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第2話:異変の始まり

サンド島 9月19日 06:40
「まだ俺たちは走るのかよ・・・かれこれ1時間30分はランニングしてるぞ・・・・」
「そこ、愚痴ってる暇があったら足を動かせ!ペースダウンするなら基地15周追加するぞ!まだ32周目だろうが」
「俺たちは陸軍じゃねんだよ、バカ野郎・・・・」
「パイロットに必要なのはスタミナと耐G能力、そして過酷な環境下での判断能力だ。歩兵以上に走る必要があるんだよ。わかったら黙って走れ」
部下が新兵と並走しののしりながらペースを維持させる。一日はこの基地ランニング40周(教導側は50周)から始まるように刹那は仕組んだ。初日の飛び方を見てスタミナが足りないと見たのだ。
「チョッパー、本当にお前ペースダウンしてるぞ。もっと上げろよ」
「うっせ!ブレイズはこれで俺を何周抜かしたんだよ?」
「エッジと同じで、4周抜かしだな。最後尾は7周抜かしだ」
「・・・・図体とは違ってお喋りは達者でも、走りは弱いのね」
朝日が昇り始めた中で、走らせる事で眠気を取り、体を暖まらせてスタミナを付けさせると言う目論見だ。と言っても、此処までするのは報酬をより多く貰う為にこいつらを鍛え上げる事だった。金がなければ装備品を整備し、部品や武器弾薬を新規調達する事は出来ない。
「明後日が我々の最終日なんだからな。お前らがしっかりして貰わねば、こちらが困る」
「しかしあの二人は早いな。あと4周で終わりか」
「ただ二人とも体力的に余裕はなさそうですね。016の方が引っ張っている感じです」
セイバー隊の隊員たちは先頭を走る二人の新兵を見て雑談しながら45周目に入った。刹那は既にラストの50周目も終わりに入っている。息は軽く上がった程度で黙々と走り込む。ついにゴールにたどり着くと、すぐさまタオルで汗を拭きとる。次は「人間洗濯機」こと耐G訓練の装置に乗り込む。最大8Gまで体験できる装置だが、無駄な脂肪は当然だが、戦闘に不必要な筋肉および血管の一部(バイパス手術で心臓から強力な力で脳に手術前と同じ量の血液を送る様にしてある)をを削ぎ落とした刹那にとっては大したものではない。だが他の人間ならば拷問に等しい。しかしこれを耐えねば数日間で中堅並の実力を付ける事は無理だ。
「おいナガセ!しっかりしろ!」
大声を遠くから聞き、そちらの方をチラッと見ると刹那は飲もうと思ったミネラルウォーターのペットボトルと冷えたタオルを持って駆けだした。軽く舌打ちしながら・・・「す・・いま・・せん・・・」
ナガセは謝りつつもエイノに肩を持たれてなんとか歩いていた。
「・・・ハァ・・・」
目の前で溜息が聞こえる。そこには走り終えて既に小休止を取っているはずの刹那の姿があった。手にはペットボトル2本とタオルがある
「あ・・・あのっ・・・」
エイノは高圧的な態度を取っている刹那に懇願するように言い出すが、刹那はナガセにタオルを頭からかけ、少し飲ませて背中に背負ってハンガーへ連れて行こうとする。目で「お前も来い」とジェスチャーしていた。
(・・・気まずいなあ・・・無理して走ってたのがばれちゃったよ・・・・)
エイノも軽い脱水症状を起こしていた。二人はこれまでより少しペースを速めて走っていた。ハンガーまで来ると彼女をベンチの上に座らせ、タオルでペットボトルを包み込んで首に当て、もう一本を口を開けさせて少し飲ませる。刹那はメモ用紙に書いてエイノに自分のペットボトルと共に渡し、まだ動き足りないのか軽いランニングで兵舎に向かった。

貴様も私のだがペットボトルの水を飲め。一段落したら同室の貴様が彼女を部屋に連れて行って彼女が完全な状態になるまで一緒に休め。中度の脱水症状だから、医務室に連れて行くほど深刻じゃない。私が先に貴様等の部屋のエアコンをつけておく。(これは命令だ。違反した場合ACMの回数を2回増やすので、必ず実行する事)

