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第二十七話:英雄の誕生

ロスカナス空港 4月2日 08:15
暗いミーテイングルームには男女多数の人間が集まり、正面に貼られた地図を見つめていた。彼等はこれから人を救う為に作られ、今は人を殺すために使われる巨人を倒しに行くのだ。
「ブリーフィングを始める」
そして正面に張られた地図の前で多くの勲章をぶら下げ、少将の階級を肩につけた初老の司令官は威厳のある声で言った。
「今回の任務はいたってシンプル、且つ非常に複雑だ」
この部屋にいる人間達は殆ど国籍が異なり人種、民族も様々である。だが全員が同一の目標と戦意を持ち、これから自分達が何所に行くかをも知っていた。
「オペレーション・ストーンクラッシャーは三つの任務からなり、それを四個飛行中隊で完遂する」
そして彼等は全員が死ぬか地べたを這いずり回る事を前提にそのソラに向かう。
「まずは、ECM破壊・SEAD任務。これをオメガ中隊が引き受ける」
オメガの名を持つ彼等は地べたを這いずり回っても何度も帰ってきた。
「続いてヴァイパー・レイピア中隊がCAP任務を負う」
ヴァイパーの名を冠する彼等は敵機を決して逃がさずに叩き落し、レイピアの名を響かせる彼等は空戦で無類の強さを誇る。
「そして、本丸[ストーンヘンジ]を攻撃するのは・・・・メビウス1率いる傭兵部隊だ」
傭兵・そして全てを殺し尽くす為に生きる者によって育てられた無限の輪の名を関するものはパターンによらない空戦技で敵を翻弄し、喰らってきた。
「司令部は今作戦の損耗率は40%を想定している。月並みではあるが・・・・全機還って来い。新たな英雄を我々は欲しているのだから。出撃!」
司令は感情を抑えた声で言った。戦争に犠牲はつき物・・・・いやあるべきなのだ。そして司令が言い終わるのと同時に彼等は立ち上がり、装備室へと向かった。彼等は耐Gスーツと救命胴着を着て、そして酸素マスク付きヘルメットを取ると機体へと向かう。彼等の機体には任務にあわせ2000ポンドレーザー誘導貫通爆弾やHARM対レーダーミサイル、そしてミーテイア、AMRAAM-D・R-77や全機の護身用としてASRAAM、AIM-9X、R-73等が搭載されていた。
「いよいよアレを壊す時だ・・・。隊長・・・見ててください」
メビウス1は機体に乗り込みながら言った。だがそれは祈りに近いものだった
「俺たちは俺たちの事をやれば良い筈だろう・・・・?畜生・・・手が震えてきやがった。負ける喧嘩はしたくないんだがな・・・・」
グエン・キャラウェイはそう言うと手の震えを押さえようと両手で操縦桿とスロットルレバーを強く握った。
「フー・・・・・」
ジン・クルスは背中に冷や汗を掻いていた。
「・・・・全て上手く行くはずだ・・・。何も心配しなくたって大丈夫だ・・・・」
スギ・アヤグモは自身に言い聞かせていた。
「・・・・気楽に行ければ・・苦労はしない・・・足が震えっぱなしだぜ畜生」
レイピア8はヘルメットを被り航法を確認する時に自身の足がガタガタ震えているのに気付いた。
パイロット全員がストーンヘンジに恐怖を抱いている。何故ならストーンヘンジのギリギリまで接近せねばならないからだ。さらにその護衛にエルジア軍精鋭のアクイラ中隊通称黄色中隊のオマケつきだ

キイイイイイイイン・・・・

そんな彼等の横を堂々とタキシーする一機のファントム、カナード翼と推力変更ノズルが特徴的な機体で撃墜した敵機の灰と煙でかなり汚れている。その機体は先程STNに奇襲を仕掛けて、今度は再度出撃し偵察と爆撃判定を行なう為に出撃する。その機体からは恐怖はまったく感じられず、戦える事への喜びすら感じるようなエンジン音で彼等の機体を振えさせた。

