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番外編:死神の記憶

??? ??? ???
漆黒の中にポツンと自分が立っている。

・・・・ワタシハ・・・ダレダ??


ワタシハ・・・ナンダ??


ワカラナイ・・・・オレハ?ジブンハ?


ココハ?


ナニヲシテイル?ワタシノカラダニ?ナニヲ?


ワカラナイ・・・?


タシカワレハシンダハズダ・・・ココハアノヨナノカ?


ワカラナイ・・・ワカラナイ!ワカラナイ!!ワレハイッタイナンナンダ!?


お前は人殺し・・・・・
お前は死神代行人・・・・
お前は快楽殺戮者・・・・
お前は狂気の、凶気の塊り・・・・
お前が殺った事は世界は忘れない・・・・
お前は絶対に救われない・・・・
お前は恨まれる・・・・ずっと・・・100年先も、1000年先も、1000000000年先も・・・・
お前は誰も愛せず、そして愛されぬ・・・・
お前は神にも悪魔にも見放され死神と化したのだ・・・・
お前がやって来た事を我が教えてやろう・・・・


≪助けて・・・!!死にたくない!!≫
≪ああああああ!!!俺の、俺の脚がああアアア!!!助けて!助けてえっ!!≫
≪うぎゃああああ!!!≫
≪ヴォアアアアアアアアアア!!!≫
≪助けて!おかーさーん!おかーさーん!オガーザーン!!!!≫
≪やめてくれ!!やめろ!やめろおおおお!!!!!!嫌だああああああ!!!!!!≫


突然耳に響く悲鳴、悲鳴、悲鳴・・・・そして思い浮かぶのは死んでいった人間の顔、そして血。見渡す限りの血、内臓、千切れた手足そして薬莢や剣、ナイフ、戦闘機の残骸、艦船の沈没したものが転がっている。そして自分も血に染まっていく。隣には微笑みかける黒い衣を着て大鎌を持った自分。どんどんどす黒くなっていく自分。耳を塞いでも聞こえる悲鳴。逃れる為に走り出すが、自分の手足を屍の腕が押さえて屍の足が転ばせた。目の前には死人達の苦しみ、生へともがこうとする人、人、人。


≪貴様アアアアアア!!≫
≪エリス・・・御免な・・・・≫
≪・・・・こんな所で終わるのか・・・・・≫
≪嫌だ!嫌だ!嫌だあああああ!!!!!!≫
≪あ・・ああ・・・・あ・・・・・≫
≪畜生!畜生おおおおおお!!!≫
≪苦しいよ・・・誰か・・助け・・・て・・・・≫
≪熱い!!熱いよおお!!助けて!助けてええ!!誰かアアア!!AAAAHAAAAAA!!!!≫
≪グハッ!・・・・・≫
≪誰か!此処を・・・!此処を開けて!!≫


ハア・・・・ハア・・・・・ハアア・・・・・ハアアア・・・・・ハアアアッ・・・・・・ハアアッ!!!

邪魔だ!邪魔だ・・・・!消えろ!消えろ!消えろ!皆死んでしまえ!!死ねえええええ!!!

そう言って何時の間にか手の中にあった大鎌をそれらに向けて振り下ろした。するとそれらが一気に消えて、何時の間にか哂っていた。

ア・・・ハ・・・・アハッ・・・・・アハハハハハ・・・・なんだこんなに簡単だったんだ・・・・。殺しちゃえば良いんだ。なあんだ・・・こんなに簡単だったんだ。苦しみから解放されるなんて・・・・・こんな簡単だったんだ・・・・

コモナ諸島 18:15 ISAF空軍臨時滑走路
「アハッ・・・・アハハハハッ・・・・何で?何で哂ってんだ?」
そこは愛機の中、帰還後の整備が終わっていて、さらに作戦も終了していたようだ。何時の間にか寝ていたらしい。
「・・・・・大丈夫か?・・・・すごく魘されてたぞ・・・・・しかも最後には高らかに哂って・・・・どんな夢を見てたんだ?お前・・・・」
グエンがコックピットの淵から声を掛けた。冷静さを取り戻して落ち着いて彼の質問に答える
「最高にハイな夢を見てた。何時間寝てたんだ?私は・・・・」
「ざっと5時間だ。帰還した時には既に夢の中だと聞いていたぞ。何やらこの機体の人工知能がお前を此処まで運んできたらしい」
夢の内容を思い返しながらグエンの差し出した水を一気飲みする。
「作戦はどうなった?」
「成功だ。A-10の編隊がやって来た時には危なかったがな。取りあえずサラスタンは確保したそうだ」
「ありがとう。もう大丈夫だ」
自分の両手には人を斬殺した感触が残っていた。
「此処からの撤収は何時になる?」
「明日だ。他のパイロットは皆引いているよ。余りにもおぞましかったからね」
グエンが苦笑しながら随分離れた所にいる一団を指した。
「・・・・解らんでもないが・・・・自分ですら引きたくなるような哂いだったから・・・ッつーかあそこまで引かなくても・・・」
一団の場所は此処からざっと見50mと言った所だろう。
「・・・・MPですらあの一団に混じるくらいだ。確かに最高にハイな夢だったんだな」
「五月蝿い。夢に魘されて何が悪い」
開き直ると機体から降りた。向かう場所は自室だ。あまりにも汗びっしょりで気持ちが悪いので着替えるか洗って干そうと考えた。
パイロットスーツの上を脱ぎ、一団の中を通り過ぎる時青ざめた顔をしているパイロット達を見た。メビウス1等ISAF正規軍の奴等だ。
「どうした?メビウス1。地獄でも見たか?」
「刹那さん・・・背中・・・・」
「え?」
背中を見ると血の手形が一杯付いていた。しかも夢の時腕に捕まれた所と一緒だ。それはまるで紋章の様だった。
「・・・・気にするな。こいつは古傷が開いただけだ。なに直ぐに治る。血も流れてないし」
そう言うと自室に真っ直ぐ進む。疲れたのだろうと自分に言い付けて、さっさと進む。

刹那の自室 19:00
「刹那さん・・・入っても良いですか?」
メビウス1は外からこっそりノックしながら中にいるであろう刹那に聞いた。
「いいぞ。別に入るなとは書かれてないだろう」
「それじゃ・・失礼します。・・・・ッ!?どうしたんですかその体!?」
メビウス1はレイピア1と共に刹那の容態を見に来たらしい。だが刹那の体を見て二人揃って悶絶した。
「何って・・・戦闘機パイロットにはよくある症状だろう?」
刹那の体は上半身中痣だらけ、さらに傷だらけだった。腕には複数の注射器の痕、背中には手術の後が沢山あった。こんな体で戦闘機乗りなど不可能なはずだ。
「そんな無茶な・・・こんなので空を飛ぼうなんて・・・・」
「私は人から恨まれるからね、こうでもしないと生きていけないのさ」
レイピア1はただ呆然としただけだった。
「それに戦争がこうなるように仕向けたのは全て私だ。恨まれて当然だと思っている」
「え・・・?・・・・・まさか・・・貴方って人は!この人殺し!!」
メビウス1は刹那の肩をつかんだ。彼女は部隊をこの戦争で失った。だからこの戦争を始めた奴を恨んでいるのだ。しかし刹那はユリシリーズを落下させてこの戦争を勃発する事で世界的な軍縮をさせるつもりだったのだ。

ユリシリーズを迎撃しようとすれば全て迎撃できた。だがそれをすれば世界的な軍拡へと発展してしまっただろう。何故ならノースポイントの上層部は世界にレーザー砲を無償で借そうとしていた。あくまで地球の事を考えていてやった事だが、それは軍拡への第一歩に発展するのは確実だった、下手をすれば第三次世界大戦に発展するだろう。例え全世界の人間から恨まれようと刹那は全人類と地球の100年先を思って行動したのだ。

「人殺し・・か・・・・私はそう快楽殺人者だ。迷わずに殺し続ける・・・その為に死ななかったんのだから・・・。じゃなければ、自分が殺されるだけだから。どんなに恨まれようと知った事ではない。恨むなら恨め、それでも私は生きぬく。殺したければ殺すが良い。だが我が肉体は汚せても、魂までは汚させぬぞ」
メビウス1の剣幕を圧倒的な威圧感で押し退けた。
「・・・・くっ・・・・」
彼女は涙ながらに走り去った。
「おい、お前・・・あいつ泣いていただろう!?放って置くのか!」
「彼女を慰めるのはお前等"戦友"の役目だ。私が謝りに行っても仕方なかろう?」

クク・・・とニヤつきながらレイピア1に言った。自分はあくまでも戦友ではなく傭兵であり全世界の仇なのだ。彼女は自分に恨みを持つ一人なだけの話。レイピア1は黙って敬礼しメビウス1を追いかけた。
「・・・もう・・・限界かな・・・・」

fin
本当に本当に有り難う御座いました!
東京タワーが、紅い理由


おまけ

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小説観賞用BGMです。上からルーキー・ベテラン・エースとなっております

ルーキー 不協和音が苦手な方は此処からどうぞ


ベテラン 慣れた方は此方から


エース不協和音?何それ美味しい?というチャレンジャーは此方から


このブログを開いたらこれを聞きながら小説を観賞してください。それ以外は許可しません!(何?

