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第二十九話:宿命

サンサルバシオン郊外 4月3日 23:45
「・・・・」
エーリッヒは戦死した4の唯一の遺品のハンカチを見ながら、ベッドの上で寝っ転がって居た。彼は今軽い憂鬱な状態になっている。今迄いた戦友が死ぬ事は生き残る者にとっては非常に辛い。

「何千人の美女に甘い言葉をかけられるより、戦友の一言の方が重い」

と言うのは間違いではない。
彼は始末書を書かされ、STNが陥落した事は一定期間黙秘との事だった。しかし、それはあっというまに少年に伝わり、恐らくあのレジスタンスの酒場の少女に伝わり、町中に響ているだろう。何故なら自分達はそれを彼に喋ったからである。

「いたくお気に入りだったようだな。あの娘」
「!?」
簡易的な個人用プレハブの入り口に一人の男が立っていた。
「・・・貴様、一体何所から入ってきた!?」
「私に境界など意味は無い。私は何所にも居るし、何所にも居ない。私はそんな存在なんだよ。エーリッヒ」
クククと微笑しながら、その男は言った。真っ黒なコート、そして低く冷たいテノールの声、長い黒髪の後ろを束ね、蒼と緑の絶妙なオッドアイをもつ目。そしてそいつは4を殺した張本人。あの蒼いリボンの奴が放った矢で傷ついた4に容赦なく止めの短刀を突き立てた男。ラインハルトまたの名を刹那。裏世界では「中佐」又は「死神」の名で通り、それに目をつけられた者は肉片まで残されずに死ぬ事になる。
「今お前がどのような心境を持っているのか・・・それを見たくてな」
「良くもまあ、抜け抜けと言えたものだな・・・。いの一番に貴様を撃ちたくてたまらねえんだよッ・・・!!」
「ほう?この様な状態でもか?」
エーリッヒは明らかに自分より10cmは小さい刹那に片手で胸倉を掴まれて、持ち上げられた。
「・・・それに、空の上でやられる事には恨みは持たないんだろう?」
「・・・・それとこれとは話が別だ!貴様は明らかにもう戦えない4を狙ったろうッッ!?・・・がっ!!」
ドサッ!
半ば無理やり外に投げられる。そして、地面に落ちるのと同時に奴はこちらを見て嘲った。
「ハッ!・・・降伏しない敵を放置して、給弾整備されたらまた戦力と化す。それを放置して何が兵士だ。笑わせる」
「何ぃ・・・!?」
起き上がろうとするエーリッヒの胸倉を再度刹那は掴むと、銃を突き付けながら言った。
「甘い・・な。甘すぎる。結局はご都合主義の貴族の坊ちゃんか。それに戦う意思の無い敵を撃ったのは貴様もだろう?第一次STN攻撃の際の攻撃隊は撤退を始めたのに殆どを撃墜するまで追い掛け回し、製油所では逃げる敵機を追い掛け回して何機かを撃墜した。ベルカ戦争では連合国の戦闘機が必死に逃げようとしているのをまるで虫けらの様に落として、エースに成り上がった。違うか?」
「な・・お前・・・・。どこまでそれを・・・」
「全てだよ。お前・・いやエルジア軍、ISAF軍の全将兵、傭兵に至るまでの家族構成・その住所、性癖、財産、生年月日、本名、所属師団・部隊・階級etc、etc・・・・全て私が掴んでいるんだからな。裏世界を統治するのも大変なんだ。分かるか?お前とは生まれた意味も、死ぬべき目的も違う。何もかもが表にいるお前に説法を聞かされたくない」
眉間に突きつけられた拳銃はグリグリと喰い込む。少しして刹那はエーリッヒの眉間から拳銃をどかした。
「だが・・・、今はただ観察しに来ただけだ。いい加減、この戦争と言う戯事にも飽きてきたがな・・・・」
「・・・な、何だとっ!?・・・この戦争が・・・戯事だとお前は言うのか!?」
「おっと、"本音が出てしまった"か。・・・・私にとっては全てが戯事で暇潰しでしかない・・・。私が死ぬまでのな。私を失望させるなよ?"人間"?」
そこまで言うと、そいつは灯火管制された暗闇の中へと消えて行った。
「・・・これまで俺達が身を挺して、罵られてまでやって来た事が・・・奴にとっては戯事だって言うのか・・・・ふざけるな!死神!!お前は・・・お前は一体何なんだ!!」
エーリッヒは拳をにぎり、暗闇に向けて叫んだ。

