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第三十一話:生者と死者

ノースポイント 入間統合自衛軍基地 5月1日 04:00
「ん・・・あ、おはようございます・・・」
「ああ、どうした?随分と早いじゃないか」
刹那は迷彩服を着ながらベットで下着の状態で寝ぼけているメビウス1を見て苦笑した。
「それは・・・こっちの台詞ですよう・・・・しかも何で電気も点けずに着替えているんですかぁ?」
「わっ!その格好でベットから出るんじゃない!」
彼女は刹那を逃がさまいとタンクトップやツナギすら着ずに抱きついてきた。困った刹那は仕方なく彼女に説明を開始する。
「・・・・仕事だ。私の副職のな」
「何ですか?それ・・・。私以外の女の人とも付き合っているんですかぁ・・・?」
「あのなぁ・・・・。UNFの仕事だ。作戦令状が届いたから行かなきゃいけないのだ。つうか、早く何か着ろ。重要な作戦前に私を誘惑するな」
彼女に背を向けながら刹那は言った。昨日の夜も刹那は彼女を抱いた。と言ってもSMに近いようなものだ。恨む者と恨まれる者が近づいたら必然的にそうなる。彼女は作戦と言うワードで一気に覚醒した。軍人として彼を見送る事にした
「・・・・じゃあ、早く帰ってきてくださいね。首を長くして待ってますよ」
「・・・明後日までには戻って来れる筈だが、流石にシバかれるのはもう御免だ。暫くの間は夜の運動は無しだ。分かったな?」
「え~?」
別に彼女の事が好きでも嫌いでもない。彼女が自分を欲しているからこそ、その欲求に答えているだけだ。しかし、それで毎晩のように殴られたり、蹴られるのは嫌になった。今の刹那にとっては携帯に届いた一件の暗号メールは助け舟の様なものだった。64式小銃と弾薬を取り、レッグホルスターの拳銃の残弾数を確かめると愛機へと向かう。行き先は"地獄の一丁目"ベルーサ共和国の政府軍特殊部隊キャンプの最寄飛行場。そこまでの航法を確認し、コックピットに置いている耐Gスーツを着ると、救命胴衣を着て、酸素供給用マスク付きヘルメットを被る。
≪タワー、此方ブラックデスサイズ。コード42731、タキシー許可を≫
≪音紋・コード認証・・・・良し、了解。ブラックデスサイズ、タキシー許可。世界平和の為に行ってらっしゃい≫
≪ラジャー≫
エンジンスターターを使ってエンジンを始動させる。常にこういう任務があるので、燃料は常に満タン、増槽をつけて待機している。BLACK OPSは常に出撃準備を怠らない。それは何時敵が動くか分からないからである。今回はベルーサの武器商人がテロリスト指定の武装組織[セブンズウェーズ]にAK47を5000丁、セムテックスハイエクスプローション炸薬と信管セットで100セット売るらしい。しかもそれはマフィア等が決めた協定ルートから外れたものだった。本来それらは現地の正規軍によって片される筈だったが、強固な防衛網によって断念された。
≪それじゃ、行ってくる。ロックロール!≫
刹那は戦いに向かう時だけ目が生きている。それは人間として愉しいのではなく、殺戮機械として愉しんでいる。

