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第四十三話:それぞれの思い

エルジア首都ファーバンティ郊外 市街地より北東100km 14:05
「そろそろだな」
刹那は時計を見つつ、チャフ・フレア射出装置に指を掛けた。と同時に機体をバンクさせて地上に目をやる。燃料計は1/3を切っている。
「さて・・・何の問題が無ければサインが見えるんだが・・・・・!」
地上にチカッと光が見えた。それは断続的に続く。
「確認・・・良し。フレア3パージ射出」
パパパッ・・・と三連続でフレアを射出して光源からの応答を待つ。チカッチカッチカッと三連続で応答が帰ってきたのでギアを下げて不時着に良さそうな砂地へと進路をとる。
「30ft・・・20ft・・・10ft・・・タッチダウン!」
ザシャアアアアアァァァァァッ・・・・
天然のEMAS(着陸・離陸オーバー・ラン防止用の発泡コンクリート、航空機の自重で発泡コンクリートに埋まり強力な拘束力とアレステイング・ワイヤーやオーバーラン防止用の網程ではないが安価で設置も容易な事で世界各地の空港で配備が進む、日本は未導入。有名所はJFK国際空港で、雪で滑走路で車輪が空転して止まれなかったエアバス320型機をしっかり停止させた)の役割を果たした砂地に車輪を軽く埋めつつ、前転させないようにギアブレーキをかける。停止すると、マウントベース・ドットサイト・フォアグリップ付64式小銃を取り出して、弾倉を入れて初弾を装填、周囲の監視体制に移る。刹那は安全装置の類は扱う事は稀で、[銃の究極の安全装置はこれしかない]と自分の人差し指(銃の扱いは基本両利きである)を平気で突き立てるほど扱いなれている。セレクタレバーはいつもセミオートで固定している(長期保存の際は単発で固定しないとセレクターレバーのピンが曲がってしまうのもあるが)のが証拠だ。
「フラッシュ!」
大声で開け放たれたコックピットの周囲に向けて叫ぶ。
「ライトニング!!」
2時方向から応答が帰ってくる。
「ダーク!」
もう一度大声で周囲に叫ぶ
「ブラック!」
同じ方向から別の回答が帰ってきたのを確かめると、機体のエンジンを止めた。砂地の上にコックピットを閉じてから着地する。
ドドンッ!キン・・チキィィン・・・・タタンッ!
もう一度周囲を見渡し、二度上空に発砲した。機体を中心として5時方向から銃声が二度響く。そこでスタンバイ・ガンの姿勢をとる。2時方向と5時方向、そして12時方向から2、3人の人影が周辺警戒しつつ接近して来た。そして刹那の周りで1人が隣のサポートにつきつつ刹那に話し掛ける。
「ご苦労ARC-デルタ。12時方向から来るとは想定外だった。腕を上げたな」
「Yes Sir 光栄であります コマンダー」
漆黒の装備に身を包んだ兵士達はARC:アサルト・リーコン・コマンド=高性能・強襲(A)・偵察(R)コマンド(C)と呼ばれる刹那の私兵の中でもレベルの高い精鋭中の精鋭の兵士だ。主な任務は徹底的に教育した会話術、射撃術、拷問等を用いた。紛争地域や不安定地域における協力者確保及び情報収集、そして重要人物の社会的抹殺、又は直接暗殺、刹那に協力する法務機関員に対する教導任務など多彩に渡る。ARCは4個小隊存在していて、1個小隊:4つの分隊から成り立ち、アルファ、ベータ、チャーリー、デルタの呼び名で呼ばれる。一個小隊が4つに区分けされたエリア(1:ユージア大陸、2:アネア大陸及びオーシア大陸北部、3:ベルーサ大陸全域、4:オーシア大陸南部)刹那の私兵集団は先進国の軍の中でも成長期の20代前半の軍曹~准尉など下士官と上等兵を中心に徴収し、パイロットに関しては航空学生を経ている者のみが抜き出される。教育期間は10ヶ月(ARC以外)又は1.5年(ARC・パイロット専用)で、デルタ・SEAL・SAS・スペツナズβ・GIGNなどの非常にハードな訓練内容を主に行なう。引き抜かれた者は所属軍から[選ばれし者]と呼ばれる場合が多い。彼等の装備は全てオーダーメイド形式で、左腕の袖部分にあるプラスチックポーチには銛が収納されていて必要に応じてベルト内部に装備された半自動送出・収納式ワイヤーロープ50mと組み合わせてラペリングやビルからビルへの飛び移りなどに使える。右の袖のプラスチックポーチには小型のボウガンがあり、暗殺器具として青酸カリが塗りこまれた氷の矢(ヘモグロビンによって化学反応を起こし、温度が上昇する化学物質を使用。水を入れればシステム冷却及び体温調整の液体窒素によって型の中で急速冷却されて即席ながら氷の矢を精製できる)を撃ち出す事で標的を仕留めたり、銛(ロープとの組み合わせ状態のみ)を撃ち出す事で目標にHMD供給用のバッテリーから供給される電気で電気ショックを与えたり、専用のポールを使って20~40m先の目標建造物に急襲突入する事も出来る。さらに、バッテリー式のHMDがヘルメットに装着されており、仲間の位置やペインティングされた目標を映し出したり、熱量探知で目標を探し出したり出来る。それでもレベルⅢ防弾等も考慮されたこのシステム・スーツの重量は25kgである。さらに従来の防弾プレートも挿入すればレベルⅤの防護力を発揮する。
「他の分隊は?」
「既にファーバンティ市街地で進発待機中です。移動手段にエルジア軍から奪取した軍用トラック1台があります」
「よろしい。デルタは半数を残し、2時間後来るパイロットと合流して機体をオーシア・エメリア経由でノースポイントの本部へ。デルタチームの離脱には本部からのC-1を使え」
「Yes Sir。コリオン!セブ!適当に2名を選抜して待機!」
「Copy Sir!AJ!マーク!此処で待機します!」