コンベース市郊外 4月4日 02:50
ゴオオオオオォォォォォ・・・・・・ゥゥゥ・・・
「また空を見ていたのか、ラリー」
暗闇の空を眺めていた男に嵐山三等陸尉は苦笑混じりに言った。
「・・・ああ、懐かしき良い音だ。あれは・・・F100-PW-100だな。F-15のエンジンだ」
「ソラに戻りたいか?」
「この右足さえまともなら、直ぐにでも飛ぶさ」
ラリーは軽く右足をひきずるようにUH-60Aの開いたドア部分に腰をかける。そして彼の本音は空を飛ぶだけではない。かつての相棒に会いたい。そう思っている。嵐山はそれを重々知っている。何故ならNGSDFの9割の正規自衛官は戦闘に関して口外せず絶対機密を保持するという唯一の命令を守って対テロリスト戦闘を経験しており、機密作戦と言う点で外人部隊や民間軍事会社、各国の特殊部隊はとは関わりが深い。
「まあ、今日も気楽に行こうぜ。あと1時間でオペレーション・チャリオットが始まる」
「WW2のエメリアの乾坤一擲の作戦の再来か。海上突入部隊は大変だな」
ハハハと笑いながら、小銃の再チェックを怠らない。
≪レンジャー1よりAll UNIT's、集結地点に集合せよ。繰り返す・・・≫
「お呼び出しだ、ロックロール!」

今日の任務は包囲されても尚抵抗を続ける敵を殲滅し、さらに旧型戦艦の改造戦闘艦[テイルピッツ]を破壊する事である。

作戦名[チャリオット]

WW2の際包囲されたエメリアがベルカの戦艦、[テイルピッツ]のドライドックに対しを海上から駆逐艦[キャンベルタウン]貴下エメリア艦隊が砲撃とMG42、MP40の銃弾の嵐の中突入し、ドックに体当たりを敢行。キャンベルタウンごとドックを爆破し、サンナゼール港内の施設・兵員を破壊、殺傷しUボートを何隻か破壊して多大な損害を出しつつも作戦を完遂して来た作戦をもじっている。

最優先目標[テイルピッツ]はベルカ戦争時にエルジアが"保護した"旧型戦艦にCIWS20門、二連装主砲を一門取り外し、Mk41垂直発射セルと交換、SPY1-D、OPS-28改、最新鋭のソナー対潜水艦装備、ミニイージスシステムを導入した魔改造艦でこれまで直接攻撃は全て失敗している。
第二目標の敵部隊はISAF軍が上陸作戦を行なう前から駐留し始めた部隊に第42歩兵師団、第五機甲師団が市内に居る。さらに市民が多数居る為、迫撃砲や曲射砲は全てNGSDFの特科部隊の精密射撃になっている。そのためたいした戦果は出ておらず、狙撃で敵が出てくるのをどうにか防いでいるといった所だ。航空支援は戦闘機では無理、A-10やAC-130では民間人をまき添えするので駄目、となるとヘリしかいないが、RPGの弾と射手が異様に多い事が悩みの種である。すでにISAF陸軍のヘリが10機程度落とされている。
第三目標は捕虜と市民の開放、戦闘に集中する為に民間人は一定の場所に集結させ、捕虜を救出したら戦力に加えると言う手筈になっている。

