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第四十三話:それぞれの思い

エルジア首都ファーバンティ郊外 市街地より北東100km 14:05
「そろそろだな」
刹那は時計を見つつ、チャフ・フレア射出装置に指を掛けた。と同時に機体をバンクさせて地上に目をやる。燃料計は1/3を切っている。
「さて・・・何の問題が無ければサインが見えるんだが・・・・・!」
地上にチカッと光が見えた。それは断続的に続く。
「確認・・・良し。フレア3パージ射出」
パパパッ・・・と三連続でフレアを射出して光源からの応答を待つ。チカッチカッチカッと三連続で応答が帰ってきたのでギアを下げて不時着に良さそうな砂地へと進路をとる。
「30ft・・・20ft・・・10ft・・・タッチダウン!」
ザシャアアアアアァァァァァッ・・・・
天然のEMAS(着陸・離陸オーバー・ラン防止用の発泡コンクリート、航空機の自重で発泡コンクリートに埋まり強力な拘束力とアレステイング・ワイヤーやオーバーラン防止用の網程ではないが安価で設置も容易な事で世界各地の空港で配備が進む、日本は未導入。有名所はJFK国際空港で、雪で滑走路で車輪が空転して止まれなかったエアバス320型機をしっかり停止させた)の役割を果たした砂地に車輪を軽く埋めつつ、前転させないようにギアブレーキをかける。停止すると、マウントベース・ドットサイト・フォアグリップ付64式小銃を取り出して、弾倉を入れて初弾を装填、周囲の監視体制に移る。刹那は安全装置の類は扱う事は稀で、[銃の究極の安全装置はこれしかない]と自分の人差し指(銃の扱いは基本両利きである)を平気で突き立てるほど扱いなれている。セレクタレバーはいつもセミオートで固定している(長期保存の際は単発で固定しないとセレクターレバーのピンが曲がってしまうのもあるが)のが証拠だ。
「フラッシュ!」
大声で開け放たれたコックピットの周囲に向けて叫ぶ。
「ライトニング!!」
2時方向から応答が帰ってくる。
「ダーク!」
もう一度大声で周囲に叫ぶ
「ブラック!」
同じ方向から別の回答が帰ってきたのを確かめると、機体のエンジンを止めた。砂地の上にコックピットを閉じてから着地する。
ドドンッ!キン・・チキィィン・・・・タタンッ!
もう一度周囲を見渡し、二度上空に発砲した。機体を中心として5時方向から銃声が二度響く。そこでスタンバイ・ガンの姿勢をとる。2時方向と5時方向、そして12時方向から2、3人の人影が周辺警戒しつつ接近して来た。そして刹那の周りで1人が隣のサポートにつきつつ刹那に話し掛ける。
「ご苦労ARC-デルタ。12時方向から来るとは想定外だった。腕を上げたな」
「Yes Sir 光栄であります コマンダー」
漆黒の装備に身を包んだ兵士達はARC:アサルト・リーコン・コマンド=高性能・強襲(A)・偵察(R)コマンド(C)と呼ばれる刹那の私兵の中でもレベルの高い精鋭中の精鋭の兵士だ。主な任務は徹底的に教育した会話術、射撃術、拷問等を用いた。紛争地域や不安定地域における協力者確保及び情報収集、そして重要人物の社会的抹殺、又は直接暗殺、刹那に協力する法務機関員に対する教導任務など多彩に渡る。ARCは4個小隊存在していて、1個小隊:4つの分隊から成り立ち、アルファ、ベータ、チャーリー、デルタの呼び名で呼ばれる。一個小隊が4つに区分けされたエリア(1:ユージア大陸、2:アネア大陸及びオーシア大陸北部、3:ベルーサ大陸全域、4:オーシア大陸南部)刹那の私兵集団は先進国の軍の中でも成長期の20代前半の軍曹~准尉など下士官と上等兵を中心に徴収し、パイロットに関しては航空学生を経ている者のみが抜き出される。教育期間は10ヶ月(ARC以外)又は1.5年(ARC・パイロット専用)で、デルタ・SEAL・SAS・スペツナズβ・GIGNなどの非常にハードな訓練内容を主に行なう。引き抜かれた者は所属軍から[選ばれし者]と呼ばれる場合が多い。彼等の装備は全てオーダーメイド形式で、左腕の袖部分にあるプラスチックポーチには銛が収納されていて必要に応じてベルト内部に装備された半自動送出・収納式ワイヤーロープ50mと組み合わせてラペリングやビルからビルへの飛び移りなどに使える。右の袖のプラスチックポーチには小型のボウガンがあり、暗殺器具として青酸カリが塗りこまれた氷の矢(ヘモグロビンによって化学反応を起こし、温度が上昇する化学物質を使用。水を入れればシステム冷却及び体温調整の液体窒素によって型の中で急速冷却されて即席ながら氷の矢を精製できる)を撃ち出す事で標的を仕留めたり、銛(ロープとの組み合わせ状態のみ)を撃ち出す事で目標にHMD供給用のバッテリーから供給される電気で電気ショックを与えたり、専用のポールを使って20~40m先の目標建造物に急襲突入する事も出来る。さらに、バッテリー式のHMDがヘルメットに装着されており、仲間の位置やペインティングされた目標を映し出したり、熱量探知で目標を探し出したり出来る。それでもレベルⅢ防弾等も考慮されたこのシステム・スーツの重量は25kgである。さらに従来の防弾プレートも挿入すればレベルⅤの防護力を発揮する。
「他の分隊は?」
「既にファーバンティ市街地で進発待機中です。移動手段にエルジア軍から奪取した軍用トラック1台があります」
「よろしい。デルタは半数を残し、2時間後来るパイロットと合流して機体をオーシア・エメリア経由でノースポイントの本部へ。デルタチームの離脱には本部からのC-1を使え」
「Yes Sir。コリオン!セブ!適当に2名を選抜して待機!」
「Copy Sir!AJ!マーク!此処で待機します!」

