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5月7日 ロスカナス空港 21:00
「やれやれ・・・やっと帰ってこれた」
刹那は血が染み付いた迷彩服、返り血を浴びた64式小銃を持ちながら機体から降りた。薄く蒼い色を放つ小刀と大鎌も人間の骨を絶ち、肉・脳・内臓を斬り続けた為に、暫く職人の手に預けるほか無かった。あのあと、立て続けにBLACKOPSに支援要請が入ってきてそれに対応する為に死にもの狂いで仕事につきっきりでとうとう一週間も経った。自身は血でとてもではないが、人前には出られないほど臭っていたし、猟奇的殺人者に見えるほどの返り血を浴びていた。
「ああ・・・早くシャワー浴びて寝たい・・・・ん?」
「あ!?刹那!」
レイピア1がこっちに気付いた。
「今迄何所いっていたんだ?なにやってたんだよ!!」
「そっちこそ休暇明けか?」
「まあ、な。それよりあんたの恋人がスゲェ事やったんだぜ」
「・・・"メガリス"を偵察したU-2を守ったことか?」
「!・・・何で知っているんだ」
刹那の元には世界で何時、誰が何をやっていたかと言う情報はリアルタイムで報告が来る。それは"闇世界"、"裏世界"、"表世界"の中でも、企業、国家、軍事、政治、外交、経済に至るまでの全ての情報が入ってくる。その情報源は各国諜報機関、BLACK第一情報大隊、タレ込み屋、武器屋、情報屋、新聞、ネット、テレビ、無線・暗号傍受、特定政治・外交・軍事重要参考人の盗聴や盗撮・・・・etcである。
何故なら今回の一件のように緊急且つ、重大な問題が起きた時に対応できないからだ。
「あの手この手を使って調べただけだ。それで?他にトピックは無いのか?」
「あ、ああ・・・・つーか・・・お前その格好は・・・・」
あまりの忙しさに顔に付いた血を拭いもせずにそのままにしていた刹那にはレイピア1の顔から血の気が引いていくのがはっきり見えた。
「・・・まったく、因果な世界だ・・・裏世界の協定ルートを無視して勝手にヤクをばら撒く奴は居るわ、闇世界の住人から許可を得ずに銃をホットシェリフ並の気安さでばら撒く馬鹿も居るわ、表世界の迷惑も知らずに勝手な理想を振りかざしてテロやクーデターに走る阿呆が居るわ・・・火消しをやるこっちの身になって貰いたいものだな・・・・一体何人を屠ればいいんだか・・・・やってられんよ・・・・」
刹那はこった肩をもみながら、胃を摑まれたような表情をするレイピア1の横を通り過ぎた。
「・・・・待ってくれ」
「なんだ?」
レイピア1は刹那の小銃を持つ腕を何時の間にか掴んでいた。
「・・・・あんたのお陰で、メビウス1は最近は随分と明るくなったんだ。あんた一体何をやったんだ?それと、お前は一体何者なんだ?」
レイピア1の目は脅えているように焦点があまりあっていなかった。
「・・・・何をやった?・・・・特に見に覚えは無いぞ。ただ、奴が望んだことをしたまでだ。それに私は、この軍よりも遥かに上位のコマンドから命令を受けて動いている。私が何者か知りたかったら、世界を統治できる唯一の機関に行ってきな」
「世界を統治できる機関だと?そんなもの・・・・」
「オーシア、オーレッドの14番街・・・・国際連合の名の下に、我々BLACK OPSは動いている。我々の行動は"世界の過半数の国家と裏世界の住人、闇世界の住人、そしてそれらの利害"が賛同している・・・・と言う事だ」
「!?」
刹那はゆっくりとはっきりと言うと、SAFの宿舎へと向かった。
「BLACK・・・・OPS?闇・・・世界?」

SAF 宿舎 21:15
「あ、お帰りなさい。中佐」
「やれやれ・・・・血を洗い出さないと、何所から猟犬が飛んで来るか分かったもんじゃない」
「洗っときますか?」
