらに白骨化している
(・・・ベルカ空軍・・・クーデター軍か。哀れな奴・・・)
朽ちかけたパイロットスーツの微章の一部やドックタグを取り、じっと眺める。名前が削られたドックタグには、「女性」「1977年・4月5日生まれ」としか書かれていない。自分の名がニュース沙汰になるのを嫌ったのだろう
コツッ
(!)
突如として後頭頭に突き付けられた刃物、即座に肉体が反応した。体を屈め、相手の得物を払い、後ろに飛んで相手を突き飛ばそうとした
ドンッ
「くっ!?」
相手は倒れなかったが、ぐらついた瞬間に腰からリング付フラッシュライトを抜き、素早く顎に一撃を加えようとする。相手を後退させて相手から離れ、拳銃かナイフをホルスターから取り出す為だ。しかし、その一撃は阻止される。と同時にアイスピッケルが首にピタリと止まる
(チィッ!)
「捕まえた」
陽気な高い声が耳に響く。背中にはふにゅっとした感触に加え、前に銀の長髪が5~6本広がる。刹那が知っている中で女で銀の長髪で陽気な声を出す人間は一人しかいない

・・・・お前か、ガーゴイル1。流石に早いな

「あはは、びっくりしたでしょう?でもそっちこそ早くてびっくりしたわ。マッスルメモリー(条件反射)って凄いわね。流石元特殊部隊だわ」
彼女はいつも以上に楽しそうだった。人に銃口を向けておいてそれはないだろう、と刹那は飽きれた様な表情をした。彼女は刹那の胸元を探りながら耳元で囁いた
「ところで、″私の死体″の前で何やってたの?」

!?・・・"お前も"、なのか?

「フフフ・・・"私も"ね。・・・・私も貴方と同じクローン。違うのは創られた場所が違うって所だけね。私の場合はここから近いけど、貴方は海を越え、大陸の向こうの島国だものね。知らなくて当然よ」

私の知りたい情報をお前は持っているんだろうな?でなければ先程の続きをするだけだが

「情報どころか私や貴方を蘇えさせた人もいるんだから、その人に聞けばいいと思うよ?」
彼女は微笑みながら刹那の言う事に一つ一つ答える

分かった、とりあえずそのアイスピッケルをしまってくれ。そいつがあると此方としても話辛い

「あ、ええ。良いわ」
自分の首元に引っ掛ける様にあるアイスピッケルをどかすように言ってみたら、案外容易く了承してくれた。もとより話し合う心算らしい
「ところで、良く此処までそんな装備で来れたわね。体感温度は-10℃だってのに」

寒いと感じれるほど、私の温感神経は鋭くない。暑さと寒さは判断力を低下させるだけだ

「・・・フフ、いつも通りねぇ。いつ会ってもその冷えた感じは変わらない。いいわ、ついてきて」

アヴァロンダム 18:45

此処は、訓練場か?随分と思い切った大改装をしたものだ

「V2の発射施設は全て作戦要員の訓練場に改装してるわよ。いつまでも必要無い物を置いておく理由はない」

成程・・・核戦力なしでやっていくつもりか、大した変わりようだな・・・

「そうだ、我々は変わった」

・・・・カプチェンコ

刹那の目の色が少し変わる。興味の色から憎悪と怒りの色へと。しかし、銃に手はかけるものの銃は抜かなかった。刹那の方に戦う意思は無いからだ
「よくぞ来てくれた。これからも宜しくな」

握手などいらん。お前を殺しきれなくて本当に残念だった

「そうだな。だが・・・少しは君の命を救った恩人に礼儀も無しか」

生憎、礼儀を知らんのでな。・・・だが、お前たちも来るんだろう?我らと共に。来る者は拒まん

「・・・ああ、手伝わせてもらう。私にとっては君ともう一度戦ってみたいからね。死んでもらっては困る」

殊勝だな、お前からそんなセリフを聞けるとは・・・しかし、もう一度殺り合うのは、この戦いが終わってからだ。戦力を確かめさせてもらうぞ。此方も色々忙しいのでな

「フ・・・」
当初は今にも銃を抜きそうだった刹那も落ち着いている。何かと、この二人は息が合うのだろう
「・・・似た者同士、か」
二人の様子を見ている彼女(ガーゴイル)からすれば、一見すると親子に近い物を感じさせる

11月14日 05:10 アヴァロンダム ダム湖

おはよう、カプチェンコ。今日も寒いな

「・・・ああ」
刹那はノートパソコン片手にカプチェンコの隣に座る。気温は零下だが、空は日の出の直前の温かそうなオレンジ色をしている

ノースポイントとエメリアからのオーシア軍に潜入した情報員が入手した情報があるが、見るか?