サンサルバシオン サンプロフェッタ空港 8月22日 14:50
「奴が行方不明になって1週間・・・か」
「何所の部隊も、姿を確認してないそうだ」
「上じゃあ、行方不明になった翌日から脱走だとほざいてたが。まさか本当にするとはな」
SAFの待機所ではSAFの隊員らが暗い雰囲気で話し合っていた。刹那が脱走して丁度1週間。翌日からは脱走兵として捜索されたが、未だに見つかっていない。それどころか、衛星や敵地のレジスタンスもパイロットや機体をを見かけていないという。可能性として唯一あるとすれば、この大陸から奴が消えたという事だけだ。それか機体ごと事故って死んだか。撃ち落されたか。
「元々きな臭い奴だったよあいつは。硝煙と血の臭いが奴の体からプンプンしてたしな」
「ただのウォージャンキーなら良いんだが・・・・」
元はと言えばUNFの中でも入隊5、6年の新米だった奴が、中佐まで成り上がること自体おかしかった。奴が入隊してからのUNFの死者は急増、5万居たUNF構成員は3万少しまで激しい戦闘地域に借り出されて一気に死んだ上に、派遣反対派の連中まで謎の死を遂げる事だって珍しくなかった。
「・・・・そう言えば、監視対象になっていた奴の私兵も居なくなったよな」
「ああ、ARCとか呼んでた奴等は皆消えて、下っ端の奴が数名大陸で確認されてる程度さ。奴はこの大陸から消えたと判断するのが一番良いかもな」
「まあ、奴は此処の戦場に興味が無くなったんだろ。俺達だって奴に利用されるだけだったし、いっその事死んでいればよかったな。目の上のたんこぶが無くなる」
「シッ、声がでかいぞ。奴の部下が何所から監視してるか分からん。もしばれたら・・・・」
「分かってるよ・・・コレだろ」
隊員の一人が首を延髄チョップの様に後ろから首を叩いた。これが示すのは死以外の何物でもない。
「やれやれ、どちらが監視対象なのか分からなくなってきたよ。俺たちが監視対象なのか、奴等が監視対象なのか・・・」
「まったくだ。結局奴は尻尾は出さないわ、犠牲者は増えるわで、この戦争は俺達にとって得は無かったな」

エルジア首都ファーバンティ 最高司令部 9月1日 15:00
「~ッ!何やっておるのだ我が軍は!!何故ISAFを追い返せん!?緒戦のあの勢いは何所に行ったというのだ!!」
最高司令官である国防省長官は部下に向けて憤怒をあらわにした。無理も無い、制海権は取られ、敵軍に対する投降者が続出しているのだ。
「は・・・その・・・」
部下は答えられる訳無かった。ISAFが極東の、しかも"政治体制上"脅威とは言い難いノースポイント・サウスポイントと同盟を組み、此方の戦爆連合がやられてから大きな勝利など無くなっていた。そもそも戦争を仕掛けたのはある男が唆したからである。その男から開戦後は一回も連絡は無い。石頭である国防省長官も利用されたと気付いたのはストーンヘンジが破壊されてからだ。
PULLLLLL!PULLLLLL!
頭を抱えながら机に突っ伏した時に、ホットラインが鳴った。
「誰だ?・・・こんな時に・・・」
カチャッ・・・
息を落ち着かせながら受話器を取る
≪やあ、調子はどうかな?といっても、此方からは茹でタコみたいな真っ赤な顔がよく見えるがな≫
「!・・・中佐!キ、キサマァ!!何所に居る!?」
相手は唆した張本人・・・そう、刹那だ
≪フフフ・・・そんな事を知ってどうなると言うのだ?強いて言うならお前の顔がよく見える場所だ。・・・・今日は予告をしに掛けただけだ≫
「予告だと!?私を此処まで追い込んでおいて・・・ただで済むと思っているのか!!」
≪・・・・それはお前は余りにも"徹底的にやり過ぎた"。お前の利用価値は無くなってるんだよ。サンサルバシオンとFCUの国境を越えた時点でな。後は"オツムに必要な薬"が無くても分かるだろう?フフフ・・・・≫
「何だと!?どう言う事だ!?」
≪なあに、全ては軽いフィッシングだ。お前は餌だ。お前の目の前に居る男を吊り上げる為のな。それに、"全てはお前次第だ"と、忠告はしてあったぞ?それに、"私はお前の死の天使"とも
「!?」
長官は部下を見上げた。刹那はさらに続ける。
≪そいつは"暁"の諜報員で幹部クラス。尚且つ、戦争に関する事については良く分かってらっしゃる秀才さんだよ。ある程度昇進して頭角を現して貰ったら、こっちから連絡してお前がとっ捕まえて、こっちに運んでもらって吐かせる心算だったがお前がやり過ぎてこっちも御破算だ。まあ、我々の仕事は完遂させてもらうが、貴官にも責任は取ってもらおう。首を洗って待って貰おうか
「ま・・待て!」
地の果てまで抗って私を愉しませて見せろ。全てを差し出し私を殺ってみせろ。それが出来ないのであれば私が永遠の眠りを与えてやろう。これは愉しい戦争だ。女々しき豚に時間を割く余裕は無い
ブッ・・・ツー・・・ツー・・・
向こうが一方的に切ると、その部屋の空気は完璧に凍りついた。

