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外伝: 血の代償・2

アナトリア 自由エルジア占領地上空 22:00
≪この野郎!墜ちやがれ!≫
≪レッド4!深追いはよせ!≫
≪五月蠅い南雲!!こいつだけは!≫
≪レッド4後ろだ!ブレイクしろ!≫
≪言わんこっちゃない!≫
南雲のSu-33はレッド4のF-15の後方に張り付いたmig-21を追った。だが、後方警戒しているようには見えない。それ以前に"人が乗っているように感じない機動"しかしていない上に、撃墜した敵機から搭乗員が脱出していない。まるでゴーストを撃っている気分だ。
≪・・・良し、ロックオン!≫
R-73がロックオンしたことを示す高いトーン音が響き、敵機を正面にとらえる。それでも敵は逃げようとはしない。いや、レッド4に極度なまでに張り付いている。あれでは発砲したら巻き添えを喰らう筈だ。逆にいえばレッド4の事を鑑みれば、撃つ事が出来ないほど近接している。しかし、撃たねばレッド4は喰われるのは必至だ。いくらかそのリスクを減らしての攻撃を考えた。
≪レッド4!左にブレイクしろ!レッド1FOX2!≫
レッド4は言われたとおりに左に急旋回を始めた。敵機もそれに喰い付いている。フレアを撒いているが回避のかの字も無い。
≪無理だ!食い付いて離れない!畜生!助けてくれ!たすっ――≫
ガキュ!ガガガガガッ!ドンッ!
≪レッド4!!≫
R-73が着弾するよりも早く、敵機の機銃弾がコックピットとエンジンを襲った。出力最大のままだったエンジンは火を噴き、フレアもばら撒かれていた事もありミサイルはそちらへと吸い込まれる
ボンッ!
近接信管が作動し、レッド4の機体は火の玉となり、地上へと向かって墜ちていく。
≪・・・ンの野郎!≫
南雲は速度を得たままその敵機に急接近、ミサイルの最小有効射程まで近づく。
≪墜ちろ!Fox2!≫
R-73が敵機に吸い込まれていく。だが、敵機は急降下して基地に向けてアフターバーナーで接近する。その先にはVADS(M61A1・20mmバルカン砲の砲身を使用した対空火器、バージョンにもよるが高速飛行する戦闘機に見越し射撃を加えることも可能)対空砲が弾幕を張る為に過剰と思えるほど撃ちまくっていた。しかし、基地にたどり着く前にミサイルは近接信管を作動させた。
≪やった!スプラッシュ・・・・!?≫
敵機は何を思ったのか、被弾してエンジン・被弾箇所から火を吹いているというのに機関砲でVADSと真正面から撃ち合った。普通なら脱出体制を整えるところなのだが・・・
≪突っ込んでくるぞ!退避!退避ーッ!≫
≪12番対空砲に敵機が突っ込むぞ!13番も退避しろ!巻き込まれる!≫
地上の悲痛な悲鳴、どうにかしてやりたいがこれ以上接近すれば自分も巻き添えだ。南雲は反転するしかなかった。だが、地上の対空火器を操る要員は昂奮状態で敵機を落とす事しか考えられないのか、退避しない。
≪何やってる!退避だ!退避するんだ!・・・・駄目だ!伏せろぉ!!≫
ドンッ!!
対空戦闘を指揮する高射中隊長が叫ぶ。南雲は首が金縛りにあったように、まるで動かせずに真っ直ぐそれを見た。敵機は12番VADSに直撃、操作要員の全身が千切れ飛ぶのが一瞬見えたが炎に包まれた。バイザーを下げ、空戦に集中する為に上空に上がった。
≪・・・何てこった・・・レッド1よりレッド中隊全機、損害報告≫
≪レッド4・6・8・9・12が被撃墜、2・3・7が被弾しています。敵機は残り2機ですが、撤退する気配はありません。現在確認できている敵機ではありますが・・・!?何だこれ――≫
報告していたレッド5の機体が突然火の玉と化した。
≪敵の増援だ!・・・ウワァ!≫
レッド13が叫ぶが、此方も同様に被弾する。
≪何だ!?何所から・・・!・・・・嘘だろ・・・・?≫
レーダー画面を見て愕然とする。敵機の高度は75000フィート、到底此方の攻撃は届かない。まるで聳え立つ壁だ。
ビイイイイイイイ!
≪!クソッ!!≫
