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第十二話:屍人

11月2日 サンサルバシオン スカイキッド 1:30
「で?敵地のど真ん中で顔を出して歩く理由は何だ?」
エーリッヒは持っていたギターを置き、寝てしまったハーモニカの少年を4に預けた。
「これはICPO(インターポール:国際警察組織)の命令でもあるが、この男を捜してるんだ。昼に襲撃を受けて、お返しに1時間ほど前にそいつの居場所に奇襲を仕掛けたんだが既に奴は部下を犠牲にして逃げ出していた」
写真を見せながらも、尚も喋る刹那。そいつはエルジア軍の最高指揮官だった。
「こいつは・・・エルジアの大将だろう?此処まで来て撃ち合いをしたのか。と言うよりICPOの命令ってのは確かか?」
エーリッヒは正面から刹那を睨んだ。当然の事だ。エルジア軍の最高指揮官をそうそう殺していい物ではない。
「私の組織はUNF(国連軍)とICPO直属の独立傭兵部隊だ。暗殺許可なら既に取ってある」
そう言うと刹那はコートの内側からバッチを取り出した。それはICPOの殺人許可証だった。それはMI5やCIA、ユーク各情報部、特殊警察等の特別な捜査官にしか手に入らないものだ。何故なら贋物は製造できないようにありとあらゆる偽造防止用のコーテイングが成されているからだ。
「それはISAF軍に加担しないのか?」
エーリッヒがさらに問い詰めると刹那は首を横に振った。
「こいつを殺害した所で他にこいつより優秀な奴がエルジア軍には居るんだ。ちょっと動揺が走るだけで何らそっちの作戦に支障はない」
刹那は終始落ち着いた言動で言った。
「確かに・・・・」
エーリッヒはそれに頷いた。確かにエーリッヒも此処に居る黄色中隊の連中もそれは知っていた。
「だが、お前はISAFの人間だろう?交戦中の敵としてほっとく訳にはいかないんだ」
他の隊員が詰め寄ると刹那はそいつを睨んで言った。
「私はUNFの所属だ。何時ISAFと手を組んだ?ある程度ISAFが有利になったらISAFから出て行く。んでもって講和の準備に取り掛かる。それだけだ。因みに一つだけ言っといてやろう、UNF所属のISAFに敵対する形でもう一人エルジアに私と同レベルの実力を持つ奴が居るんだ。確か・・・・スカーフェイス1だったな」
そこまで言うと周囲がざわめいた。スカーフェイスは何所に行っても有名である。大陸のクーデターを僅か数十機で制圧した奴だ。
「・・・だが、てめえは!!」
あっけにとられる中で一人の隊員が刹那の胸座を掴もうとした。刹那はコートの中からSIGと9mm機関拳銃を取り出した。勿論黄色中隊の面々もレッグホルスターからガバメント拳銃を取り出す。
「ブラッド・バス(血風呂)は御免だぜ、エーリッヒ・クリスマン。撃ち合いは上等だが、そこのガキと上のお嬢さんの二人の子供が寝てんだぜ?この子等の発育ぐらいは健全じゃねえとな・・・・」
刹那はそう言いながら9mm機関拳銃のスライドを口で引き、初弾装填した。数じゃ不利だが、技量ではレンジャー部隊を軽くあしらえる位だから五分五分と言った所だ。さっきの戦闘で体の傷を回復させるのと不老の為の特殊な液体・・・・細胞成長促進液が不足している為に此処で撃ち殺されたらたまったもんじゃない。自分のクローンも擬似記憶も準備出来ているのが唯一の救いだが・・・・。死ぬと言うのは息が出来なくなり、だんだん意識が遠ざかっていくから嫌だし、銃で死ぬのもガツンと殴られる感じが嫌になる。殺す事なら楽しみだがポンポン死ぬのは流石に敬遠したい所だ
「それならそっちが降ろすべきだ。刹那」
「ああ、そうだろうよ・・・だが、黙って銃を降ろしてくれ。指に力が入る」
冷や汗が背中にベットリついている事が分かる。此処で奴等を殺したらUNFから追われる結果になる。それだけは避けたかった。
「頼むから銃を降ろしてくれ。指がもう限界なんだ」
「じゃあ、こうしよう。10秒後に同時に降ろす。いいな?」
「ああ、頼むよ」
10秒後にエーリッヒが言った通りに全員が銃を降ろした。安堵の息が一斉に吐かれた。
「やれやれ、こっちにはこっちの事情がある。お前が話が分かる奴で良かったよ。だが、戦場なら話は別だ」
刹那は改めてエーリッヒを見た。
「ああ、空だったら話は別だ。思いっきりやらせて貰う」
そう言うと耳に取り付けた連絡用の通信機器に迎えを要請した。
「此処でドンパチをするのは後5、6ヶ月先だな・・・。それまでは死ぬなよ?エーリッヒ」
「貴様もな、刹那」
早速一台の車がやって来て、中から零式小銃を持った兵士が刹那を車の中へと誘った。
「あ、そうそう。忘れてたよ。お前から借りてたこいつを帰すぜ。」
刹那は開いた車のドアから何かを投げた。
「チャーム?そんなの貸したか?」
それは飛行機の形をしたペンダント。裏には何か書かれてる
「黄色の騎士へのプレゼント。黒き死神より・・・・フン、貴様らしくない。爆弾でも入ってんじゃねえのか?」
エーリッヒが不思議そうに見ていた。刹那が少し笑って言った。
「正解だぜ。ファッカー」
ポン!
エーリッヒが貰ったペンダントが急に割れて顔が煤だらけになった。
アッハッハッハッハッハッハ!!!!出せ!奴がキレる前にだ!!してやったぜ!!ハハハハ!!!」
運転手に思いっきり叫びながら刹那は笑った。エーリッヒは少し呆然として刹那の車がアクセル全開で走り出した時にようやく気付いた。
「てんめえ!こんの野郎!!待ちやがれこのファッカー!」
その時酒場の中からも笑い声が上がった。いつもは冷静な隊長がいとも簡単な悪戯に引っ掛かったのだ。笑う以外にない。
「あー、クソッたれ!やってらんねえぜクソ!」
エーリッヒは一人その空気の中で取り残された。4も必死に笑いを堪えていたがついに耐え切れずに苦笑をこぼした。そんな中ハーモニカの少年までもそれを見てしまった。
「・・・・・?・・・ZZZZZZ」
だが運の良い事に寝ぼけていたようで直ぐ寝てしまった。