サンサルバシオン サンプロフェッタ空港 8月22日 14:50
「奴が行方不明になって1週間・・・か」
「何所の部隊も、姿を確認してないそうだ」
「上じゃあ、行方不明になった翌日から脱走だとほざいてたが。まさか本当にするとはな」
SAFの待機所ではSAFの隊員らが暗い雰囲気で話し合っていた。刹那が脱走して丁度1週間。翌日からは脱走兵として捜索されたが、未だに見つかっていない。それどころか、衛星や敵地のレジスタンスもパイロットや機体をを見かけていないという。可能性として唯一あるとすれば、この大陸から奴が消えたという事だけだ。それか機体ごと事故って死んだか。撃ち落されたか。
「元々きな臭い奴だったよあいつは。硝煙と血の臭いが奴の体からプンプンしてたしな」
「ただのウォージャンキーなら良いんだが・・・・」
元はと言えばUNFの中でも入隊5、6年の新米だった奴が、中佐まで成り上がること自体おかしかった。奴が入隊してからのUNFの死者は急増、5万居たUNF構成員は3万少しまで激しい戦闘地域に借り出されて一気に死んだ上に、派遣反対派の連中まで謎の死を遂げる事だって珍しくなかった。
「・・・・そう言えば、監視対象になっていた奴の私兵も居なくなったよな」
「ああ、ARCとか呼んでた奴等は皆消えて、下っ端の奴が数名大陸で確認されてる程度さ。奴はこの大陸から消えたと判断するのが一番良いかもな」
「まあ、奴は此処の戦場に興味が無くなったんだろ。俺達だって奴に利用されるだけだったし、いっその事死んでいればよかったな。目の上のたんこぶが無くなる」
「シッ、声がでかいぞ。奴の部下が何所から監視してるか分からん。もしばれたら・・・・」
「分かってるよ・・・コレだろ」
隊員の一人が首を延髄チョップの様に後ろから首を叩いた。これが示すのは死以外の何物でもない。
「やれやれ、どちらが監視対象なのか分からなくなってきたよ。俺たちが監視対象なのか、奴等が監視対象なのか・・・」
「まったくだ。結局奴は尻尾は出さないわ、犠牲者は増えるわで、この戦争は俺達にとって得は無かったな」