エルジア首都ファーバンティ 9月5日 14:00
「珍しい、休暇ですよね。敵軍が迫ってると言うのに」
「最終決戦が近いからな、6。ISAFは首都を地対地ミサイルの射程内に収めている」
「我々も、多くの戦友を失いましたし・・・精神的ケアが必要だと司令部も判断したのでは?」
「なら、良かったんだけどな。そこまであいつ等は気が利かん」
「「ですよね~ww」」
ドッと笑いが起きるのは覚悟が決まっている証拠なのだろう。とエーリッヒは思った。久しぶりの休暇で街を練り歩く、首都は静まり返っている。戦争が始まってからMPが巡回を続け、街の人間は郊外や他国に逃げてしまった。今は座礁した戦艦や、戦車群、防御陣地が街の名物だ。時たま我々と同じ様に休暇を魚釣りで過ごす兵士も居る。制海権が取られても、尚も抵抗する我が軍・・・死ぬのは下っ端だけだ。上の連中の切り札は[メガリス]だというのは分かっているが、稼動開始する前に亡国となっているだろう。
「あ、あれって撤退してきたトラックでは?」
「ああ、皆負傷してるな。・・・・!おい、ありゃうち等の整備小隊じゃねえか?」
「・・・・・本当だ。あいつ等まだ生きてやがったか!おい迎えに行こうぜ!」
「お前等、走ってこけるなよwソラ飛ぶ前に負傷されちゃたまらんww」
「「わかってます!」」
嬉しそうにゴツイ顔つきをした整備長らに駆け寄る隊員たちを見て、エーリッヒ自体も思わず気が緩んだ。そんな中、自分等が来ている黄色中隊のジャケットを着た少年と酒場の少女を見つけた。
「!?」
思わず、駆け出して近寄る。
「ボウズ!何故此処にいる!?サンサルバシオンに居たんじゃなかったのか!?」
思わず口調がきつくなってしまった事を悔やんだのは少年の顔が歪み出した時だった。
ボフッ
少年が泣きかかりながらもエーリッヒに抱きつく。
「よかった・・・生きてて・・・」
「ボウズ・・・」

9月18日 22:15 エルジア首都ファーバンティ 某所
「いよいよ明日だ。明日の1820にISAF軍は、このファーバンティに集結している全ISAF軍が突っ込んで来る。その時が作戦遂行の唯一かつ最高のチャンスだ」
長い進発待機で相当疲れが溜まっている部下達に刹那はようやく作戦の概要を打ち明けた。
「混乱に乗じて、潜入し暗殺ですか。また無茶な事を・・・」
「いつもの事だろう。問題はISAFやエルジアの追跡をどうかわし、どう逃げるか・・・・ですね?コマンダー」
部下が多少口を挟むが大して問題ではない。問題はそう、どうやって此処から逃げ出すか。作戦遂行して何とか安全地域まで逃げ通さないと30名しか居ないARCトループ共々数万のISAFから逃げ惑う事になる。
「作戦遂行後、後々そこら辺は考える。脱出経路なんざ無限なのは知っているだろう?地下なり屋上なり、地上とは限らない」
「ISAFはそこら辺も抑えてくると思いますが・・・サンサルバシオンの件もありますし・・・・」
ISAF軍はサンサルバシオン解放戦で地下道の有効性をエルジア軍の特殊部隊から身体で思い知った。何せ、それの所為でISAF軍は大損害を出したのだから。地下を真っ先に抑えて、少数部隊を送り込む筈だ。屋上は上空の航空機に見つかり易い。逃げ切れるかどうか分からない
「その時は脅威を"一人残さず"殲滅するだけだ。サーチ&デストロイ、そう教えてあるだろう。異存は?」
「「「「「「NO Sir」」」」」」
「オーライ、ロックンロール」
「「「「「「Sir Yes Sir」」」」」」
ガシャガシャとアサルトライフルSIG SG551、89式小銃、SCAR-L、AK-103の分結作業をして準備態勢に入る。彼等の目からは迷いは消えて、ただ敵を殺すだけの獣の目に変わる。
「いいな、市内は敵兵しかいない。分隊と逸れたら人影を見つけ次第射殺しろ」
「目標進入から脱出までの許容時間は?」
「2分10秒だ。それ以上は包囲されて殲滅されかねん」
「Yes Sir」
「安全地域は何所に?」
「FFZ(自由射撃区域)から半径50km以上。場合によっては大陸全体が危険地帯との判断も出来る」
「海上の脱出ルートは?」
「ネガティヴ。海上はISAF海軍がうじゃうじゃ居て捕捉されるのは必至だ」
「包囲された場合、お前ならどうする?」
「自分の手からラスト・アームがずり落ちるまで戦うに決まってるだろ。戦闘規則一:捕虜になるな。を忘れたか?」
「良かったよ、考えが同じ奴が居てさ。弾が切れたら敵から奪えば良いしな」
「装備チェックは22:20までに終わらせろ。3人3時間交代で巡回を怠るな」
忠実なARC達が準備を進める傍らで、刹那は窓から見える月を見てクスッと微笑った
「このくだらない戦争を終わりしようじゃないか。戦争の幕を開けるのも、閉じるのも私なのだから」

