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第9話:行動へ

オーシア サンド島より北東15nm高空 10月4日 01:00
(アークバードには爆薬を設置した、後は・・・連中の驚く顔を見ていれば良いか)
刹那は酸素マスクを直しながら思っていた。殆ど休む間も無くパセット宇宙センターから秘匿飛行場へと移動して愛機に乗り込み友軍と連携しつつ、ユーク軍とオーシア軍の行動を監視せねばならない。いつもであれば衛星で一発だが、今は全ての戦力を別の所に回していて、自分の衛星(と言ってもアークバードに収容された衛星を再利用しているだけなのだが)も引っ張りだこ状態だ。頼れるものは自分の目しかない。
(しかし・・・機体を飛ばすだけでも時間がかかるものなんだな。やれやれ、どれ程権力が偉大なのかが良く分かるよ。まったく・・・)
刹那が今乗っている機体を飛ばし、ここまで来るのに4時間ほどかかった。いつも通りであれば自分の軍事力を背景に各国から空軍機としての認識番号を得て通行許可証として使うのだが、今はECMで感づかれないよう飛行している。彼としては"面倒な事"をやらなければならない。さっきから慣熟訓練らしいサンド島機の離陸を数度確認している。
(そろそろ怪しまれるかもな。一応偽装はしてあるが・・・)
偵察には流石に基地に近付き過ぎてるのかもしれない。まあ、いざと言うときには逃げるから問題ないのだが
(・・・!)

JNSDF・SOCOMより入電 [シューティングスター]No.12がユークトバニア第4軍の上陸艦隊出撃を確認、JNASDF偵察機[ブーメラン4]が戦力調査開始 順次情報更新中

(ユーク軍が動いたか・・・ナスターシャ少佐の掌握率は低いと見るべきか)
刹那はコンソールを叩いてマスターアームを外す、と同時に降下を開始しサンド島の西側海域に戦術偵察用のブイを投下しに向かう。
(見つけないでくれよ、月光が反射しなければいいんだが)
上空にはF-14A2機とF-5E4機が飛行している。サンド島の新人部隊だろう。その他にもラファールやF-16CJ、F-16XL、F-14Dなどが駐機しているのを確認している。迎撃体制は整いつつあった。ただし、サンド島には空軍守備隊しか居らず大した兵力や装備もない。上陸されれば、まず保たないだろう
(・・・まだ此処が陥落するには早すぎる。そうなれば、灰色の思う通りになる。だが、何も出来ぬとは歯がゆい限りだ)
灰色の目的が混乱の創造ならば、オーシアの方で混乱を起こした方が奴等なりに良いのだろう。何と言っても、ベルカを滅ぼした勢力は「鬼神」等の「傭兵」部隊などではない。それを行なったのは「超大国」なのだから。正直な所・・・刹那は国も抗争も企業もどうだって良かった。

「ただ戦いたい。殺したい」

(何時からだろうか、こう思う様になったのは・・・・「ただ戦いたい」が為に・・・第三者の利益に首を突っ込む私は愚か者なのか?まったく・・・・)
クローンじゃなかった頃から・・・そう、物心ついた頃から、血の臭いの真ん中に立っていて、誰もが自分を避けていく。ついて来るのは同じ傷を持つ奴だけだ。だけど彼らは自分とは違う、「最初から血の臭いしかない所に居た」のではない。そのとき、HUDの向こうの月光を反射する海面が黒く染まった

よう、私。そんなシケた顔をしてどうしたのだ?

(!・・・誰だ・・・私の心に入り込んでくるのは・・・)

「私はお前で、お前は私だ」そう・・・お前だよ。どうだ?人を切り刻み続ける「死神の鎌」でいる気分は

それはもう一人の自分、15年前のアヴァロンで死んだこの体の元になった「セツナ」だ。死んだ時の両腕が無くなり、内臓破裂や複雑骨折で不釣合いな肉体を包むパイロットスーツは深紅を通り越して黒く染まりきっている。
(・・・久しいな、私か、15年前のアヴァロン以来だな。今度こそ私の命でも喰いに来たか?)

いや、随分深い考え事してるなと思ってな。「ただ戦いたい」から、か。わからないでもない。自分の「本当の一生」を見れば分かる事だ

(・・・この"擬似記憶"が間違っているとでも言うのか?)

その「私」の記憶は間違ってもいないが、正しくもない。思い出したければ、あの銀髪の女に尋ねるべきかもな

(・・・興味が無い)
刹那はそうソイツに言い放つ(といっても声が出ているわけではない)と、そいつは消えた。もう一人の自分、それは「死んだ自分」だ。ドッペルゲンガーとも呼ばれるそれは見た者を不幸へと導く。だが今の刹那にはこれ以上の「不幸」は無い。否、死ぬ事も生きる事も刹那にとっては幸せなのだ。戦う為だけに、地獄の底から這い上がってきたのだから