第二十二話:大陸への楔3反撃と悲劇の序章

オペレーション・バンカーショット作戦地域ヘイルビーチ・クラウンビーチ・カランダビーチより北に50kmの街 [サラスタン] 07:20
住民達は空を見上げていたり、街の北のエルジア軍駐屯地を眺めていた。ソラは中型位の輸送機からパラシュートでどんどん兵士が降下してくる。そして北の駐屯地には炎と煙が上がり、戦車や対空ミサイル、対空車両のの残骸が転々としていた。それでも幾つかの戦車は足掻く様に市街に向かってきている。だがそれらは戦闘機のミサイル攻撃や機関砲で次から次へと潰されていく。エルジア空軍機も飛んできたが10分と持たずに全機撃墜された。この町は連合軍にとっては重要市街なのだろうかと話あって居る。
彼等は降りて来た兵士を見てポカンとした。降りてきたのは映画などやエルジアの憲兵で見る屈強な兵士ではなく自分等より背の小さめで結構ひ弱そうなな黄色人種だ。日の丸を付けて居る。だがその顔を真剣そのものだ。住民に対して安全な場所に避難する様に伝えている。そこがどこら辺なのか、何日くらい掛かるのかまで説明している。さらに山の方からは見た事も無い様な戦車が出てきた。戦車長はこれまた黄色人種だ。そいつも日の丸を右腕につけている。迷彩には青い文字で[03式戦車]と書かれている。TK-XつまりNGSDF・SGSDFの新型戦車だ。(現実世界の戦車10式戦車と同等の性能を誇る)彼等はどうやら夜間に別の所から上陸してたらしい。かなり速い速度で市街を駆け抜けていく。目標はエルジア軍駐屯地だろう。恐らくこの空挺部隊もだ。

07:20

空挺部隊を降ろしていった輸送機が居なくなる頃には都市南部に空挺部隊は防御陣地を作り上げていた。駐屯地の残存部隊と戦闘が始まるが、戦車の数も練度も歩兵の数も練度も航空支援の正確さも差があり過ぎた。突入してきたT-72・T-80の三個小隊はNGSDFの戦車部隊によってロングレンジから狙われ、3分も持たなかった。歩兵も随伴しながらやって来たが、図上演習などで掴んだ地の利すらをも味方させて敵の装甲車やトラックを十字砲火とパンツアーファウスト3、84mmカールグスタフ無反動砲で破壊していく。最終的に沈黙した装甲車の兵士達は次から次へと降伏していった。数が多くとも練度で劣ればいとも簡単に撃破される。それが現代戦闘と言うものだ。最後まで抵抗しようと駐屯地に残ったMP達は、降伏勧告を無視した。上空の輸送機ヘリから新たに迫撃砲を受領するとすぐに発射体勢に入る。ステインガーを警戒し、ヘリでの攻撃はやめたのだ。簡易迫撃砲だが、歩兵に対しては強力な威力を発揮する。上空にはエレメントを組んだ機龍戦闘機とそれに囲まれた空中給油機がCAPを行なっている為エルジア軍機は迂闊に近づけないのだ。

07:50

簡易塹壕から迫撃砲での攻撃が開始された。それは市街の10階建ての市庁の屋上から修正が入り、重要な箇所を集中攻撃していく。指揮所、格納庫、弾薬庫を集中攻撃していく。

08:10

砲撃が終了し、戦車部隊一個小隊が先行し、空挺部隊一個小隊(軽装甲機動車2両)が駐屯地へと進む。この時既に、都市を囲むように01式対戦車ミサイルとパンツアーファウスト3、M249、92式対戦車地雷で構成された防御陣地と対空陣地(ヘリからの吊り下げで受領した93式近距離地対空誘導弾と輸送機から投下された組み立て式VADS、ヘリからの吊り下げで受領したJTPS-P18、JTPS-P14で構成)が出来上がっていた。それを見た残存MPは絶望の淵に立たされた。だがそれでも彼等は諦めずにRPG-7などをかき集める。戦車部隊は砲撃範囲内に駐屯地を捉えたが砲撃はせずにゆっくりと接近する。2分後にはMPたちがRPGの安全装置を切って戦闘の戦車に狙いをつけようとする。その瞬間、IRセンサーにMP達の微妙な赤外線をキャッチし、主砲をそこに向けた。MP達はそれに気付き退避しようとした瞬間に意識が途切れた。

「・・・・・はあっ・・・・はあっ・・・・」
MPの一人がようやく意識を取り戻した。だがキ~ンという音だけで何も聞こえない。
「はあ・・・・はああぁ・・・・鼓膜が・・・・・はあっ・・・・・やられた?」
鼓膜は幸いやられてはいなかったが辺りを見渡すMPだったがそれは酷い光景だった。さっきまで自分が居た所の壁が破壊されて、腕が千切れとび、壁に寄り掛かるように息途絶えた仲間、首から上が無い仲間、足が何処かに行って痛さの余りにショック死した仲間達だった。
「はあっ・・・・はあっ・・・・」
無我夢中で無傷だったRPGを拾うMP、それは戦死者の血でぬるりとしていた。
「はあ・・はああ・・・・」
RPGを構えて戦車に向ける。
「く、喰らえ!!」
バシュッ!シャアアアアア!ガンッ!
RPGは確かに当たったが、まるで効果が無かった。しかも弾かれたのだ。物陰に隠れて第ニ射を用意しようとするMPだったが、意識を取り戻した上官によってその場から突き飛ばされた。
チュン!キュン!コン!キュイン!チュイン!
そう、その壁は結構薄く銃弾は易々と貫通した。しかも敵兵が施設内部に突入しようとしているらしい。直ぐにでも退去しないと殺される

撤退

その二語が頭に浮かんだ。だがエルジア軍兵士としての理性が邪魔をする
(此処で逃げたら前線とのパイプ役が居なくなる。そうなれば・・・・・)
クレイモアも無く、追い詰められても此処で引けば前線の部隊を支援できるのはJ-STARS(E-8)とAWACS(E-3・A-50、E767)のみ、だがエルジア軍機にそんなものを前線に出せるのは無い。だがISAFにはそれがある。敵の上陸作戦は用意周到すぎるのだ。此処が落とされれば確実に防衛部隊は指揮系統を失いさらに挟み撃ちに合う。やる事は唯一つ。援軍の要請だった。無線室に走り至急救援をと送るとカラシニコフ小銃を取って応戦に備える。敵がやって来た様だ。
バンッ!!ビシュッ!・・キン・・・
「カハッ・・・」

初弾を装填した瞬間に目の前のデスクを盾にしていた仲間が撃ち抜かれた。練度の差がありすぎる。
ドガガガガッ!!!チン・・キン・・コン・・キン
連射に設定して何発か撃ち込んだが相手はそれより早く鉄柱や厚い壁に隠れた。カラシニコフでは抜けない所を選定している。そこから手榴弾を投げ込まれた。それをいち早く蹴っ飛ばした上官が敵の投げナイフで殺された。
「くっ・・・」
チャッ・・キン!ヒュッ!カン、カカン・・・・サッ!ヒュオッ!
手榴弾のピンを抜いて敵に投げるが、まるで野球でゴロを処理するように投げ返してきた。
「うおっ!?」
グワッ!!キイイイイ・・・・・・・・・ン・・・・ウオウ・・・ウオン・・・キイイイ・・・・・・ン

咄嗟に隠れるが爆風と衝撃で頭が強烈に振られ鼓膜が大きく震えた。何かに掴まれ床に叩き付けられた。そして半ば強制的に腕を後ろに回される。そこで意識を失った。

08:20

エルジア軍サラスタン駐屯地、NGSDF、SGSDFの正規空挺部隊により完全制圧。防御陣地対空陣地の構築が開始された。さらに駐屯地にあった1700mの滑走路に機龍戦闘機が着陸し敵の後方から奇襲を仕掛けることになった。

この一連の作戦をSD(サラスタン・ダウン)作戦と呼称されていた。これはBS(バンカーショット作戦)への支援と同時に敵の後方攪乱を主任務としたものだった。だが彼等機甲部隊と空挺部隊は内陸側から海岸に向けて各四個小隊を差し向けた。後方から敵を奇襲し、友軍の上陸と特殊部隊との動きに合わせて敵を全滅させる作戦に打って出た。さらに航空隊はKC-1AWACS・J-STARSを着陸燃料等の補給を開始し、他の敵航空基地への攻撃を準備し始めた。このことは敵増援の食い止める役をする特殊部隊とSAF・ISAF海軍戦闘・攻撃機部隊に伝えられた。

この時既に海軍のSEAD任務のAI(インターセプト)に敵の基地の戦闘機は出払っていた。つまり、簡単に制圧できると踏んだのだ。STN射程内の航空基地を除いての攻撃が開始される。


11:45 クラウンビーチ ISAF軍上陸部隊
「上陸30秒前ーッ!!」
後方で上陸艇の操船を行なっている水兵がB部隊全員に向け叫んだ。それを聞いたベルツは部下に向かって叫ぶ。
「良し、皆聞け!!これより海岸に上陸する!迷わず俺について来い!!」
「「「「Sir Yes Sir!」」」」

味方の砲撃が激しくなり至近弾が何発か水面に弾けた。
「上陸10秒前ーッ!!」
敵の砲火もそれに混じり心拍数が跳ね上がった。
「準備良いか!?マリーンズ!!」
「「「Sir! Yes Sir!!!」」」
「よーし!おれたちゃ世界最強のマリーンだ!!この海岸は俺達のものだ!!行くぞ!!ペイバックタイムだ!!!!」
「防弾扉解放!最終支援攻撃開始!!Open Fireーーーー!!!!」
ダラララララララッ!!!!ダララララララッ!!

機関銃・無反動砲が一斉に火を吹き始め、敵陣地は一瞬黙る。その瞬間にべルツは駆け出した。
「GO!!GO!!GO!!!」
「行けーッ!!どんどん行けーッ!!迷うなーッ!!!!!止まるなーッ!!!!」

海兵隊員たちは一気に躍り出る。敵はようやく機銃手が機銃に付いたが上陸艇の攻撃で撃ちぬかれる。
「Open Fire マリーンズ!!」
何とか無傷で辿り着いた海兵隊は敵陣地に攻撃を始める。
ドン!!パパン!!タタタッ!!ドドン!!ダカカカ!!
口火を切ったB部隊は敵の水際陣地を破壊しさらに進もうとして手榴弾を投げ込んで突入し爆薬を仕掛けた。
「ファイア・イン・ザ・ホール!!」
ドガアアアン!!!!!
・・・・・・バラバラバラ
「クリア!!次だ!行くぞマリーンズ!!!」
「Sir Yes Sir!!!!!」

台地の頂上に登った部隊だが、そこで足止めを喰らう事になった。敵のさらに強固な防御陣地があるのだ。
「クソッ!頭下げろ!!十字砲火を喰らうぞ!!コリンズ、パターソン!!抜け道を探せ!!!」
≪A部隊接岸!!突撃ーッ!!≫
≪O部隊接岸!!行け!行け!行けーッ!!!≫
≪此方カランダビーチのC部隊!空軍は何をやっている!?早く空爆してくれ!!≫
≪D部隊接岸!!攻撃開始ッ!!≫

無線からは友軍の状況が逐一伝えられてくる。空軍の航空機が足りないようだ。さらにエルジア軍機が直ぐ近くに爆弾を落とした。通信兵から無線をひったくって司令部に叫んだ
「HQ!HQ!!此方B部隊のベルツ中尉だ!制空権を確保するんじゃなかったのか!?敵機がまだ居るぞ!!Over!」
≪此方HQ、たった今増援の航空隊を送った。彼等に任せろ。Over!≫
舌打ちしながらも返信を送る。
「了解!彼等に大陸で会おうと伝えてくれ!Out!!」