fin
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第四十二話:SANDSTORM 砂漠に吹く熱風 03

中央抵抗線上空 12:03
≪レイピア3、ケツに二機!急降下で振り切れ!≫
≪!クソッ!ステルスかよ!誰か援護してくれ!≫
≪任せろ。もう少し・・・捉えた!FOX2!≫
グエンのシュペルラファールからMICA IRがレイピア3のF-15ACTIVEを追っていたF-22の排気口から発する一定の波長の赤外線を捉えて、追尾を開始する。F-22二機とも左右に急速ブレイク、フレアを放つものの、フレアをターゲットと探知しない対妨害対策能力を持つMICA IRからは逃れられない。
≪此方ブラック2!ダメだ!脱出する!≫
≪メーデー!メーデー!メーデー!ブラック1、イジェクティン!!≫
敵機のパイロットがベイルアウトするのを確認するとグエンは静かに宣言した。
≪スプラッシュ2、レイピア3生きているか?≫
≪助かった。礼を言うよ≫
≪ダルモエード3、此方レイピア1。シルカが狙っている。注意しろ≫
≪大丈夫で御座いますです。喰らえ!≫
ヴォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!ドドドドドドドッ!!!!!
ダルモエード3率いるA-10の4機編隊が敵に息をつかせる間も無く、30mmアヴェンジャーガトリングの劣化ウラン弾を戦車部隊を横から突く様に一列で攻撃していく。劣化ウラン弾を受けた戦車はエネルギーを受けて数発で燃え上がり、戦闘不能に陥る。
≪タンゴ2-5、今日の上空の友軍機は何所のどいつだ?支援攻撃に感謝!ウェルズ!ジャベリンであの戦車を破壊しろ!≫
≪メビウス1たち空軍が制空権確保!前進して対空火器を狙え!空軍を護るんだ!≫
地上部隊も戦車部隊の損害が目立つが、かなり善戦している。彼等の活躍で自走対空砲の過半数が撃破されている。ようやく制空権を完全に奪う事に成功し、中央抵抗線は最後の仕上げに入った。
≪タンゴ、ブラボー全隊!突撃開始!この砂漠からエルジア共を追い出せ!≫
≪タンゴ1、Roger!タンゴ全部隊!ファイナル・ラッシュ(全軍突撃)!!!!GO!GO!!GO!!!GO!!!!≫
≪ブラボー全車、全歩兵部隊!チャーーーーーーーージ(突撃開始)!!!!!!!怯むな!進めぇ!!!≫
≪スカイアイより全機、中央抵抗線崩壊も時間の問題だ。レイピア1~4・5~9のCAPとダルモエード3のCASを除き全機SAF前線基地で補給・再発進し、他の戦線の支援に向かえ≫
スカイアイはジョイントスターズ機の報告を確認し、中央抵抗線周辺の戦闘機全機に指令を飛ばす。
≪レイピア・リーダー了解、5以降は補給して5~9は此方と交代し、残りは右翼航空支援へ。2~4は我に続け≫
≪メビウス1、了解。では私は換装後、ヘリ部隊の敵HQ攻略支援に向かいます≫
≪ダルモエード3、了解。攻撃続行しますです。≫
≪ツームストーン、了解。負ける喧嘩ではなくなったな。補給後航空優勢未確保の左翼支援しに行く!≫