08:30 サンド島ブリーフィングルーム
この部屋には空・海軍の戦闘機搭乗員と海軍の対潜哨戒機[S-3・バイキング]、そして「E-767サンダーヘッド」の搭乗員等が真剣な表情でボードに張られた衛星写真を喰いつく様に見ている。そこにはユーク軍の強襲艦を含む大規模な艦隊の姿があった
「やはり諸君らは疫病神のようだ。諸君らが当サンド島基地へ復帰したとたん、この事態だ!」
この基地の司令は最早怒りとしか言い様の無い声でパイロット達に怒鳴った。分からないでもないが、これから死地へと向かう搭乗員に激励の一言くらい最初に言ってやるべきだろうと誰もが思った。そしてそれをオペレーション・オフィサーが引き継ぐ
「その衛星写真からも分かるように、サンド島の西方洋上に、ユークトバニアの艦船および 航空機からなる大編隊をレーダーが捉えた。この大編隊は、サンド島に向かって現在接近中である。 接近中の艦船の中には強襲揚陸艇の存在も確認されている。敵の目的は、サンド島への上陸および当基地制圧であると推測される。上陸部隊・艦砲射撃による基地の被害を阻止するため、敵を排除せよ。航空機・ヘリはまだしも、敵の戦車が上陸したら此方は成す術が無い。可能な限り撃墜・撃沈してくれ。エニークエスチョン?」
数人の手が上がる。その中には「SAM殺し」ローニンやツクヨミ、ブラックファントムの姿もある。彼らは臨時配備命令を受けた空軍・海軍航空隊のエースだ
「レイ少佐」
「迎撃作戦の概要を、まさか何も考えてないというのは無いだろう」
「当然だ。これより説明する」
オペレーションオフィサーはボード上の敵艦の駒と友軍機の駒を動かし始めた。
「まずは少佐らが突撃し、敵防空艦のレーダーの目を潰してもらう。それにはAGM-88HARMを使用する。次に制空隊が上がってくる敵機と衝突する。それと同時にウォードッグの打撃部隊が低空より侵攻し、敵上陸艦隊に肉薄しMk-82・Mk-84による爆撃にて打撃を与える。それらの管制はすべてAWACSが行ない、バイキング「ブルーハウンド」は敵新型潜水艦「シンファクシ」を捜索する。もし「シンファクシ」を発見した場合は全部隊にてこれを叩くが、第一目標は敵強襲艦と砲撃してくるフリゲートだ。少佐の部隊は第一陣として攻撃の後、補給を受けて対艦任務に当たって欲しい。・・・アレックス大尉」
「作戦自体は素晴らしいですが、その肝心のウォードッグは新兵だけでは?しかも、半数以上が旧型機となると・・・」
「この緊急時だ、猫の手でも借りれる物は借りたい状態なのだよ」
ブラックファントム1は「Shit!」とか「Fuck!」とか言いたげな表情で手を下ろした。他の者達も同じ様に手を下げる
「小官は例え地上戦となっても最後まで勇戦、この地を 敵に与えぬ所存である。まず、諸君らはその前衛として、後顧を憂うことなく 敵上陸船団に可能な限りの打撃を与えよ。本防衛戦は全力出動とする。 錬度を問わず、対艦攻撃可能な機は全機出撃せよ。解散!」
この基地司令は軍人のくせしてまともにアサルトライフルすら撃った事もないのような肥えた肉体で隊員らを激励する。
(激励になってねえよ、クソッタレ。どうせ逃げ出す事でも考えてるんだろ)
チョッパーはそう思うと同時に椅子から立ち上がって他の者と共に装具品室へと向かう。


ユーク軍上陸艦隊 上空 08:45
≪ようRoc、何もねえな。そっちは何か見つけたか?≫
「何も無い、とても静かで退屈だ」
≪そうか。しっかし何度見ても凄い光景だよな。この艦隊≫
「見とれて墜ちるなよ。回収が面倒だ」
確かに眼下に広がる艦隊は凄い(何よりも数が)、だがRocにとってはそんなのどうでも良かった。敵機とのドッグファイトに縺れ込めば良い
≪間も無く対地ミサイルの射程に入る。上空警戒頼むぞ≫
≪了解≫
「分かっている。CAPポイントを前進させるぞ。下方警k・・・!レーダーコンタクト、ヘディング0-9-0、20nm、320kt、4200ftHOT・・・RWR受信、機種はラファールにF-16Cが3・・・もとい4機。上空旋回をして何をしている・・・?」
Rocその意図が読めなかった。敵機は上空旋回しながら何かを待っているようだった。と同時にSu-37のRWRにフレンドリースパイクが表示される。当然IFFを展開すれば気にする事ではない。ほぼ同時に敵機2機は急降下し、地表効果でロストした。即座にIRSTで捉えなおす。僚機のMig-29Sはまだ捉えていない
≪ロスト?・・・。残っている2機を攻撃するか?R-73の射程圏外だが・・・≫
「なんだ?何を・・・!!FOX2アタックだ!急げ!」
Rocは気がついた。SAM基地への攻撃方法を・・・
≪ど、どうしたってんだ?≫
「艦隊の防空レーダーに穴を開けるつもりだ!コンバットブレイク、追い詰めろ」
敵機はパッシヴ式対レーダーミサイルを使って艦隊の防空レーダー源である駆逐艦の目を潰そうとしているらしい。さっきの上空旋回はレーダー波長を捉える為の偵察行為だった。
(この飛び方・・・「SAM殺し」か?疾い!)
超低空を亜音速で飛ぶ技術はFBWがある機体でも難しい。何故なら地表効果で機体は浮き上がり、空気が濃い為ちょっとでも操縦桿を傾ければ「ドカン」、そして亜音速で機体はガタガタ振るえて不安定の極み。しかも海面・沖合いならそれは激しくなる
≪タリホー、だがシーカーがロックしない。故障品か?≫
「チッ、機関砲でやれ。整備不良品かよ、クソ」
≪おっと、お客さんだ!生憎1000ft以下からが俺の空だ。蛇行して逃げるぞ≫
≪Roger That≫
ミサイルのシーカーに異常がある、と言うのは拡大しすぎた軍備に対し軍事費縮少が進んでいた製が一番の理由で最近は良くある事だ。だが、兵士である以上は手元にある手駒で何とかせねばならない。ラファールに追い縋る様に自機も加速させるが、いかんせん大型のSu-37となるとその振動はさらに激しくなる。しかも低空なので機動の反射や挙動が異様に早く感じる。HARMが目標に最高速で命中する(モーターを使い切る)ポイントに到達し、僚機に合図を送る
≪悪いが頂くぞ。叩けるものは叩ける時に叩き切る。・・・でないと仲間が死ぬからな。俺を恨むなよ。ローニン2、上昇だ!同時に叩き込むぞ≫
≪Copy!トス爆撃の要領で撃ちます、マグナム!≫
敵機がシザース運動から機体を水平にしたと思うと、急激に機体を引き上げた。と同時に1機当たり4基のHARMが放たれる
≪しまった!全艦対空レーダーを切れ!≫
≪此方フラーブルイ!対艦ミサイルじゃあないのか!?ええい、この際どうでも良い!迎撃だ、撃ち方始め!≫
「馬鹿、撃つな!射撃レーダーがやられるぞ!」
小柄なHARMはハープーンやユークのKh-31とは違って被弾率は限りなく低く、そしてハープーンとは比較にならないほど速い。
≪ダメだ!間に合わん!耐ショック体勢!≫
被弾を示す小さな火玉が艦隊の複数の防空担当艦から上がる。レーダーだけを確実に射抜かれた
「・・・クソッ!あのラファール、どこに行った!?」
≪Roc、落ち着け!・・・奴ならもう行っちまったよ。後続のCAP任務の海軍機を呼ぼう。敵機が来た。ヘディング0-9-0、40nm、420kt、4500ft・1500ftHOT、機数・・・12ないし13機≫
「・・・・なんだ、これからが殺戮の宴の本番か。了解だ」