紙を見て、何時の間に自分と彼女が同室なのかを調べたのかが気になった。だが、言われた通りにするしかなかった。ACMの回数を増やされた日には確実に翌日は起き上がれないだろう
「何でもお見通しなんだな・・・・」
「そうね・・・本当に・・・」
彼女がまだ熱を発散しきっていない体でしゃべった。
「ケイ、あまり喋らなくて良いよ。無茶はして欲しくない」
「それは・・・そっちもでしょ・・・何で私のペースに合わせたのよ」
一瞬、ギクッとする。あのペースだったら走り慣れてなければ100%倒れるに決まっている。彼女とはハイスクールまで同級生の幼馴染みだった。ほっとけなかったが本心だが、子供と保護者のような関係では無い
「それは・・・・・君には負けたくなかったから・・・」
「嘘吐き、別にあるんでしょ?」
こう言う時に女の直感とは恐ろしいほど的中する。
「ほ、本当だよ・・・それより、そろそろ行こうよ。ここも暑くなってくるし・・・・ね?」
「ふーん・・・じゃあ、肩貸して・・・」

サンド島 ブリーフィングルーム 08:10
その暗い部屋では外では休憩中の隊員が居る中で士官・下士官と刹那の間で重要な話が行われていた
「では・・・君の所に入っている情報ではオーシア・ユークを中心に第三者の手による不穏な動きがあると?」
ハミルトンが刹那に質す様に言う。刹那はそれをメモに書いて答える。

そうです。今回此処やユークの最前線基地に呼ばれたのも、貴国の大統領とユーク首相からからの依頼です。もしかしたら二国間で取り返しのつかない事態が起きるのではとの大統領閣下は懸念をしています。既に第1・第2・第3艦隊の一部はサンド島を中心に展開しつつあります。ユークの海軍部隊もそれに応じて一部がラーズグリーズ海峡から南下しています。どちらも表向きは共同訓練としてはいますが、雲行きは非常に怪しい。すでにユーク・シーニグラードでは空気が変わったと我が私兵が報告しています。"何か"が起きてるのは確かです

「しかし、仮にそれが本当だとしても・・・なぜ我々に?」
サンダーヘッドが新たな質問を向けて来た。

あなた方の内に喩えスパイが居るとしても、此処は最前線基地です。何かあれば呉越同舟も同然・・・その取り返しのつかない事態が発生した場合、何らかの対策が講じられるでしょう。それが為されれば、私が捕らえるべき人物・・・そやつはそれに何かトラップを仕掛けなければなりません。我々はそのスパイを断定し、両国の合意の下、そして非公式に拘束する準備が出来ています。その被疑者のリストの内には両国の政府高官や将軍級の軍人、大企業の社長からあなた方の様な下の方の士官や民間人までもが入っています。それの捜索はその事態が収拾するまで・・・否、彼等が壊滅するまで続くでしょう

「つまり、この教導任務とは・・・この"取り返しのつかない事態"を最前線での紛争単位で済ませようとしているんだな?新兵達や俺達をおっ死なせて」
バートレットが手っ取り早くまとめる。つまり、両国の冷え切った緊張関係だがユーク側は何時でも臨戦態勢を取っていた。それに対しオーシア側の用意はゼロに等しい。これではオーシアが簡単に突破される。そこで刹那はユークにもある程度の教導任務をすることでユークの顔を立てて、本命のサンド島の新兵達をそれに勝るくらいまで錬度を上げる事だった。それにより、どちらかが先に攻めたとしても装備の劣るサンド島側は相手基地を攻めきれない。逆に敵部隊は防空体制ではオーシアの方が上である。それを利用して両国が衝突した場合に犠牲を最小限にするという事だ。増援を送るにしても、時間がかかる上に両方の基地とも設備や広さが冷戦期より小規模化している為多くは送れない。海軍部隊も総数はオーシア有利だが、ユークの新兵器がその数を減らすと刹那は見ている