左翼エルジア軍防御陣地 12:05
「空軍は何やってんだ!オスカー12が敵機にやられたぞ!」
「落ち着け!戦線は確実に前進している。友軍の中央抵抗線突破も時間の問題だ。直ぐに増援部隊が到着する!」
敵陣地内に侵入できた部隊は増えてきていて、各所で第一前線陣地突破した部隊も多い。後は重砲火器のある第二陣地の攻略だが、此処で制空権が取れておらず航空支援が途絶えていて機甲部隊の出血を余儀なくされている。すでにSAFの一部航空隊の増援もやって来ているが、制空権確保は見通しが立っていない。
≪嘘でも良い!メビウス1が来ていると言って置け!≫
≪敵戦車撃破!ハリソン!次のプレデターを出せ!≫
≪チャーリー10、敵戦車4時の方向だ!≫
≪チャーリー4、あのバンカーを吹っ飛ばしてくれ!頭が出せん≫
≪オスカー11、11時方向にAPC!≫
≪射手が撃たれた!誰か50calに着け!!第一CPへ向かえ!!≫
≪オメガ2、もう直ぐ正面だ。10度上≫
≪了解バラード1・・・・捉えた、任せろ≫
≪敵機来るぞ!伏せろ!!≫
≪RPG!≫
「ジョイントスターズ!制空権確保まで後どれ位だ!?Over!!」
≪此方マジック、予定時刻は判明していない、Over≫
「マジかよ・・・オスカー1より全部隊、空軍は役立たずだ。何としても防衛線を突破しろ!」
Holy Shit!オスカー1、それは本当か!?後15分も戦っていたら撤退しなければ全滅するぞ!!Over!!!≫
「・・・・分かってる!!総員鋭意奮戦しろ!!Out!!!」
左翼攻撃隊指揮官であるオスカー1ですら小銃を持って迫り来るエルジア軍と交戦している。各隊の損害率は3割を超えた。
「クソッ!HQ、此方オスカー1!!航空支援が必要だ!!海軍でも海兵隊でも空軍でも良い!!さっさと戦闘攻撃機をよこせ!!早くしないと全滅するぞ!!Over!!!」
≪余っている戦闘機があればとっくの昔に送っている。現在中央抵抗線から航空隊の一部を割いて補給しそちらに向かわせている。先遣隊ETA5分。Over≫
相変わらずの冷静な司令部の答えにオスカー1はとうとうキレた
「クソックソックソッタレ!!!!お前等は俺たちを見捨てる気か!!!!超音速で寄越せ!!!早くしろっつってんだ!!!3分で寄越せ!!1秒でも遅れたら我々は撤退する!!!Out!!!!!」
ガンッ!!と無線機ごと砂地に叩きつける勢いで無線を殴ると、指揮官自身もM16A2を持って交戦を開始する。
「良いかお前等ぁ!!一歩も譲るな!!!地面に斃れても引き鉄は引き続けろ!!!航空支援は必ず来る!!!」
「「Sir Yes Sir!!!」」

≪オスカー4と通信途絶!≫
≪チャーリー3、まだ生きてるか!≫
≪ああ、何とか・・・・生きてるのが奇跡だ!畜生!負傷兵多数!!後退の許可を!!≫
「オスカー1よりチャーリー3、却下する!皆撃たれているんだ!突破しろとは言わん、戦線を維持しろ!!」
≪Oh My God・・・・Fuck'n Holy Shit・・・・・≫
≪チャーリー14、神に祈る前に目の前のエルジア兵を撃て!祈っている時間すら勿体無い!!≫
≪チャーリー2、60m前進してオスカー12のカバーに行け!GO!≫
≪チャーリー2被弾中!!撃ち返せ!!Fire!!・・・Hit it!!!≫
≪オス・・1、此方・・・・CS・・・・援が・・・着した!≫
「何だって!?聞こえん!!もう一度言え!!!」
友軍の無線を聞いていた無線士が無線に向けて怒鳴る。感度が悪く雑音が多い。
≪オスカー1!3時方向敵機の増援だ!≫
≪チャーリー8!ステインガー用意!!≫
「クソッ!ここまでか!」
誰もが諦めかけたその時、増援の戦闘機が対地ミサイルを放った。それは友軍の頭上を抜けて、敵軍の陣地へと正確無比に飛んでいく。
≪・・・・Arrowhead(アローヘッド:ISAF軍の国際識別徽章)・・・・友軍だ!!空軍の増援だぞ!!
≪やっときやがった!!!お前等!前進だ!!俺たちには天使の御加護がついている!!突撃!!!
Arrowhead・・・三本の矢の様な国際表記、紛れも無く友軍機。先頭は蒼い無限を示すメビウスの輪をつけたF-22が悠然と飛ぶ。誰もがソラを見上げ、その結束された矢を見る。後続に遅れてきた陸軍AH-1Zヘリ航空隊4個中隊がお返しとばかりに20mm徹鋼弾や20mm劣化ウラン弾を敵陣地に叩き込む。オスカー1の先任軍曹はこう呟いた。
「ああ、畜生。メビウス1、あんたは英雄だよ。俺たちの獲物まで持っていきやがって・・・」
その言葉を聞いた副官の傷だらけの伍長が答えた。
「そりゃ違いますよ・・・"奴等"の名は"「ソラの守護天使」"、すぐに去ってしまって我々地上の兵士が祝福を受けられるのは一瞬も無く、それを分からない奴もいますが、いつの時代も良い仕事をしてくれます。空軍って奴等はいつもそうです」
「ああ、そうだな・・・・さあ、残業を片付けよう。全部隊前進再開しろ!GO!GO!GO!」