≪諸君、作戦の最終確認だ。後45分でエルジア海軍第二艦隊に偽装されたISAF海軍第一艦隊が湾内の哨戒艦艇に対し攻撃を開始する。それと同時に市内に突入、同艦隊から出撃するNGSDF、SGSDF特殊部隊と合流し、最優先目標を叩き潰す。その後、敵部隊を掃討しつつ同志と民間人を逃がす。手筈を間違えるなよ≫
≪レンジャー2、ウィルコ≫
≪レンジャー4、ラジャー≫
≪レンジャー6、ラージャッ≫
「レンジャー3、コピー」
「デルタ1、ラジャー」
≪デルタ3、コピー≫
≪デルタ4、コピー≫
先鋒となるヘリボーン各隊の報告を確認しながら部隊員に対し戦闘準備を下令する。他にはISAF軍のタンゴ隊が戦車と装甲車の混合編成で突っ込んで来る手筈だ。
「なあ、ラリー・・・」
「なんだ?」
嵐山はラリー・フォルクに対して小声で聞いた。
「お前、この戦争が終わったら・・・サイファーに会うつもりか?」
「!・・・・さあ・・な」
ラリーは少し間を置いて答えた。それを嵐山は確かめると、顔を下に向けて言った。
「会える、と・・・・良いよな。俺の戦友はイーグル・クロー作戦で本当は俺を庇って戦死扱いなのに事故死扱いにされた。棺に入った戦友の亡骸にも会えなくて、さ。お前もそうならなきゃ良いんだが・・・・何か愚痴っぽくなったな。忘れてくれ」
「・・・・・お前らしくないな、嫌な予感・・か?」
「・・・ああ・・・多分この作戦は苦戦する、と思う」
確かにその通り、戦闘地域は市街戦で相手は市街戦に特化した第42師団。簡単には打ち破れない。
「気にするなよ、戦友。いつも通りに戦って、街のバーで落ち着こうぜ」
「・・・そうだな。覚悟しろよ?戦友。俺は結構酒豪なんだからな」
「互いが無事ならこの上なく良いのさ。金なんてどうだって良い」
「ああ!行こうぜ」
それぞれヘリに乗り込みながら互いを励ましあう。シャフト・ローターエンジンが唸り始め、暖機運転を始める。防弾多機能MHMDバイザー(マルチ・ヘッド・マウント・デイスプレー)のIRシステムを起動し、バッテリー残量を確かめる。小さなソーラーパネルがバイザーの上についておりソーラー蓄電池によって電力を供給する。小型だが暗闇で半年間はバッテリーのみでも稼動し、2年は整備いらずの高性能バイザーで目の視界を妨げずに使用できる。IRセンサーシステムの他、暗視システム、部隊間連携装置C4Iシステムがバイザーが稼動中は常に作動し、装着するID固定の人体の異常を感知した場合には状態により鎮静剤か覚醒剤、モルヒネが迷彩服下から微量静注射される。NGSDF・SGSDF両軍共通の最新装備だ。ヘビーアーマーの中で最強のドラゴンメイル・背嚢・110mm対戦車砲等の重い装備を装着していても、人間への負担を軽くする為にパワースーツの無音・耐湿・耐弾の腰関節アクチュエータが腰の部分をサポートする。そのため、彼等の装備は汎用装備で30kgを超えている。