08:50
≪攻撃成功、ローニンご苦労だった。・・・こちら空中管制機サンダーヘッド、各機聞け≫
≪久々の美声だな。どこの「のど薬」嘗めたお袋に産んでもらったのか聞いてみたいぜ≫
≪私語は慎め。敵上陸第一波、方位2-8-0、10nm、発見しだい攻撃に移れ≫
≪ウォードッグリーダー、Roger≫
≪ブラックファントムリーダー、Roger。蝿叩きと行こう≫
「ツクヨミRoger。先行する。ウォードッグ、ひよっ子どもを頼むぞ」
ツクヨミはF-16XL改のスロットルレバーを倒し、ブラックファントムと同様に上空へと向かう。
≪ブラックファントム1も言っていた様に、ひよっ子達を連れてくのは無茶だわ≫
≪俺もそう思う、ブービーは?≫
≪ああ、既に編隊が崩れてる。これを援護するとなるとグリムの時よりヤバイ≫
≪だろ。飛んでいるだけで精一杯な奴らなんだぞ≫
(確かにその通り、しかし今回ばかりは本当にマズイ。こいつ等でも囮ぐらいには出来るが・・・まあ、やりたくは無いな)
ツクヨミ自身は何故もっと増派出来ないのかと軍令部と喧嘩になって「じゃあ、お前が行け。腕が立つんだから」みたいな事で派遣された様なものだが、このひよっ子は違う。腕なんて訓練生に毛が生えた程度、機体も旧式、これでどうやって生き残れというのか。
≪隊長たちは恐怖を感じることはありますか?≫
「ひよっ子、敵が目の前だ。兎に角生き残ろうとしろ。ホバークラフト艇が来るぞ」
≪・・・すみませんでした、口を慎みます。KC交戦!≫
≪ウォードッグリーダーより各機、1~4は敵強襲揚陸艦とフリゲートをやる。残りはヘリとホバークラフトをやれ≫
≪ブラックファントム、レーダーコンタクト。ツクヨミ、確認できるか?≫
「・・・ああ、確かにレーダーコントクト確認した」
ピーッピッピッと言う耳に劈く電子音が敵機が近付いているのを認識させる。レーダー画面に目を落とし、敵機を確認すると同時にRWRの警告音も鳴った。RWRリング内側・・・敵機に捕捉された事を示している
「ツクヨミマスターアームON、AMRAAMアタック・スタンバイ。高度を取る。ミュージックON」
≪OK、ブラックファントム・フェイスイン。スパロースタンバイ!AWACS、誘導頼む。ミュージックON≫
≪此方サンダーヘッド、了解した。Link16起動。・・・・レーダーコンタクト。2編隊の内の1編隊脅威度大・・・機数1ヘディング2-8-0、35nm、520kt、4000ftHOT、ファルクラム、スーパーフランカー、ファストオブ。ヘッドオン。もう1編隊、機数4、ヘディング2-8-0、45nm、450kt、8000ftHOT、イーグル・・・もとい、レガシーホーネット、ファストオブ≫
機体を上昇させ、EW(電子戦)を展開すると同時に海上で複数の発砲炎を確認する。
≪こちらサンド島基地守備隊!敵上陸集団を水際で邀撃する!≫
≪ちくしょう。始まっちまったぜ≫
≪敵艦がサンド島に向けて砲撃を行っている。阻止せよ!強襲揚陸艦から戦闘ヘリが発進。ウォードッグはサンド島到達前に撃墜せよ≫
≪一番近く敵に面してる俺たちの島。真っ先に狙われるのは当然ってことか。ミュージックON!≫
≪ウォードッグ3、無駄口を叩くな!敵揚陸艦へ向かえ!≫
「25・・23・・・有効射程に捉えた、攻撃開始!FOX3!」
≪ブラックファントム、FOX1!FOX1!・・・!・・・撃ち返して来たぞ・・・R-77だ!MWS、正面!≫
敵機との距離をAMRAAMとスパローの有効射程まで縮め、ミサイルを放つと同時に敵機の最も近く、ECMをバーンスルーした編隊と離れながらECCMでECMを弱体化した編隊が同時にR-77を放つ。
「各機、散開しミサイルとの角度を直角に取れ!攻撃隊はバレルロールでミサイルの運動エネルギーを奪え。デコイ展開!」
≪Roger、頼むぜ!≫
全機が中央線下のパイロンに搭載されていたデコイを展開すると同時に攻撃隊はバレルロールで敵ミサイルの運動エネルギーを奪い始める。制空隊はミサイルに対し旋回して横向きの進行方向でブレイクした。
≪スプリットS・・・Now!≫
ブラックファントム1と2が左にブレイク、ツクヨミ・BP3・4が右にブレイクし、それぞれバラバラな方向へと回避する。制空隊のこの行為はビーム機動と呼ばれ、速度計測を主に行なうドップラー系列のレーダーを使用するミサイルのシーカーに自機の位置を見失わせる効果がある(ミサイルの主なシーカー、パルスドップラーレーダーの走査角度と目標進行方向が90度違えばレーダーから見て目標の速度0、つまり失探する)
≪「3・・2・・弾着・・Now!」≫
ドンッ!ドンッ!ドオンッ!
≪うわっ!やられた!ビーマー脱出する!≫
≪損失はルーキー一機だけだ!ウォードッグ構う事は無い、突っ込め!援護する!≫
「まるでルーキーが空気だな。・・・デコイはもう使えん、吹っ飛ばされた。有視界戦だ、警戒しろ!」
HOTASの概念が導入されている操縦桿の兵器セレクタをAIM-9に設定する。ブラックファントムやツクヨミの後席(WSO・RIO)の仕事は後方警戒へと一気に変わる事を示している。敵機も同じ様に全弾かわしていた
「コイツ・・・出来るな。後席、敵機は!」
[正面ヘッドオン!距離5nmッ!高度はやや有利!ドッグファイトモード(レーダー走査速度向上・レーダー索敵範囲低下させる格闘戦用対空レーダーシステム)に移行します]
≪ブラックファントムよりツクヨミ、俺の背中を頼む。Su-37は俺が狙う。だがMig-29は苦手だ。奴は軽くて重戦闘機のスーパーフランカー以上に小回りが効く。他は蜂退治だ≫
「了解、F-16XLなら瞬間運動性で奴に勝る。2機を引き離すぞ」
≪ウォードッグ、攻撃態勢。CIWSに気をつけろ。ルーキー、もっと高度を下げろ!空戦に巻き込まれるぞ≫
≪は、はい!≫