Fin

第二十一話:大陸への楔2反撃と悲劇の序章

南大西洋(ユージア大陸南方) ISAF上陸艦隊ISAFMC(ISAF海兵隊) 1月23日 16:00
「とうとう明日には大陸か・・・」
「上陸地点は雨の予報だ。上陸には最適だが砂浜に足元を取られるなよ。上陸ホバー艇が着岸したら全力で遮蔽物を目指せ。隣の奴が撃たれてもだ。銃火器はちゃんとホールドしておくように!」
「航空支援は全力を注ぐそうだが前の大空戦で空軍機、海軍機共に減っているからな、完全な支援は望めない」
「奥地まで進んで先行して都市の制圧に掛かるNSDF・SSDF空艇・機甲部隊と合流しなければ海に突き落とされる。内地への侵攻は速やかに行くぞ」
「先行する自衛軍はトップアタックも可能な対戦車ミサイルやパンツアーファウスト3とかドラゴンメイルの防弾チョッキとか装備が良いのになあ、俺たち海兵隊はアサルトライフルと旧式の防弾チョッキ、AT-4ぐらいしか供給されないし」

海兵隊員達はそれぞれ愚痴ったり、作戦のミーテイングをしたりと思い思いの事をしている。エルジア側は強固な防御陣地を形成し、増援等も準備を整えている様だ。だが此方は一度きりの任務部隊。戦車や歩兵戦闘車などの増援はさらに後方の大型輸送船などに積まれている。今回の作戦は初めて自衛軍の空挺部隊が目標の街に降下し制圧する作戦に参加し、さらに自衛軍特殊部隊が敵の増援に対するゲリラ戦闘で敵を駆逐していくと言うらしい。輸送艦、護衛艦もNMSDFやSMSDF等の混成艦隊だ。航空支援は数が減っているISAF軍機が中心になる。何故なら街のSEAD任務で自衛軍機は出払ってしまう為だ。
「空軍連中や海軍の連中を信じるしかない。ただ・・・・不安だな。戦場では第六感が働くと言うが、嫌な予感がする」
第32海兵コマンド連隊B部隊のレオナード・ベルツ中尉は部下のコリンズ軍曹と話していた。
「嫌な予感って・・・SAFがSEADやってから上陸開始でしょう?航空支援は大丈夫ですよ」
「まあ・・・そうなんだが・・・・・・・。コリンズ、俺が斃れたらお前が部隊の指揮を取れ」
「そんな・・・嫌だなあ。まるで死ぬのが確定したみたいじゃないですか。あの大陸での戦場を生きて帰ってきたんですから大丈夫ですよ」

コリンズは愛用のM-16A4の分解清掃を始めた。ベルツも同じく鹵獲品のAK-74の分解清掃を始めた。ベルツ曰く、[安全性が高い銃ほど生き延びられる銃は無い]
「万が一、だよ。部隊の保全は隊長が任を負わなきゃならない。お前にはその資質があるんだ。もし俺が斃れたらお前しか部隊を引き継げない」
「保険、ですか。悪くないと思いますが・・・・・・・・賭けますか?中尉が生きて帰ったら自分のおごりで。万が一が起きたらあなたの保険で酒を飲むという事で」
「言う様になったじゃねえか?上等だよ。よ~し、生き残るに賭ける」
「ハハハ!」


コモナ諸島 ISAF空軍臨時滑走路 18:00
「昨日の偵察では何ら異常は無かった。SEADをやる必要があるのか?」
レイピア1と刹那が賭けポーカーをしながら明日の作戦について話し合っていた。
「ある。最低でも敵の戦力を削るのは悪い事ではない」
「HARMの無駄使いにならなきゃ良いがな・・・・しかしお前の機には搭載できんだろう?HARMは」
「私はSEAD兼CAS・CAPをするつもりだ。フラッシュ。30ドル寄こせ。これで累計600ドルだ」
「チッ。相変わらず荒稼ぎする奴だな。やめようぜ。夜風は体に悪い」

レイピア1はそう言いながらタバコに火をつけた
「・・・・・ジョーカーはこっちにも敵にもある。だがそれは私が扱って良い物ではない」
「?・・・どう言う事だ」
「じきに分かる」

レイピア1は刹那が発した言葉は半分理解したつもりだった。だがレイピア1の想像とは違いそれは後に世界の命運すら操ってしまうものだった。
「・・・・・なあ、刹那准尉」
「何だ」
「お前、何でメビウス1にあんなに色々と教え込んでいるんだ?お前に何の得がある?」
レイピア1は長い間疑問だった事を刹那に聞いた。そう刹那は前のリグリー飛行場攻撃の後にメビウス1に色々と教え込んでいたようだ。
「・・・・面白そうだからだ。あれが育った姿を思い浮かべられないのさ。面白ければそれで良い。たとえトリガーハッピーと呼ばれようが裏切り者といわれようがな」
「・・・・成る程?だからあんなに取り入ってるのか。てっきり付き合ってるものかと思っていたんだが」
苦笑を浮かべながらレイピア1は言った。刹那ははあ、と溜め息をつきながらこう言った
「それは無いよ。もう人を殺す事でしか自分を癒せないからね」
レイピア1は刹那の思い切った告白に少々後ずさりした。
「・・・・戦場から離れるのが怖いのか?それともお前は快楽殺人者なのか?」
「後者の方だ。自分でも怖い位に殺しが好きになったんだよ。それが誰であれ殺りたくなっちまったんだ」
刹那は淡々と話す。その目には地獄の情景が浮かんでいるのだろう。いかにも明日が楽しみな遠足前夜の園児にすら見える。鼻歌すら聞こえて来そうだ。
「・・・・お前は、何の為に生きているんだ。お前が戦争を止めるなんて事を言ったって聞いた事があるが」
「そんなもの建前に過ぎない。私は戦場に生きている。何かを打倒す為に、打ち倒される為に、滅ぼす為に、滅ぼされる為に、朽ちる為に、炎に照らされた力そして武器・・・・それが全て・・・そう、全てだ。」

さらにレイピア1は後ずさる。何故なら刹那は哂っているからだ。
「そんなに引かなくても良いだろう?このくらい狂ってないとやってられないの――」
ドザザザアア!!
刹那の前に前方10m位の所から人が飛んできた。どうやら喧騒らしい。「やれやれ、世話がかかる」といいながら刹那はその喧嘩が行なわれている所に向かった。バールやらスパナやらで暴れている。
「ダルモエード3、オメガ11、レイピア4止めなさい。みっともないですよ」
優しく声を掛けたがその程度で止まる奴等ではない。軽く舌打ちをしてホルスターから13mm454カスール弾カスタム拳銃を取り出した。周りは大急ぎで退去した。そして13mm拳銃を三人の足元に向ける。
ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
「うわあ!?」
「きゃあっ!!」
「うおあ!!?・・・刹那!てめえ何しやが―――グフォァ!?」

噛み付いてきたオメガ11にハイキックを喰らわせて15mほど飛ばした。オメガ11が派手に地面に叩きつけられる。
「うるせえんだよ。ギャーギャーと。死にたい奴は前に出て来い。全員殺してやる。ISAFのダニ共め」
オッドアイの両目でその場に居る全員に睨みつけながら銃のマガジンを入れ替えて言った。殺気が篭もった目だ。つまり奴は本気なのだろう。
「作戦前に騒いでるんじゃねえ。例えそれがどんな理由でも・・・そう、死んだ仲間の事でもな。今は如何に効率よく仲間を死なせて如何に効率よく敵を殺すかを考えろ」
「ッッ!!」

ニーダヴェリールは殆ど反射的に刹那に殴りかかった。それよりも早く454カスール弾カスタムが初弾装填された13mm拳銃を眉間に突きつけられさらに喉元に蒼い紋様の入った小刀を向けられた。
「ぐっ・・・・」
「甘いんだよ。PTSDなんて持っている奴が戦場に来たって邪魔なだけだ。死ぬ前に妹の墓と戦友の墓を見に行って来たらどうだ?それが嫌なら敵を殺し続けるんだな」

表情一つ変えずに刹那はニーダヴェリールに言いつけて銃を降ろし、剣を収めた。
「お前等も死んだ奴の事なんかに気を取られるな。死にたく無ければな。人殺しが他人の事を気にしてどうするんだ?ああ?何も出来やしない。狂ってこそ闘争であり戦争なんだよ」
吐き捨てるように刹那は奴等に言った。此処に居る奴は皆人殺しだ。ただの人殺しだ。それ以上でもそれ以下でもない。それ以外は感傷だらけの戯言なのだ。人に価値をつけるのは戦死した時や負傷した時に掛かる保険の金額が全てなのだ。それ以外はどうでも良い

オペレーションバンカーショット作戦 作戦地域 1月24日 06:50
≪此方ガーゴイル、WP3に到着≫
≪此方スターバスター了解、針路変更0-3-0へ。高度9000、500kt。WP4でSEAD開始≫
≪ウィルコ≫
≪スカーフェイス、WP3に到達。じゃあな、ガーゴイル≫
≪此方スターバスター、了解。新方位3-3-0、速度、高度ガーゴイルと同じく≫
≪スカーフェイス1、ラジャー≫
≪此方ユニコーン、これより0-0-0に向かう≫
≪OK、ユニコーン、此方スターバスター。WP4に向かえ。速度450kt、高度8500≫
≪ウィルコ。マスターアームON。HARMスタンバイ。ETA07:00≫
≪此方エメット、CAPを開始する。AWACS指示を≫
≪了解、新方位0-0-0、0-3-0、3-3-0に4機ずつで散開しろ高度は4万、速度は600ktだ≫
≪エメットリーダー、ラージャ。CAPを始めるぞ。マスターアーム点火。航法、火器管制レーダーに灯を入れろ。2は4・5・6を連れて、3は7・8・9を連れて行け。10から12は我に続け≫

各隊がブレイクをして行く。一体何機が隠されたSAMを見つけられるかが疑問だが、やるしかない。刹那の機体は胴体の6発、両翼の4つのハードポイントに18発計24発の500ポンド無誘導爆弾が吊り下げられている。出てきたレーダーサイトの多くや強固な陣地を破壊する為だ。
≪此方ブラックデスサイズ。CAS開始。0-3-0に向かう≫
≪了解、速度550kt。先行してくれ。高度は低く行け≫
≪スターバスター、ブラックデスサイズ、ウィルコ。燃料馬鹿食いだな≫
≪ちゃんと対空兵装をスタンバッて後方任務部隊が展開している。何時でも帰還しろ≫
≪了解、全弾落としてからだな≫