「・・・・時間だ」
嵐山は時計合わせされた時計を睨みながらパイロットに伝える。
≪テイク・オフ。レ-ダーに捕捉されるなよ。何所にレーダーサイトが隠れているか分からんぞ≫
隊長の指示でヘリが一斉に離陸する。NOE(匍匐飛行)で目標地点に一気に向かう。地上には友軍のレオパルドとチャレンジャー、ルクレールが突撃する。その後ろに海兵隊のストライカー旅団が続く。
≪特科部隊、射撃始め。敵車両は衛生写真で確認した所から動いていない筈だ。制圧射撃開始せよ≫
≪了解、撃ちー方始めッ!風速2.34m、仰角24.6度、方位2-7-1.45・・・撃ーーッ!!≫
ずっと後方で発砲炎が光り、暫くして発砲音が響く。
≪「5・・・4・・・3・・・弾着・・・Now!」≫
着弾を多数確認するとIRセンサーの向こう側で兵士の行動が活発になるのが見えた。
≪撃ってくるぞ!レンジャー、デルタ総員聞け!!目標手前でフレアをかけて減速するから一気に市内に転がり込め!≫
≪何だと!?止まっても無いのに降りろだ!?無茶言うな!!≫
≪落ち着け、ヴァシリ。受身をしっかり取れ。周辺警戒を絶対怠るな!!≫
≪RPG来るぞ!10~2時方向!数は20~30!!なんて数だ!≫
≪対空砲も稼動中!やらせるな!!≫
≪コブラ全隊へ!突っ込んで対空砲を潰せ!!≫
≪オーライ!戦闘ヘリ部隊前へ!!≫
≪RPG来るぞ!撃て!!≫
タタッ!!ドドドッ!!シャアアア!!!!シャシャアアアア!!ドドドドッ!!!ドシュアアアアアアア!!!!タタタッ!!
RPGが機体を掠め、後ろに去っていく。そしてRPG射手に向けて01式小銃ロングバレルモード(追加銃身にスライド銃床を最大限伸ばした状態)、スリーバーストファイアで応じる。機体の要員も7.62mm74式機載機関銃で応戦する。
≪L-90が稼動中!早く敵をしとめろ!!海上部隊を確認!目標敵艦の水兵と戦闘中!!≫
≪降下30秒前ーッ!!≫
「良し、全員聞け。機体から転がり落ちたら瞬時に集結し、遮蔽物を確保しろ」
「「「了解!!」」」
嵐山は追加銃身を取りはずし、スライド銃床も最短の位置に戻す。バーストから乱戦に備える為にフルオートに切り替えなが言った。既に機体は街中に侵入している。
≪降下10秒前ッ!全機フレアかけろっ!≫
「クッ!」
ドアの淵を掴みながら転倒を避けて部下を見る。全員が耐え切ったのを確認すると機体が水平に戻ろうとする力に耐えた。
≪降下!!≫
「行くぞ!」
小銃を片手に持ちながら一気に機体から飛び降りた。と同時に分隊員3名も一気に飛び降りた。時速40~50km/h、駐車中の車にぶつからない場所を選定して、飛び降りる事には成功した。転がって衝撃を抑えて直ぐに周辺を索敵する。
「全員生きてるか?」
≪当然です、分隊長≫
≪何とか!≫
≪無傷だ!敵影視認できず!クリア!!≫
「良し集合!」
手信号で合図しながらIRセンサーの反応を確かめたが燃えさかる戦車と、装甲車の反応のみだった。
≪あの建物を抜けて、一気に行きましょうか?GPSと地図によれば最優先目標はこの建物の向こう側です≫
「いや、敵兵に隠れられていると厄介だ。それにそこから先は開けているから危険すぎる」
≪了解、迂回します≫
ヘリが高速で湾内へと抜けていく、最優先目標は複数同時処理機能を持つCIWS20門という針鼠のような防空火器を持つが、夜間奇襲・・・しかも少数部隊の同時突入には対応できない。さらに運の悪い事に停泊中で戦闘要員が出てきていない
≪レンジャー全隊、状況報告≫
≪4、状態グリーン≫
≪6、敵と交戦中。されど問題なし≫