エルジア首都ファーバンティ 最高司令部 9月1日 15:00
「~ッ!何やっておるのだ我が軍は!!何故ISAFを追い返せん!?緒戦のあの勢いは何所に行ったというのだ!!」
最高司令官である国防省長官は部下に向けて憤怒をあらわにした。無理も無い、制海権は取られ、敵軍に対する投降者が続出しているのだ。
「は・・・その・・・」
部下は答えられる訳無かった。ISAFが極東の、しかも"政治体制上"脅威とは言い難いノースポイント・サウスポイントと同盟を組み、此方の戦爆連合がやられてから大きな勝利など無くなっていた。そもそも戦争を仕掛けたのはある男が唆したからである。その男から開戦後は一回も連絡は無い。石頭である国防省長官も利用されたと気付いたのはストーンヘンジが破壊されてからだ。
PULLLLLL!PULLLLLL!
頭を抱えながら机に突っ伏した時に、ホットラインが鳴った。
「誰だ?・・・こんな時に・・・」
カチャッ・・・
息を落ち着かせながら受話器を取る
≪やあ、調子はどうかな?といっても、此方からは茹でタコみたいな真っ赤な顔がよく見えるがな≫
「!・・・中佐!キ、キサマァ!!何所に居る!?」
相手は唆した張本人・・・そう、刹那だ
≪フフフ・・・そんな事を知ってどうなると言うのだ?強いて言うならお前の顔がよく見える場所だ。・・・・今日は予告をしに掛けただけだ≫
「予告だと!?私を此処まで追い込んでおいて・・・ただで済むと思っているのか!!」
≪・・・・それはお前は余りにも"徹底的にやり過ぎた"。お前の利用価値は無くなってるんだよ。サンサルバシオンとFCUの国境を越えた時点でな。後は"オツムに必要な薬"が無くても分かるだろう?フフフ・・・・≫
「何だと!?どう言う事だ!?」
≪なあに、全ては軽いフィッシングだ。お前は餌だ。お前の目の前に居る男を吊り上げる為のな。それに、"全てはお前次第だ"と、忠告はしてあったぞ?それに、"私はお前の死の天使"とも
「!?」
長官は部下を見上げた。刹那はさらに続ける。
≪そいつは"暁"の諜報員で幹部クラス。尚且つ、戦争に関する事については良く分かってらっしゃる秀才さんだよ。ある程度昇進して頭角を現して貰ったら、こっちから連絡してお前がとっ捕まえて、こっちに運んでもらって吐かせる心算だったがお前がやり過ぎてこっちも御破算だ。まあ、我々の仕事は完遂させてもらうが、貴官にも責任は取ってもらおう。首を洗って待って貰おうか
「ま・・待て!」
地の果てまで抗って私を愉しませて見せろ。全てを差し出し私を殺ってみせろ。それが出来ないのであれば私が永遠の眠りを与えてやろう。これは愉しい戦争だ。女々しき豚に時間を割く余裕は無い
ブッ・・・ツー・・・ツー・・・
向こうが一方的に切ると、その部屋の空気は完璧に凍りついた。

エルジア首都ファーバンティ 9月5日 14:00
「珍しい、休暇ですよね。敵軍が迫ってると言うのに」
「最終決戦が近いからな、6。ISAFは首都を地対地ミサイルの射程内に収めている」
「我々も、多くの戦友を失いましたし・・・精神的ケアが必要だと司令部も判断したのでは?」
「なら、良かったんだけどな。そこまであいつ等は気が利かん」
「「ですよね~ww」」
ドッと笑いが起きるのは覚悟が決まっている証拠なのだろう。とエーリッヒは思った。久しぶりの休暇で街を練り歩く、首都は静まり返っている。戦争が始まってからMPが巡回を続け、街の人間は郊外や他国に逃げてしまった。今は座礁した戦艦や、戦車群、防御陣地が街の名物だ。時たま我々と同じ様に休暇を魚釣りで過ごす兵士も居る。制海権が取られても、尚も抵抗する我が軍・・・死ぬのは下っ端だけだ。上の連中の切り札は[メガリス]だというのは分かっているが、稼動開始する前に亡国となっているだろう。
「あ、あれって撤退してきたトラックでは?」
「ああ、皆負傷してるな。・・・・!おい、ありゃうち等の整備小隊じゃねえか?」
「・・・・・本当だ。あいつ等まだ生きてやがったか!おい迎えに行こうぜ!」
「お前等、走ってこけるなよwソラ飛ぶ前に負傷されちゃたまらんww」
「「わかってます!」」
嬉しそうにゴツイ顔つきをした整備長らに駆け寄る隊員たちを見て、エーリッヒ自体も思わず気が緩んだ。そんな中、自分等が来ている黄色中隊のジャケットを着た少年と酒場の少女を見つけた。
「!?」
思わず、駆け出して近寄る。
「ボウズ!何故此処にいる!?サンサルバシオンに居たんじゃなかったのか!?」
思わず口調がきつくなってしまった事を悔やんだのは少年の顔が歪み出した時だった。
ボフッ
少年が泣きかかりながらもエーリッヒに抱きつく。
「よかった・・・生きてて・・・」
「ボウズ・・・」