「ああ、多分私がついさっき入手した奴と同様の情報だと思うが・・・リムファクシ、だろう?」

正解だ。オーシアの連中は"白鯨"を沈める。成功すれば、灰色にとって想定外だ

カプチェンコの情報網は刹那の情報網に匹敵する程の広さと確度を持っている。お互いに「敵は一つ」だと言う事を理解している為、既に敵愾心はない
「"灰色"にたたみ掛けるチャンスが生まれる・・・と言う事か?」

ナイン(いいや)、戦力が足りない。先進国をあと2~3個、それに加えて灰色の行動を阻害できるユークの知識人中心の民間の組織が要る。灰色を殲滅するには全く足りない

「ほう・・・ではこのチャンスを逃す、と?」
カプチェンコにとって、これ以上にないチャンスだと考えていた瞬間でもある、この瞬間。灰色が操るユーク軍の「リムファクシ」が消えるとなると、ユーク軍は一気に押し込まれる。そうなれば、彼等は戦争のやり方を再度考えねばならない。その隙にこれまで蓄えた戦力をぶち当てれば「勝利」できると考えていた

しかし、このチャンスは刹那にとっては全く問題外であった。問題は二人の思想の差にある。カプチェンコは15年間息を潜めていたのに対し、刹那は真正面から灰色に対抗していた
刹那は"灰色"が「ゴキブリ並の生命力を持っている」事を重々知っているが、カプチェンコはそうではない。ゴキブリは瀕死に追い込んでも卵を残す。そして生まれる子供がまた同じ事をする。つまり、即死させなければ意味が無い。つまり、「勝利」ではなく「皆殺し」しか手段はないと知っているのだ。だが、このチャンスは灰色に打撃を与えるチャンスである。それを刹那は逃さない

いや、攻める。灰色の背後にいるブリックスホールディングスの業績が落ちているからな。「オーシアのF-X候補機がユーク軍で製造されようとしている」「ランダース岬撃墜事件におけるブリックスの関与」、この情報を流したのは私の部下だ。これに乗じて、経済的に追い詰める。リムファクシも沈ませ、背後の企業からの支援も怪しくなれば連中も焦りだすだろう。1ヶ月の猶予があれば、戦力は揃う。丁度その頃には面白い事になる


「・・・経済戦、か。CIAがやっている事を真似するのか?」

経済戦は私の得意分野の一つだ。連中が後から目をつけたにすぎない。CIAは自分たちがトップだと思い込んでいるから、あっという間に抜かされる愚か者だ。ブリックスのトップも大して変わらんようだがな

「ブリックスの業績をより叩き落とす。成程、そっちは考えなかったな」

それだけで済ますとでも?・・・ゼネラルの連中にちょっと後押しを加えてやったよ。兵站に関わっているノースポイントの三協商事にもな。私もバカじゃない。それと、これからこの戦争は「面白く」なるぞ

「・・・まさか・・・上手くいったのか?」

この国にはお前らと遊びに来た訳じゃない。元々あった予定を2日早めただけだ。ま、集めていた情報と計画書を渡すだけだったが・・・物分かりのいい連中で助かる


「・・・」
戦略眼と行動力では、刹那がカプチェンコより相当上手だった。カプチェンコに渡した紙は、ノースポイント、エメリア、ベルカがPKOとして戦争への介入を決定したことを示す書類だった。時期は12月上旬、展開を考えれば丁度12月の下旬にPKO戦力が整う。既に下準備は大方済んでいた

日が随分上がったな・・・サンド島の連中に招集がかかっている頃だろう

To Be Countinue…
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