≪2、状況グリーン、敵を殲滅≫
「3、敵影なし」
≪デルタ各隊も健在だ、目標を叩き潰す。ラリー!行くぞ!≫
各隊が移動を始める。敵兵が必死にAKを取って応戦を始めるが、ろくに狙って撃ってきていない。牽制射撃を食らわせながら目標に向けて大回りに進む。
≪此方タンゴ、市内に突入した!コブラ、レンジャー、デルタ各隊に感謝!≫
≪Roger、友軍の位置を常に見失うな!同士討ちに注意≫
後方の友軍が突入してきたが、市街戦に戦車はキツイ。360度だけではなく上方90度まで監視せねばならない。それをサポートできるのは歩兵だけだ。
≪敵部隊回りこんできます!≫
ダットサイト・フォアグリップ付きの89式小銃をセミオート射撃で敵を倒しながら部下は言った。
≪民間人がいる街に部隊を侵入させようってのが間違いなんだよ!クソッたれめ!空軍を呼ぶことすら出来やしない!≫
≪ぼやくなトミー・・・!最優先目標発見!周囲に敵影なし!敵艦に乗り込むぞ!≫
≪了解、デルタ4。破壊工作を開始せよ≫
≪りょうか・・ッッ!!撃ってきやがった!伏せろ!!隠れろ貴様!まだ撃ち返すな!≫
傭兵の一部が敵艦のいるドライドックに到達したようだ。だが、敵は機関銃で防備を固めているようで彼等は入口にすら到着していない。
「レンジャー3、援護する!」
タタッ!!タンタンタン!!トトッ!トタタタッ!!
発砲炎を視認次第、機関銃手に5.56mm弾をプレゼントする。しかし、そうそうアサルトライフルの弾は命中するものではない。敵は怯んだだけで今度はこっちに向けてM2ブローニング12.7mm機関銃を撃ってくる。しかし、ほんの一瞬でも傭兵達には十分だった。
≪今だ!撃てえっ!≫
ドドドッ!!ダダダッ!!ドドドンッ!!!
傭兵達のAK-100シリーズ、M-16A4、G36K、FN-FALが一斉に火を吹く。それは確実に敵の体に命中した。
≪Tango、DAWN!GO!GO!!GOー!!!≫
「怯むな!突っ込め!!飛び込めばこっちのもんだ!」
一気に漁業市場を駆け抜けて目標に向けて全力で走る。
≪此方S1、デルタ4とレンジャー3を確認した。間も無く敵艦に到達する。中で合流しよう。Over≫
≪Roger、C4を仕掛ける場所をミスるんじゃねえぞ!弾薬庫とCIC、そして機関室だ!≫
「了解!敵の水兵はこっちで抑える!早く中へ!Out!!」
敵艦のハッチのロックをレミントンM870ショットガンでぶち破って、デルタ4はフラッシュバンを投げ込んだ。
≪開いた!フラッシュバン!≫
カカンッ!バンッ!!
≪Move In!≫
≪Go!Go!!Go!!≫
バンッ!!ガシャッ・ガシャッ!!ドン!パン!パン!ダンッ!!
待ち構えていた敵艦の水兵はフラッシュバンにより目と耳を一瞬にして無力化された。と同時にデルタ4兵士の一人がショットガンを敵にぶっ放したのを皮切りに、デルタ4は敵艦の乗員に向けて発砲を開始した。しかし、彼等は刹那のようなウォー・マニアックスとは違い、それに抵抗感を持っていた。しかし彼等は敵だ。撃たなければ殺されるのは、こっちなのだ。白旗を掲げて両手を挙げるまで撃つのを止めない。そして苦しむ敵兵にはいたぶったりはせずに直ぐに楽にしてやる。それが彼等の唯一の戒律だった。それは特殊作戦を経験してきた自衛官等も同じだ。捕虜にするのは将校だけだ。それ以外は負傷、又は"保護"と言う名目で治療、軟禁する。
「・・・妙だ。静か過ぎるぞ・・・・」
「兵士らしき人間は見えません・・・内部にもたいしていないようです。味方の無線からは銃声が聞こえませんし・・・ビーコンも生きています」