08:53
(こいつ等「できる」な)
RocのSu-37と僚機のMig-29はバレルロールでミサイルの運動エネルギーを低下させ、被弾数秒前に左右上方へとブレイク、AMRAAMをかわした。スパローはどうやら後方の海軍機目掛けて撃ったらしい。
「2機が先行して来る。F-14はこっちでやるぞ。F-16はそっちで頼む」
≪だ、だが敵攻撃機が低空で・・・≫
「ケツを見せたら殺られるぞ。だったら殺りに行くしかなかろう」
僚機の反論を無視し、敵機との格闘戦に備える。
「正面だ、来るぞ」
≪ああ、くそったれ。行ってやる。シーカー・オープン≫
兵装操作スイッチを翼端AAMランチャーにセットし、さらにHMSとのリンクも確認し攻撃に備える。
「・・・トーン来たぞ!撃て!」
≪FOX2、FOX2!・・・MWS正面!敵も撃ってきやがった!ブレイク!≫
EOによって把握している距離はまだ9.5nm、MUDは無いのでAMRAAM・Bやスパロー・Fではない。オーシア軍機でこの距離でIRミサイルを撃てる機種とそのミサイルの種類は極限られている。と言う事はオーシア軍機の片方のF-16はAIM-9Xを装備しているのだろう
「よし、上昇だ。出力を少し絞れ。フレア5パージ用意。タイミングよく放たないと死ぬぞ」
≪・・・了解。敵機も上昇している。だが左右に散っているようだ。かわしたら攻撃に移る≫
ミサイルをギリギリまで引きつけて運動エネルギーを奪い、上手くフレアをばら撒かないとAIM-9Xの赤外線画像シーカーは騙せない。このシーカーは航空機の飛行するときに発する赤外線をも捉えているからだ。カウントを正確に行ない、その時を待つ
「3・・2・・ロール・・Now!」
≪フレアフレアフレア!≫
ロールしながらフレアを5×2の組み合わせで花を咲かせる。蒼空にフレアによる螺旋状の通り道が出来た。一瞬シーカーがそっちを航空機と判断し運動エネルギーを持って40Gの急旋回をする。その直後、シーカーが2機の戦闘機の形をした熱源を発見し、追おうとする。だが、モーターを切らした上での急旋回で運動エネルギーの消耗の激しかったAIM-9Xは追いきれず、失速した
「回避完了。スパイラルダイブで狙え。・・・タリホー、2時方向にF-14、11時方向にF-16XLだ。コンバットブレイク・・・Now!」
≪よーし、あっちも上手く避けたみたいだな。今から喰いついてやる≫
2機の大小の似たような戦闘機は同じく互いの相性に合っている獲物を狙いにかかる。
≪ツク・・!来るぞ!≫
≪OK、・・・ぞ!≫
接近した事で敵機の無線も割り込むようになった。相手の息づかいまでも聞こえるような距離だ。兵器スイッチにスロットルレバーを握っていた左手で手を伸ばす。翼端AAMランチャーのR-73の広角シーカーを起動させて捉えにかかる。だが敵機はスパイラルダイブで深く突っ込みすぎた此方の上方を通って6時方向に抜けていき、旋回戦に入った。HMSでは近すぎて追いきれない。敵機の旋回半径も、此方の旋回半径も似たり寄ったりなのだ。向こうのF-14Dは近代化改修で各所に軽量化と可変翼システムの簡略化・エンジンの更なる能力向上化によって重戦闘機の中でトップクラスの旋回性を誇るSu-30MK・F-15S/MTDやF-22・I-21(PAK FA)に追いついたと言う噂があったが、本当のようだ
(思っていた通りだ。やるな!)
向こうは既に重いスパローを放ち、初撃のミサイル回避でA/Bを使い、燃料を減らして相当身軽になっている筈だ。
「この雄猫め・・・手間かけさせやがる・・・ッ」
徐々に此方が押されてきた。フランカーの様な東側の大型戦闘機用エンジン・AL-31エンジンはデジタル制御(双発だとデジタル化の必要性は薄い。だが西側では反応速度を上げ、尚且つ安全性確保の為にデジタル制御化は進んでいる)でないのが災いし、高速でエンジン出力が変えられない。向こうはF-16のエンジン(F-110エンジン)をそのまま積んだだけはあり、デジタル制御と高出力である事、そして可変翼によって高い旋回性と安定性を維持している。じきに殆ど後方が取られそうになってきた。フランカーシリーズはロールレート(機体回転率、ロールレートが高いと高速でロールが出来る)が低い為シザースが苦手な上に固定された空力形状は格闘戦での有利な速度域を制限するのだ(可変翼機にはその有利な速度域が無い=どんな速度域でも乗り手の思うがままに動かせる)その為、Rocは得意とする中・低速域に入れず実力を出せずにいた。敵機を振り切るには一定以上の速度が必要なのだ。オーバーシュートするのは賭けになる
「クッ・・・完全に喰いつかれたか・・」
≪此方ボリス隊!敵の攻撃を受けている!制空隊助けてくれ!・・・おい敵機だ!伏せろ!≫
≪・・・・ボリス隊がやられた!浮遊物なし!生存者確認できず!≫
≪このファルコン・・・疾い!なんて機動性だ!≫
僚機のMigも敵機に喰らいついてはいるが、決定的な一撃は出せずにいる。F-16XLのダブルデルタ翼の強みである瞬間旋回性能にまったく追いつけていない。その間にも攻略部隊は出血を強いられている。
≪このチェルナミート・・・面白い機体塗装だな。ツクヨミ、もう少し時間を稼ぐぞ≫
≪OK、奴等にジョーカーを切らせるぞ≫
(・・・こいつら、シンファクシの存在を知っているのか?しかし、知っていても手立てなど出来はしない筈だ・・・なんだ?この余裕は)
Rocは急旋回とバレルロール、引き付け回避等といった回避マニューバーで何とかF-14の追跡を振り切ろうと努力していた。敵機の無線に少し違和感を覚える
≪おい、アレを見ろ!SLBMだ!≫
≪馬鹿な!俺たちの真上に落とす気か!?取り舵一杯!機関戦速!≫
≪ウォードッグより全機、緊急上昇!≫
「・・・矢は放たれた・・か」