≪此方フォースリコン001、タワー、離陸許可を≫
≪タワー了解した。001クリアード・トゥ・テイクオフ≫
フォースリコンの本来任務として動く為に飛ぶ。フォースリコンの他の隊員はは未だにエルジア占領地で活動している。だから刹那だけ遊撃員として動いている。
ギュアアアアアアアアアアアアアア!!!!
滑走路にアフターバーナーの轟音を響かせて一気にハイレートクライムで上昇する。高度制限が解除されるとファントムは数時間前に通った道を逆戻りし始めた。武装は20mm機関砲と増槽三本に偵察ポッド二基のみ。FE-14複合サイクルエンジンを乗せるファントムは轟音を残して基地から去った。それに続く形でF-16E8機のオメガ中隊が編隊でタキシーを開始する。
≪・・・・・さあ、ペイバックだ!≫
≪タワーよりオメガ1、クリアード・フォー・テイクオフ。ちゃんと還って来い!≫
オメガ中隊が滑走路の端について離陸を開始し始める時にはヴァイパー、レイピア中隊が続いてタキシーを始めていた。
≪乾坤一擲ってやつだな・・・これは・・・ヴァイパー1離陸する!≫
≪タワーよりヴァイパー、クリアード・フォー・テイクオフ。さあ行って来い!≫
ヴァイパー隊のMig-358機が離陸する時間はさほど掛からなかった。すぐにレイピア8機が続く
≪オーライ、愚痴ってもしょうがねえしな。レイピア隊行くぞ!≫
≪タワーよりレイピア、クリアード・フォー・テイクオフ。死ぬなよ!≫
レイピア隊のF-15アクテイヴが離陸するとそれぞれ思い思いの機体の混合編成でメビウス1率いる第四中隊8機が滑走路に着き、その後ろにE-767I[スカイアイ]KC-767Iが続く。
≪タワーよりメビウス1、クリアード・フォー・テイクオフ。臨時メビウス中隊の実力を見せてやれ≫
≪ウィルコ、離陸を開始します!≫

サンサルバシオン郊外 アクイラ隊基地 09:10
「イエロー4、大丈夫か?」
「ええ・・・何とか空は飛べます。ですが機体の予備は――・・・・」
エーリッヒは自分の隊で唯一一度も出撃時に編成を変えなかったイエロー4に声を掛けた。白い包帯がまだ彼女の左腕には巻かれている。先日、レジスタンスによる破壊工作を受けてイエロー4の機の左エンジンの予備が吹っ飛ばされたのだ。
「今日の朝のは余りにも素晴らしい奇襲だったらしい。完全にSTNの最寄周辺基地は潰された。隣接する基地に三機残っているだけだ」
「隊長はご存知ですか?今朝の奇襲攻撃・・・あのスカーフェイスやガーゴイル、ユニコーンが出ていたことを・・・・」
「・・・・ああ、ついさっき隊司令から聞いた。あの英雄や最古参の空軍傭兵がいるって事は知っていたがあそこまで素晴らしくなるものなんだろうか・・・。彼等に一歩でも近づきたい。そう思うよ」
湖を見ながらエーリッヒはさらに話す。
「だが、彼等の指揮を取っていたのはAWACSじゃないらしい。無線内容を解読した結果、STN上空でドックファイトをやったファントムが指揮官だった。大したもんだな。そんな彼等を指揮できる人間なんて限られているから・・・さ」
「え?それは初耳です・・・・どんな機体だったんで?」
イエロー4は黒い髪が風に撫でられて顔を覆うのを右手で押さえながら行った。
「カナード付き、推力変更ノズルつきでなんでもブラック1を軽々と喰らったらしい。」
「え!?ブラック1てエルジア軍内部でもかなり腕の立つ人ですよ?それを軽々喰らうって・・・・しかもF-4で・・・・!!」
ウウウウウウウウゥゥゥゥ!!!!!!!
「空襲警報!!とうとうきやがったか!」
「私も出ます!!」
イエロー4の目がただの女の目から兵士の目に変わったのがエーリッヒにはすぐに分かった・・・が
「駄目だ!お前の機はまだ完全じゃないし、おまえ自身完治していない!」
「嫌です!私はあなたの護衛機である事を忘れたんじゃ無いでしょうね!?」
彼女の言葉に強い思いが篭もっている事が痛々しいほど伝わってくる。それに押されたのかエーリッヒは少し彼女の目を見つめると、とうとう折れた。
「・・・・分かった。無理はするな。これは命令だ。いいな?」
「Copy Sir!」
二人揃って野戦飛行場の装備室に駆け込み装備を取る。だが、このように二人そろう事はもう・・・・・無かった