苦笑しながら機体をゆっくり降下させる。速度を上げて目標に近づくと、じきに海岸が見えてきた。と同時にレーダー照射を受けた事を示す警報がなる。
≪ブラックデスサイズ、マッド13。いや19もある≫
≪これはスゲえな。我が隊だけでは足りない・・・が。やるぞ。ガーゴイル、マグナム・スタンバイ≫
≪スカーフェイスより各隊へ此方もマッド19とマッド13を探知。HARMスタンバイ。ホットモード≫
≪此方ユニコーン、マッド13と19を確認。制空権を譲らない考えだな。HARM全弾撃ち込むぞ。スタンバイ≫

各隊の報告を元に情報をまとめていく。SA-13が15、SA-19が28。それらを全てAWACSが纏め上げてデイスプレーに現れる。内陸部はゲリラ戦術をしている特殊部隊の活躍でSAMの数は減っているようだ。問題は海岸。SAM陣地がそれぞれをカバーリングし、航空機にとっては厄介な状態になっている。
≪スターバスターより各隊、後2分でレーダー波が複写範囲だ。1分後に、斉射し反転だ。≫
≪SA-13を優先でやれ。それなら殲滅できる。後は海軍の第二SEAD隊にやらせよう≫
≪Okー・・・・ロックオン。・・・・ユニコーンマグナム!≫
≪ロックオン、ガーゴイル、マグナム!!≫
≪よーし良い子だ。ちゃんと喰らいつけよ・・・・スカーフェイスマグナム!!≫

HARMはロケットモーターに点火をして高速で海岸へと飛んでいく。目標は空襲に備えているSA-13やSA-19だ。勿論敵は黙っていない。レーダー波を消して回避運動を取り始めた。そこに刹那の気が爆弾を落としながら突入して行く。再びレーダー波を点けたがそれはHARMの餌食となった。

後に現代の史上最大の上陸作戦と呼ばれる[オペレーション・バンカーショット]は今始まった。

Fin

第二十話:大陸への楔:1 反撃の序章

ノースポイント 1月9日 入間統合自衛軍基地 地下十階 新SAF再編司令部 05:00
「まったく・・・こんな事になるとはな」
刹那は空き室の中で溜め息をついた。ここは先のカウントダウン作戦で壊滅したSAFを改編した際の頭脳となる司令室だ。元々自分が此処の司令兼JNSDF・SFの指揮官の時に使っていた基地施設の最下層の一室だ。今は司令室としての機能を得て大きく変わっている。直ぐ近くにNASDF・NMSDF共用の中央防空指揮所があり、そこからも情報を得られるようになった。
「集まったのは我々F-22とADFX-02で構成されたガーゴイルとXF/A-27とSu-50で構成されたスカーフェイスに機龍Ⅱ型のエメット、そしてクフィールで構成されたユニコーンだけですか?」
「致し方無いだろう。腕の無い奴が来ても厄介なだけだ。そいつのお守りに周らなきゃならんしな」
ガーゴイルはオーシア大陸南側のほぼ全ての紛争で大活躍をした部隊でスカーフェイスは1997,1995年時のユージアでの大規模クーデター鎮圧で主力として活躍し、ユニコーンは空を飛ぶ傭兵の中でも最古参で発足は何と第二次世界大戦時で、三代目の部隊専用機となるAMRAAMやミーテイアを運用できるように改良され、黄色いRAM(電波吸収剤)も塗られ、複合素材で軽量化&武器搭載量が増加、FBWの採用で戦闘能力がぐんと上がったクフィール戦闘機を愛用とする部隊だ。その実力は単機でオーシアアグレッサー部隊「8492飛行隊」のF-15S/MTD8機を同時に相手し全機撃墜と言う並ならぬ実力部隊だ。
「ま、新型の早期警戒管制機も回されるってんだから待遇はいいでしょう。ついでに今までの任務より50ドルばかり月給が上がったしさ」
ユニコーン隊隊長は笑いながらそう言った。そう今回のSAF再編にNASDFがC-1中型輸送機を元に従来の機動性をまったく落とさずに再設計と燃料搭載量増加、RAMやFBL等の様々な最新技術を導入し、通常レーダーの探知能力E-767より向上しステルスをはっきり確認できるように空間受動探知レーダーを新規に開発し、衛星(GPSや気候レーダーに強制的に割り込むので敵は絶対にこのレーダーをジャミング出来ない)を使って測定用の気流を用いずに使用できるようになった。と言う早期警戒管制機を造り、SAFに実験的に配備された。勿論元が輸送機なのでかなりの機材を積み込んでも足りず空中給油用燃料タンクに給油用ブローブ等が付いていて空中給油機も兼ねており、数を揃えられないが質は高くしたい軍隊にとってはまさしく"金の卵"である。しかも機材の殆どが民生品を軽量化・改良した物(殆どの元になった民生品との互換性がある)であり、前線での使用が第一と言う要求に答えられるC-1輸送機から改造したこの早期警戒管制給油機はは非常にコストパフォーマンスも運用思想が良い。世界にこの計画を提示したら次から次へと川崎のブースに軍事関係者が押し寄せたとか・・・・
「・・・・・さて、そろそろ諸君に作戦を説明しよう」
咳払いをしながら席に座るパイロット達に深く制帽を被ったNASDFの第一制服を着た士官が正面のスクリーンの明かりをつけた。カウントダウン作戦での失敗で前の士官が最前線部隊に回された為開いていたNASDFの士官がSAFの指揮官となった。彼は刹那の事を知ってはいるが、会った事が無い為誰が刹那か解らずに居た。
「前の作戦で打ち上げられたWP4・・・・ターゲットの偵察衛星の写真だ。現在リグリー飛行場にまた爆撃機が集結している。その数は半端ではない・・・・」
そう言うと士官はスクリーンにリグリー飛行場の写真を映した。
「・・・・TU-160かB-1が20機、その支援用の戦闘攻撃機・・・TND-IDSやF-15、Su-33等の大型機が50機。成る程?こりゃ上陸する部隊を輸送・支援する艦隊への攻撃が主な任務だな。基地の外に臨時の大規模な駐機場まで作っていやがる」
ユニコーン隊の隊員が神妙な顔をしながら言った。
「それだけではない・・・・・これを見てもらいたい」
そう言うと基地周辺を写した衛星写真が取り出されスクリーンに映った。
「な、なんだあ・・・・?こりゃあ・・・・・・」
その写真にはまるで針鼠の様に配備されたSAM郡・・・・SA-13やSA-19そしてパトリオットだ。ステルスでも攻撃の為に格納式の弾装を開けばSA-19やパトリオットのレーダー誘導式のミサイルの集中砲火で確実にやられる。レーザー砲でもベルカが作り出したエクスキャリバーでもなければSA-13の赤外線ミサイルの良い的だ。一体HARMを何発撃ち込めば沈黙するのか解らない。とすれば・・・・
「諸君等の任務は理解しただろう。レーダーやミサイルが撃ち込めない超低空で侵入し、一回の攻撃で基地に存在する全ての航空機を叩け。その後は可能な限り低空で高速で離脱しろ。しかも、今度の任務・・・・バンカーショット作戦の為にHARMやハープーン、マーベリック等の対地ミサイルは使えない。勿論誘導爆弾、クラスター爆弾、ロケットランチャーもだ。2000ポンドや1000ポンド爆弾で任務を完遂しろ」
「「「「なんだと!?じゃあ、死んで来いって言っている様な任務じゃねーか!」」」」

ほぼ全員が叫んだ。無理も無い。ミサイルも駄目、クラスター・誘導爆弾ロケットランチャーも駄目となると至近距離で爆弾を投下せねばならない。しかも爆発範囲を避ける為に500mは地上から取らなければ危険だ。それでは赤外線ミサイルのいい餌食となる。しかも高速でなければ確実に対空砲に食われる。探知を避ける為に無線も、地形レーダーも駄目となると・・・・
「無論これはいつもの報酬の10倍だ。ユニコーンは爆弾投下後はWP5でCAPを命じる。この後もバンカーショット作戦がお前等に課せられている。交戦規定は全機確実に帰還すること。作戦開始は今夜23:20。That All. Good Hunting」
士官はそう言うとさっさと退出した。
「SAM任務か・・・ローニンでも居れば・・・・」
「SAM殺しでもこれは無理だ。どう見ても50以上の移動式SAMがある」
「降りよっかな・・・」
「降りれるわけねえだろ?やるしかない。WP3から上手く分かれていくしかないぞ」
「多方面攻撃か・・・・成る程・・・・どうやって各隊のETAを合わせるか・・・・」
そんな会話している彼等をほおって置いて刹那は愛機の元へと向かう
「よう、相棒・・・・食事の時間だ。人間を食えるぞ。好き放題にだ」
そして愛機のパネルにはこう出た。
それは良い事だ

リグリー飛行場周辺 23:50
(もう直ぐリグリー飛行場だ・・・)
ユニコーン1は南東からリグリー飛行場を目指していた。僚機も確認できる。
≪無線封止解除!全機アタック!!・・・・ッ待て!!≫
≪な・・・燃えてる!?≫

目標であるリグリー飛行場はまるで地獄の業火に包まれた様に燃えていた。空は血の様に赤くなっている。
≪此方スカーフェイス!上だ!上を見ろ!!≫
≪な、なんだありゃあ!?≫

彼等の目線の先にあったのは戦闘機・・・・いやまるで竜だ。まるで地獄の業火を愉しんでいる様に舞っている。そして彼等が見とれている間にそいつは東へと瞬時に消えていった。
≪何なんだあれは!?≫
≪・・・・それより下を見ろよ・・・・・ひでえ・・・・≫
≪!!・・・・・・・・人が・・・・・≫
≪これは・・・あれがやったことなのか・・・・・≫

下は地獄の業火と共に人が千切れ、内臓や血が散らかっていた。
≪刹那の機が見えないが・・・・≫
≪もしかして、あいつが・・・・≫
≪此方スターバスター。作戦は終了だ。ブラックデスサイズが上手くやってくれた。敵機が接近している、各隊は交戦に入れ≫
≪なんだって?そんな事聞いてないぞ≫
≪そっちが無線を切っている間に奴がナパーム弾で燃やし尽くしただけだ≫
≪成る程よく燃える訳だ≫
≪レーダーのノイズも酷い。チャフか≫
≪良しスカーフェイス、ガーゴイルは敵SAMを潰せ。ユニコーンは予定通りCAPだ。爆弾はパージしろ≫