滑走路から飛び立つF-4を見ていたメビウス1は何か虚しい感じがした。
(何でだろう・・・・憎い筈のあの男が、何時の間にか愛せるようになった・・・・。隊長を落とした黄色と戦う理由を作ったあの男が・・・・)
そう思いながら自身もCAPの任務に備える為に、着替えを始める。その時彼女は気付いた。いつ間にかあいつが居なくなった事で、開放感よりも寂しく、苦しさが彼女の胸の中に居座っている事を。近くに奴がいないと、なぜか焦燥感にあおられる事を。
「よう、随分と楽しかったようだな」
「!?」
開いたドアから声を掛けられた。その主はレイピア1だった。
「・・・・えっと・・・もしかして聞こえてました?」
「ベットが軋む音が俺の隣部屋に響いて来るんだ。喘ぎ声は聞こえなかったけどな」
「~~ッッ!」
昨日も一昨日の夜も声は殺していた。恐らくこの事を知っているのは彼だけだろう。
「あ、あ、あの・・この事は・・・」
「勿論他言無用だ。ISAFのエースが非正規軍のSAFの人間とやっていた何て言えないし、ジョークとして受け取られるだけだ。安心しろ。・・・・それよりも奴は何をしに行ったんだ?SAFの任務とは思えないが」
「UNFの作戦とは言ってましたが・・・・」
「UNF?もしかして新統合軍か!?」
レイピア1は単純に驚いた。噂レベルだが、国連の独自戦力がこの戦争に関与しているらしいと聞いた事がある。それ関連だと思ったのだ。
「飛んでいくにしては東に飛んでいったみたいですけど・・・東にあるのはベルーサ大陸だけですよ?亡命とかそんなのじゃないと思いますけど・・・・」
「・・・・じゃあ、別の任務か。しかし、奴は一体何者なんだ。ただの傭兵でもないし、今度は新統合軍の話もあるし・・・・あいつはどれだけの組織に関与して、どれだけの影響力を持っているのか・・・」
「そんなの、分かる筈はないですよ。あの人は死人同然みたい目を私に向けるんですから」
「はあ?お前等愛し合ってるんじゃなか・・・」
ボコッ!
レイピア1はメビウス1のアッパーカットの直撃を受けて、2~3m飛ばされた。
「冗談じゃない!誰があんな男と!」
「だ、だからって・・・いきなりアッパーはないっしょ・・・」
「だったら、新品のケツの穴が欲しいですか?喜んで9mmの穴を開けてあげますよ?それとも11.4mmがいいですか?」
「わー!!前言撤回するから!!銃に手をかけないでー!」

ベルーサ共和国 09:00
「お久しぶりです、中佐」
「歓迎なら必要ない。作戦指揮所は」
「此方です」
顔を隠した兵士が機体から降りて、装備を外し、武器を取った刹那を迎える。
「・・・来ましたか。中佐殿」
「用件は知っている。問題はターゲットをどうやって潰すか、だ」
「ええ・・・取引現場までに500人以上の歩哨が居ます」
「大したものだな」
刹那は苦笑しながら指揮官を見る。彼の目は死んでいた。
(BLACK OPSが活動を下火にしていたから彼等の疲労が溜まっているのか・・・申し訳ないな)
「・・・私一人で行く。単独なら見つかりにくい」
「えっ!?お、お待ち下さい!それでは我々の・・・」
「大丈夫だ。お前等の力もいらない。ゆっくり休んでいろ」
「し、しかし!」
尚も食い下がる彼に対して刹那は鋭く睨んでいった。
「命令だ。聞こえんのか!?」
「は・・・ハッ!」
気圧された彼は、慌てて答えた。
「では、無線機を借りるぞ。取引は10:30からだったな」
「は、はい」
物資集積所から無線機を持ってこさせ、7.62mm20連マガジンを10箱貰うと直ぐに目的地に向けて歩き出した。その時、刹那は指揮官の疲れた顔から約一月前に酷く言い負かした男を思い出した。
(そう言えばあいつどうなったけか・・・・)

時は戻りサンサルバシオン スカイキッド

サンサルバシオン スカイキッド 4月4日 23:00
「・・・・またか」
エーリッヒはまた4との浅く短い夢を見て目が覚めた。毎回彼女が微笑みながら自分の手を引っ張って愉しく二人だけの散歩を行なっている、そして突然その4の腕を誰かが切断する所で終わる。そして目が覚めた後は奴の言葉が反響して聞こえた。
(ハッ!・・・降伏しない敵を放置しておけば、給弾整備されたらまた戦力と化す。それを放置して何が兵士だ。笑わせる)
「・・・・・クソッ」
(甘い・・な。甘すぎる。結局はご都合主義の貴族の坊ちゃんか。それに戦う意思の無い敵を撃ったのは貴様もだろう?)
「・・・・違うッッ!」
(いい加減、この戦争と言う戯事にも飽きてきたがな・・・)
「黙れ・・・・ッッ!」
(おっと、"本音が出てしまった"か。・・・・私にとっては全てが戯事で暇潰しでしかない・・・。私が死ぬまでのな。私を失望させるなよ?"人間"?)
「貴様に・・・貴様なんかにッッ!畜生!!
息が荒くなり、大声を上げる。それは小さな酒場で、大きく反響した。あの少年が心配そうに自分を見ている。
「隊長さん・・・大丈夫?」
それだけではない、酒場にいた全員の隊員と、酒場の少女もこっちを見た。
「ああ、大丈夫だ・・・・!」
その時に、自分のポケットで紙が擦れる音がした。それは今更届いたSTNを破壊したパイロット達を取り上げたISAF軍の新聞のFAXだった。その時、怒り半分やけくそ半分でその紙を壁に貼り付けてピンで留めた。
「見ろ!・・・敵にも賞賛すべきパイロットもいる!こういう敵は見習え!奴等はコソコソと人の弱みをついて動き回るコソ泥だけではないことを覚えておけ!!」
彼はそれを一気に言うと何かが吹っ切れたように、落ち着いた。皆は「4の仇はとる」とか言ったり泣き出す者も出た。そんな中酒場の娘だけ、自分に対して何らかの嫉妬のようなものを感じた。その視線から逃げるようにエーリッヒはそこから立ち去って車に乗り込んだ。