サンサルバシオン 新市街 超高級ホテル 02:52
「・・・・」
刹那は久々に立派なベットの上で寝る事になった。勿論爆弾チェック、盗聴、盗撮チェックを済ませての事だ。彼の部下達も当直以外は刹那と同じ部屋で眠る事になっている。
「刹那中佐、暫く此処に滞在ですか?」
「ああ、暫くは―――ッッ!・・・・・全員伏せろ」
刹那は何かを感じて命令を出した。疑うまでもなく全員が伏せた。すると―――
バリン!ガキュン!
刹那の手が誰の目にも止まらない速度でガラスを突き破った物を掴んだ。手がボロッと落ちる。その手を広げると弾丸の拉げた物が落ちた。
「狙撃・・・か」
刹那は13mm対物拳銃を抜き出し、片手で構えると勘で引金を絞った。
ドガン!!!
「・・・・命中・・・したな」
確かな手応えを感じる。殺気を感じて全員に伏せるように言って、弾丸を防ぎ、的確に反撃を行なった結果、相手の殺気が完全に消え失せた。
「ちゅ、中佐・・・・手は・・・」
兵士の一人が不安そうに刹那の手を見た。手の捥げた先から血が止まらないのだ。
「安心しろ。1時間すりゃ元通りさ」
刹那は自分の手を元の位置に戻して、コートから緊急オペ用の糸と針、さらにメスを取り出して右手で治し始めた。
「軍曹、湯を沸かせ。消毒する必要がある。衛生員は補助と固定、そして細胞成長促進液をありったけ頼む・・・・やっぱり生身の体より機械化した方が便利だな」
少し愚痴りながらメスを動かし続ける刹那。痛みはあるが銃で撃たれたり、ナイフで突き刺されるよりは良かろうと思って顔に出してないだけだ。指揮官は何時でも部隊に安心を与えなければならないとの自身が定めた事を破る訳には行かなかった。
「湯を沸かしました。細胞成長促進液も5ℓ位準備できそうです」
兵士が刹那の腕を固定しながら報告を入れる。
「ああ、直ぐに術器具の再消毒を、神経を繋ぎ直したら細胞成長推進液に漬ける。多分さっきのは前座だ。奴等はしつこい・・・あと一時間、此処を持たせられるか?出来れば抜糸も終わらせたい」
慣れた手付きで針と縫合糸をルーペ(頭に付ける一定倍率の顕微鏡、詳しくは"医龍"等を参照)も無し、照明も無しで神経を一本ずつ繋ぐ。
「あったりめーよ」
「フ・・・これでも使え大尉」
刹那はMPプレイヤーを兵士の一人に渡した。
「ショウタイムだ!踊ろうぜ!!」
その兵士はMPプレイヤーの電源を入れて曲を選択した。
「刹那中佐、お前さんクラシックが好きなのか?まあ、少しは良いものが入ってるな。良し、こいつにしよう」
激しいロックが掛かる。どうやらACES HIGHの様だ。
≪野郎ども、敵が来たぞ!ロックンロール!!派手に殺ってやる!≫
耳に取り付けた無線機器からさっきの兵士の声が大きく聞こえる。
≪大尉、引き付けろ・・・・6.5mmARISAKAの大放出バーゲンと行こう≫
刹那は無線に言いながら部屋の端っこに行って治療に専念した。
≪了解、サイレンサーは付けたろうな?≫
≪此方ブラヴォー1、スタンバイ≫
≪此方アルファー2、スタンバイ≫
≪先頭の奴が後五歩前進したら射撃開始だ≫
≪ラージャッ。踊ろうぜ≫
≪3・・2・・1・・Open Fire!≫