ストーンヘンジ上空 10:05 高度7万5千フィート
≪良い眺めだ。真上に撃てないから、どうしようもないのが弱点なんだよな・・・・≫
刹那のファントムはスクラムジェットエンジンを使ってマッハ2.4の超々音速、しかし地上速度から言えば戦闘機としてはさほど速くない速度でストーンヘンジ上空を遊覧飛行していた。高度は4万メートル近く、上空40km近くまではパトリオットやスタンダードでなければ届かない。AAMなら辛うじて昇れるが、此処まで上昇してからでは機動性に差がありすぎる。さらにストーンヘンジは真上には撃てない弱点があった。だから絶対に安全なのだ。
≪あと5分で第一陣なんだが・・・歓迎委員会がおいでなすったか≫
下方に映像を集中させたIRSTに反応が出る。友軍の針路ではない。敵機と判断しAWACSに一報を入れる。
≪・・・・オーライ、エルジア機、F-2A・・・・外国製のフェイクファルコンと認識。方位3-2-0、450kt、エンジェル15、レイピアにこれを応させろ≫
≪Copy、スカイアイよりレイピア隊、前へ≫
給油機と行動を共にしていたレイピア隊のF-15アクテイヴが敵機4機に向けて針路を取る
≪給油機退避を開始、攻撃隊が降下開始。攻撃態勢!≫
≪Ok、確認した。これより偵察を開始する。現在STN上空には対RWR妨害装置と対アクテイヴレーダーECMが掛かっており、対レーダーミサイル、アクテイブ・レーダー・ホーミングのBVR・AAMは使用不可だ。警戒されたし。ではECM破壊作業を開始せよ≫
≪オメガ、スタンバイ。リリース・レディ、侵入路確保。超低空から行くぞ。AAAに注意≫
オメガのF-16E型の胴体下には増槽ではなく250ポンド無誘導小型爆弾がつるされていた。最も機体姿勢に影響を与えず、尚且つ機動性を確保できる最大の位置だ。これで8機の連続爆撃で隔壁に覆われたECM装置を破壊する。
≪目標視認!!AAAが撃って来た警戒しろ!・・・5・・・4・・・3・・・2・・・リリース!!≫
VADS120mm防空機関砲の弾幕を一列で、マッハ0.9で突破したオメガ1は爆弾にセットされた武器セレクタを確認するとビパーを重ねてトリガーを引いて操縦桿を手前に引き投弾、スロットルをA/Bの位置まで持っていくと退避に入った。後続機も続々と突っ込んでは機体を急上昇させて投弾して行く。
≪全機投弾完了!!HARMスタンバイ!≫
機体主翼下に一発ずつ搭載されたAGM-88対SAMレーダーサイトミサイルを武器セレクタに選択しながらハーフロールで機体を水平に戻す。下方で数回にわたって爆発音が響く
≪此方ブラックデスサイズ、ECMの効力・・・消失。ハードキル成功だ。ミュージックオン。HARMをターップリ喰らわせろ≫
超上空の刹那の機が一定の周波数のSAMレーダー波、SA-19の捕捉レーダー波を機内ECMで遮断する。敵がECCMを張った瞬間がHARMを撃ち込むチャンスだ。
≪敵がECCMを張った。オメガ、スパイク19だ。オメガフライトSEAD開始!≫
≪ラジャー、オメガ各機へ。ブレイク≫
スカイアイが宣言するとオメガ隊は散開し、RWRの反応のある方向に機首を向ける。レーダー波を正面に捕捉するとトリガーを引いた。
≪オメガ1マグナム!≫
≪オメガ11、マグナム≫
≪オメガ2、マグナム≫
SAMレーダーサイト各所に向けて高速対レーダーミサイルが放たれると、敵はレーダー波を消した。だがこいつはノースポイント三菱重工業で製造され、独自改良が行なわれた自立赤外線装備のハイブリットタイプ。SAMレーダーサイトは残らず破壊された。
≪オメガ中隊ミッションコンプリート、初めてだぜ。作戦で損失ゼロは!≫
≪ブラックデスサイズより各隊。まだだ、VADSは生きているぞ。第四中隊のダルモエード3とアフマドは敵AAAを破壊しろ。ツクヨミとメビウス1は攻撃続行。ヴァイパーはCAP開始。基地からスクランブル3機、上がってきたぞ。レイピアは隊を分けて北東から接近中のスホーイ5機を片付けろ。ただのスーパーフランカーだ落ち着いてやれ≫
≪ウィ、ウィルコ!≫
刹那は電子機器を中心に見ている彼等や地上がレーダーに映されないAWACSとは違い、IRST・偵察ポッドの写真という眼と戦場の空気で敵を見ている。しかも息も凍る上空でそれを行なっている。
≪STNの砲口の位置を常に見分けろ。下手すると死んだ事すら分からずに機体ごとミンチにされるぞ≫
≪了解!クッ!砲撃で機体が安定しないッ≫