嵐山等は不思議に思った。もっと激しい抵抗があると覚悟していたのにまったくといって良いほど音がしない。市内で待ち伏せているのか・・・それとも、撤退したのか・・・。
フキュウウウウ!!!
「!!?タービンが動いた!?何の真似だ!?」
「行きましょう!!」
突然、目標のエンジンが動き出したのだ。と同時にドックに注水が始まる。嵐山達は艦内へと突入した。
「こちらレンジャー3!デルタ4!S1!何があった!?」
≪こちらデルタ4、・・・艦内は制圧した。敵は降伏もしたんだが・・・我々では説明できない。艦橋に上がってくれ≫
「・・・!?」
奇妙な無線内容だが、艦橋に駆け上がった彼等が目にしたのは堂々と仁王立ちして海を見つめているこの艦の艦長だった。その他はまるで我々が居なかったかのように出航の準備を進めていた。とても降伏した敵艦の艦内とは思えない行動だった。
「どう言う事だ?」
「・・・・あの艦長が降伏する代わりに艦をドックで木っ端微塵にせずに湾内に沈めさせてくれと言ったんだ」
「その条件を呑んだのか?」
「・・ああ。船乗りとしてこいつには海で永眠して欲しい。と言うのが彼等の理由だ。」
デルタ4もS1もその艦長の背中を見ながら言った。そしてその艦長が完全武装の兵士達に振り向いて微笑って言った。
「・・・・・この艦が生まれて62年・・・こいつはこれまで3回の海戦を乗り越えてこの戦争に参加し、何度も戦い抜いた。老朽艦だが改装に改造、改修を続けてずっと戦い続けてきた。私もこの艦も疲れきった。最期くらいは我が侭を許して欲しい」
「・・・・・分かりました。出航したら全員を捕虜として下艦させます。我々も任務がありますから」
「・・・・ああ。頼むよ」
歴史的には名も無いようなただの大佐の艦長は、快く我々の条件を引き受けた。余程人望があるのか誰も文句を言わなかった。
「出港準備完了しました!」
先程の我々との戦闘で負傷した水兵が敬礼をしながら報告してきた。
「良し、総員退艦用意。航海長、湾中央部まで艦をオートパイロットで進めさせよ。最低要員以外は退艦後、彼等の指示に従い生き延びるのだ」
「・・・か、艦長は・・・」
「応答はどうした!?」
「ア、アイアイサー!!」
「宜しい・・・さて、航海長。後は私に任せなさい」
「は・・し、しかし・・・・」
「いいのだよ。責任は取らねばならん。街を巻き込んだことと、艦を沈めなければならない事のな」
それらの対話を聞いていた自衛官と傭兵は挙手の礼をして生き残った水兵の案内と、遺体の収容を始めた。遺体はエルジア本国に赤十字を通じて送還し、生き残った水兵らは捕虜収容所に連行する為だ。そして艦長が何をしようと言うのも理解できた。航海長以下航海士全員が最後に降りてきたのを確かめると戦艦テイルピッツを離れた。と同時に艦が動き出す。C4の遠隔爆破スイッチを右手に持ちながら嵐山はゆっくりと遠ざかる艦影を見つめた。10分後、艦が湾中央で停船したのを確認すると嵐山は目を叛けずにスイッチを押した。
ボンッ・・・・ドオォン・・・・
遠くで大きな火球と共に爆発が連なって大爆発を起こした。
「レンジャー3よりHQ、目標・・・沈黙。捕虜と敵兵の遺体を後送したい。装甲車を廻してくれ」
≪了解、間も無く街の敵兵も一掃出来る。ミッションコンプリート、RTBせよ≫
「・・・・Roger・・・さあ、帰ろう。俺たちの家へ。・・・歳・・かな。少し・・・・疲れた」

fin
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