旧アンカーポイント市 12:07
≪砲撃が止んでるぞ。全部隊、旧アンカーポイント市に向け前進しつつ精密射撃で敵を攻め潰せ!≫
≪前進して敵戦車を叩け。Fire!!≫
≪第三分隊前へ!第二分隊は後退し再編させる!≫
≪タンゴ5、相当被弾しているようだが大丈夫か?≫
≪なあに、装甲がへこんだだけさ≫
≪メデイック!!≫
旧アンカーポイント市では相も変わらずISAF軍の苦戦が続いていた。エルジア軍はそれなりの損害を出してはいるが、それでも戦力差は縮まらない。何故なら此処はもともとエルジア軍の増援を受け入れ、ISAF軍を十字砲火で倒す為の防御陣地だ。言うなれば、支援部隊。そこを偵察で確認したISAF軍は、援軍の足止めとして比較的小規模の部隊を送り込んだのだから、他の戦線が突破して援軍が到着しないと勝てるようなものではない。
≪HQよりタンゴ分遣隊総員聞け、グッドニュースが3つ、バッドニュースが1つある。どちらから聞きたい?≫
≪グッドニュースから!Over!!≫
≪了解、まずは他の戦線からエルジア軍で撤退開始した事、次に敵前線指揮所への戦闘ヘリコプター二個中隊と一個戦術飛行隊の攻撃が始まった事、最後は航空支援がそちらへ振り分けられる事だ≫
HQが中々気の利いたニュースを伝えると旧アンカーポイント市へと進撃するタンゴ支隊・・・タンゴ分遣隊二個機甲師団の士気を急激に挙げた。特に航空支援振り分けは彼等を奮い立たせるのに十分な事だった。
≪了解、バッドニュースは何だ!?Over!!≫
≪諸君等がいるFFZより北15マイルに敵増援、二個機甲中隊だ≫
≪Roger!タンゴ本隊及び航空支援の一部は敵増援へ回してくれ!こっちはもう3~4機いればどうにかなる!!Over≫
≪Roger、グッドラック。Out≫
≪全員聞いたな!もう直ぐ此方の航空支援の体制が完璧に揃う、そしたら一斉攻撃をかけるぞ!Oorah!?
≪≪≪Oorah!!≫≫≫
明らかに無線に応答する部隊が減ってきている、既に損耗率は4割近い。壊滅状態といっても過言ではない
≪此方ブラックデスサイズ、タンゴ分遣隊、聞こえたら応答を≫
≪空軍の増援か!?OK、感度良好!何機いる!?Over≫
≪まだ生き残っていたか、しぶとい連中だな。・・・・・9だ。貴隊の航空支援には何機必要だ?Over≫
≪あ~・・・最低一個分隊だ。Over!≫
≪ブラックデスサイズ、Roger。エレメント・グウェイ、エレメント・ガーゴイルは敵増援を、ユニコーン・フライト1・2は制空権確保、3、4は私に続け。Break Now≫
友軍機甲師団の8時方向から戦闘機が見えるとその編隊を崩し、一隊は敵増援に向かって、一隊は機甲師団直援隊の加勢のために上空へ、一隊は緩降下・急加速しながら敵機甲師団への攻撃を始める。
≪ブラックデスサイズ、フェイスイン。CBU(クラスター爆弾)行くぞ。投下タイミングは我に合わせろ≫
≪≪ユニコーン3、4、Roger≫≫
≪・・・3・・2・・1・・NOW!・・・次、3・・2・・1・・NOW!≫
ゴゴン、ゴゴンと、地面スレスレで多少間の開いた投下間隔で左翼、中央、右翼へと集束爆弾を投下していく。低高度投下されたそれらはすぐにパッと炸裂した。
ババババババッ!!!バババババッ!!!!バババババババッ!!!!!
≪良し、弾着確認!!攻撃開始!≫
投下されたCBU-87BやBLU-108/Bクラスター爆弾の子弾には少量のTNTしかない、戦車を完全に破壊するには少々火力不足だが、キャタピラを吹き飛ばしたり、装甲の薄い戦車上部あたりを吹き飛ばしたりして足止め・無効化するには十分すぎる。APCや歩兵ならば壊滅的被害は免れ得ない
≪行け!行け!行け!!≫
≪ジャベリンAWS用意!撃て!≫
≪タンゴ分遣隊、此方ブラックデスサイズ。もう一度攻撃を仕掛ける。あまり近づくな≫
≪全部隊、敵の手前500mまで前進しろ!空軍の連中がもう一回掃除しに来るぞ!!≫
上空ではエルジア軍機の機数は疎らになり全機が分断され、ISAF・SAF機に追い回されていた。
そして、ミサイル・クラスター爆弾・ロケット弾攻撃が壊滅状態となった機甲師団へと降り注ぐ。勿論対空車両もあるにはあったが、装甲が薄いこいつは被弾し、戦闘能力が下がっていたISAF軍戦車がお返しとばかりに集中攻撃を加えていた為殆ど機能していなかった。
≪敵陣が崩れた!タンゴ17!左翼中央から一個分隊ともに制圧射撃!!タンゴ14!右翼正面から急襲突破!≫
≪行くぞ!≫
兵士達の表情には安堵と余裕が生まれ始めていた。誰もが勝てる戦闘だと確信した
≪敵戦車を85%撃破した。後は自力でいけるか?≫
≪勿論だ!航空支援感謝!やっぱり空軍は頼りになるな!!≫
≪それはどうも。ユニコーン3、4、此方ブラックデスサイズ。敵増援部隊を叩くぞ。私に続け≫
≪≪3、4、Roger≫≫
対地攻撃を一旦終えた黒く汚れたファントムは上空でArrowheadの形をした編隊で友軍の上を一航過してみせるとミリタリー推力で北から進んでくる敵軍に対して攻撃する為に急行する。
≪此方グウェイ1、ブラックデスサイズ聞こえてる?≫
≪感度良好、何かあったか?≫
≪想定外の事が起きた!早く救援を!敵機と対空車両が多すぎる!≫
グウェイ1の悲鳴のような声と嫌なほどのミサイルアラートが鳴り響いてるのがレシーバー越しではっきりと聞こえた。溜め息を吐きながらそれに答える。と同時に武装チェック。重いCBUは全部落とした、600ガロン増槽1本に、ECMポッド、バルカン640発。いつも通りだ。ついでにCBUを積んでいたハードポイントも強制廃棄して軽くしておく。
≪やれやれ、"鬼"の名が廃るような事をよくいえますね・・・・援護する。ユニコーンは此処に留まれ。当機は所定を完結している。これより援護に向かう。現状の詳細を伝えられたし≫
≪うるさいわよ!敵機は15!IRSAMが3!SAHRSAMが4!対空車両12!まとまって撃ってくる!≫
≪Roger、ISAF空軍機に援護要請を回す。対地は彼等に任せる。オーライ?≫
≪了解!さっさと来て!≫
≪はいはい。ETA2分、アフターバーナーで急行中≫
IRSTにコンタクト。派手にやり合っているのがよく見える。さっきからずっと敵の攻撃をかわし続けている。ブランクがあるとは言えど、流石は鬼神。隙があればそいつのケツについたりしている。どうやら敵編隊は首都防空隊の連中のようだ。これまでの敵機とは動きが異なる。手中にある情報を整理しつつ、最初に目標とする敵機を定める。勿論太陽を背にして見つからないように確実に必中ポイントへと追い立てる。鬼神はいわば猟犬だ。そして狩人は黒い死神。
