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第二十五話:悲劇と歓喜と栄光の始まり

サンサルバシオン空港 3月13日 22:50
「ナガセ副長、今日もお疲れさん。今日は悪天候だったのに上手く降ろしたな」
「いえ、まだ私は未熟ですよ機長。では」
タクシーを拾いにターミナルを歩く「ケイ・ナガセ」彼女は若干18歳で旅客機の"見習い"副機長に抜擢された生粋のパイロット。彼女は今、今日のフライトを頭の中で復習している。
(・・・・乱気流に飲まれたとき少しパニクッちゃったな・・・・まだ経験が足りない・・か)
彼女は携帯の電源を付けながらタクシーに向けて手を上げる。タクシーが止まるとドアを開けてビジネスホテル街への番地を告げて一本入ってきたメールを見る。彼女の"元"彼氏「ソラ」のものだった。かつては肉体関係まで行ったほどだが、ケイは民間機のパイロット、ソラは戦闘機パイロットを選びお互いの進む道を違えた結果は静かなる破局だった。メールの内容は・・・

今何所に居るんだい?こっちはサンサルバシオンだけど・・・ちょっと休暇が入って、かつての恩人に会うんだけど・・・

とあった。ケイはクスッと微笑むとこう返した。

こっちもサンサルバシオンだよ。と言うより、フライト時間中にかけて来ないでね?所で恩人って?

メールを送信すると5分以内に返って来た。まだタクシーの中だって言うのに・・・・

そりゃ良かった。ホテル「カミーノ」一階でその人と会うんだ。君もどう?互いの無事を祝ってさ。勿論支出は僕出しだよ。その人が誰かはちょっと言えないんだ・・・ごめん

驚いた。自分の目的地も「カミーノ」だ。それにその人が誰かと言うのも気になる。

私は今そこに向かってるわ。奇遇ね。

すぐに返信すると、運転手が着いたよと言ってくれた。戦争の御陰で客もガソリンも給料も減っているらしく結構痩せている運転手だが笑顔は欠かさなかった。そんな彼に運賃は勿論の事だがチップを多めに払うとホテルカミーノに向けて歩み出した。
2分位歩くとビジネスホテル「カミーノ」が見えてきた。早速入ってフロントに予約していた事を告げて荷物を預けるとソラを探した。フロントから結構離れたホテル内のレストラン内に彼は居た。そして"その人"は細く痩せた東洋人で真っ黒なコートを着ている。その人とソラの話し合いはとてもじゃないが友人のようには見えなかった。まるで軍隊の上下関係のようだ。
「ソラ!」
「ケイ!久しぶり!」
お互いを確認し合い、声を掛け合うとやはり笑みがこぼれる。ジュニアハイスクール時代からのかけがえの無い人だ。
「あ、紹介します。サンサルバシオン航空のケイ・ナガセ副機長です。」
ソラがその人に畏まって言うとその人は黙って頭を下げた。見た感じだと無口でクールな人だ。
「ケイ、この人は刹那元一佐。NASDFの元戦闘機パイロットだ」
「"今も"そうだが?それに今は准尉だ。一佐って呼ぶな」
間髪居れずにその人・・・刹那はソラに言った。
「ま、良いけどね。一佐でも何でも呼んでくれ。」
刹那は二コリともせずに続けた。そして彼はケイの為に自分が席から退いた。
「ど、どうも・・・ソラ、一体何の話をしていたの?」
席に着きながらソラに聞く。彼は刹那にちょっと視線を移して彼が頷くとソラはケイに真剣な目で語り始めた。
「実は、明日に此処でとある作戦が展開されるんだ。それに君がフライトを予定している機体が主目標として入っていてね。メールを君にあげたのはこの為なんだ・・・君を混乱させたくないから・・・」
最後あたりにソラの声のトーンが下がった。ケイは情報が不十分ではあったが何とか理解しようとした。明日のフライトは外せない。何故なら明日はエルジアの将校を乗せて飛ぶし、重要人が乗る事が決定していてしかも自分の正式な副機長を決める大事な日でもあるからだ。
「・・・・・そう・・・・」
「・・・驚かないのかい?君の乗った機をハイジャックしないといけないんだよ?」
「あなたが乗りこんできても別に平気よ。あなたは私が抵抗したって私を撃てる訳が無い。それに私は明日は外せないの!」
そこまで言うと沈黙が訪れる。それを打ち破ったのは刹那だった。
「・・・・・・それならそれでも構わない。作戦は明日決行される事は決定している。変更など無いし、抵抗があっても無力化すれば良いだけだ。それに、パイロットが居なかったら大変だしな。我々も予定通りに動き、君もスケジュール通りに動く。それで良いだろう。問題といえば君等二人の仲じゃないのかな?それによって今後お互いに支障が出るし命の危険もある。今夜当たりじっくり仲直りをしてみたらどうだ?」
今回の作戦は長らくエルジア当局の監視下にあったストーンヘンジ開発に携わった技術者とその家族が、ストーンヘンジに関する情報提供を見返りにISAF参加国への亡命を望んだため、民間旅客機2機にてサンサルバシオンから脱出させる事だった。
刹那はクスクスと微笑みながら二人に言った。刹那は二人の協力で円滑に作戦を進めたいと思っているらしい。刹那は702便をソラと共に制圧し、誘導する役目を負っている。701便は元SAS隊員と元スペツナズ隊員の刹那の部下が担当するという事で701便のパイロットと702便の機長には既に作戦の承諾を受けていた。しかし、彼女に抵抗されてハイジャックコールがなればスクランブル機に即座に捕捉される。それを避ける為に彼女の元彼氏のソラに白羽の矢を立てたのだ
「「なっ・・・/////」」
「おっと、口が滑った。邪魔者はさっさと退散するよ。では良い夜を」
刹那は顔を赤らめる二人を置いてそう言うとさっさとエレベータに乗って上へと昇っていった。
「・・・・僕たちも上に行こうよ。ケイ・・・明日の事もあるんだしさ・・・・それに詳しい話もしたいし」
「・・・そうね・・・・・・・襲わないでよ?」
「出来る訳無いよ・・・それに、それが告発されたら僕はオーシア軍人として終わりだって事が分かっているでしょ?」
「クスクス、冗談よ」