上空から見れば小さな砲撃だが、その衝撃は直ぐ近くを飛ぶ彼等にはとんでもない物だ。
≪メビウス1リリース!・・・・やった!一門撃破!!≫
≪ツクヨミリリース!!・・・・・良し制御室に直撃だ!≫
≪メビウス1そのままだと被弾するぞ。方位0-4-2へ。ツクヨミはそのままマックパワーでライトターン。VADS1が狙っている≫
≪りょ、了解!ウワッ!!危なかった・・・・≫
≪うわお!助言サンキュー!!≫
一門潰して浮き足立つ味方に欠かさず指示を飛ばす。少しの戦果で浮き足立つ所を狙うのは防御側としては正解だ。何故ならまだ爆弾を抱えた攻撃機を落とす事は防御側にとっては勝利に等しい。最小限の犠牲ならば敵は厭わない、本作戦はSTNを全滅させなければ意味は無いのだ。一門でも残って帰還すれば友軍機はその一門のせいで動けなくなる。
≪オーライ、ダルモエード3。AAA破壊はもう良いぞ。STNへ攻撃開始。500ポンドをたっぷり食わせろ。量を打ち込め≫
≪了解で御座いますです!目一杯積んできた爆弾を食らわせますです!≫
作戦機の中でもっとも爆弾を所持するダルモエード3のA-10Aに今度はバトンタッチ、連係プレーで効率よく減らすしかない。後数分で黄色中隊がやってくる。
≪ダルモエード3、投弾!・・・・2発命中!!≫
≪目標沈黙。あと4門、アフマドも攻撃に加われ。レイピア4、そこでレフトターンだ。≫
≪良し!振り切った!≫
AWACSも仕事を取られない様に必死に管制する。
≪ワッ!?ツクヨミ被弾した!燃料タンクに被弾!撤退する!≫
≪チッ、ツクヨミ撤退を許可する。ダルモエード3、アプローチ中断。そこからは危険すぎる。反対側に飛び越えてやり直せ。メビウス1と挟撃しろ。≫
≪ダ、ダー!≫
≪ラジャー!!≫
STNは後4門、一門一門潰していては黄色中隊到着に間に合わない。一気に決める作戦に出た。
≪メビウス1、それを潰したら残り二門をSDB2発ずつで潰せ。それで爆弾が切れるはずだ。ダルモエードはそいつを潰したらアフマド機と共に最後の一門に全弾投下で足元を仕留めろ。ろくに狙わなくも良い≫
≪了解!・・・・行きますよ!≫
≪ダー、・・・・・ベイブウェイ!≪ベイブウェイ!≫・・・・命中!≪やった直撃だ!≫≫
≪沈黙確認!スカイアイよりブラックデスサイズ、ニューコンタクト。北東よりマッハ2で接近中の編隊を確認。エンジェル21、方位3-1-0≫
≪了解した。・・・・遅いな黄色中隊・・・・レイピア・ヴァイパーはCAP終了、給油機とランデブーしろ≫
≪ヴァイパー1了解≫
≪レイピア1、Copy。黄色となれば我々じゃ手に負えん・・・・≫
IRSTとMFD上のレイピア、ヴァイパー隊が南下を始める。
≪黄色が来るぞ。急いで始末しろ≫
≪か、簡単に、言わないでくださっ・・・い!!≫
メビウス1に悲鳴を聞きながら再度地上の状況を見る。
≪ダルモエード3、ベイブウェイ!!≫
≪オメガ14、リリース!!≫
≪目標・・・沈黙。メビウス1、そのままA/Bで8Gレフトターン。高度に注意≫
≪りょ・・・く、うううううう!ロ、ロックオン!リリースッ!!≫
メビウス1が意識が飛ぶギリギリで放たれた爆弾は正確にGPS情報に基づき、管制室に命中。破壊した。
               エース
≪目標無力化。ラストだ、ACE≫
刹那は彼女の働きをじっと眺めていた。恐らく第四中隊の中で最も戦果をあげたものだ。そして黄色に対抗しうる・・・・数少ないACEにもなるだろう。
≪え・・・ラ、ラジャー!!ロックオン・・・・リリース!!≫
SDB最後の二発は正確に砲身と管制室にあたった。
≪ターゲット・・・・沈黙。よくやった。勲章モノだ≫
≪有り難う御座います。・・・・刹那さん≫
少し優しい声で話しかけると彼女は憎しみも何もかも忘れて照れくさそうに答えた。しかし―――
≪安心するな!五機の編隊がマッハ2で接近中だ!≫
≪此方スカイアイ、ブラックデスサイズ。良いだろう?≫
≪ああ。大丈夫だ。こっちのACEは向こうより疾い。クリアード・トゥ・インゲージ!≫
≪・・・え・・あ・・・え?≫
何が何やらと言う感じで答えるメビウス1にいつもの口調で言った
≪何をぼさっとしている。敵機を叩き落せ.この・・・・蒼く澄み切った"ソラ"を我々のものとするんだ≫

fin
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