4月5日 サンサルバシオン旧市街内 01:45
「・・・・!」
タッタッタッタッ・・・・・
また奴がいるのではと思い、基地に戻るに戻れずエーリッヒはスカイキッドの直ぐ近くで車を止めていた。そんな時、MPのそれとは程遠い走る運動靴の足音が聞こえてきた。それは直ぐ近くで止まった。
「ハァ・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・・」
女のしかも若い肩でする様な荒い息が聞こえる。
ダッダッダッダッダッダッ!!ピーッ!!ピーッ!
その直後MPの軍靴と警笛の音が一旦近づくとまた遠ざかった。どうやらこの女を追っているらしい。女は音が聞こえなくなると同時に駆け出した。しかし、そいつの目と私の目が合った。
「ハアッ!」
彼女の息を一気に吸うを音が狭い路地に響く。こっちに気付いたのだ。エーリッヒは"レジスタンス"を捕らえる為にドアを開けて、外に出る。彼女は息をゆっくりと整えつつ、壁に張り付いた。観念した様だ。ゆっくりと彼女はこちらを見上げた。その顔を見てエーリッヒは驚いた。
(酒場の―――娘!?)
「・・・・ッ僕らの街から出て行け!!インベーダーめ!」
背後から聞きなれた声が聞こえたが、それは何時よりも強く、覚悟の入った言葉だった。エーリッヒが振り返るのと同時に娘は声の主・・・・自分に銃を構えるハーモニカの少年に駆け寄った。
「・・・そんなに俺たちが憎いか?」
「・・・・・・」
相手は此方の質問には答えなかった。否、答えられなかったといったほうが良いかも知れない。少しの間沈黙が訪れる。エーリッヒは思った。
(こいつらが4の機に・・・・・ラインハルトなら、直ぐに銃を抜くだろうな。そして躊躇無く撃つだろう。・・・・・俺は・・・・奴とは違う)
ダッダッダッダッダッダッ!!ピー!ピリリリー!!
MPが戻ってきたようだ。エーリッヒは決意を決めて言った。
「行け!」
その言葉を聞いた彼等は酒場に向けて走り出した。
「これで・・・いいか?ネール・・・・」
エーリッヒは天を仰ぎながら4の名を言った。

ベルーサ共和国 5月1日 11:45
指揮官は驚いた。戻って来た刹那は全身返り血だらけ、しかも満足げな顔で帰ってきた。
「実にお粗末な連中だ。全て喰い尽すのに30分も要らなかった」
刹那は武器商人の生首とテロリストの首謀者の生首を兵士に渡すと、地面に座った。
「やはり、あなたはおっかない。全て喰らってきて腹を一杯にしたわけですか」
「まあ、な。クソッたれな武器商人の肉は不味い。ドブの味がする。そういう奴は闇世界でも厄介者の部類に入る」
刹那はニッコリとしながら言った。小銃の弾は尽き、ナイフは折れて、拳銃弾もなくなっていたのだ。満足に存分に人間達を食事したのだろう。
「一休みしたら、ノースポイントに戻る。掃討作戦を始めてくれ。仕留め損ねが10匹ほど隠れているからな」
「了解!分隊集合!」
彼等は兵士を集め出した。刹那は機体に戻ると眠りについた。今日だけは刹那は願わなかった。

目が覚めませんように

とは・・・・

Fin
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