(あともうちょっと・・・・ヒットポイントまで10秒・・・)
HUDに表示されるレティクル・ホットラインを睨みつつ、操縦桿を微調整させる。5秒前でトリガーを絞り、レティクルを敵のF-22に重ね、そこでピッタリと止める。戦闘機から戦闘機への銃撃ほど神経が集中する事は無い。何故なら操縦桿にほんのちょっと圧力がかかると直ぐに敵機は照準から逃げてしまうからだ。それだけじゃなく、相手はいきなり攻撃をかわそうと回避機動を取る時もある。
≪FOX3≫
ドルルルルルルルルルルッ!・・・ヴォン!ガンッ!!バキッ!
≪スプラッシュ1、次≫
≪ブラックリーダー・ロスト!≫
≪落ち着け、敵機が一機増えただけだ!ブレイク!≫
ほう、と感嘆の息を吐く。隊長機が堕とされても冷静な部隊とはこれまた珍しい。と刹那は思った。
(堕とすのが勿体無いくらい、良い部隊連携だ。こっちを飽和ミサイル攻撃で堕とそうとしている)
敵機が散開した時、各機が同じ方向にブレイクしなかったので追うべき標的選択に一瞬迷った。だが、コンピューターは迷わない。即座にエースブレイカーの演算装置が高脅威の目標を選択し、HMD上に最重要撃破目標として表示される。それに頭が考える前に体が動き、操縦桿を手前に引きスロットルをアフターバーナーの位置へと叩き込む。急激なGが体を襲うものの、落ち着きを失わず、勘と狩り取るべき獲物の"におい"を元に、インメルマンターンで高脅威の敵機・・・敵の2番機(指揮官機)を捕捉する
≪誰が逃がすと言った?FOX3≫
ドルルルッ!!ゴキュッ!!メキャッ!!
レティクルに捉えられたのはほんの一瞬だけ、トリガーを引いたのも一瞬だけだ。だが、機械は嘘をつかず、ちゃんと機関砲弾を未来予測位置に来た敵機に直撃させた。主翼の付け根に命中した為、Gと空気抵抗が合わさって一瞬で構造桁が崩壊して主翼が捥げた。
≪スプラッシュ2≫
≪ブラック2ロスト!新手の奴は何だ!?階級が上の奴から狙ってきやがる!!≫
≪敵編隊が乱れた!行くわよ!≫
≪頂き!≫
≪レッド・リーダー!後方に蒼いイーグル!レフトブレイク!≫
≪ブルーリーダー!3時方向から新型の可変翼機が喰い付こうとしてるぞ!!かわせ!!≫
指揮官と2番機を撃墜すればどんな部隊でも混乱する。何故なら隊長・副長機がフライト・リーダーをやっていることはあっても、3番機以降までもが指揮しなければならなくなる事は容易に想像は出来ない。B7R制空戦やコモナ諸島制空戦では1番機、2番機が落とされた部隊は5割以上が全滅していると言うデータを刹那個人で集めていた。後は部隊が混乱の底無し沼に嵌まるまで敵機にツイストを躍らせれば、赤子の手を捻るが如く全機撃ち落せる。
≪ロックオン・・・グウェイ1FOX2!!・・・・スプラッシュ1!≫
≪レッドリーダーロスト!レッド2指揮を引き継・・・!?うわあ!!≫
≪FOX2!FOX2!!・・・・ガーゴイル2、スプラッシュ1。姐さん、貰っていくぞ≫
≪ブルーリーダー!正面下方敵機!!≫
≪何ッ!?見えないぞ!≫
≪頂き!グウェイ2、ガンファイア!・・・スプラッシュ1≫
僚機が敵機を屠るのを傍目に見つつ、刹那は逃げ惑う敵機のコックピット周辺に20mm弾を叩き込む。被弾した敵機は即墜落にはならず、ゆらゆらと機体をダッチロールさせ、地面へと滑り落ちていく。
≪クソ!ブルー2、指揮を引き継げ!・・・おい、応答しろ!ブルー2!≫
≪目標無力化確認。ブラックデスサイズ、スプラッシュ3。後9機≫
≪全機落ち着け!闇雲に飛ぶな!!数では勝っているんだ!新手から落とすぞ!!ブラック4は我に続け!≫
敵機が3時方向上方から二機後方に回り込んだ。刹那は追っていたSu-35を捨て置き、エアブレーキを作動させて敵のミサイルの最小射程に割り込んだ。操縦桿を前に倒し、0G状態にする。と同時にミリタリー推力までスロットルを入れる。
≪!?き、消えた!?何所だ!何所に消えたんだ!?≫
≪後方上方にも居ない!急降下もしていない。奴は何所に消えた!?≫
敵機が自分から勝手にオーバーシュートしたのを確かめると、操縦桿を引いてアフターバーナーにまで推力を持っていく。
≪正面に捉えた。FOX3≫
ドルルルルルルルルルッ!!ガン!ヴォン!ギン!ガキュンッ!
≪!?こ、コントロールが!?ダメだ脱出する!!≫
≪スプラッシュ、次≫
≪ブラック4!・何があっ・・・!?・・・な、何で後方下方に!≫
≪任務ご苦労、さようなら。FOX3≫
ドルルルルルルルルルルルルッ!!ガンガンガンッ!!!バキッ!メキャッ!!ベキョッ!
≪スプラッシュ、次はどいつだ?≫
≪へぇ、ブラックデスサイズもするんだ・・・アンロード加速≫
"アンロード加速"・・・自分の機体のパワー・ウェイト・レシオ(推力・重量比)が1:1若しくは0.9:1など、自機の推力が自機の重量に比して小さい戦闘機乗りが良く使う戦法の一種。
パワー・ウェイト・レシオが小さい戦闘機は空力特性云々以前に、格闘戦では速力が急激に下がりやすい。(現代空中戦でも必要なのは運動エネルギーと高度エネルギーである)その為そういった重量級戦闘機は強力なエンジンを積む。(F-15やF-22、Su-27シリーズなど)だが、それでも重いのに変わりは無く、どうしても多少推力が弱いが軽い軽量級の戦闘機(MIG-29シリーズ、F/A-18シリーズ、F-16シリーズ、F-5等)には格闘戦性能は劣ってしまう。
そこで、強力なエンジン推力を最大限引き出す為に出来た戦法がアンロード加速だ。まず機体を0Gにする事で、機体重量を0にする(空中で重力がかかっていない状態だと、エンジン推力かかる抵抗は機体の空気抵抗のみとなる。数式に直せば、この式に当てはまる。エンジン推力-〔空気抵抗+機体重量〕=機体にかかる前進しようと作用する力)と同時に機体は降下と急加速を始めるので相手には消えたように見える。降下すれば速度も上がり、エンジン推力もそこにプラスされるので損失される高度エネルギーよりも増加する速度エネルギーの方が勝る。敵機が頭上を通り越したのを確認したら、その増加した速度エネルギーを上昇によって"速度エネルギーの損耗を抑えつつ"高度エネルギーに替える。後は此方を見失って混乱して無防備状態の敵機の後方から銃撃を加えれば良い。と言う戦法だ。イスラエルや航空自衛隊などのファントムライダー(F-4乗りの総称。F-15乗りはF-15の高性能と高価格、そしてパイロットの高給取りからイーグルドライバーと畏怖と敬意を込めて呼ばれる)が好んで使用するという話がある