レーダー画面には何も映らない。どうやらチャフが下の大火災の上昇気流の御陰で舞い上がっているようだ。御陰でSAMも撃ってこない。各隊はSAMを潰しに掛かった。
≪スカーフェイス1、リリース!≫
≪ガーゴイル1、リリース!≫
≪・・・・目標に命中、マッド(SAMが発するレーダー波をキャッチした事を示すコール)も消えた≫
≪・・・我々はさっさとトンズラする。ユニコーンは殿を頼む≫
≪ユニコーン1了解、スターバスターピクチャー(現状を教えてくれと言う意味のコール)を≫
≪敵が作戦エリアに侵入したのを確認した。機数6、2-7-0、高度1万5千(フィート)、速度650(ノーチカルマイル/毎時)セカンドグループ(敵の編成の意味。2編隊の意)レーダー波長はF-16EとMig-29だ≫
≪ウィルコ(ウィルコピーの略。ラジャーと同意だが、これは編隊、又は上位の管制指揮官からの指示を受けた際に使用する)全ユニコーンへ、此方ユニコーン1、マスターアームオン。ウェポンズ・フリー(武器の使用許可)≫

ユニコーンが接近中の敵機を包むように展開する。昔の戦術の一つ鶴翼の陣だ。防御戦闘の際は十字砲火を食らわせることで敵の動きを封じることが肝要だ。それは三次元機動の航空機も一緒だ。
≪ターゲット捕捉。敵はまだ気付いてない様だな。スタンバイ≫
≪射程に捉えました。敵はリグリー飛行場に打電をしていますよ。無駄だというのに・・・・≫
≪良し、任意に撃て。1、ミサイルラージ(ミサイル発射の意味)。ブレイク(回避行動に移る)≫
≪2、パック3(FOX3と同意)≫
≪3、FOX3≫
≪4、ミサイルラージ≫

ユニコーン隊が発射したBVRミサイルは8発、それらはAWACSスターバスターが正確に誘導していく。敵はチャフを放つが所詮戦闘機だ。AWACSのレーダーは絶対に目標をロックして離さない。
≪だ、だめだ!振り切れない!!誰か助けてくれ!!≫
≪うおおあああああ!!!!≫
≪嫌だ!嫌だ!嫌だ!死にたくない!!死にたくないっ!!≫
≪畜生!畜生!ISAFのクソがアアアアアアア!!!!!≫

やはり常人である彼等ならば人を殺したという感触は嫌なものだ。アルミホイールを噛み締めた様な感じがする。だがそれは一瞬の事、後は退屈な飛行に神経を削らなければならない事に感嘆するだけだ。
≪ユニコーン、此方スターバスター、敵機を全機撃墜した。CAPを続行せよ≫
≪ラジャー、パラシュートは確認できない。敵の生存者は無しと認む≫
≪CSAR(シーサー:コンバットサーチアンドレスキュー※戦闘地域における捜索救助活動)の必要無し。了解≫


この戦いは「リグリーの悲劇」と記憶される事となった。

エルジア軍は出航直後のISAF軍の輸送、支援艦隊を撃滅する為の任務部隊を集結させていたが、余りにも多かった為に少数の戦闘機の奇襲攻撃に完全に対応出来なかっただけではなく、ナパームと言う可燃焼夷弾で攻撃してくるとは想像もしなかったのだろう。たった2発のナパームはまず航空燃料に引火し次に対艦ミサイルなどの武器弾薬に引火した。これによってリグリー空軍基地に居た兵士は焼け死ぬか破片で死んだ。生き残りも酸素が減った為に酸欠で眠る様に死んでいった。湖に逃げ込んだ奴も居たが結局湖の水は高温の水と化し火傷や酸欠で湖の底に沈んで逝った。SAMを操作していて助かった兵はこう証言していた。

「爆撃機も戦闘機も燃え盛っていた。まるで地獄の底だったよ。そしてその火種を落とした奴はまるで俺たちを嘲り笑うように旋回をして帰っていったんだ。」

この攻撃でエルジアの航空勢力はISAFの上陸作戦迎撃には不足してしまった。攻撃した側の損害はゼロだった


第十九話:"死神""死の鎌"と自らを呼称する所以・・・・・ 

ノースポイント 入間統合自衛軍基地 C-1輸送機用格納庫 1月1日 01:20
「ほ!こりゃあ良いねえ!」
「基地司令からお楽しみがあるって言われたんだが・・・これかあ!」

パイロット達の前には大量のワインやバーボンなどといったアルコールと様々な食事とHappy New YearとGod Job SAF And ISAF Air Force And Navy Forceと書かれた横断幕が用意されていた。
オペレーションカウントダウンから何とか戻って来たパイロット達は新年を戦闘機機内や母艦で明けたのだが、着陸後に基地の司令から「お楽しみを用意した」と言われ現在に至る。海軍の奴等も早速嗅ぎ付けて防空をイージス艦に任せて早々に飛んできた。
「もう、ドンチャン騒ぎを始めていいのか?何時でも交戦できるぞ?」
「誰か交戦許可を!」
「此方スカイアイ、此処の奴等が用意したようだしな。交戦開始!」
「良し!花火の中に突っ込むぞおぉ!!!」
「「「おおおおおおおお!!!!」」」

傭兵を中心に再編したISAF空軍だった為酒の誘惑には弱い。特に命懸けの戦いの後なら最上の旨さが出るからだ。AWACSのオペレーターもそれに乗り、ISAF正規軍の整備員や雑用の兵士達までが続々と交戦エリアに突っ込んで行った。


こうやって司令が酒類を用意したのは訳がある。


それは"もう一つの戦闘"を彼等に見せたくなかった為だ。


刹那はたった今その真ん中にいて、咽返る様な硝煙の香りと血の臭いの中で死闘をしていた。


それを知るのは現場で死に掛けている重態の重傷者とそれを輸送する輸送機の乗員と医師達だけだった。


その大量の命のリレーを繫ぎ、此処を目指し続けて最終ランナーにその手がゆだめられそうになっていた。刹那はそれを妨害しようとする火の粉を退け続けた。


その戦い振りは後にエルジアの軍事教本に載るほどだった。
それは・・・・

何よりも疾く

何よりも正確に

何よりも冷たく

何よりも強く

何よりもおぞましかった

エルジア軍で迎撃に当たった者の中で唯一の無被弾の帰還者はこう言った。

「まるで鬼神か死神かドラゴンを相手している様だった」
そして
「僕は輸送機に長距離ミサイルを放ったんだけど、そいつが命中寸前に割り込んで来て僕の僚機に命中させたんだ。そして輸送機に近づく味方機を最小限の射撃で行動不能にして来たんだ。僕は怖くて逃げ出したよ。あれは純粋に何かを守る為のような飛び方だったけど、何よりも鋭くて迷いの無い飛び方だったよ。あれこそ守護者としてのACEだろうね。そいつの御陰で今も臆病者共として僕らの飛行隊の部隊員は全員生き残っているんだ。・・・・・・今思えば結果的にそいつに僕らも救われた。まあ、代償として空を飛ぶのが怖くなったけどさ・・・・」
・・・・と


刹那は一機も撃墜せずに最小限の迎撃戦闘で重傷者の乗る輸送機を守りきった。襲撃を受ける事10回・・・それらを単機で受け流し、受け流し・・・・・弾が尽きても敵機に機体を擦り付ける様にして13mm拳銃弾を敵機に当てた。そしてそれも尽きると敵機の攻撃を利用して同士討ちを喰らわせた。そしてとうとう此処までたどり着いた。
≪キャリア1、損傷、被弾箇所はあるか?≫
≪いいや・・・・それより、有り難う。御陰で皆助かりそう≫
≪礼には及ばない。護衛可能だったのが当機だけだったからな≫
≪・・・相変わらずね、死神。次も頼むわ。たぶん今度はそっちだと思うし≫
≪・・・・・そうか。・・・・・貴官の心配性もな、化け物鷲。ただ・・・・当機はビンゴヒューエルに陥っている。燃料節約の為に高度を取ってエンジンを止めるが良いか?≫
≪了解≫
操縦桿を引いて機を上昇させる。グラスコックピットのパネルに表示された燃料は残り2500を切っていた。高度1万メートルでエンジンを停止させてグライダーの様な滑空を始める。スラストベクターノズルとカナードが無ければ20機以上の敵機を撃退するのは無理だったに違いない。改めて自分の機体に感謝した。
(有り難う、デスサイズ(死神の"鎌")・・・・・)
そうやってゆっくりと高度を降ろしながら輸送機が滑走路に着陸するのを待った。

貴方は本当の死神の意味を知っていますか?

そう問われると多くの人は人の命を刈り取る悪しき神という

・・・だが本来の意味は生物の出生と死を管理する神の事を指す。

刹那はそれを現実世界で体現しているような人間だが、周りは殺戮者としか理解してくれない。何故なら人は強烈な事をしている者を見るとそれがイメージに直結するからだ。特に殺人を何百回・・・いや何千回もしている人間だと死神と呼ばざるをえない。だがこうして命を助けている事は何度もある。彼は唯の快楽殺人者でない事は解るだろう。

≪そこの戦闘機ぃ!!さっさと降りろぃ!≫
ようやく刹那は滑走路への進入が許可された。機体をゆっくり降下させて行く。だが誘導させられたのは最も短い第3滑走路(780m)だった。まあ、元はといえば明後日までに着陸する機は無かったのだから酔ってても良いのだが。しかもGCIでもない唯の民間会社の研修管制官らしい。GCIは本来迎撃戦闘機の管制を行なう為、着陸は管制塔の通常勤務の管制官に繫げないといけない。
(・・・・あの管制官、酔ってるなこりゃ・・・・良し、ちょっくら酔い覚ましを食らわせてやるか)
エンジンを空中で再動させるにはスロットルを下げてからスロットルを最大に叩き込まなければならない。何故ならスロットルはエンジンノズルを絞るったり緩めたりするのと同時に燃焼室に送り込む燃料の調節も行なう為、燃焼室の燃料が少ない状態からスタートさせないと空中爆発防止の安全装置で再動しないからだ。その動作を終えると、A/Bで管制塔を目指した。
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
≪あぐんmyうえあ!?≫

ビリビリッという衝撃波でその管制官はすっ転び頭を打った。これなら酔いから覚めるだろう。そして第三滑走路に機体を下ろした。勿論普通では降りれないので速度を100ktまで落として着陸した。失速ギリギリだったが、上手く行った。

5時間後 C-1格納庫 07:50
「ううう・・・・飲み過ぎた・・・」
「もう飲めねえよ・・・・」
「・・・・ヒック・・・・」
様々な呻き声が聞こえるC-1格納庫は死屍累々といった感じだった。そんな彼等を刹那はククッと微笑った。彼は今迄死にそうな重傷者の手当てに追われて真っ赤な血を体の彼方此方に付いていた。
「・・・・・・・・初日の出・・か」
登って来た太陽の明かりを受けながらそう呟くと、金属製の笛を取り出してそれを吹き始めた。何を思ったのか自分でも解らなかった。ただ吹きたいと思ったのだ。曲名は無い。ただ悲しい曲である事は確かだ。それに近くの教会の鐘の音が重なった。

そうすると死んでいった人間一人一人の死ぬ直前の自分に対する恐怖で引き攣り脅えきった顔が頭の中に現れては消えていく。吹き終わった後は何故か哂っていた。

「闇に属するが故に愚かなのか?愚かゆえに闇に飲み込まれるのか?

