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第三十九話:未来図

7月26日 ランバート山脈とアンバー山脈に挟まれた平野 通称ウィスキー回廊 16:40
「・・・・まさか不時着する破目になるとは思わなかった」
厳しく照りつける太陽、酷くなびく熱風。砂漠のど真ん中に刹那の操縦系統に損傷を負ったファントム改は不時着した。彼はウィスキー回廊に集結中の敵部隊の集結状況を偵察していたのだがSA-2の至近弾を受けて操縦系統を掌っていたコンピューターに大きな損害を受けてやむなく不時着した。偵察した写真や情報データは既に送っていて、たった今それらの消去も終わった。
「何がウィスキーだ。酒が大量にあると思ったら、敵が大量にいただけじゃないか・・・・ったく」
砂漠に機体のギアを取られないように胴体着陸したのは不味かった。コンピューターの入っている整備用のドアが開かないのだ。これではジャッキかなんかがないとお手上げだ。流石に自分の愛機は持ち上げられない。愛機の座席のケースに入っている64式小銃とSIGP220に砂が入らないようにビニールを被せてキャノピーを閉める事で精一杯だった。不幸中の幸いかエンジンは生きており、馬鹿でかい推力もあり砂中から脱出は可能だ。だが、燃料が少ないのでそれほどA/Bも焚けない。それ以前に此処は敵中だ。いずれ敵兵がやってくる。応戦の為にC4プラスチック爆弾を機体を軸に全方位30m離れた所に投げておいた。
「任務は終わらせたし、後は・・・・友軍が此処まで来るのを待ちますかな?お客さん」
後部座席でGと着陸の衝撃でノビている記者に目を向けた。彼女は戦場カメラマンで強行偵察に出る自分に対し空からの敵陣を撮らせてくれと頼んだのだ。あまり無茶な機動が出来なかったのは半分彼のせい、もう半分は胴体下で砂に埋まっている偵察ポッドのせいだった。いずれにしても貴重品なのは間違いない。彼女の為に機体に常備されている計器飛行訓練用のフードで後部座席を覆った。自分はウィングレットの小陰で休む事にした。食料は機体には3週間分、真水も砂漠中で使用するなら2週間分ある。元から愛機は墜落する事を刹那は前提にしている。空戦の腕前が良くても、下手をする時は落ちてしまう。そう言った理論から彼は常に大量の食料と真水そして銃器と振動に強く被弾しも爆発しない安全な爆発物に弾薬を機体に詰めている。空中給油の管を部分を削り、そこに緊急用の食料などを詰めている。その他にもバッテリー式の緊急用電池や、ラムエアタービンなども備えている。
「ところで、敵部隊が来ないのは何故だ?もう視界に入ってもおかしくないんだが・・・・・」
64式小銃に取り付けてた狙撃スコープから覗いても敵がやってくる気配は無い。ただ砂嵐が吹くだけだ。
「・・・・まあ、いいさ。その内CSAR(〔通称:シーサー〕コンバット・サーチ・アンド・レスキューの略、戦闘地域での捜索救助の事、代表例としてJASDF救難隊所属のUH-60Jがその任務の為に海洋迷彩や赤外線ミサイル妨害装置、FLIR前方多機能監視装置を搭載できるよう改装されている)が来る。それまで耐えればいいか。飛べないことはないし・・・・給油機でも要請すれば良いな」
スコープをビニール袋に入れていつでも取り出せて使用できるように備えておく。それが終わると、砂をスコップで掘り下げて、緊急時野営設営用テントの機材で機体をある程度固定する。操縦コンピュータ〔FBLの制御装置〕整備用の小型ハッチとランデイングギアを手動で出す為の作業を始める。
「くそ・・・、風で砂が飛んでくるな。これじゃ鼬ゴッコだ、クソッ」
風で飛んでくる風を防ぐ為個人用のパラシュートの予備を広げ、盾にする。幾分か砂嵐が流入するのが止むと突貫的に作業を行なった。日が沈む前までに左主輪を手動で開けて下ろし、安定させる。さもなくば長い事風と砂に当てられた機体は脱出不能になる