翌日 サンサルバシオン空港 702便客室後部 10:20
「さて、と。ソラ、準備いいか?」
「勿論です。サー」
完全武装したソラに刹那は落ち着いて言った。無事にテイクオフしてから15分経過している。彼等がいるのは荷物格納庫だ。そこから音を立てないように客室への侵入口を作り出すためにバーナーで客室の床下をを焼ききる。刹那はSIGと64式小銃を装備し、ソラはM9とMP5SDを装備しフラッシュバンも装備している。
≪良し、前方クリア。Move up≫
≪クリア、進みます≫
クロスコムを使用しながらボーイング767-400の機内をゆっくりと進み出す。戦争の影響で乗客が殆ど見受けられない。空席の所をゆっくり進んでいくとVIP室が見えてきた。目標と脅威がこの部屋に集中している為に慎重を規す必要がある。小銃をドアの回転部分に向ける。
≪突入5秒前、5・・・4・・・3・・・レディ・・・・≫
ドン!ドン!ドカッ!!ドドドン!
ピンッピンッ!ドカッ!!
≪ブリーチング!!フラッシュバン!!≫
回転部分を撃ち抜き、ドアを蹴破る。刹那が突入し、拳銃を取ろうとした警護兵を撃つとソラはフラッシュバンを投げた。と同時に刹那は身を隠す。
バンッ!
≪GOGOGO!≫
ピンピンピンピンッッ
ドドドンッ!
死体の数を瞬時に数え、一人足りない事に刹那は気付いた。
≪クリア!目標確保!取り逃がしが一人居るぞ。ソラは急いで探せ!後部には居ない筈だ!≫
≪ラジャー!≫
ソラがコックピットの方向に走り出すと刹那は701便を見た。向こうでも始まったようだ。閃光が一瞬光ると静かになった。
(701便クリア・・・)
バンッ!!
「!!」
刹那はコックピットの方で拳銃の乾いた音を聞き逃さなかった。
≪ソラ!現状報告!≫
≪は、はい・・・コックピットにエルジア軍将校が居ました。そいつが機長に向けて発砲しました。そいつは即刻射殺しましたが機体に穴が開いています。機長は命に別状はありませんが重傷、気圧が下がり始めています!どうすれば!?≫
≪・・・・クソッ。発光信号で701便に伝えろ。私がそっちに行くからお前は目標の確保を頼む≫
≪ウィルコ。≫
刹那はクロスコムを切るとコックピットに走り出す。作戦の秘匿性を確保する為に人数を減らしたのが災いしたようだ。コックピットに到達すると、かなりの風が吹いていた。ナガセ副機長はかなり慌てている。
「副機長!落ち着け!高度を下げるんだ!」
「は、はいっ!」
刹那はナガセに対し大声で言った。小さな拳銃弾だが、機体の気圧を下げるのには十分な穴だった。塞ぎようが無いと確信した刹那は高度を下げさせるように言ったのだ。
≪ソラ!機長を頼む!それとシートベルトで全員を固定させろ!!ディセント(緊急降下)に入るぞ!≫
≪ラ、ラジャー!≫
「ナガセ副機長、良いか?下降角度は15度を保て。それ以上は機体が持たない。速度も殺せ。高度は1万フィート以下だ」
「は、はい!」
矢継ぎ早に指示を出しながらナガセの手伝いを始める。エンジン出力を下げ、フラップ、スラット、エアブレーキを使って可能な限り速度を上げないようにしながら降下を始める。
(何時エルジアに捕捉されてもおかしくないな・・・ISAFに緊急連絡も頭に入れておくか・・・)
刹那は緊急事態が起きた事は既にエルジアも知っているだろうと踏んだ。ロスカナスへ向けて機を向けて高度を下げるように言うと刹那は機長席に座った。
「無線は其方に預ける。エルジア軍が追跡してきたら君が操縦しろ。いいな?」
「は、はい!」
山間部に差し掛かってきた。気流が乱れ始める。機体を安定させる為にエンジン出力を強める。