そう、横から声を掛けられた。それは黒い死に装束を着た人らしきものだった
「いいや。闇を飲み込んでいるから愚かなのだ。それに・・・・賢者は戦いよりも死を選ぶ、更なる賢者は生まれぬことを望む・・・・というではないか?・・・・本物の死神よ」
自分が答えるとその黒石に装束を着た人は、被っていたフードを取った。それは自分自身だった。そしてそいつはこう言った。
「生き残りたくば何にも巻かれるな、己を信じろ。たとえ・・・人殺しでしか自分の渇きを癒せぬ壊れた己でもな」
刹那はそんな"自分"に銃を突きつけて向き合ってこう言い放った。
「生き残る・・・か。私は生にはもう興味は、無い。唯自分を殺せる"人間"を求めているだけだ」
そして引金を引いた。

パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ!!

乾いた銃声と共に薬莢が飛んでいき弾装が空になったためスライドが手前に引かれていた。硝煙がたなびく銃口の先には何も無く、唯いつもの基地の風景があるだけだった。

fin


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第十八話:ソラノカケラ shattered skies

コモナ諸島上空 戦闘空域 11:30
≪スカイアイより各隊へ、第一先遣隊の損耗率は60%を超えている。至急救援せよ!≫
≪バラード1、On My Way!無茶しやがって・・・各機に告ぐ!10カウント後にFOX3アタックだ!≫
≪ツクヨミ、コピー。マスターアームオン、Stand By to Engage≫
≪レイピア1コピー。マスターアームオン、シーカー・オープン≫
≪シグマ1、ウィルコ。敵機を捕捉・・・・Bandit at 290 for 20nm Angels Medium, Hot.(方位290距離20ノーチカルマイル、高度11000~22000フィート)交戦中≫
≪シグマ3、コピー。エンゲージ。シーカー・オープン。ロックオン≫
≪5・・4・・3・・2・・1・・FOX3!!≫

ISAF空軍の本隊からミサイルが発射される。と同時に、先遣隊から標的を変えた敵機がレーダー照射をしてきた。
≪Break!Break!Break!≫
誰かの叫び声と共に全機が弾けた様にチャフを大量に放って散開をする。
≪かわしたか!?≫
≪レイピア12が喰らっただけだ。戦闘に異常は無いみたいだが≫
殆どのミサイルが此方側のチャフに引っ掛かって明後日の方向へと消えていく。ただ、一機が近接信管を喰らって機体に穴が開いたようだ。
≪此方レイピア12、まだやれる。油圧、燃料共に異常なしだ≫
≪各機へ此方スカイアイ、敵と触接して戦力を殺ぎつつ先遣部隊を援護しろ≫
≪AOK(All Okの略)、シグマ隊Engage!2はカバーを頼む!3は隣に並べ≫
≪ツクヨミEngage!上空より仕掛ける!グエンもついて来い!≫
≪ラジャー!≫
≪バラード1、Engage!IRシーカー・オープン、Lock On!FOX2!≫
≪メビウス1Engage!先遣隊が無事だといいんですけど・・・≫
≪ダルモエード3、Engage。メビウス1・・・そんなの気にしない様にして下さいです。軍隊は犠牲が付き物で御座いますです≫

メビウス1が呟いた事をA-10ではなく黒く塗装したSu-35に搭乗しているダルモエード3が突っ込んだ。赤の他人を気にする前に敵を気にしろと言う事だ。
≪増援部隊か!遅かったぜ!此方エメットリーダー、本隊の諸君聞いてくれ。敵に黄色中隊機を確認した。気を付けてくれよ≫
≪ご忠告どうも。それは最も被弾率の多いオメガ11に言ってください≫

敵を追い回しながら本隊の中で5番目に撃墜数が多いレイピア1は言った。無線にに笑いが走る。
≪各隊へ此方ブラックデスサイズ。それよりさっさと敵を殺せ。遊ばせられる駒は一機もいやしないのだからな≫
≪コピー・・・・各隊へ此方エメットリーダー。ミサイル、機関砲は弾切れだ。現在パルスレーザーだけで交戦している。燃料が一番ヤバイ。早い所抜け出させてくれ≫

先遣隊の交戦能力はゼロに近い。さっさと離脱させないと危険だ。
≪方位0-9-0への道を作ってくれ。そうじゃないと此処でベイルアウトせにゃならなくなる≫
≪やばいのはよーく分かった。だが0-9-0はそちらの交戦エリアから行って反対だぞ。敵陣を突破する気か?≫
≪・・・・それしか我々が生き残る術はない・・・・≫
≪分かった。Will Cover You!FOX2!≫

バイパー隊が0-9-0から敵機群にASRAAMやAIM-9X、R-73で攻撃を仕掛けた。
≪エメット各機!ヴァイパーが開いた道を駆け抜けろ!≫
≪各隊へ此方ブラックデスサイズ。機銃弾がまだ残っているので私は留まるぞ。後始末もやらなければいかんのでな≫

エメット隊の機龍Ⅱが全速力で0-9-0に向かっていくのを尻目に刹那の機は黄色中隊の5機と単機でわたり合っていた。メビウス1はそれに目を付けた。刹那の後ろを占位している黄色のケツには誰もカバーがいないし、何よりもあの黄色いヤツは後方注意が良く出来ていないようだからだ。黄色は気付いていないのだろうが、刹那は友軍機が最後尾の黄色中隊機を狙えるように甘い機動をしている瞬間があるのだ。状況で言えば力量がかなり上の剣士が帯同している弱い剣士に実戦を教える為にわざと複数いる敵の攻撃を逸らし続けてチャンスを与えていると言った感じだ。しかも相手は頭に血が上っていて攻撃に特化した機動を取っている。つまり後方のチェックは甘い。と考えたのだ。しかも黄色の腕前が良いから他の敵機は彼等を信頼してその事を警告したりせずに自機や自分の部隊のほうを気にする。エースパイロットの意外な脆さが浮き彫りになった。
(―――チャンス!)
気付かれない様に黄色の後方にゆっくりと接近する。出来ればレーダー照射やIRシーカーで気付かれたくない。兵装をガンにしてレテイクルが重なる瞬間と刹那の機動が緩くなる瞬間のタイミングを合わせていく。その瞬間だけ黄色は一撃必殺の攻撃を仕掛ける為にハイG旋回をし始めるのだ。高AOAの状態から実質的な旋回に入るまでのコンマ0.5秒は硬直状態であり最も被弾面積が増える瞬間を狙う。しかも刹那の機動は30秒ごとに緩むのだから合わせ易い。
(次で当てる・・・・・・3・・2・・1・・Nowッ!!)
ヴァアアアアアアア!!!!ヴォン!!ガン!ギン!!

思惑通りに20mm弾は黄色中隊機に命中した。当たったのはたった3発だったが、一発がエンジンに残りは尾翼とカナード翼に命中し、カナード翼が吹き飛んだ。あれでは第一第二どちらかのエンジン出力が下がり、撤退を余儀なくされるだろう。
≪やった・・・!≫
≪おい!黄色が煙を吹いているぞ!≫
≪クソッ、どいつにやられたんだ!?俺を撃った奴を確認してくれ!≫
≪此方イエロー13、リボンのエンブレムのヤツだ。・・・・まさか我々を手玉に取るとは・・・・撤退だイエロー6≫
≪・・・・了解・・・≫

黄色中隊が撤退していく。だがそれをチャンスだと思ったのかオメガ1と11、そしてヴァイパー6が黄色に襲い掛かったが黄色中隊の僚機に瞬殺された。勿論[ベイルアウト]の言葉は残して脱出はしている。ISAFのパイロット生還率は異様に高かったりするので有名だ。その代わり機体に乗って帰ってくるのは毎度同じ奴だが・・・
≪ロケット発射まで後6分だ。各隊持ち堪えろ!≫
≪・・・・!スカイアイへ、此方ブラックデスサイズ。B-2の編隊がセンターの2-7-0より接近中。センター上空まであと5分。これよりデータを送る≫
≪スカイアイ、ラジャー。・・・・通信範囲内の友軍機に告ぐ、東よりB-2爆撃機が接近中。≫
≪スプラッシュスリー・・・・此方バラード1、ネガテイブコンタクト。レーダーにはそんな反応はないぞ≫
≪B-2はステルスだ。開いている機は迎撃に向かえ。≫
≪簡単に言うぜ・・・・っと、ツクヨミ!Check six!Check six!≫
≪!!クソッ!ダルモエード3!6時方向を頼む!こいつは落とさないと!≫
≪ウィルコ!≫
ヴァアアアアアアアア!!!ドンッ!!
≪≪≪!?≫≫≫

突然ツクヨミの後ろにくっ付いていた敵機が爆発四散した。そしてそれを攻撃したのはエルジアのマークを付けたmig-31だった。そいつは今度は軽くバンクすると高速で方位3-1-0に飛んでいった。
≪どうなっているんだ!?何なんだ奴は!?≫
≪ツクヨミ!気にするな!敵を落とすことに集中しろ!≫
≪メビウス1、FOX2!・・・スプラッシュ!えへへ~悪いですねツクヨミさん♪≫
≪あ、てめえコノヤロ!≫

そんな事をやっていると此方の無線が聞こえたのか敵の無線が混線してきた。
≪まだ敵の・・・機が・・・・ぞ!?どう・・・だ!?≫
≪気に・・な!ばく・・・・続行する・・・・≫
≪どうやら、敵の爆撃機ってのはマジらしい・・・・誰か迎撃に行ける奴はいるか!?≫

その回答にイエスと答えられるのは殆どいなかった。ほぼ全機が交戦中であり、余分に戦力を割けられないのだ。
≪メビウス1、シグマ1、バラード1へ此方ブラックデスサイズ。君等三機で行け。私が攻撃を防ぐ≫
≪りょ、了解!ですが・・・残弾は!?≫
≪もう機関砲もスッカラカンだが、囮位は出来る。燃料の心配なら無用だ。敵の給油機からコールサインを騙して給油したよ。ついでに落としてやった。さあ、行って来い≫
≪・・・・うぇ~い≫