戦闘空域より80nm北 同時刻
≪・・・確認した。シンファクシのSLBMだ≫
≪・・・B-2よりブラックデスサイズ、アークバード監視状況を≫

アークバード、迎撃レーザー照準確認。迎撃まで30秒。AWACSのLink16に強制割り込み開始


戦闘空・海域から80マイル北にRF-14とそして刹那のファントムⅡとが編隊で周回飛行をしている。2機の役目はノースポイントの作戦司令本部にアークバードの兵器管制状態をリアルタイムで報告する事だった。この管制を行なっているのが「灰色の男達」の宇宙飛行士要員だ。目的は彼らがアークバードをどれだけ扱えるかを探る事だった
≪・・・B-2よりブラックデスサイズ、SLBM落下開始。発射地点に着弾予想。着弾まで15秒。アークバードの状態を≫

アークバード、強制割り込み完了。着弾地点1000ftに高硬度エネルギーレーザー照射開始。迎撃まで5秒・・4・・3・・2・・

≪・・・着弾未確認。迎撃成功の様だ。ブイから映像が送られてきた。解像度を上げて解析する≫
≪・・・確認した、解析開始・・・ああ、素晴らしいね。見事に中心に当てている≫
RF-14の後席のMFDに撃墜の瞬間が映し出される。それはSLBMの弾頭が自らレーザー光線に突っ込む様に映っていた。
≪ブラックデスサイズ、戦術解析結果を≫

・・・スタンバイ・・・。結果が出た。・・・・戦術評価は2.4。扱い慣れ始めたと言う所だろう。これからもっと悪くなる。その前にアレが起爆すれば良いのだが・・・

≪了解だ。撤収を?≫

ネガティブ。アークバードのレーザーモジュールにどれ程の同時対応能力があるのかを調べたい。シンファクシにもっと撃たせるのだ。それまではシンファクシの傍で待機しているAIP潜水艦に音は出させるな

≪Roger、監視続行≫
≪2基目、発射≫

アークバード照準レーザーを確認。迎撃用意の模様


≪弾着まで5・・4・・3・・2・・弾道弾消滅確認。画像チェック≫
≪冷却に問題があるようだな。直径がさっきと比べて2/3だ。明らかにレーザーの出力が落ちている。連続迎撃は2基が限度か≫