「ふむ・・・だとしても、君はどんな敵を捕らえようとしているのかね?まるでその敵が見えない」
おやじさんが突っ込む様に刹那に聞く。刹那は新たなメモ用紙を使って書いて渡した。

あなたがそれを良く知っている相手です。特務少尉・・・いや元ベルカ空軍「凶鳥フュッケバイン」殿と言った方が合ってるでしょう。あなたの"本当の経歴"を調べさせて頂きましたよ。まあ、此処に居る全ての人間がそれを知っているはずですが

「!・・・やれやれだね、全て君にはお見通しか。黒い死神。そうだね、私が良く知る集団・・・[灰色の男達]かな?」
御名答とでも言いたげな微笑みを顔に浮かせて刹那は座っていた椅子にさらに深く腰掛けた。

その通り、私の情報網に引っかからない奴なんて存在しない。彼等の目的は「強いベルカの再構築」です。奴等は死を畏れず、手も長い。此方は友軍を必要としています。間接的あるいは直接的に相互援助が可能な援軍を重要視しています。そこで、軍部の動きに関係なく動き回れる軍人を必要としている訳です。特にバートレット大尉の様な人物は最適です

「なーるほど、俺に回ってきたか。しかし、俺が断ったら?」
バートレットは刹那に質問をぶつける。彼は即座に書いて答えた

他を当たりますよ。あなたに似た境遇を持ち、あなたより権力を持っている人間なら他にもいます。しかし、あなた方の良く知る人物がどうなっても私の知った事ではありませんよ?