シグマ1はそう答えると機体を加速させた。刹那を信頼しての事だろう。つられて残りの二人も加速する。発射まで残り2分の所でようやく視認出来た。
≪タリホー!タリホー!二人とも用意は良いか!?≫
≪何時でも!≫
≪Rest in Peace・・・・行くぞ、In The Gun range!Fire!!≫
ヴァアアアアアアアア!!!ガンガンガン!!ドン!ガンヴォンギン!グワッ!ガインギインガキュン!ドンッ!!
≪スプラッシュ!さすがグエンさんとガフェインさんですね!≫
≪そっちこそ!≫
≪もう一撃だ!後半分をやるぞ!≫

即席の三機編隊が旋回を始めた瞬間にB-2がもう一機火球となった。
≪ずるいですよ!隊長!≫
ナシナのAV-8Bがホバリングしながら機銃で落としたのだ。
≪おう!そうだった、そうだった。お前を忘れてたな!良し、シグマ2は俺と一緒に左のをやる。あんた等は右をやってくれ≫
≪了解!Lock on・・・メビウス1FOX2!≫
≪FOX2!≫
≪シグマ1、Lock on!FOX2!≫
≪シグマ2、FOX2!≫

四機から放たれたミサイルは確実にB-2が発する排熱の赤外線を捉えた。勿論B-2は回避運動をしながらフレアを放ったがそれは無駄に終わった。
≪良し!全機撃墜!≫
≪了解した。もう敵も壊滅状態だ。打ち上げ花火を見て帰ろうじゃないか。≫




オペレーションカウントダウンはほぼ完全に成功した。だが・・・ロケットが打ち上がるその空に刹那の機体は無く、すでに空にいる奴等が気付かない所の"戦場"にいた

第十七話:ソラノカケラ shattered skies

コモナ諸島上空 08:45
≪グール4シーカー・オープン・・・FOX2!FOX2!≫
≪グッキル!グッキル!≫
≪此方ストーム6!ケツを取られた!助けてくれ!≫
≪ストーム1より6へ、これより援護する!2はカバーリングにつけ≫
≪ウィルコ!≫
≪本隊のETAは!?長くは持たないぞ!≫
≪此方エメットリーダー、後30分だ。何としても持たせろ!≫
≪30分・・・か。かなり燃料がヤバイぜ≫

戦況は何とか持ち堪えているといった所だ。部隊を二分して一方が燃料弾薬補給、もう一方が防戦と言う戦術でどうにかやり繰りしているが・・・・流石にこれ以上は持ちそうに無い。此方の機数は25機。敵の前衛・・・30機。さらに敵の本隊・・・約130機が既に差し迫っている。刹那は防戦ラインを下げようと決断した。
≪此方ブラックデスサイズ、各隊聞け。時間が無い、少しでも長く制空権を確保する為に敵を撃破したら20マイル後退しろ。少しは敵の増援部隊を遅らせられる≫
≪だが、センター上空まであと50マイルしか・・・・≫
≪やるしかない。此方は敵のアクテイブ誘導のミサイルは受け付けないからな・・・20分は持たせられるか?≫
僚機は格闘戦をしながら、受け答えている。かなり苦しそうな声が聞こえて来るが・・・・
≪一機当たり2分掛けて、移動に4分として・・・・2~3機分か。軽く80万ドルだな≫
≪やってやるぜ・・・・グール2、グール3をカバーリングだ!4は俺のケツを頼む≫
≪ウィルコ!何かやる気が出てきたぜ!≫
≪此方エメット4、スプラッシュ!これで3機目だ。残弾チェック、燃料チェック・・・・まだやれる≫
≪フ・・此方ブラックデスサイズ。逃げ出す奴がいないのに感謝する。燃料、弾薬チェック・・・・あと5~6機は相手できる≫

口元を歪めながらも、向かってくる敵機に進路を取る。ヘッド・トウ・ヘッド・・・・機銃射程に入るまで待つが、敵はIRミサイルを放ってきた。
ビイイイイイイイイ!!!!!!
≪追加装甲パージ!フレア放出!≫

二つのスイッチを操作しながら機体をバレルロールさせて避けた。
≪かわした!こっちの番だ。FOX3!!≫
ドガガガガガガ!!!ガンキュンゴンギンガンガン!!!ドンッ!!!!
敵に正面から砲身を減らしたM61A2の20mm弾の集中射撃を喰らわせると、あっと言う間も無く発火した。
≪スプラッシュ!次!≫
絶え間なく敵機は戦闘空域に雪崩れ込んで来る。友軍本隊が到着しても完全有利には働かないだろう。敵にはアクイラ隊もいるし何よりも数が多い、練度も現在のISAF空軍と同等だ。
≪クソ!グール3が食われた!≫
≪ストーム1!!助けてくれ!!敵に食いつかれた!!う、うあああああ・・・・・≫
≪ストーム3がやられた・・・・≫
≪ガキュン!!!・・・此方・・・・・グール2・・・被弾・・・負傷した・・・俺の脚が・・・・≫
≪クソッ!全滅しちまうぞ!?≫

唯一無傷なのがエメット隊と自分だけ、だがそれも追い詰められている。ファイアコブラ隊は既に1/3を撃破された。
≪あと・・・15分!≫
≪後退だ!後退しろ!!≫
≪ストーム4!後ろに三機!畜生!黄色もだ!≫
≪分かってる!!≫
≪私がやる!ストーム4、10秒持ち堪えろ≫
ドドド!・・・ドドドッ!!!ガン!ギン!ガキュン!!・・・ドドドッ!!!べキャッ!ガキュン!バキッ!!

ストーム4に引っ付いていた黄色いSu-37に牽制の機銃弾をプレゼントしそいつを引き剥がすと、ストーム4を追い詰めているMig-29とF/A-18Eの主翼の付け根に機銃弾を狙撃させた。敵機の主翼が吹き飛び、錐もみ状態で落ちていく。
≪ほう・・・ISAFにもやれる奴がいるのか・・・・≫
さっきの黄色のパイロットだ。こっちを標的に変えたらしい。早速背中を取られた。その間に友軍機が後退して行く。
(やるしかないな・・・・)
機体を上昇させて、一気にスロットルを引き上げて昇って行く。刹那の狙いは垂直上昇に伴う推力の低下・・・そしてそれによるテールスライドを使った木の葉落としだ。黄色はピッタリと獲物を狙う鷹のように、くっ付いて来る。さらにその後ろにはハイエナの如く待ち伏せる敵機群。抜けるにはこれしかない。
≪何の真似だ・・・?・・・・!!しまった!
黄色ようやく刹那の機動の意味に気付いた。だが自機の空戦エネルギーはもう殆ど無かった。そう、友軍を簡単に落とされて頭に血が上っている状態だったのでHUDの速度・高度表示や計器を見ずに敵機とガンサイトだけを見ていたのだ。いくら低速に優れるフランカーでも150kt以下では揚力も何も得られない。それにエンジンにしっかりと気流が送られなくなっている為に出力が下がっていた。しかも刹那の場合は空戦エネルギーが激減する直前にエンジンその物を切ったたため、さらにグンと堕ちて来た。FE-14は空中でエンジンが切れても安全に再起動できるように設計されている。機内電力をエンジンから内臓バッテリーに切り替えて落下に備えた
≪掛かった!!行け!!≫
機体が落ちていく。落下速度が急激に上がっていく。目の前に苦しそうにもがく鶴が現れる。落ち着いて敵機をガンサイトの中央に捉えて、一射撃を加えた。
ドドドッ!カン!ガイン!
だがそれは角度が浅く、兆弾してしまった為に有効弾とはならなかった。だが刹那は落とそうとは考えていなかったのだ。今度はハイエナの如く上昇に転じてきた敵機と相対する事になる。機体のエンジンに火を入れて機体を180度縦回転させた。つまり












     
     
≪ボーッしてるんじゃない!FOX3!!≫
ドドドッッ!!!ガン!ヴォン!ベキャッ!

敵機・・・赤茶色のF/A-18Eの右ストレーキとレーダードームや機関砲に直撃し、命中した箇所がきれいに捥げた。そのまま飛行能力を失った敵機はテールスライドしながら錐揉み状態で堕ちて行った。脱出は出来ないだろう。何故ならF/A-18のレーダーは勿論の事バルカン砲はコックピット正面にあり、そこに直撃したのだからパイロットか射出装置が逝かれる筈だ。案の定、敵機の涙滴型のキャノピーは赤黒い液体で染まっていた。
≪スプラッシュ1。次はどいつだ!≫
≪ホワイト2!応答しろ!ホワイト2!!クソ!何なんだあのファントムは!!≫

さっきの敵機と同じエンブレムの機体が襲ってくる。真紅のMig-29UB・・・いやこれはベルカから借り出されていたが、9年前の戦争で返す必要が無くなったMig-29OVTだ。IRST上の排気熱が旋回の度に曲がりくねっている。それに物凄い機動性である。あっと言う間にケツを取られた。
(かなりの手だれで・・・・しかも機体の事を完全に熟知している様だ。取り逃がすと厄介だな)
左右に機体を振りながらA/Bで追ってくる敵機をHMDに捉えようとする。だが、あまりにも距離が近すぎる。ガンの安全射程ギリギリに敵機はいるのだ。舌打ちをしながら敵機の機動より一歩先の行動を取り始めた。シザースに上手い事誘い込んでオーバーシュートさせようとしているのだ。だが敵機は低速に優れるファルクラム、そう易々とは背中を取らせてくれない。
≪やれやれ・・・・これだけはしたくなかったんだが・・・≫
そう呟くとエアブレーキを展開した。ファントムのエアブレーキは主翼の下側に付いていてしかもかなり小型だ。敵機にはよく見えない位置に付いている。それが幸いし、機体は確実に減速した。勿論自機の空戦エネルギーが一気に低下してしまうのは承知の上だ。そして2分に及ぶシザース派刹那が敵機の後方を取った事により終わった。
≪私の前に出るとは・・・運がありませんでしたねえ・・・・・FOX3!≫
ドドッ!!ドドッ!!ガン!!ゴン!・・ギン!!ヴォン!