「・・・・暑い・・・高地に降りればよかった・・・・」
今の最大の敵は40度を超える暑さ、そしてそれに伴う体力、水分の大量浪費だ。早急に作業を進めなければ機体を安定化させる前に自分が萎れてしまう。かと言って休む事などできない
「よし、ハッチだ・・・・」
30分かけて手動でようやくランデイングギアを下ろす事に成功した。これで幾らかは作業しやすくなった。緊急時野営設営用テントの機材を移動させ、つるはしの様に砂を切り崩し始める。
「・・・っく・・・・」
ようやく胴体の半分そして今回の不時着の原因の一つで既に用無しの偵察用ポッドを露出させるとそれをハードポイントから外し始める。しかし、工具が無いので簡単に外せるものではない。
「反対側からやるか・・・・」
諦めて砂風から盾にしていたパラシュートを外し、反対側に回る。不時着地点は右はなだらかな丘、左はなだらかな斜面なので手っ取り早く進める。
「・・・・あの・・・手伝いましょうか?」
「!!・・・なんだ、気が付いていたのですか」
後部座席でノビていた戦場記者が気が付いてこっちに声を掛けた。
「その必要ならないです。それより周囲の監視をしててくれませんか。今機体を安定させようとしているんです。後部座席の後ろには暗視ゴーグルがあるから暗くなったらそれを使ってください」
「分かりました」
砂を少しずつ掘り下げていき、とうとう車輪展開用のハッチを見つける。そのカバーを外してレバーを重いレバーを回せば素直に主脚は出てきた。砂に軽く埋もれるように車輪が砂と接地する。
「・・・・困ったな、ポッドが邪魔で整備用ハッチまで手が届かない」
ハードポイントは簡単に投棄できないようにがっちりとポッドの上両側を止めていた。ハードポイントのアクチュエーターを動かすにはエンジンを動かすか、ラムエアタービンを回して電力を確保しなければならない。しかし、今エンジンを回せばエンジンフィンが一気に傷つく。ラムエアタービンは空を滑空中じゃないと意味が無い。〔ラムエアタービンは飛行中エンジンが切れたときに出る飛行に影響のない程度の小型の風車で、風圧により回転し発電する。操縦に必要な電力をまかなう装置。だが、デジタル計器や空調等といった電力を喰うものには供給は出来ないもの。ナショナルジオグラフィック[Mayday!]の常連。旅客機は基本装備だが使用目的上バックアップも多く、脱出や墜落制御が容易な軍用機にはかさばるので不要とされている。しかし、この小型の風力発電機が航空機の最期にして究極の砦である事は間違いない。これがなければあんな事故やこんな事故で生存者は無かったとも言われている程だ。エアカナダ143便、全エンジン停止事件。通称ギムリーグライダー〕
「機体も安定したし・・・まあ、良いかな。・・・・記者さん、ええと・・・あんたの名は何だっけ?」
「ブレットです。ブレット・トンプソン、OBCの記者ですよ。とあるドキュメンタリーのプロデューサーに任命されたんです」
「そんなあんたが私に何の用だ?わざわざ下手すりゃ遺骨も残らない危険地域まで出張る意味が分からん。あんたが見て来たとおり、多忙で通常時はインタビューは受けれないというのに?」
一通りの作業を日が沈む前に終わらせた刹那が記者・・・・ブレットに聞く
「それは、あなたに頼みごとがあるからです」
「ほう?護衛か?情報か?それともライバル社の五月蝿い連中を殺って欲しいとか?その様子だと、多少は私を探って来た様だな」
目の色を変えた彼にやはり、とブレットは思った。上司からベルカ戦争の様々なエース達に当たるならこの男が良いと指名したのが彼だった。少々脅されつつ調べれば表向きは世界初の"隕石を戦闘機で撃墜した男"だが、裏では相当の悪事(主に殺人、拉致、監禁、拷問など)やノースポイント自衛軍での極秘作戦、非合法任務、超法規的任務を指揮や遂行しており、さらに表世界、裏世界ともに非常に手が広い。情報はまるで餌に掛かる魚のように集まるらしい。その他にも特殊な機関に所属しているという匿名情報も入っている。まさにフィクサーのような男だ。