ユークトバニア シーニグラード 首相官邸 14:20
「はい、ええ。いえ!そんな事はありません。我が政府としましてもこの件は穏便に済ませたいと・・・」
ユークトバニアの首脳部たるこの官邸の首相執務室ではホットラインによる電話会談が行われていた。相手はハーリング大統領、そしてこのホットラインを持っているのはユークトバニア首相・ニカノールだ。しかし、その執務室に黒のタクティカル・スーツを着た兵士たちが天井の排気ダクトからビゾンSMGを持って執務室に近づきつつあった
「ええ、そうです。はい・・・そうでしたら、こう言うのはどうでしょうか。両国の高官が両国の海軍部隊の撤収を確認すると言うのは・・・はい・・・勿論融和政策を変える心算は一切ありません。はい・・・では・・・」
ニカノールがホットラインを切って、秘書を呼ぶブザーを押す。ノックをして入って来た秘書に通達事項を言おうとしたとき、彼は信じがたい光景を見る。
「!?な、何だね、君たちは!?」
そこには黒のタクティカルスーツを着た兵士が、秘書を拘束し、此方に銃口を向けているところだった。
「いや、何でもありませんよ。ただ少し外の空気を吸われた方が宜しいのでは無いかと思いましてな」
彼等が道を開け、歩いてきたのは同じ服装をした隊長と思わしき人物だった。そのマークは自国の特殊部隊のマークだった。
       スペツナズ
「参謀本部特殊部隊!?いったい何の目的で此処に来たのだ!?」
ニカノールが追求しようとするが、彼はククッと嘲笑した。
「先程も申し上げた通り、外の空気を吸われた方が宜しいのではと我々は思いましてね。では一緒に参りましょうか。無駄に抵抗すれば犠牲者が増えるだけですぞ?」
彼は指を鳴らして兵士にもう1人連れて来させた。そいつには無駄に叫べない様に口に猿轡をはめてある
「ナスターシャ少佐!?」
「・・・ッ!」
外で護衛についていた陸軍情報部のナスターシャも拘束されていた。彼女はニカノールの片腕でもある。
「では、首相閣下をお連れしろ」
「何をする!離せ!」
ニカノールはジタバタと抵抗するが屈強な男2人に取り押さえられる。手錠をかけられ、猿轡をつけて、目隠しをされる。
「・・・ちょろいものだな。こうも簡単にいくとは・・・?」
その隊長が外に目をやると、ロープが上から垂れ下がっていた。次の瞬間、窓ガラスに急接近してくる兵士を見る。
ガシャアン!ガシャアン!ガシャアン!ガシャアン!
「!?チィッ!」
窓ガラスが割られ、別の黒いタクティカル・スーツの兵士が侵入してくる。咄嗟に隊長はニカノールを盾に取った。突入してきた兵士は、SIG・P226サイレンサーを片手で射撃する
パスッ!パスッ!パスッ!パスッパスッ!パスッパスッパスッ!
その隊長と二人を拘束していたスペツナズ兵を除き、スペツナズ全員が被弾する。撃たれたスペツナズ全員が脚部と腕を撃ち抜かれていた。どうやら殺す気はないらしい。
「武器を置き、人質を解放して投降しろ!貴様の負けだ!」
威圧的なユーク語を発するその兵士だが、腕の国籍マークにはノースポイントのが刺繡されていた。
  特殊作戦グループ
「フン、SFGpか。遥々ノースポイントからこんな野郎を護衛しに来たのか?」
ニカノールのこめかみにMp443を突きつけ、嘲笑しながら言った
「それ以上喋ったら貴様の口が吹っ飛ぶぞ」
「その前にこいつの脳味噌が飛び散るさ。試してみるか!?」
ノースポイント兵の1人がXM8そっくりの01式カービンライフルに持ち替えて言うと、隊長はさらに強く拳銃の銃口をこめかみに押し付けた。他の隊員も一人ずつ銃を素早く持ち替える。
「やってみろよ・・・やってみろと言ってるんだ!
                               ウェポンズフリー
「そんなに言うんだったら、やってやるよ。002、004、射撃を許可する
ドドンッ!ドンッ!ドンッ!
2人のノースポイント兵が発砲、秘書とナスターシャを盾にしていた兵士の武器を持った手と、反対側の腕を撃ち抜いた。
「ッッ!!」
「どうした?そちらの望むとおりにやって見せたぞ?」
じりじりっと、スペツナズの隊長は後退する。ドアまで来た瞬間、ナスターシャの手錠を摑んでノースポイント兵の方へと押した。彼女は瞬間的にノースポイント兵の全員の射線上に立ってしまった。と同時にそいつはニカノールを連れて走り去った。部下がすぐに飛び出して左右に銃を構えたが誰もいない
≪駄目です隊長。首相を連れて逃げられました≫
「そうか・・・大丈夫ですか、少佐?」
ノースポイントの隊長は、ナスターシャを拘束から解放しながら言った
「ええ・・・大丈夫・・・ごめんなさいね・・・役に立てなくて・・・折角あなた達を呼び寄せたと言うのに・・・」
申し訳無さそうに言う彼女にノースポイントの隊長は笑って言った。
「いえ、生きていれば再起を図れますよ。あなたは軍務に戻ってください。我々は1分隊をだして奴等の追跡を行います。刹那中佐のARCチーム4分隊と残り2分隊はセーフハウスで待機していますのでいつでも呼んで下さい。上からは其方の指揮下に入る様指示を受けていますので」

To Be Countinue…
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コメント

Re: コメント
> 書き込むのは久しぶりですね、更新ごとに拝見させていただいてましたが、
> 最近多忙でコメントを書き込めず、失礼しました。
> さておき、新章突入ですね、刹那君の道のりはまだまだ遠いですね、長期執筆、大変でしょうが、お体には気をつけて。
コメント有り難うございます!刹那にとっては「灰色」の動きはあまりにも電撃的で追い詰められます。そこから刹那すら「想定外の援軍」で徐々に追い返していくと言うシナリオと言う感じになりますので宜しくお願いしますm(_ _)m
> 追伸 リレー小説はあんな感じで良いですか?
勿論逸脱していなかった様なので十分OKですよ!Σd(`・д・´) 
「あーこりゃ失敗だったかな・・・(´・ω・`)」と最近考えていたので、書いて頂いてとても嬉しいです!
コメント
書き込むのは久しぶりですね、更新ごとに拝見させていただいてましたが、
最近多忙でコメントを書き込めず、失礼しました。
さておき、新章突入ですね、刹那君の道のりはまだまだ遠いですね、長期執筆、大変でしょうが、お体には気をつけて。

追伸 リレー小説はあんな感じで良いですか?

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