冷たい悪魔のような冷静さで敵の動きを観察し、荒ぶる鬼神や強烈な吸血鬼の様な大胆な機動で敵機を躍らせて、死神のように敵を狩る。そう言った方が良い様な戦闘機動の仕方だ。エメット隊も戦線をゆっくりと後退させながら敵を迎撃している。彼等は少しの甘さ以外は刹那の機動に非常に近い物を取れるACE集団だ。他の部隊がどんどん撃破されていく中で一秒でも長く生き延びて敵を一機でも減らす戦闘のやり方だ。専守防衛を主とする戦闘機部隊だからこう言った戦法を取れる。・・・・否、この戦法しか出来ない様に躾けられているのだ。
≪エメットリーダー、本隊は到着したか!?≫
≪ようやく来ました!!後2分です!後二分で友軍機の長距離ミサイル射程に我々が入り込みます!!≫
≪もう一踏ん張りだ!ECMを開始する!ミュージックオン!≫

対赤外線センサーECMと敵性レーダーへのECMを作動させ、敵をひきつける。IFFも再度確認し、再度敵機と相対する。
≪正面から突破する!エメット隊、各隊の残存戦力は我に続け!≫
≪了解!!≫
≪了解!≫

敵機も黙っている訳ではない、AWACSを前進させてECCMと此方へのECMを強化しようとしている。
(こっちのジェネレーターを舐めるなよ・・・・AWACSにだって負けはしない!)
ECM・ECCM共に出力を最大にして増槽を三本全てパージする。武装を再度確認・・・20mmバルカン400発、銃身を減らしたお陰で無駄弾が物凄く減った様だ。零式奮進弾8発・・・何となく積んできた簡易自立誘導装置装備アンド稼動カナード付きの70mmロケット40発。燃料は後50分格闘戦が出来る。被弾もなし。十分だ。この敵機群約100機を掏り抜けるには十分すぎる。
≪全機に告ぐ、このアタックで全弾使い切るつもりで撃て。全弾打ち込むんだ!≫
≪了解・・・シーカー・オープン・・・・≫
≪撃ち方始め!全弾打ち込め!!FOX1!!≫
バシュシュシュシュッ!!!!シャアアアアアアアアアア!!!

勿論敵も撃ってきた。目標は先頭の刹那の機。
≪詰めが甘いですよ!刹那一佐!!≫
ドシュドシュドシュウン!!!

エメット隊がそのミサイルをパルスレーザーで迎撃する。勿論それを予期して刹那は動かない。それにミサイルの誘導もあるので動けないのだ。だが、ミサイルが命中する前に敵機群の中で爆発が起きた。反乱のようだ。目を凝らすとエルジアのマークのMig-31が同じエルジア軍機を襲っている。その機動に刹那はある人物を彷彿させた。
≪あの機動は・・・南雲の動きか。奴は何をやっているんだ?・・・まあいい≫
呟きながら、敵機に喰らい掛かったミサイルを最後まで誘導し切ると、敵機に向け吶喊して行った。

Fin

第十六話:ソラノカケラ1

12月29日 ノースポイント 那覇基地SAF本部 16:50
「明日には大規模な空戦が始まるなんて今まで誰が想定したのやら・・・・」
「さあ、な。ファイアコブラリーダー我々はコモナの周辺で援護だからなあ・・・・といっても一番最初に交戦を始めるんだが」
「NASDFやSASDFだけじゃなくユーク軍やオーシア軍から抜け出して傭兵として参加する奴も我々と同じ周辺援護を任されるらしい」
「ハア?・・・ISAFの奴等は前に出たがらないんだな・・・・ふざけやがって」
「しかたねえだろ?奴等はこの後に上陸作戦があるんだと」
「特殊戦を舐めてないか?連中・・・・」
「おもしれえ・・・・やってやろうじゃねえか。それでこそこっちは向こうと対等になれるんだよ」
「だからと言って簡単にやられるなよ?ストームリーダー」
「うるせえな、ちゃんと戦略は各隊ごとに考えられてあるんだろ?」
「当たり前だ。グールリーダー」

そんな話をしている奴等――SAFとして参加している傭兵やNASDF・SASDF各隊のリーダーの話を聞きながら刹那はNASDF・SASDF戦技教導隊の合同部隊[EMMET]に声を掛けた
「エメットリーダー、初の実戦だが、死への恐れはあるか?」
「他の通常部隊には実戦経験はあるの我々が死への恐怖を持つわけ無いでしょう、一佐。・・・それにコモナ諸島は我々のソラですし、集る蠅はトコトン落としますよ」
「そうじゃない、戦場の狂喜に呑まれない自信があるか?飲まれたら地獄にコンマ数秒で落ちる。あるかないかの二択で答えろ」
「・・・プッ・・・ククク・・・・勿論Yesですよ。人を撃った経験もありますし、第一陸軍国家であるエルジアの空軍機が我々の腕前に敵う筈無いでしょう?」

彼等は1995年時とは全員メンバーが違う為実戦経験は無い。それでも生残れるだけの技術と思考を持っているが、血と硝煙と煙の中で正常な判断で弾薬と燃料を節約し、冷静な判断で敵をソラから叩き落さなければ戦場では命取りになる。刹那はこの中で唯一実戦経験の無い彼等にそう忠告したのだ。
「我々は戦闘で敵が尻に火を付けて逃げ出すまで敵を追い立てますよ」
「なら・・・良いんだがな・・・・・私は単独行動を取る。各隊はそれに上手い事合わせた行動を上手く取ってくれよ?敵を恐怖のどん底に追い立てたいからね」
「コピー」
「ラジャー」
「了解だ」
「ヤヴォール」
「ダー」
「サー イエス サー」
「ラージャッ」

様々な敬礼が返って来るのを確認すると、刹那は号令を掛けた。
「良し、全SAF・フォースリコン・NASDF・SASDF・航空傭兵部隊はコモナ諸島を繋ぐ高速道路まで進出し、NASDFのドローン戦闘機と共にコモナ宇宙センターのロケット発射を阻止に来るであろう敵航空隊を邀撃する!移動開始は0412310230!作戦、敵性脅威の予想戦力は移動中にAWACSより報告が来る筈だ。作戦前の集まりは解散だ。各隊で戦術・戦略を積み上げておけ。以上!」
作戦前の最後の集合、5人の小・中隊長が自分の部隊員達の所へと歩いて行く。情報漏洩を防ぐ為互いの戦術戦略は一切互いに知ってはならないと言う決まりを作り、反則者には即座に銃殺と言う罰則をも作った。周りの動きとは別に刹那は想定外な行動を取り始める
「先に行ってるぞ。各隊は準備を終えてから来い。良いな?」
既にエンジンを温めてあった機はすぐにエンジンを完全に立ち上げ、キャノピーを閉じた。計器と言う計器が刹那の思いを正確に捉え、正確に動き出す。
(久しぶりだな・・・この高揚感・・・・)
そう思いながら・・・・

コモナ諸島 12月31日 01:30
「連合の先遣隊がノースポイントを出発したと報告がありました。二時間後に到着の予定です!」
「了解だ。ロケット各種装備、計器類のチェックを怠るなよ!」
コモナ宇宙センターではいつも以上に慌しい空気に包まれていた。
≪第3メデイカルセンター、収容受け入れ準備完了!何時空襲があっても大丈夫です!≫
≪NMSDF艦隊ISAF艦隊がエリア05-24を通過!5時間後に戦闘展開が可能になります!≫
≪AWACSより定時連絡!0125現在、敵影無し!但し、IFFグリーンの航空機がそちらに接近中との事です≫
「此方発射管制センター、やけに気が早い友軍機だな・・・・デフコン4維持!」
≪了解!ロケット発射台の安全確保を優先!≫

そしてそこで作業する管制官達は大粒の汗を垂らしながらも宇宙センター内のセキュウリテイーの確保に明け暮れている。
≪・・・接近中の航空機より通信です。ISAFの暗号電文ですね。解読します。"我はSAF一番機コードネーム・ブラックデスサイズ、防空任務のために二時間早着す"以上≫
「コントロール了解。着陸地点の照明を灯せ!」
≪先遣隊一番機を確認。アプローチを開始します!≫
東の海の水平線上に明かりが灯り、そこにあっと言う間に航空機用ライトをつけた機がが下りてきた。地下にある此処からはから直接は見えないがモニター越しで確認できる。
≪これからもっと忙しくなるな・・・≫
≪ロケット各種確認OK!≫
「よし!総員対空対水上警戒を厳に!」

コモナ諸島 上空2000m 07:45
≪夜も完全に明けた・・・ブラックデスサイズより全隊に告ぐ、そろそろ奴さんの鉄騎が飛んでくるぞ≫
≪ダー、グールリーダーよりグール各機へデフコン1に移行≫
≪ラージャッ、ファイアコブラリーダーよりファイアコブラ各機へ第一種戦闘態勢へ≫
≪ストームリーダー、ヤヴォール。ストームリーダーより各機戦闘準備!≫
≪フォースリコン02小隊了解、各機編隊を広げろ≫
≪エメットリーダー了解、IRST・レーザー照射オン。スタンバイ≫
各隊の編隊が多方面に広がっていく、北から来るとは限らないのだから戦域を広く確保しなければならない。AWACS[スカイアイ]は燃料補給・整備中なので我々が上手い事連携して制空権を確保しなければならない。この作戦は最後の最後まで秘匿されていたため主力が遅れるという事態に陥ったのだ。
≪此方グールリーダー、敵編隊を確認した。機数10、敵の先遣隊だな。≫
≪了解した、グールは低空より後ろに回り込んで奇襲を掛けろ≫
≪グールリーダーコピー、各機降下しろ。ステルスの性能を見せ付けてやれ≫
ディスプレイ上に複数方向から敵の先遣隊が続々と集まってくる。しかも空中管制機か給油機が2~3機いる様だ。此方は刹那の機を含め全てステルス性能を有する機体だ。奇襲が成功すれば相手の士気を砕ける。
≪ストームリーダー敵機確認。マスターアームオン。・・・シーカー・オープン、ストーム各機FOX2スタンバイ≫
≪エメット各機へ、ミサイル発射後は編隊を二分してサッチ戦法で再度アタックだ。エメットリーダー、マスターアームオン≫
≪グールリーダー、シーカー・オープン。ロックオン・・・・≫

各隊が敵の後ろを取ったのを確認すると、刹那は号令を掛けた。
≪ブラックデスサイズより各機へ、クリアード・トウ・エンゲージ!≫
≪グール1!FOX2!2、3、4も発射後ブレイク≫
≪ストームリーダーFOX2!2、レフトターンNow!≫
≪エメットリーダーFOX2!各機欲張らずに一発かましたら高度を取れ!≫

たったいま、大陸戦争で最大の大空戦の幕があけた。

fin

 

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