赤外線画像受信。アークバードのレーザーモジュールの加熱具合が凄いな。流石ベルカのモンキーモデル。オリジナルやライセンス品とは違うか

アークバードのレーザーはノースオーシアグランダーIG社製の大型戦術高エネルギーレーザーだ。だが、旧ベルカの影響力が強く残っているこの会社は省力化やコストダウンの過程によって意図的に性能を下げた所謂「モンキーモデル」をオーシア軍に提供している。
今回の戦争でオリジナルとの性能の落差は激しく現れた。E-767系列のレーダーの一時的なドップラー・エラーが第三艦隊集結時に一瞬の「大きな隙」を作り、そしてアークバードのレーザーモジュールやミサイルにもその性能の落差は大きい。さっきの初撃も「普通」のAMRAAM・Bなら必中半径内で、確実にRocとその僚機は撃墜出来た距離を外したのだ。ノースポイントの戦闘機に搭載するレーザーやレールガンもベルカ・FCUのTLS・レールガンの設計・技術者を集めて作った所謂「コピー品」であるが戦闘機・戦車・小銃に至るまでコストダウンは量産効果(大量に生産する事で設備投資額は同じでも生産個数あたりの値段を下げる事)で行ない、人件費を下げる為に生産ラインを自動化させ、さらに一体化(基礎・結線・組み込み・組み立て・塗装を全て10m/hのベルトコンベア上でロボットアームによって行ない、歪みなどの修正を5m/hに変速した入れ替え線の修正用ベルトコンベアで行なう)させることで成功させた。
ノースオーシアグランダーIG社はそれとは違って、生産ラインを短く・一体化させた部品を使う事で部品数を減らし「粗悪品」を作り上げる事で全体的にコストを下げている。
後者の方が安上がりで、一体化部品を多用すれば維持費も下がる、「粗悪品」のため耐用年数が短い為部品調達が多く、結局は維持費も前者より高い。さらに性能上限は前者に比べれば「張りの子の虎」である
≪・・・!・・・第3、第4、第5基発射確認!これがシンファクシの本領か。自動装填装置付とはな≫
≪両軍の戦闘機が緊急上昇開始。5~6機は間に合わないでしょう≫

まあ、その間に合わない連中は残念な連中だな。最後まで抗ったって何にもならん。ただ死あるのみ。・・・・アークバード迎撃体制。この内の2基をやるとモジュールがオーバーヒート寸前になるだろう。3分は撃てまい

≪第3弾、弾着5・・4・・3・・2・・消滅確認。・・・・第4弾弾着まで、10秒≫
RF-14の後席の偵察員が冷酷なカウントを始める。彼らは5000ftまで一気に上昇するには明らかにパワー不足な機体がある事に気がついていた。それは低空で対艦攻撃をしていたルーキー達のF-5Eとそれを狙っていたユーク海軍航空隊のF/A-18Cだ
≪4・・3・・2・・弾着・・Now≫
偵察員は遠くに閃光を肉眼で確認し、状況を観察する為にカメラで捉える
≪素晴らしい地獄絵図だ。巻き添え喰らった連中はベイルアウト出来ない様だな。流石粗悪品≫

08:55
≪射出ハンドルが動かない!≫
≪主翼が・・・!墜ちるぅぅ!!≫
≪嫌だ!死にたくない!≫
≪火が・・・火がぁ!!助けてくれ!誰か助けてくれぇ!≫
≪クソッ・・・≫
オーシア軍機もユーク軍機も関係なく吹っ飛ばした散弾ミサイル攻撃に両軍の航空隊は声を失う
≪第5弾は迎撃確認、連射は効かないのか・・・止むを得ん。散弾ミサイルの合間を縫ってでも対艦攻撃を続行せよ≫
≪「止むを得ん」、であの中に突っ込めってのかよ!馬鹿野郎!!≫
「ツクヨミより各機、作戦は終わってないぞ。ウォードッグ、止むを得んだろうと何だろうとさっさと敵艦沈めて来い。さもなくば全員が帰る場所を失う」
≪・・・・・ウォードッグリーダー、Roger。ウォードッグ全機、残弾報告≫
≪エッジ、JDAM残り3基にAIM-9が2基。Gun300ちょっと≫
≪オイラはJDAMが残り1基、AIM-9が3基だ。Gunは使ってない≫
≪アーチャーはJDAM2基、サイドワインダーが1基です。Gunは200程度です≫
「ブラックファントムリーダー、あのスーパーフランカーを頼む。こっちは引き続きMigを引き付けるよ」
≪ブラックファントム1Roger。このスーパーフランカー・・・中々厄介だな≫
ブラックファントムのF-14は最新型ではないSu-37に苦戦していた。最新のSu-37は3次元推力偏向ノズルを搭載し、アビオニスクは最新、コックピットはグラスコックピット化されているがそれは2007年度以降のSu-37、そしてSu-35BMや一部のSu-30mkだけだ。しかし、場合によってはF-15を凌駕するVG翼による高い旋回性能を持つF-14に元より引けを取らない旋回性能を発揮するこの機体はRocの操縦技術と合わせてブラックファントム1と互角に渡り合う。しかし、長距離を飛行した上でCAPによる上空待機、さらに燃料消費の激しい空戦となればいかに長大な航続距離を持つフランカーシリーズでも長くは持たない。ブラックファントム1の二人はそれを計算の内に入れて戦闘を継続していた
≪シーソーゲームだ!どんどん兵器が派手になっていく!ついて行けん!畜生、また形成逆転じゃねえか!≫
≪ウォードッグリーダー、投下・・・命中!・・・弾庫に直撃したようだな、轟沈していく・・・あれでは助からないな・・・≫
≪システム冷却完了。こちらアークバード、対潜哨戒機ブルーハウンドへ。ソノブイデータリンク要請≫
≪スタンバイ、新たなソノブイを投下する。・・・投下!投下!≫
ブルーハウンドが新たにソノブイを大量に投下、と同時にまだ無傷の滑走路からローニンのF-16CJが翼下にGBU-32JDAMをフルで搭載して離陸した
≪随分分散してしまったようね・・・残った部隊は再結集を。攻撃の布陣を整えて。また敵の勢いが増している・・・≫
≪・・・・サンダーヘッドにハンドオーバー、Roger。タワーからAWACSに切り替える。生き延びろよ・・・・サンダーヘッド、ローニンだ。弾薬補給完了し対艦装備で飛んできた。ウォードッグに合流したい。ピクチャーを≫
≪Rogerローニン、15秒待て。ブルーハウンド、Link16はOKだ。いつでも頼む≫
≪こちらアークバード、対潜哨戒機ブルーハウンドへ。ソノブイデータはまだか?≫
≪Roger、今サンダーヘッド経由で送る。どうするんだ?≫
≪発射カウントダウン。5、4、3、2、1≫
≪アークバードのレーザーが海面に落ちた!・・・・水中で破壊音!潜航中のシンファクシを損傷させた様だ・・・・メインタンク排水音!!シンファクシ、浮上する!!!≫
アークバードの蒼いレーザーが海面に着弾。と同時にS-3バイキングのソノブイソナーが拾った音を解析し、状況を全機に送る。その数秒後、シンファクシが急浮上した
≪サンダーヘッドよりローニン、シンファクシが浮上した。他の雑魚には構うな。こいつを潰せ!ピクチャーは以上だ≫
≪ああ、素晴らしいね。簡潔で分かりやすい。ローニン全機、最優先目標に5000ft以上で接近、爆撃するぞ。マスターアームON≫
≪・・・・大きい・・・≫
≪敵潜は潜航不能に陥った模様。各機、攻撃せよ≫
≪敵潜より、艦載機発艦中≫
≪了解、ブルーハウンド待避せよ。全隊、可能であれば敵機を攻撃せよ≫
≪OK、こいつらを追い返したらやってやる。それまで踏ん張れ≫
オーシア側に余裕が出始めた。ユーク側に切り札を失うかもしれないという焦燥感が漂う。そして上空でオーシア軍機に制空権を渡さなかったRoc達の編隊も限界だった。ビンゴフュエル・・・つまり燃料が帰投分しかないと言う事だ
≪クソッ、シンファクシが丸見えだぞ!・・・!!ビンゴフュエル!?≫
≪Rocこれ以上は無理だ!帰投するんだ!艦載機に任せよう!≫
≪クソッ・・・次こそは・・・≫
悔しさをかみ締めながらも2機の異機種間編隊は西へと帰還していく。オーシア側の制空任務機はフリーハンドとなったので、空戦エネルギーで不利であり、それをどうにかしようと上昇しようとするシンファクシの艦載機のF-35CやYak-141に重石のように圧し掛かる。つまり一方的に狙える上空に占位したのだ。
≪必死に足掻こうとしてやがる、だがこっちにとってはダックハントだ。ブラックファントム全機、奴らに温存していたスパローとサイドワインダーの雨をプレゼントしてやれ。ウォードックとローニンを援護する≫
≪ツクヨミRoger。AMRAAMと9Xをタップリ喰らえ≫
≪ウォードッグ、低空に行き過ぎるな。敵潜、散弾ミサイル発射!弾着に備えろ≫
≪ウォードッグ全機、上昇しろ!≫
≪ローニン全機、敵の散弾ミサイルに警戒しろ。衝撃波で姿勢を崩すな!≫

