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第三十四話:新たな翼を手に入れた蒼き死神

6月18日 ノースポイント 千歳航空自衛隊基地 レイピア隊宿舎 17:50
「日が沈む・・・」
「上陸部隊は上手くやったかなぁ?」
「知るか。知りたきゃ最前線まで歩いていけば?」
「うへぇ・・・そいつは勘弁だ」
「我々に何も言って来ないって事は上手くやっている証拠だろう?このまま何も起きなければいいが」
対空装備で待機中だったレイピア隊は、支援要請が入ってこない事によって暇をもてあそんでいた。ISAF空軍の傭兵達は誰も彼もが競って前線へと飛んで行く。彼等はペイを1セントでも多く稼いで、作戦終了後にパーッと飲みに行くのが普通だ。それに対し正規軍所属のパイロットは支援要請に受け答えるだけがペイの内に入っているものだったから暇で仕方ないらしい。
「傭兵になっておけば良かったかなあ・・・」
「やめとけ、空飛ぶ傭兵共は自分の機体の整備費から兵装代、燃料代まで引かれるからな」
「だったらプライベートオペレーターにでもなれば?お前だったら戦場で野たれ死ぬか、引き裂かれるかの二択だろうな」
「・・・・やっぱ止すわ」
「・・・・・プライベートオペレーター・・か。PMCとは違って自由気ままに契約を交わせるから良いよな・・・・」
「そうでもないですよ・・・・」
彼等の会話にメビウス1が陰鬱そうな声で割り込んだ。
「何だよ急に・・・」
「傭兵の方から聞いたんですけど、組織的バックアップは無し、生き残るのは運が頼りで武器は現調達が多いそうです。武器を手にするまで・・・IDカードをぶら下げた"ただの的"でしかないとか」
「フライング・マーセは武器は自前の航空機だぞ?そこまで厳しいとは思えんが・・・」
「・・・違うんです。組織的バックアップが無ければ現地の低性能の兵器と武器しか使えないんですよ・・・・。つまり正規軍を相手するのには厳しすぎる、と言うことです。維持費で大概はペイが吹っ飛ぶとか・・・腕と悪運が無ければ火の玉に包まれて焼け死ぬか、ボロ雑巾の様にズタズタになるか・・・・」
「・・・・それ、誰から聞いた?」
「スギさんとグエンさんからです。中には狂気に取り付かれた様に戦場で戦うパイロットや兵士を沢山見たそうで。二人は軍と会社のバックアップがあって、アフマドさんやクルスさん、ニーダヴェリールさんはエイセスコミューンっていう組織のバックアップがあるそうです」
「ふーん・・・そういや、あいつは?SAFの連中は?何であんな高性能機ばっかなんだ?」
「彼等はそれらよりもっと強大な組織のバックアップがあるそうで・・・なんでも利益はまったく重視しない超大型の組織だそうです。エメット隊の皆さんはNASDFとSASDFのものを使用できるように計らってもらったそうですよ」
「刹那なんかどうだ?あいつは一匹狼な感じで、機体もお古だろう?その他は知らんが」
「彼は・・・NASDFの余剰機を購入したそうです。4000万ドルで」
「よっ!?4千万!?」
「新品のF-16E辺りが買えそうじゃねえか・・・・何であんな旧式を?」
「さあ・・・扱い慣れてた奴じゃないんですか?色々と変わっている所を見ると、改造を施したようですが」
「旧式で悪かったな。それとも機龍を購入しておけば満足か?」
「!」
窓の外からニョッキリと顔を出してきた刹那が言った。
「・・・何ですかいきなり・・・・デリカシーの欠片も無いんですか!?」
「いや、随分脇があまいなって思ってな。それよりメビウス1、こっちに来い」
そいつはこっちを見て言うとそこから歩き出した。何も言わずに彼に付いて行く事にした。やがてビニールシートをかけられた戦闘機らしきものを見つける
「・・・・!これは?」
「まあ、私からのプレゼントって所か。お前の新しい愛機となるかも知れん奴だからな」
「え?」
「取り合えずそのシートを除けたらどうだ?」
彼に言われるがままにそっとシートをめくり取る。それは見た事も無いようなスマートな形状とYF-23のような尾翼、左右のノズルが上下にずれており、クローズドカップルドデルタ翼からひょっこり生えたような前進翼のスリーサーフェイス機。
「・・・・これは・・・一体・・・・」
「コードネーム"X-02・ワイバーン"、エルジアが開発中の最新鋭ステルス戦闘機。ミリタリー推力時の最大速M1.8、航続距離4500km、武装はダークファイア4基、AIM-9X又はR-73二基~四基、スタンドオフデイスペンサー。固定武装M61A1、20mmヴァルカン800発。RCS23.4cm~89.2cm。エルジア空軍の切り札の一つ」
「!?・・・何でそんな物が・・・此処に!?」
メビウス1は驚きながら刹那に聞いた。刹那はそんなに決まっているだろうと言う目を返しただけだった。
「・・・これを手に入れるのに私は多くの手駒を失った。だが、それに相当する力なのだ。お前に使いこなせられるかどうかは知らぬが、やってもらわねば困る」
「これを・・・私に?」
「嫌と言うのであれば、構わぬ。別の連中に当たるまでだ。まあ、時間はあろう。じっくり考えて答えを出せばよい・・・・」
刹那はそう言うと日が沈んでいく野外駐機場から闇に溶けるように消えた。
「こいつが・・・!!」
≪ガガッ!当基地において出撃待機中のパイロットへ!至急ブリーフィングルームへ!繰り返す!出撃待機中のパイロットへ!大至急ブリーフィングルームへ!≫
「おいでなすった!」
メビウス1は一回目の放送を受けた直後、ブリーフィングルームへと駆け出した。彼女の心の中には躍動感で一杯だった。