「・・・・ええ、まあ・・・結構危ない橋は渡ってますよ。あなたを調べる過程で」
「・・・・だろうな、良くもまあ無事だった。下手すればこの世から貴様の血族が滅びている。どうやら貴様にも悪運はあるようだ。SA-13や19、SA-2を15発かわして、至近弾一発。御陰でこんな敵中におちてしまったがな」
ガシャッと彼は小銃のコッキングレバーを引く。ビクッとした。いつの間にコックピット前席に入って小銃を取り出したのか・・・。殺されるかもしれないと思い十字を切っておいた。
「神に祈る前に弾に当たらないように頭を下げて耳を塞げていろ。交戦する」
「え?わっ!」
ドンッドンッ
突然彼が小銃を此方の目と鼻の先に向けると直ぐに発砲した。既に日は暮れている。どうやって見つけたのか、軍用トラックが直ぐ近くに来ていた。今のは牽制射撃だったようだ。それでも十分正確である。まるで[ブラックホークダウン]のデルタの狙撃手だ。複数の発砲炎が見えたと思うと、銃弾が機体を叩き始めた。
カンッ!チュン!キュウン!ブオンッ!ヒュンッ!
「うわわっ!」
「黙っていろ。そこっ!」
ドンッ!タタタッ
奴が放った銃弾は敵兵の火線の一つを潰した。どうやら引金を引きながら倒れたらしい。
「こ、これが・・・戦場か・・・・」
「おいおい、まだ序の口ですらないぞ。これから敵の増援が四方八方からやってくる。そいつ等と渡り合わなきゃな」
ドドドッ!ドドドッ!カンッ・・カキンッキキンッ
奴はバイポッドで機体に銃身を固定して、銃座として撃ち始めた。まるで軽機関銃でも扱っているようだ。別に移動をしている訳ではないので良く当たっている。
「装填する。記者さん、私がリロードしている間に奴等が迫ったらそこのリボルバー拳銃で応戦してくれ」
「え!?私は銃なんて握った事しか・・・」
「死にたくなかったらやれ。この死地から抜け出せたらあんたの依頼を考えても良い」
そんなこんなやっている間にも彼の手は止まる事を知らないようだ。2~3秒で再装填・コッキングレバーを引くと直ぐに撃ち始める。その作業はベテラン・・・・いや、機械と形容した方がいいだろう
「・・・やってやるよ!ああやってやるさ!!Fuck!!」
「それでこそ漢だな」
奴は初めて私に微笑みを見せた。余裕の表情だ。本当に死ぬ気は無い様である。私は座席の側面に付属しているDANGERと赤く書かれた箱を開けた。中にはローダーと呼ばれるリボルバー用の再装填器具(回転銃倉後部と同じ様な形状のプラスチック製または金属製の装填器具、銃弾と銃によりサイズを製品ごとにあわせる)5連発の38口径リボルバー、どうやらダブル・シングルアクション切り替えが可能のようだ。ズシリと重みが伝わってくる。
ドンッ・・・カキッ!
「チッ、ジャム(作動不良、射撃時の衝撃で空薬莢が薬室に張り付く、熱膨張で空薬莢が排莢口から出なくなる、排莢のタイミングがずれてスライドが空薬莢を噛む等の「排莢不良」や次弾装填時に薬室内で弾丸が引っかかる等の「装弾不良」など様々。ここでは「排莢不良」である)った。記者さん、5秒間援護を頼む」
「わ、わかった!」
彼はコッキングレバーの所で挟まった空薬莢を取る為に銃を片手でを持ち上げた。私は適当にシングルアクションに設定したリボルバーのトリガーを絞った。
パンッ!ガチッ・・パンッ!ガチッ・・・
「オーケー、もういい。任せろ」
ドドッ!ドドッ!チンッカキンッキンッ