≪701便、ロスカナスのISAF空軍に一報入れろ。現在緊急事態が発生。エルジアも探知したと思われるとな≫
≪ダー、刹那中佐≫
701便の手で通報を終えると、刹那はナガセに操縦をするように言った。1万フィート以下になればドアロックを外に開けても問題は無い。飛ばされないように気を付ければ良い話だ。最後部のドアロックをあけて飛ばされないように片手でドアの淵を掴んで後方を見ると予想通りに敵機が見えた。EF-2000だ
≪701便、敵が来たぞ。注意せよ≫
≪OK、そちらで迎撃できますか?≫
≪可能といえば可能だが・・・機銃は使用が制限される。有効射程3km内に近づいてこなければ撃てないぞ≫
≪オーライ、敵機からの警告を受理しました。ロスカナスまであと30分ですが・・・そっちに機を向けます≫
≪・・・・良し、こっちは射線を確保した。撃てるぞ≫
キュイイイイインダラララララララララララララララ!!
刹那は敵機の予測針路に向けて格納庫に隠してあった12.7mmチェーンガンを片手で持って撃った。薬莢が機外へと落ちていく。運良く命中したようだ。敵機は煙を吹き始めたが今度は此方を標的に変えた。
≪よーし、良い子だ。こっちに来い≫
照準に敵機が入るのを待つとトリガーを引いた。
ダララララララララララララ!!!!!ガンゴンガイン!!
敵機のキャノピーが赤く染まるのを見た瞬間にトリガーから指を離した。
≪グッキル。・・・・中佐、ISAF空軍基地から援軍が発進した模様、敵機もさらに接近してきます≫
≪後はISAFに任せよう。こっちは今のであっと言う間も無く弾が切れた、もう逃げの一手だけだ。三十六計、逃げるにしかずってね≫
≪了解、エンジン出力を上げます≫
701便のエンジン出力が上がって加速を始めたのを確認すると同時にドアロックと力だけで閉じるとコックピットへと走る。コックピットに着くとナガセに接近中のISAF軍に状況を伝えるように言った。敵機はまだ接近してくる。
≪此方空中管制機スカイアイ、701便、702便状況を≫
≪此方701便、現在敵が迫ってきている!早く来てくれ!≫
≪此方702便!機長が負傷!現在副機長が操縦中です。気圧低下の為高度が取れません!≫
≪スカイアイ了解、現在援軍をそちらに向けている。もう間も無く到着する≫
刹那は701便に敵機が迫っている事を見つけた。それを即座にAWACSに伝える。
≪スカイアイ、此方ブラックデスサイズ。敵機はMigとタイフーンだ。接近中の戦闘機にそう伝えてくれ≫
≪特殊戦か!了解した。メビウス1損失ゼロで頼むぞ≫
≪メビウス1、ウィルコ。敵機を捕捉しました。IFF確認、AIM-120Cロックオン!FOX3!≫
ISAF軍機メビウス1がエルジア軍と交戦を開始した。ミサイルを回避する為に701便の後方に迫っていた敵機は急速旋回を始めた。
(何とか引き離せたか・・・後15分・・・持ってくれよ)
ISAFが出せる戦力はそれが限界なのを刹那は知っていた。現在敵基地攻撃の為にロスカナスには彼女の機と少数の近接航空支援用海兵隊所属の旧式のハリアーしか居なかったのである。
≪メビウス1、さらに方位0-3-0、高度10000より敵の増援だ。そっちも頼む≫
≪了解、FOX3・・・スプラッシュ3!増援を叩きます!≫
≪すごい・・・あの戦闘機・・・単機で戦ってる≫