「いや、良いよ。ユニコーン1、あんたにプレゼントだ」
「御土産か?」
「ああ、機体操作マニュアルだ。こいつがあればブラックボックスの部分も解消する」
「サンキュー、中佐」
「礼には及ばん。それより、シャワー空いているか?」
「勿論・・・ああ、中佐。うちの機体の武器セレクタが固くなっているんだ。シャワー浴びたら来てくれるか?」
「あー・・・了解、大尉」
日常的に同じ戦場に立つ彼等には階級は関係ない。何故なら彼等は戦友同士なのだからだ。彼等は指一本あれば意思疎通が出来るし、銃の取り扱いも多種多様の物に対応している。唯一UNFに所属していないエメット隊も随分慣れてきたようだ。
「ああ、そうそう・・・中佐、シャワー浴びながら聞いてください」
「・・・なんだ?」
シャワー室に入った刹那が全ての服装を脱ぎ、シャワーのバブルを回した所でガーゴイル1が声を掛けた。
「エルジアの次期主力戦闘機・・・X-02とYF/A-27Aなんですが、実機が出来上がったらしいです」
「それで?」
「義父がX-02設計者のソラ君から意見も聞いてみて、我々として進言するのですが・・・・そのテスト機を奪取すべきでは・・・・と」
「その後そいつをISAF軍に引き渡すつもりか?」
「・・・ええ、まあ・・・戦力化できて、ノースポイント・サウスポイントで量産すれば、確実に我々にも有利になりますし・・・・まだ一機しかないXF/A-27のダウングレード型とは言えど、F-22を凌駕しますし、X-02もまだ試作機三機ですがスペック通りなら心神系列やF-35系列にも勝るとも劣らない機体です。エルジア側がそれを最終カードとして出してきた場合、SAFとしての我々も、UNFとしての我々も、非常に不利になります」
「フン・・・まだ情報が届いてないようだな」
刹那は鼻で笑うと、シャワー室からタオル一枚で出てきた。全身の手術跡が際立って見える。そんな刹那が自分の鞄から取り出した[トップシークレット、アイズオンリー]と英文で書かれた文書を彼等が囲む机に投げた。
「?・・・これは?」
「そいつがエルジアのジョーカーだ。まだ建設中だが・・・・昨日偵察衛星が捕らえた映像をBLACK OPS第一情報大隊が解像、解析したもので、コードネームは[メガリス]・・・・巨大な"ユリシリーズ再生機"だ。今日ISAF軍の偵察機が捉えたものと一緒だ」
「・・・・!?・・・こんな物が・・・」
刹那がパイロット用のツナギに着替えながら、青ざめる彼等を見ていた。それは、軌道上に残っている隕石群・・・ユリシリーズにSM-3ミサイルに搭載した爆薬の爆風を使って、それらを大気圏に落下させる施設だった。まだ建設中ではあるが、既に50%完成している。
「実験開始まで、あと・・・69日!?何てこと・・・・」
「本格運用には180日以上必要だが、SM-3なら・・・オーシア・ノースポイントから対ユリシリーズ用として譲与されているから、整備状態が良ければいつでも撃てる。さらにユリシリーズ弾頭用の特殊衝撃弾を搭載した新型ICBMが開発されたと聞いているから、それが放たれれば・・・・」
「ユリシリーズが雨のように降ってくる・・・!それに多弾頭型ICBMだったら・・・地上攻撃にも・・・」
「そういう事だ。それが出来上がれば、世界中の都市に攻撃できる。それどころか、シェルターごと山一つ吹っ飛ばすなんて造作も無い事だ。迎撃用のアークバードや来月から国際宇宙ステーションに20機配備される機龍TypeC(コスモ:世界初の制宙戦闘機)もキラー衛星も数が多ければ対応できない」
「ッッ!!」
刹那は淡々と最悪の事実を告げる。あと、五ヶ月以内にエルジア首都に居る石頭共に無条件降伏させてメガリスを解体せねばならない。それは不可能に近いものだった。