大陸北部450km沖 氷原上空 19:30
「・・・何とか、哨戒網は抜けたな・・・捕捉されたかも知れんが」
「ええ、お陰で燃料ギリギリですよ。失敗すればISAFに降伏ですね」
XB-70の内部で二人のパイロットが言い合う。後ろの爆弾倉にはトマホーク巡航ミサイルが積める限り積んである。彼等はリグリー飛行場からISAF・ノース・サウスポイント連合軍の哨戒網を避けて此処まできた。燃料満載とは言えど、直線でないとリグリーまで戻れそうにない。
「もうちょっと接近する。じゃ無いと、迎撃されやすくなる。相手はSM-3をも持っているからな、いくらRCSが小さいとは言えどもミサイルが捕捉されたら確実に堕される」
「出来れば最後の一発は使いたくないですな。アレだけは・・・」
≪同感だよ機長。これを放った人間にはなりたくない≫
爆弾倉の爆撃手も機内無線を通して言ってきた。トマホーク巡航ミサイルの最後の一発・・・それは、人類が自分達を守る為に作ったもので、人類に対して絶対使用してはならない弾種だった。今はそれを放つ"砲"が無くなり、現在は在庫がゴロゴロしている物だ。
「!・・・護衛のF-22より発光信号!"Unkown接近、ワレコレヲ迎撃ス"」
「了解と返せ。爆撃手!発射用意!!」
≪Roger That!爆弾倉開け!第一射!翼下6発!!用意!≫
友軍のF-22A戦闘機が1-8-0に向かってミリタリー推力で進んでいく。XB-70である我々は、発射ボタンを押してさっさとトンズラするだけだ。
≪第一射!Fire!!≫
ゴンと言う音と共に6発の大型巡航ミサイルが主翼下から切り離される。
≪全基ブースト点火確認!プログラム作動確認!敵機接近!1-8-0より高速で約一個飛行小隊!一機速いのが来ます!≫
レーダー員がF-22と自機のレーダーが捉えた情報を伝えてくる。
≪第二射!12発用意!爆弾倉チェック急げ!完全に開いているか!?≫
≪開いています!≫
≪ミサイルのロックは!?≫
≪OKです!≫
≪プログラミング!≫
≪入力動作、完了!≫
≪発射用意完了!≫
このXB-70には本来乗員の2名の他に、爆撃手2名、レーダー監視員1名、技術士官1名が搭乗している。そのレーダー員が悲鳴を上げた
≪第一陣全撃破されました!!速い!速いぞ!!護衛機は敵と交戦中!≫
「第二射、用意!放てっ!」
≪Fire!≫
ミサイルを固定していた固定ロックが外れ、少し自由落下してからモーターに点火した。
≪全基ブースト点火確認!プログラム作動確認!15秒後に分かれます!・・・・ブレイク・・・Now!!ブレイク確認!≫
「速力最大!エンジェル300000!」
機長は即座に機体を急上昇させ、A/Bで加速する。6基のエンジンが火を吹き、高度取り始めた。
≪何だ!?クソッ!敵機のあの機動性は何だ!?ミサイルが喰いつかれる!・・・Holy fuck'n Shit!!!6基やられた!≫
「何!?馬鹿な・・・」
≪最後の一発を用意しろ!プログラミングは強力に!≫