MWS(ミサイル接近警報装置)のヒステリックな警告を受け、チャフを撒いてかわそうとする。ECM(電子妨害装置、電波をを妨害する電波を発する。これの対抗手段にECCMがあるが、一定の周波数の妨害を行なう為に平時に於けるエレント※電子情報収集※が重要になる)も最大出力にした。だが、それは逆効果であることに気が付いた。最近のBVR対空ミサイルはECMを探知し、そちらに向かう様になっている。即座にECM出力を下げ、ミサイルに平行になるようにレフトターンし、さらにインメルマンターンをする。主な対空ミサイルに搭載されるドップラーレーダーなら進行方向と向かってくるミサイルとの角度が水平方向に垂直ならばそれをターゲットとは捕らえないのだ。さらにインメルマンターンの頂点でチャフを散布し、自機がチャフの雨の中にいるように見せかけた。
ドンッ!
≪クッ!≫
ミサイルは直ぐ傍で起爆したものの、大したダメージは無かった。だが、レッド中隊は南雲を残し文字通り全滅した。
≪レッド中隊は全滅状態だ。ブラック中隊、そちらはどうか?≫
≪此方も攻撃を受けて5機喰われたが、まだ10機いる。大丈夫だ、まだ戦えるよ。敵機は・・・・引き揚げるみたいだな。距離を取っている≫
≪・・・・了解、基地に先導する≫
残存機を纏め、基地へ帰還しようと高度を下げ始める。長かった夜の邀撃戦闘が終わった。と、誰もが安心していた。その時ブラック2のSu-27SMの警報が鳴った。レーダーに反応があったことを示す警報だ。
ピーッピッピ!
≪・・・マジかよ・・・全機!後方警戒レーダーに感!高度38000!6時方向!距離15nm!まったく気付かなかった!ロックオンされている!ブレイクだ!ブレイクしろ!≫
操縦桿を一気に捻り、左に旋回しだすと同時に全機に警告を発する。
≪何だと!?こっちのRWR(パッシヴ式のレーダー波警報装置、レーダー波を拾うと反応する)には何も・・・MWSに感!?ミサイルだ!畜生まったくRWRに反応無かったぞ!何時の間にロックオンされたんだ!≫
一瞬の遅れを取った編隊は、迫ってくるミサイルを確認してから回避運動を取った。その瞬間、既に頭上にミサイルが見えていた。編隊の200m手前で自爆し、曳光弾か照明弾の様な何かをタコの足の様に広がる。それは先頭の南雲とブラック1と回避行動を早く取ったブラック2には見えなかった。
≪何だこれは!?≫
≪主翼に絡みついた!?・・・火だ!機体に火が点きやがった!消火装置が作動しないぞ!≫
≪右エンジンに何かを吸い込んだ!訳がわからん!どうなっている!?右エンジンが異常燃焼を起こしてやがる!≫
≪何だこれは!機体に纏わり付いて来るぞ!!≫
僚機は困惑し、機体に絡みついた"光る何か"を振り落とそうとするが、深刻な事態になったことが理解できていない。"それ"は燃える黄燐で、常温ではショックで自然発火するものだ。炸裂するまで冷凍保存されていて燃え尽きるまで2~30分程かかる薄い楕円状の塊だ。しかも中心には磁石があり、金属製の物体に触れると800ノーチカルマイルの風圧にも耐えられるほどの磁力を持つもの入っている。黄燐は金属片(紫燐は黄燐に鉛を入れて加熱する)が混ざられており、磁力はそれを通じ、金属性物体に張り付くと言う代物だ。
≪駄目だ!まるで消えない!畜生!電気系統が全滅したぞ!≫
一度燃え出した黄燐は風圧では消せない。急激に冷却するか、水に入れなければ駄目なのだ。しかも戦闘機ほどの高速性を持つものが高速で飛ぶと空気抵抗によって加熱される。(戦闘機の速度がマッハ2~2.5の間で留まっている原因はこの空気抵抗による機体の発熱。いわゆる"熱の壁"と呼ばれるものだ。戦闘機を製作・製造するに当たっての3つの壁とは音の壁(機体設計時における空力設計)・熱の壁(耐熱性と高い強度そして軽量の材質)・金の壁(国力に合ったコスト)と呼ばれている)
≪主翼が・・・助けて!助けて!!助けて!!!たす―――≫
≪嫌だ!嫌だ!嫌だぁ!こんな・・・こんな終わりなんて嫌だ!誰k――≫
≪なんて事だ・・・≫
≪フフフ・・・戦闘機乗りのくせして空中でバラバラになるのがそんなに嫌か?≫
≪!?≫
味方が空中で爆発する中、敵からの通信が流れ込んでくる。どうやらオープンチャンネルのようだ。
≪てんめえ・・・・≫
≪かかって来いよ、この空は我々の物だ。貴様等にやっていては汚れる≫
  ブ
≪打ち殺す!そこを動くんじゃねえ!!≫
≪ま、待て!挑発に乗るんじゃな・・・≫
ブラック2が大声を張り上げて敵機に猪突する。
≪お馬鹿さんだなあ・・・エースブレイカー、"二発目を突っ込ませろ"≫