08:57

決まったな、後数分で海の底だ。任務完了、RTB

≪決め付けが早いですね≫
刹那はシンファクシが浮上すると同時に帰投進路を取った。どうやら目標は達成したらしい

何、潜水艦は姿を見せたら負けだ。どれほどSA-13とAAAで防空能力を上げたところで所詮は潜水艦に過ぎない。アドバンテージが無くなればどんな兵器だろうと敗北する。我々も同じだよ。見つかれば長くは持たない。さっさと消えるが吉だ

≪・・・・了解。しかし、結局「そうりゅう」に攻撃命令は出さずじまいですか≫
≪ここまで追尾した燃料代が勿体無いね。どこから捻出するんだろ≫
苦笑しながらRF-14の2人は刹那に言った。シンファクシの後方にいつでも目標を魚雷攻撃できるように待機していたAIP(非大気依存)潜水艦の「そうりゅう」がつきまとっていたのだ。当然ノースオーシアグランダーIG社製兵器のデータが2~3回の発射で取れれば撃沈している所だが、運悪く戦闘中で撃沈すれば怪しまれるのでそれが出来なかった。

それは・・・まあ、然るべき所からとるさ。お前らはまだ残るんだろう?将来の国家戦略に役立てるために

≪ええ、しっかり連中の悲鳴を聞いておきます。それに・・・まだ塵にはなりたくないのでね≫

良い心構えだ。我々戦闘機乗りは、いつ・・・何所の葬式代より高価な機体と共に火葬されるか分かったものではないが、それはサブマリナーも同じだ。奴らの悲鳴も我々が死ぬ時に出す悲鳴とさほど変わらぬ。死を早めたくなければその悲鳴を確り心に刻み込め