≪クソ!こいつら相当出来る!・・・!?レーダー照射!?新手か!≫
≪退け!これ以上の損耗は許可されていない!!これ以上首都を空ける訳にもいかんのだからな・・・!≫
敵機が北西に向けて反転するのを確かめると。地上の敵部隊も北西に進路を変えた。エルジア軍全軍がこのウィスキー回廊から撤退を始めたのだ。
≪敵軍が撤退していく≫
≪こちらスカイアイ。敵が後退をはじめている!すべての友軍が前進を開始したようだ!
我々の仕事は終わった。全機帰還せよ≫
≪≪≪了解、ミッションコンプリート。RTB≫≫≫
今まで航空支援を行なっていた戦闘機、攻撃機が一斉に基地へと針路を取り始めた。だが、刹那は無線周波数を弄ってISAF全軍が使う周波数とは違う別の無線に耳を済ませる
≪ARC、応答しろ≫
≪・・・・Sirコマンダー、此方ARC-アルファ・・・ブラヴォー・チャーリー共に所定を完結、待機中です。指示を≫
≪了解ARC-アルファ。セーフハウスにて準備待機≫
≪Sir≫

"第三者"との短い会話を終わらせると、元の周波数に戻して宣言した。
≪お遊戯は終わりだ。貴官等に軍神の御加護があらん事を≫
≪?・・・君は、何を――≫
AWACSの問いかけに答えるまでも無く、無線を切るとECMを作動させて亜音速で北北西へと針路を取った。

Fin

 

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