≪やれる・・・この機体・・・凄い・・・!≫
メビウス1はX-02の機動性、運動性、レーダーの性能に驚いていた。気を抜けば即ブラックアウトすような旋回半径。それに強力なエンジン、ダークファイアの威力が相まって今まで操縦した事の無い様な機動力を持っていた。
≪スカイアイよりメビウス1!残り六基、対象スパルタン2-7-0、エンジェル3400、35マイル。大至急急行しろ≫
≪Roger!2-5-0に向かいます≫
≪此方レイピア、敵機を1機やった。こいつ等腕が良いぞ。警戒しろ。≫
≪Roger、レイピア1。メビウス1、聞いたな?レイピア隊は援護できない≫
≪了解!・・・捉えた!≫
メビウス1は対空モードに設定されたレーダー画面に目標を捕捉した。直ぐに武器選択ををセーフテイーからダークファイアBVRモードに変えて、レーダー画面を攻撃走査に切り替えた。残弾数は翼下に吊ってきた物を含めて6発。丁度良い
≪ロックオン・・・絶対有効射程まで突っ込みます≫
絶対有効射程とは、BVRミサイルがブースト(ロケットやラムエンジン)が切れて最大限加速した状態で目標に命中する距離の事。この状態からミサイルをかわすには、曳航式デコイが必要だ。有効射程は大体最大射程の1/5~1/3くらい、それで考えるとダークファイアの最大射程は200km、およそ40kmまでが有効射程、最も効率がいいのは有効最大射程から2~10km位引いた距離である。つまりは30km程度が最も理想的な射程距離といえる。ノーチカルマイルに直すなら16.48ノーチカルマイルだ。それをとろくさい巡航ミサイルがかわせる訳も無い。
≪FOX3アタック、行きます!missile Launch!≫
ゴゴンと言う音の直後、翼下のミサイルがラムエンジンを点火させて巡航ミサイルに向けて発射された。
≪当たれ!!≫
遠くで爆発が連発する。
≪・・・全基撃墜確認!良くやった≫
≪ふう・・・・≫
≪待て、もう一基接近。対象BRAA3-6-0、エンジェル4500ホット、60マイル、マーク0.9。におうな。警戒しろ。こっちは敵機と交戦中≫
≪了解ツクヨミ・・・スカイアイ、確認した。位置座標を送る。警戒して撃墜しろ≫
≪Roger That!AIM-9X、スタンバイ。A/Bで接近します≫
メビウス1はスロットルを最大の位置に持っていくと、操縦桿の武器セレクタをIRAAMに設定した。
≪目標確認しました。対象BRAA3-6-0、エンジェル3500ホット、15マイル、マーク1.23。怪しさ満点ですね。後方にまわ・・・!?≫
≪急旋回した!?≫
AWACSもメビウス1も目を見開いた。ノロノロと飛ぶはずの巡航ミサイルが右に急旋回したのだ。
≪クッ・・・!まさかミサイルとドックファイトするとは思わなかった・・。≫
メビウス1は、7.5G旋回でトマホークに喰らい付こうと必死にトマホークのエンジンダクトに機首を向けてようとするが、今度は左に急旋回したのだ。
≪クソッ!ぐぅ・・・≫
今度は操縦桿を目一杯引いた。9G旋回は相当キツイ。さらに速度も下がる。HUDに敵が納まんなかったら、JHMCSの照準を使ってもミサイルは簡単には当たりはしないだろう。旋回する瞬間を見分けなければ掠りもしない。2発しか積んでいないサイドワインダーなのだから無駄撃ちも出来ない
≪くう・・・・≫
≪メビウス1!チェックシックス!敵機が一機そっちに行ったぞ!!≫
≪アフマド!奴を追え!メビウス1をやらせるな!!バラード1!ケツに一機追いてる!≫
≪オーライ!≫
≪クソッ!これだからステルスは厄介なんだ!≫
友軍機もかなり苦戦している。といっても数的有利さがあって質的にも十分互角だ。
≪フッ!クッ!!フッ!クッ!・・・こんな巡航ミサイルがあるなんて信じられない・・・≫
≪いけるか?≫
≪もう・・ちょっと・・・で・・・すッッ!捉えた!FOX2!FOX2!≫
メビウス1がようやくHUDにミサイルの真っ赤なケツを完全に捉え、トリガーを引いた。ウェポンベから吊り下げられていたAIM-9Xサイドワインダー2000は目標に向かってレールを通った直後に一気にターゲットに接近した。
≪当たれ!≫
メビウス1の思いがこもったミサイルは赤外線を出し続ける目標に向け、正確に突っ込んだ。
≪ウワッ!?≫
命中した直後、極端に大きな爆発が起きた。まるでストーンヘンジの特殊砲弾のような爆発だ。メビウス1は咄嗟に操縦桿を右手前に引いて爆風に巻き込まれないように機体をバレルロールさせてかわした。
≪目標・・・・・撃破確認!!陸上部隊からも見えたそうだ!良くやった。発射母機と敵性航空機を撃墜または無力化せよ≫
≪スカイアイ。此方月詠、その必要は・・・無い。敵機は武装解除・降伏した。発射母機も同様の信号を我々に送っている。新たな指示を≫
≪了解、撃墜した敵機のパイロットの救助の為にSARを送る。全機は降伏した敵機を含めて最寄基地に着陸せよ。ウェイポイント情報は此方から送る≫
≪Copy That、ウェイポイント情報を復唱する。ウェイポイント07、BRAA方位2-5-0。エンジェル26000、20:45。ウェイポイント08給油機ランデブー地点、07ブルズアイ方位1-8-0、エンジェル10000、20:51、ウェイポイント09、空港へのアプローチ地点、08スパルタン方位2-7-0、エンジェル3000、21:09。全機了解か?了解ならばウェイポイント07へ機を向けろ≫
敵機を含め全機が新たに更新されたウェイポイントに機首を向けるのをスギ・アヤグモとレイピア1が確認すると、AWACSがストライク・コントロール用の周波数からディスバーチャー用の周波数に切り替えた。これで作戦が終了したことを示した。

Fin

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