ダブルタップ射撃(2連射で急所〔主に危険度が低い急所から股間、肝臓、足の動脈、肺、心臓、前頭部、後頭部、側頭部〕を即座に射撃する事で標的の生命維持行動を完全に停止させる高等射撃技術、特殊部隊などの瞬間交戦能力が求められるCQBで標的を完全に無力化する際に良くする。基本軍隊しか訓練をしない)をする所を見るとかなり銃撃戦に慣れているようだ。ますますこいつへの興味が湧いてくる。と同時に、死への恐怖が湧いてきた。時折7.62×51mm通常弾が機体の外壁を弾く時は恐怖で足が竦む。敵の撃っている銃は音からG3A2のようだ。
「・・・記者さん、あんた死が怖いか?」
「当たり前でしょ!死にたがる奴なんて余程の自殺志願者か、厄介者くらいでしょ!」
「・・・戦場に5年位居るとまったく怖くなくなるよ。まるで、ヴァーサーカーのようにね」
「何が言いたいんだ?」
「あんたが追っている奴は、そんな奴だ。誰一人として、戦場で死ぬとは思わない。ただ、やり残しが無いか心配で仕方が無い奴等だ。ここは荒れ果てた舞踏場、如何に長く死のロンドを踊っていられるか・・・・戦場に長く居た奴にはそれしか目が無いんだ。」
「・・・・」
「そして、娑婆に入ると渇いて仕方が無い。理想郷を、金を、スリルをってね。そんな酷い連中が勢ぞろいしている。だが中には歳を喰い過ぎて戦場に戻るのを諦めた奴も居るし、威厳を傷つけられて戦意を失った奴や命令や規律を嫌って傭兵になった奴、逃げ出した奴も若いが故に面倒臭くなって抜け出した奴も居る。理想を追いかけ、最後は投獄された馬鹿も居るし、それに付いて行って今も逃げるように働く奴まで居る。あんたはそんな奴等から一欠けらの情報を得る為に命を賭けている。要は理想郷を、金を、スリルを求めるような、そんな連中とどっこいだと言いたいんだ。引き返すなら今の内だ。私は既に戦場に飲まれた。お前は馬鹿みたいな情報に飲まれたいのか?」
私は返答に困った。奴はもう戦場と言うパズルを構成するパーツの一つに過ぎず、それから逃げる事は出来ない。奴が言いたいのは私にメディアと言うパズルの一つになって欲しくないのだろう。
「メディアは一辺倒な事しか出来ない。だから、それには飲まれて欲しくない。第一気に入らん」
奴は小銃弾が直ぐ傍をビュンと通過してもビビらない。落ち着いてエルジア兵に向けて照準を向けて撃ち続けている。私は何となく聞いてみた。
「あんた・・・身内は?」
「いる。だが余計な事は考える暇が無い。殺す事で24時間365日精一杯だ」
「戦場に入る前には何を?」
「・・・・ずっと戦場に居るのさ。戦場でしか生きていけない。娑婆の空気なんて腐っている。それに対し戦場は"空気の鮮度が良い"。混沌と怒号と悲鳴と炎とかが交じり合う。純粋な暴力の空気、死合いの空気が充満している。草原も活気ある市場も海も空も・・・・そして宇宙も一瞬でそんな空気が入る」
「いつから戦場へ?」
「物心付いたころには戦場に立っていた。一時は娑婆の空気に慣れ親しんだが、どう足掻いても此処の空気には叶わない」
敵の銃撃はかなり弱くなっている。よっぽど敵兵を撃ち殺したのか、満足げだ。
「止めといくぞ」
突然彼がコックピットから飛び出した。そして砂漠だというのに軽快に走り出す。
「お、おい!危ないぞ!おい!」
心配する私だったがそれは不用だった様だ。あっと言う間に敵兵に近づくと一瞬で腕の仕込みナイフで頚動脈を刺して殺した
「ア、アサシン?・・・・・いや・・・ニンジャだ」
思わず呟いた。奴は空戦ではエース、射撃の名手でありながらマーシャルアーツ(総合格闘技)の達人でもあるらしい。踊るように敵の攻撃を避けて、一撃で殺す。飛行用ブーツにもナイフが仕込まれているようだ。サマーソルトキックを食らわせただけでエルジア兵はのぞけって倒れ動かなくなった。腰から短刀を出すと敵のG3を持ち上げ、投げ飛ばした後に敵兵の股間から脳天まで一気に切り裂いた。さらに片手で重そうな小銃を撃っている所を見るとひ弱そうな細い体とは裏腹に相当の力を溜め込めているらしい。飛び出たときには5人散開して居たのが30秒と掛からず全滅させられていた。