9月18日 22:15 エルジア首都ファーバンティ 某所
「いよいよ明日だ。明日の1820にISAF軍は、このファーバンティに集結している全ISAF軍が突っ込んで来る。その時が作戦遂行の唯一かつ最高のチャンスだ」
長い進発待機で相当疲れが溜まっている部下達に刹那はようやく作戦の概要を打ち明けた。
「混乱に乗じて、潜入し暗殺ですか。また無茶な事を・・・」
「いつもの事だろう。問題はISAFやエルジアの追跡をどうかわし、どう逃げるか・・・・ですね?コマンダー」
部下が多少口を挟むが大して問題ではない。問題はそう、どうやって此処から逃げ出すか。作戦遂行して何とか安全地域まで逃げ通さないと30名しか居ないARCトループ共々数万のISAFから逃げ惑う事になる。
「作戦遂行後、後々そこら辺は考える。脱出経路なんざ無限なのは知っているだろう?地下なり屋上なり、地上とは限らない」
「ISAFはそこら辺も抑えてくると思いますが・・・サンサルバシオンの件もありますし・・・・」
ISAF軍はサンサルバシオン解放戦で地下道の有効性をエルジア軍の特殊部隊から身体で思い知った。何せ、それの所為でISAF軍は大損害を出したのだから。地下を真っ先に抑えて、少数部隊を送り込む筈だ。屋上は上空の航空機に見つかり易い。逃げ切れるかどうか分からない
「その時は脅威を"一人残さず"殲滅するだけだ。サーチ&デストロイ、そう教えてあるだろう。異存は?」
「「「「「「NO Sir」」」」」」
「オーライ、ロックンロール」
「「「「「「Sir Yes Sir」」」」」」
ガシャガシャとアサルトライフルSIG SG551、89式小銃、SCAR-L、AK-103の分結作業をして準備態勢に入る。彼等の目からは迷いは消えて、ただ敵を殺すだけの獣の目に変わる。
「いいな、市内は敵兵しかいない。分隊と逸れたら人影を見つけ次第射殺しろ」
「目標進入から脱出までの許容時間は?」
「2分10秒だ。それ以上は包囲されて殲滅されかねん」
「Yes Sir」
「安全地域は何所に?」
「FFZ(自由射撃区域)から半径50km以上。場合によっては大陸全体が危険地帯との判断も出来る」
「海上の脱出ルートは?」
「ネガティヴ。海上はISAF海軍がうじゃうじゃ居て捕捉されるのは必至だ」
「包囲された場合、お前ならどうする?」
「自分の手からラスト・アームがずり落ちるまで戦うに決まってるだろ。戦闘規則一:捕虜になるな。を忘れたか?」
「良かったよ、考えが同じ奴が居てさ。弾が切れたら敵から奪えば良いしな」
「装備チェックは22:20までに終わらせろ。3人3時間交代で巡回を怠るな」
忠実なARC達が準備を進める傍らで、刹那は窓から見える月を見てクスッと微笑った
「このくだらない戦争を終わりしようじゃないか。戦争の幕を開けるのも、閉じるのも私なのだから」

fin
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コメント

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初めて書き込みます。ちょくちょく参考にしています。また遊びにきます!
説明が多すぎて読みづらいです

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