「恐らく、ISAFの上層部は今頃血の気を引かせて彼方此方にホットラインをジャンジャカ鳴らせている筈だ。」
刹那は苦笑しながらジェスチャーを交えていった。
「じゃ、じゃあ・・・これまで以上に侵攻速度が上がる・・・・」
「我々の出番も増える・・・と言いたいんだな?中佐」
「ああ・・・だから、今迄後方に居た鬼神を呼ぶ事にした。恐らくは・・・それでも追いつかんかも知れんが・・・私はBLACK第三戦闘大隊に出撃待機命令を出した。じきに全てのBLACK戦闘大隊に緊急招集と出撃待機がかかる」
「・・・・な、なんだって!?お前達BLACK OPSは戦場をひっくり返す気か!?」
「それどころか・・・・世界中が震撼するぞ・・・・」
「・・・・何所の世界も、大騒ぎになるな・・・・」
彼等はBLACKがどんな組織か身を持って知っている。彼等はかつての友軍ですら平気で撃ち殺し、都市一つ壊滅させる残虐さ、そして無類の強さを誇っている。そんな奴等が5中隊1000人も集まれば大陸が蜂の巣を突かれた様になるのは必死である。
「勿論、我々が動くのは最期の最期だ。最悪の時は"大陸が消滅する事になる"」
「・・・・核を使う気か?」
「"戦略核弾頭が全ての軍事施設、都市を破壊し、強制的に大陸から全生物を消し去る。"そうしななればどうなるか分かっているか?」
「おい!ちょっと待て!核の冬が来るぞ!」
「いや使用するのは中性子弾頭だからそこまでは行かない・・・・が、世界中に大小1万以上のユリシリーズが全て堕ちてくるのと全世界に被害が出る前に大陸が消える方、どちらが生存者が多いかといえば後者の方だ。私ならそれを選ぶ。まあ、決めるのは国連のお偉い方だ。我々はスイッチを押すだけだ。たったそれだけで全て片がつく。"世は事もなし。"そう言う事だ」
「・・・・」
刹那は無表情にそれを言った。他は愕然とする者だけ。刹那は世界で最も単純で確実な方法を告げただけだ。それに未練や後悔は無い。さらにメガリスが暴走した場合、ISAFの報復核攻撃が考えられる。それを防止し、難民も"偶然の暴発"で消す事が出来る。そして、低迷している経済の御陰もあり、損失は小さくて済むと言う寸法だ。
「・・・だが、そんな状況に陥ってもそれを回避する方法は二つある」
「・・・・何?」
「我々の手でメガリスを破壊するのと、BLACKが全世界のメガリスを含むミサイルサイロを破壊する事だ」
「・・・は?」
さっきとはスケールが違いすぎる刹那の台詞に一同は開いた口が塞がらなかった。刹那はただ単純に被害拡大防止策として"最も単純で、最も効果的な方法"を言っただけだ
「後者は作戦の許可が下りないだろう。だが前者は最も効率的で、最も難しいがな」
「・・・・なんだ、そんなに簡単なことだったのか」
「脅かせやがって・・・・」
「問題は、それを実行に移せるか。そして終わった後の残党狩り、財政再建、難民問題etc、etcだ」
「そんなのは後回しでもいいだろう!この星が滅ぶか滅ばないかの駆け引きなんだぞ!?」
「そうか?私にとってはこんな所はつまらないの一言に尽きるが、な。戦い、力、そして武器があれば天下泰平なんだ。そんなに他人を気遣うんだったら地の果てまで私から逃げおおせて見せろ。それが出来ないのであれば私がお前等の全てを奪い取ってやろう」
「・・・っく・・・」
シャワーでは落ちずに髪にこびり付いた血が彼の髪を淡いピンク色で染めていた。彼はバイブを始めた携帯を取ると表へと歩き出した。どうやら彼の上位のコマンドかららしい。そうやって奴は血の泥沼へと沈んで行き、ブラックの世界へと入っていく。絶対に奴が戦争を止める事は無い。何故なら奴の生きる事=闘争の世界なのだから

fin
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