≪了解、ちゃんと撮れよ。奴等の悲鳴が聞こえないからな≫

09:00
≪艦型識別表にありません。姿を見せたのは初めてなんだ≫
≪でけぇ。例のミサイルの発射基地なだけはあるな。バケモンが・・・正体を現しやがったな。ブービー、対空火器に気をつけろ!≫
≪分かってる!投弾!・・・艦橋に命中!≫
ブレイズが投下した1000ポンドJDAMは確かに敵艦の艦橋に直撃した。だが、TNT80%とアルミニウム粉末20%を混合したトリトナル炸薬が炸裂しても穴が開かなかった所か、変形しただけだ。
≪まだ生きてるぞ!まだ来るのか!≫
≪・・・この深海用の厚さを誇るハッチに二重外殻か。だが、破れない事は無い筈だ。攻撃続行!集中攻撃で破れ!≫
アークバードの攻撃で3番注排水タンクに大穴が開いてはいるが、敵艦の装甲は厚い。SLBM発射時のみ浅海で待機するのだろう。ローニンは潜水艦には詳しくないものの、その程度の知識はあった。ローニンの編隊のF-16CJ4機が異なる方位から進入する。
≪AAAに気をつけろ。奴等の攻撃を分散させるんだ≫
≪エッジ、0-4-5から進入して攻撃するんだ。チョッパーは1-9-5から、アーチャーは3-2-5から進入してくれ。高度に注意しろ。敵は12ktで東進中。見越して投下するんだ≫
≪あのSLBM発射口は脆い筈・・・あそこに集中しましょう!≫
エッジが開こうとするSLBM発射管を見ながら言った。それはもうすぐこの戦闘での通算第7弾が発射されるという意味だ。
≪今だ、突っ込め!真っ直ぐに、全速だ!≫
≪ウォードッグ全機、目標に殺到しろ!同時に投下してこれ以上撃たせるな!≫
≪捉えた・・・自動投弾スタンバイ≫
≪奴の左舷後方の弾幕が濃い・・・サンダーヘッドよりチョッパー、投弾中止しろ≫
≪Roger!SA-13をそのまま使っているのか、こいつは。道理でRWRに反応が無いと思ったぜ!≫
≪SAMに気をつけろ、命中精度はさほど高くないから無駄に動くな!≫
防空火器のSA-13とCIWSが同時に接近するオーシア軍機に火を噴く、SA-13はフレアで紛らわし、CIWSの弾幕も射出式デコイで何とか避ける
≪3・・2・・1・・エッジ投弾!ブレイク!≫
≪これで黙ってくれよ!アーチャー投弾!・・・ッッ!SAMの至近食らいました!飛行に支障ありません≫
≪ローニン1、投弾。・・・ローニン4、ミサイルだ!投弾中止!≫
≪ブレイズ、一個投下。残弾数1基≫
ほぼ同時に複数機がJDAMを投下、何基かがCIWSの迎撃弾幕で撃墜されたが3基が目標に殺到する。
ドドドンッ!
≪命中、破壊確認!CIWSの弾幕が途切れた、チョッパー突撃する!≫
≪ローニン4、行け!SA-13は再装填中だ!≫
濃密な弾幕の僅かな隙を突いて、チョッパーのF-14とローニンの部下のF-16CJが突撃する。敵艦のSAMはやっつけ仕事で取り付けた様な格納式のSA-13対空ミサイルだ。ユーク軍の予算削減の煽りを受けた結果だろう。(元より潜水艦に高い防空能力は必要ない)
≪チョッパー投弾!≫
≪ローニン4、投弾!≫
2機の投下したJDAMは同じく弾切れを起こした一部のCIWSの射角から何の迎撃も受けずに爆発するSLBM発射口の傍の艦橋に落ちていく。もはや成す術が無いシンファクシはそのまま受けるしかなかった
ガンッ!ドンッ!!
≪宇宙からあの鳥がにらんでいるんですね・・・≫
≪ええ・・・私たちは攻撃を続行しましょう。敵艦の艦橋の破壊を確認。もう一息!≫
≪アークバードがレーザーを発射する。目標上空から退避せよ!≫
サンダーヘッドが作戦行動中の全機に伝達し、その数秒後高空から蒼いレーザーがシンファクシの艦載機発進口に直撃する
≪レーザー命中!大破口!艦載機発進不能に陥った模様!≫
≪よし。残弾に余裕のある者は大破口に全弾叩き込み、止めを刺せ。此処を奴の墓場にしてやれ≫
≪ウォードッグリーダーRoger!エッジ、アーチャー、行くぞ≫
≪OK≫
≪了解です!投弾針路オールグリーン!≫
とうとう全てのCIWSが弾切れに陥り、シンファクシは何としても逃げようと必死に舵を切る。しかし、艦内の浸水は酷く、既にどうしようもなかった。燃料が海面に一筋の航跡をつけながら、艦の安全の為に既に原子炉には制御棒が入り、非常用の予備の機関の出力も半分以下、艦内は有毒ガスと冷たい海水が容赦無く乗員に襲い掛かり、被弾箇所は立ち入れられないほどの高温と化し、乗員の1/3は既に息絶えている。
≪ブレイズ、投下≫
≪エッジ投下≫
≪アーチャー、投下!!≫
3機から投下されたJDAMは新たに目標表示が成された座標に向け、GBU-32を投下する。何の妨害も受けずにJDAM1000ポンド級爆弾は指定された座標に向けて落ちていった
ガァンッ!ドォン!グワンッ!
≪命中確認!敵潜機関停止!大量に浸水している。長くは持たないだろう≫
ブルーハウンドが冷静に状況を確認する。JDAMは艦載機格納庫を破壊し、残り2基が予備の機関室と艦底部分を破壊した。サンダーヘッドは沈み行くシンファクシをレーダー上で確認し、揚陸艦隊も急速転進しているのを確認し、勝利宣言をした
≪敵揚陸艦隊が撤退していく。良くやった諸君。防衛成功だ≫


後に艦内の原子炉管理室から見つかった遺留品の防水バックの中から見つかったメモにはそれまでの交戦状況と被害状況が記されていた。メモの最後に家族への別れの言葉と共にこう記されていた

「今まで止まっていた蝿が、まるで鷹に変」

と、途中で切れている事からこれを書いた乗員の最期はメモに書いていたが浸水によってそれを止め、排水作業中に死亡したと言う事が伺える。もし、サンド島部隊を撃退したとしても、彼は助からなかっただろう。何故なら、原子炉が停止させたので全体には影響無かったが、レーザーの被弾で放射能漏れを起こし、彼はいの一番にそれを浴びたからだ

To Be Countinue…
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