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第二十八話:"紅き血""犠牲""悲劇""喜劇""永遠""復讐""影""光"そして・・・"黒き疾風"

STN 上空 10:25
≪・・・遅かった・・か≫
エーリッヒは黒い煙を上げる地平線を見て、呟いた。既に守備隊との連絡も取れない。
≪だが・・・ただでは帰さんぞ。イエロー13より4、6、10、7。ISAF軍機を片付けろ≫
≪イエロー4、ウィルコ≫
≪6、了解≫
≪10ラジャー!≫
≪7、Copy≫
僚機の了解を確かめると、マスターアームをONにする。今回は、短距離AAMのみを持ってきた。敵は消耗しているだろうし、取り付ける暇も無かったのだ。
≪行くぞ・・・!!≫
敵機は傭兵の機体らしきEF-2000と黒いF-22、そしてISAF軍の塗装のF-22。三機だけでは無く、その後ろにF-15のパルス・ドップラー・レーダー波を4つキャッチしている。前衛と後衛が合流するまでそうそう時間は掛からないようだ。数では不利・・・だが、練度ではどうかは分からない。
≪イエロー13、Engege!≫
エーリッヒはまずISAF軍機のF-22を狙いに入った。ヘッドトウヘッドで正面から挑んでくる。10と6は後衛を叩きに行かせた。赤外線センサーの反応・・・トーンが次第に大きくなる。F-22には自機から発せられる赤外線を弱体化させる装備を持っている。その御陰で敵機のAIM-9と同射程しかえられない。
≪イエロー13、FOX2!≫
≪メビウス1、FOX2!≫
トーンが最高潮になった瞬間トリガーを引く。敵との混信で無線が交じり合う。女の声が聞こえた。バレルロールとフレアでAIM-9Xをギリギリでかわす。敵機とすれ違う瞬間、自分と敵の透明のバイザー越しにパイロットの目とエンブレムが見えた。澄んだ蒼い目、そして蒼いリボンのエンブレム。

あいつだ―――

エーリッヒは気付いた。何度も鉄の翼を交え、結局落とせなかった・・・あのパイロット・・・


メビウス1は外れたミサイルに舌打ちしながら敵のミサイルをかわした
メビウス1の目には翼端が黄色く塗装され、灰色の迷彩が掛かったターミネーターのパイロットと自分の透明のバイザーとキャノピー越しに目が合った。金色の目、そして大きく書かれた黄色い13の数字。

隊長を落とした、あいつだ―――

すれ違い旋回に入った。憎しみよりも、高揚感が彼女の体を覆った。旋回するGが心地よく感じられる。

今度こそ・・・撃墜してみせる!

これで黄色とは4回目の会敵となる。一度目はノースポイントの西洋上、二度目は製油所、三度目はコモナ諸島。
三回とも自分よりも奴よりも腕の良い味方に助けられるか、逃げるしかなかった。だけど今度は違う。こいつを上回れる自信も腕も、持っている。

急旋回でグルグル回る様に相手の後方を取ろうとする。まさにドックファイト、これこそ戦闘気乗りの本懐と言う奴だ。急旋回を何度も繰り返し、Gが自分の意識を奪おうとする。それに耐える訓練も日々欠かさず行なった。"円卓の鬼神""不死鳥"すら上回るというNASDFのアグレッサーとも何度も戦った。そしてこいつを最も知っていて、最も自分が恨んでいる奴にも頭を下げてまで空戦の術を学んだ。
バイザーでAIM-9Xの照準を合わせながらも、撃てなかった。最小交戦距離を割っているし、どうせ角度がありすぎて当たりはしないからだ。


出来る!良くぞ此処まで成長した―――

敵を賞賛しながらも、エーリッヒはGに耐えていた。
エーリッヒもR-73を敵にロックしながらも撃てずにいた。最小交戦距離を割っているのでオートセーフティが掛かっているからだ。しかし、エーリッヒは栄光あるベルカ空軍のエースパイロットだ。敵にそう簡単に後ろを取らせなかった。こういう好敵手の為に格闘戦では無比の強さを誇り、機体整備の不調から当時の成長途中の鬼神と片羽に落とされてしまったゲルプ隊から空戦の技術を受け継いでいる。

だが、此処で落とされるわけには!――

先に動いたのは――――エーリッヒだった。最大のGをかけて敵機の後方に張り付いた。



・・・だがそれが"灰色の死神"の付け入る隙を、与えてしまった



≪堕ちろ≫


感情も何もない、冷たい低いテノールの声。それが妙に二人の間に響いた。

≪隊長!!後方上空です!!!!≫
4の叫び声でブラックアウトしつつある意識に響いた。
≪≪んなッッ!?≫≫
敵との混線で、はもった。そして後方を振り向くと・・・一機のカナード付きファントムが装甲の一部を摩擦熱で少し紅くなるほどの高速で突っ込んで来た。その速度は2600kt、マッハに換算してマッハ3以上。キャノピーは三重の防弾・防熱性の特殊ガラス、エアインテークはスクラムエンジンの状態で解放状態、そしてチタニウムと複合材で出来た機体だからできる芸当だ。エンジン内温度は1万度を軽く超えている。味方すら顧みずそれはまるで黒き棒の様に突っ込んで来た。
≪ぐおっ!≫
≪クッ!!≫
二機の戦闘機は同時に左右に旋回した。だが、エーリッヒは急激な旋回で空戦エネルギーが落ちていた為、遅れを取った。

ヴオッ!!!

馬鹿でかい衝撃波が二人がいた空域を一気にかき乱した。
≪うわああっ!!≫
≪きゃあっ!!≫
≪・・・外したか。もう一回≫
それは速度を少し落としながら戦闘機のそれとは思えないような急激な旋回をすると再度急激な加速をした。それはこっちを目指してくる
(馬鹿な・・・・この世にこんな機体が・・・・)
エーリッヒは機体を安定させようとしながら、それを見た。それが一瞬の隙だったのかもしれない。
≪くう・・・・!捉えた!!FOX2!!≫
ビイイイイイイイイイイイ!!!!
≪しまった!!≫
メビウス1がその僅か数秒の隙にエーリッヒを捉えた。そしてAIM-9Xが放たれる。それが自分を落とそうとする一撃だった。

かわせない

諦めかけた時、信じられない光景が目に入った。
≪隊長!!≫
敵と交戦していた筈の4がエーリッヒの機とミサイルとの間に割って入った。
ドンッ!!
あっと言う間も無く彼女の機は被弾した。そして煙を噴き出している
≪4、脱出しろ!≫
≪隊長・・・・・ごめんなさい・・・・命令、無視しました・・・≫
その言葉が、彼女の最期の言葉だった。
ヴオッ!!!
刹那が一瞬硬直した戦闘空域の中で落伍した敵機を逃す筈は無かった。4の機体にすれ違うギリギリでM61A2改の20mm弾が彼女のエンジンを貫き、そして衝撃波で彼女の機体を一気に破壊した。
≪誰か4の脱出を見た者はいないか!?≫
エーリッヒは敵味方問わず全周波数で叫んだ。しかし、誰からもその答えは返ってこなかった。万一脱出していても衝撃波で彼女の体はズタズタになっている。刹那のファントムが再度旋回しようとするのを見て、エーリッヒは撤退をせざるを得なかった
≪・・・ストーンヘンジ破壊に成功!黄色中隊の一機を撃墜した。任務成功だ!良くやった!!≫
敵のAWACSの大声の後に他の敵パイロットの歓声が混じった。

fin


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