「・・・凄いものを見させてもらったよ。やっぱり貴方で正解だったようですね」
「なに、それぞれ違う者から教え込まれただけだ。さほど大した物ではない」
「アサシン教団にでも入っていたのか疑ったくらいだ」
「・・・・両親を亡くした後、幼少期一時期入ってた。途中で抜け出したよ。師範級を得てからだが。規律なんてクソだったし、殆どPMCとやっている事が一緒だ」
「うえっ!?」
彼は敵の銃の弾倉を抜き取り、弾を自分の小銃の空弾倉に入れた。銃をちょっと弄くりながら弾倉を入れてコッキングハンドルを引き、セーフティに戻す。
「SASやSEALとかも回ってた頃がある。8年前の基地防衛教導隊の時の話だが」
「・・・・」
もはや開いた口が塞がらないというレベルでない。8年前といえばこいつは20の筈だ。若い内から鍛えに鍛えていたという事か。
「今は一介のファントムライダーさ、どんな経歴も金の足しにしかならない。言語学問関係は独学に近いな」
「それで・・・・奇妙な訛りがあるのか」
「それに空戦に関しちゃ、今だ向上途中・・・超一流なのは暗殺と情報収集そして隠密行動くらい・・・・まだまだだよ・・・もう、"蒼い無限の輪を持つ英雄"や"鬼神"は私を抜いている所がある」
「・・・なんですか?それって・・・」
「コ コ ロ・・・・だ」
「は?」
思わず聞き返した。どうやら旧日本語(ノースポイント・サウスポイントの分断(WWⅡ敗戦時において民族浄化と言う名分で民族の言語をオーシアが奪う前の言語、現実の日本語と一緒だがこの世界では名前以外は殆ど英語(オーシア語)やロシア語(ユーク語)と旧日本語のチャンポンかそのままになっている。これを本来の言葉で喋るのはもう殆ど居ない)らしい
「精神的な支え、とでも訳すかな・・・私は10年前に無くして見つからない物だよ。もう壊れているんだ」
「・・・そうは見えませんが?」
「例を挙げるなら普通だったら誰もが血を嫌う、私はその真逆・・・・他のものを壊したり喰ったりしないと生きていけない。つまる所、野性の性が剥き出しになった状態」
「そうかい?現にアレや私は壊されたり喰われていない」
「それは利用価値があるから。無ければ殺すし、壊す。邪魔をするならば即座に肉片や破片も残さず殺し、壊す。それが何であれ、喩え神であれ、魔王であれ、"自分"であれもだ」
「・・・・」
「話はそれだけか?」
「ああ・・・・仕事の話は救助されてからにするよ」
ブレットはこれ以上深入りするのは危険と判断し、聞くのをやめて、彼の装備を機体に戻して寝ることにした。刹那は曇りなき星空を眺めて無限とも思えるほどの砂に身を委ね、何も考えずにその星の海に浸った。


(綺麗な夜空・・・しかし、私らしくないな。嘗ての余韻に浸るなど)

かつて、5年ほど前か・・・・長期休暇を貰って広大なこの大陸を旅した時に荒野のど真ん中の名も無い詩人が書き残した石碑の歌を思い出して口ずさんだ

煌く星空は 夢の随に
漂ってる私へと語りかける

さざめく風の韻は扉の開く韻
いま始まる物語の開く韻

羽ばたく鳥たちも陽を浴び飛んで行く
さあ旅立つ時が来た
迷わずに行け

大丈夫と朝焼けの空は言った

揺らめく心の奥に
隠れては見える
溢れる思い出を抱えて

振り返るな朝焼けの空は言った

はてなき山の向こうに
隠れては見える
かすかな光まで歩いて

はてなき空の向こうに
隠れては見える
確かな未来図を求めて

「確かな・・・未来図か・・・・こうしていれば見つかる気がするな・・・世界の・・・未来図が・・・・」
5分後、彼はまた機体を砂の海から脱出させる為に砂を掘る。

3時間もの時間を費やして機体は修理が終わり、それから1時間で帰還した

fin


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