視界の端に何かが映った。月明かりに照らされた蒼い何かがブラック2に殺到する
≪!?ブラック2!ブレイクしろ!≫
≪あ゛ぁ!?何――≫
ゴキュッ!!
≪ブラック2!≫
それはブラック2のSu-27のコックピットを一気に貫通した。ブラック2を貫いたそれは、空中から突然湧いて来た様にも見えた。
≪魔弾・・・!?≫
ブラック1の零した言葉、その直後彼の機体もその蒼い妖しく光る何かに肉薄していた事に気がついた。それは自身と平行するように滑空していた。
≪三発目、攻撃≫
ボッ
≪!?≫
それは敵の声に応じるかのごとくモーターを作動させ、此方に突っ込んで来た。
≪――馬鹿な≫
ブラック1の状況を理解しようとしていた思考はそこで途切れた。ミサイルの弾頭がブラック1の肉体ごと引きちぎったのだ。
≪何だ・・・これは・・・≫
一人残った南雲はいきなり行動不能になった僚機を見て愕然とした。
≪驚いたろ。まさか"ミサイルが空中で待ち伏せ"しているとは思うまい≫
2段推進装置を持つ零式奮進弾、射程を犠牲にするが一段目推進装置を使い切った後にそのまま敵から距離をあまり取らずに滑空させ、母機の指示で2段目を作動させそこでシーカーを覚醒させて攻撃する。高度なAIが搭乗員の指示を受けるまで待っていたのだ。
≪四発目、攻撃≫
≪!!≫
咄嗟に回避行動を取るが、何も起こらなかった。
≪何の真似だ・・・・?・・・!≫
基地上空にあの凧の足が拡散していた。そこは、弾薬庫の真上だった。
≪まさか・・・≫
≪何だ・・・これは・・・≫
≪火だ!弾薬庫に火が点いたぞ!≫
≪消化班急げ!早くしろ!!≫
地上が慌しく動く。だがそれよりも早く弾薬に引火した。
ドン!!
弾薬が炸裂し、消火しようとしたりしていた地上の人間は殆どが火に消える結果となった。その爆発は滑走路まで届いた
≪これでお前の帰る場所はなくなったな。さあ、どうする?どうするんだ?≫
≪・・・てめえ・・・≫
スロットルをA/Bに叩き込み、一気に迫る。敵機も増槽を落として此方に迫る。
≪墜やがれ!FOX2!FOX2!≫
2発のR-73を放ち、敵に向ける。後残っているのはR-73が1発だけだ。
≪五発目・六発目、防御迎撃≫
はっきりとして来た敵のシルエット、F-4のシルエットの左右から蒼い何かが突っ込みR-73の目の前で起爆した。その破片と球体状の小さな鉄球がR-73のシーカーとカナードを破砕し、爆風で本体が大破した。
≪まだまだァ!FOX2!FOX2!≫
HUDの数字が1.5マイルを示した瞬間に最後の一発を放つ。
≪七発目、防御迎撃≫
今度は敵の下方から蒼い何かが発射したR-73を突き上げるように突っ込み、直撃し爆発させる。
≪んにゃろう!≫
≪フッ!≫
爆発を煙幕代わりに敵機はそのまま突っ込んで来る。此方が機銃を放つ直前にバレルロールを決めて、攻撃をサラリとかわす。相手はかなりのできる。旋回半径を抑えつつ、円周のように回り続ける。その瞬間、F-4は何かを投下していた。しかし、南雲は頭に血が上っていて気付かない
≪逃がすものか!≫
≪・・・・≫
南雲は完全に敵が中途半端な数のAAMしか撃っていない事に気が付いていなかった。じきに南雲のSu-33が敵機を捉える。敵機の動きは少し緩慢になっていた。
≪もう少し・・・もう少しだ・・・!よし、ドンピシャ!・・・ふざけやがってこのクソヤロウ!≫
ガンレティクルに収まり、後ろを取った心の余裕からか、直ぐには撃たずに攻撃する直前で相手は静かに言った。もし、この僅か0.5秒程度の間が無ければ、確実に撃墜できていた
≪八発目、攻撃≫
≪・・・!?≫
突如、右下方からの圧迫感を感じた。殺意を感じ取ったのだった。とっさにA/Bにスロットルを入れる。と同時に左にバレルロールするよう操縦桿を左手前に引いた。
≪駄目だ!間に合わない!≫
止む終えずイジェクションレバーを引いた。
≪!近すぎる!自爆させろ!エースブレイカー!!≫
脱出する直前に敵の声がスピーカーに響いた。直後、脱出時の加速Gで気を失った。
ドオン・・・
パラシュートが開くと同時に、爆発音が聞こえた。真下で自分のSu-33が火を吹いて墜ちて行く。
「くそっ・・・」
南雲は自身の心の余裕から生んだ隙を恨んで歯軋りした。敵機は煙も吹いていないが、撃墜確認もせずに帰還した