当然だなと刹那は思った。ISAFの攻撃に備えてエルジアのベテランはSTN周辺基地に配属されていて、ここら辺のエルジア航空隊は新人しかいない事もそして共食い整備の状態で機体を飛ばしていることもノースポイント防諜部から報告があったため分かっていたからだ。それにF-22の機体性能が味方をして圧倒的優位な立ち位置に彼女はいたのだから。彼女の機体には機外ハードポイントも含めてAMRAAMが14発も搭載されているしAIM-9Ⅹも4発搭載されている。これで勝てなかったら承知しないつもりだった。
≪敵機を捕捉!ロックオン・・・FOX2!≫
≪ブルー17!後方だ!ブレイクしろ!≫
≪畜生!ステルスかよ!助けてくれ!≫
敵の無線を聞きながら刹那はククと哂った。
(馬鹿な奴等だ。敵は何所に居るか解らないのに索敵もせず突っ込んでくるからこうなる。機体と自分の目すら信じられない馬鹿が・・・)
窓の外では時折光る爆発の閃光とミサイルの軌跡、曳航弾が飛び交う。
≪メビウス1、3-4-0より新手高空から来るぞ≫
≪ウィ、ウィルコ!≫
≪此方ブラックデスサイズ、メビウス1聞こえるか?訓えたとおりにやってみろ。私の命は貴様に預ける。≫
≪え・・・は、はいっ!≫
≪それとスカイアイ、0-1-0からSu-35スーパーフランカー、距離25万2千400~100、高度34450、速度450kt≫
≪ブラックデスサイズ何を言って・・・!?コンタクト!高度34400、速度450kt、方位0-1-0!?ば、馬鹿な・・・見えるはずが・・・≫
刹那には戦場の様子が全て分かる。何故なら空気で目標と繋がっていて殺気で敵かどうかを判断するからだ。獣としての捕食本能を究極まで強化した影響がこれだ。
≪そいつはただの見張りだな。ほおって置いても構わん≫
≪ああ、確かにこっちには向かって来ていない・・・・≫
≪メビウス1、そいつを迎撃したら今度は1万フィートまで降下、3-5-0へ。敵機が侵攻してきている。Mig-29Bが4機。AMRAAMを撃ち込めば良いな≫
≪え・・・・≫
≪ぼおっとするな。敵機に喰われたいのか?それでも構わんが≫
≪は、はい!!≫
やれやれと思いながらクロスコムをはずして置く。
≪畜生、悪魔だ畜生!≫
≪落ち着け!勝てん相手ではないはずだ!≫
≪だ、駄目だ!誰か助けてくれ!誰か!うわあああ!!!≫
もう直ぐロスカナスと言うところに差し迫った。その頃には敵機は殆ど堕ちていた。
≪消防車と救急車の手配を!≫
≪此方ロスカナス空港、そちらを捕捉した。702便から着陸態勢に入れ≫
≪了解≫
≪此方スカイアイ、敵機全滅を確認!損失ゼロだ。よくやった≫
≪あの敵機を落とした右側に戦闘機が見えます。こんなにも綺麗だったんだ戦闘機って・・・・!左にもう一機!?エルジア軍機だ!≫
≪なっ!?何時の間に!?≫
≪しまった!何時の間にロストしていたんだ!?≫
刹那は既にその機影に気付いていた。しかし何も言わなかった。その機体は先程AWACSが捕捉したSu-35スーパーフランカーだった。メビウス1はようやく気付き、攻撃しようとAIM-9Xを選択した。その瞬間刹那が制した
≪待て。あいつに攻撃の意思は無い≫
≪え・・・?≫
刹那がクロスコムで全周波数で言った後にエルジアのパイロットが答えた。
≪・・・・今日はもう人が死ぬのは良いよ。それにしても素晴らしい空戦だったよ。"蒼いリボンのエンブレム"また戦場で会おう≫
そう言った後、そのフランカーはバンクをして去っていった。

この作戦は損失ゼロで成功した。技術者のもたらしたデータによってISAFはストーンヘンジの弱点を掴む事が出来たのだった。そしてメビウス1の栄光と黄色中隊の悲劇はここから始まる・・・・

fin
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