1月11日 08:25
「・・・!」
刹那は病室で目が覚めた。否、気がついたと言った方が正しい。ガバッと起き上がる
「ああ、気が付かれましたか。すいません、ドクターを」
「はい」
「・・・!!・・・!?」
ここではじめて自身の異変に気づいた。いくら声を出そうとしても、出てくるのは呼気ばかりだ。
「隊長、無理しないでください。あなたは首に重傷を負っていたんですから。あと2mmで頸動脈でしたよ」
「!?」
咄嗟に首に触れる。そこには医療用の包帯が巻かれていた。そこでようやく昨夜起きたことを思い返す。そう、最後の一機を撃墜する直前にあまりにもその距離が近かったのだ。その内の破片が自身の首の気道を声帯ごと掻っ切ったと言う事らしい。エースブレイカーの記録からその瞬間に刹那は爆風で気絶していたそうだ。風防の半分以上が割れていたとその部下から聞く
「はい、無理しないで下さいね。ちょっと眩しいですよ」
ドクターが駆けつけ、ライトを両目に当てる。次に脈等を測り、異常がない旨を看護師に告げる。刹那はドクターの腕をつかむ。
「ん?何か?おい、君。何か書くものを」
看護師からメモとペンををもらい、サラサラと書ききる。

声は戻りますか?(要注:人工声帯以外の方法で)

帰ってくるのは無常の声だった
「・・・無理です。あなたの声帯はほぼ完璧に破壊されています。回復は不可能です」
溜息を吐きつつ、さらに書いて渡す。

退院は何時になりますか?

「採血などで異常が見られないのであれば、傷の回復具合を見て抜糸して2週間後にでも。他には?」
刹那は首を左右に振った。
「必要ならば人工声帯を用意しますが・・・?」
もう一度刹那は首を振り、メモに書いて渡す。

無用です。私の代弁者ならいますから

「解りました。もう歩かれても大丈夫ですよ」
ドクターが消えた後、刹那はメモを書いて部下に渡した。

作戦はまだ終わっていない。地上軍の支援に部隊を回せ。編成・指揮権は貴官に託す。

「・・・心得ました」
部下も消えた後に、刹那は部下の置いて行ったノートパソコンを持って屋上へと向かった。
(さて・・・声が無くなった御陰で面倒が増えたな)
彼は別に声を失ったことを悲観したりはしない。元より覚悟の上だった事が来ただけの事と重大視していなかった。
(別に声が無くとも、愛機から離れていようと、戦える)
ノートパソコンからインターネットにアクセス、愛機のAIはこのネットの海の中にも存在する。そこを探り出し、数字にして200桁に上るパスワードを入力しアクセスする。
(さてと、好きなだけ暴れてこい)
操縦をAIに渡し、作戦目的を与える。さらにIFF(敵味方識別装置)のコードも入力すればあとは勝手に掃除し始める。それらを入力し終わり、閉じようと思った時に気づいた。
(そう言えばこいつの直接操作時は音声での指示だったな・・・。手でやるにしたってとてもじゃないが時間がかかりすぎる。どうすべきか・・・)
それを解決する方法を考え付くまで、1日かかった。

Fin
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