シュカカカカカカカカカカカカカカカカ!!
兵士がだだっ広い一直線の廊下に並んだ敵兵に発砲した。敵兵はどうやら灰色の奴等が差し向けた殺し屋のようだ。統制が取れていない。
≪何だ?こいつ等・・・話にならん・・・≫
≪飛び出ても平気だな。行くぞ!≫
兵士の何人かが廊下に飛び出た。敵兵の懐に目に止まらぬ速さで入り込み、銃弾と銃剣で確実に仕留める。
「畜生!何だこいつ等!?弾を避けやがるッッ!!」
「弾が、弾が当たらない!!」
「畜生!!畜生!!クソッたれ!当たれ化け物ッッッッ!!」

やつらは銃をあちこちに向け乱射するが、ろくに当たらない。
≪駄目だなこいつ等は・・・狙って撃つ事を知らんのか≫
≪下手な鉄砲、数撃ちゃ当たるなんて事は無い。戦場を駆け抜けて、弾雨の中に身を投じた者相手じゃ乱射したって無駄さ≫
彼等は人間の中でも反射神経を研ぎ澄ませ、カールルイスばりの足の速さを持ち、敵の心理を読み当てるだけで殺し屋共の銃弾をかわしているのだ。彼等の目と体は敵が発砲する直前の指の動きと銃口を見てそこから銃身のブレを計算に入れ身をかわすだけで銃弾をかわしている。
≪ハッ!これじゃ鹿狩りだぜ?つまらんったらありゃしない≫
≪愚痴るな、敵を殺すのは一つの任務だ。にしても奴等にしちゃ手がぬるい≫
≪ああ、トラップがあるかもな。死体には触れるな。カミカゼ仕様かも知れんからな≫
≪思い出させんでくれ。特攻の記憶が俺の中にはあるんだ。ッと!≫

敵の死体を踏んづけそうになって慌てて身をかわす。
≪奴等、殆ど死んだみたいですね≫
≪オールクリア。中佐ー?終わりました?≫
≪助かったな。たった今縫合が終わった。後は漬けるだけだ≫
ふう・・と一息吹きながら、ビニール袋一杯に溜まった液体に左手首を入れて、バンドで6重に口を止めた。見る見るうちに腕の傷口が塞がっていく。
≪あと5分で腕は完治する筈だ。そしたらさっさと此処から逃げ出す。痕跡を消毒して死体はトラップに注意しまとめてティルミットで燃やせ。銃痕と血は致し方ない。さっさと行方をくらますのが上策だ≫
≪ラージャッ。集結地点04ですか?あそこならさっさと撤退できますが≫
≪いや、09だ。あそこには誰も近づけん≫
≪ラージャッ≫
刹那はそこまで言うと縫合したばかりの自分の腕を見た。
「・・・・・もう、人間には戻れないんだな・・・」

Fin
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第十一話:新たな任務

サンサルバシオン 11月1日 酒場スカイキッド 11:20
「まったく・・・掃除で忙しいってのに・・・」
酒場の娘はカウンターにいる一人の漆黒のコートを着た男・・・・・いや肌と歯と口の中以外は黒い男を見た。開店前だってのに平気でズカズカと入ってきた男だ。ISAFの人間だ、と言わなかったら敵ではあるがこういう時は便利な憲兵を呼んでいる所だった。ついさっきは店主であり自分の父と話していたが、今はとてつもなく古く分厚い一冊の本を読んでいる。
「・・・・・レジスタンスのお嬢さん。変な目で見ないでくれ。こっちは任務で此処にいるんだ」
その男は此方の視線が気になるらしい。その目は1000人や2000人殺した目なんてレベルじゃない、何万もの命を喰らっている目だ。ゾクッとするのを背中で感じながらも掃除に集中した。と、その時だ
「・・・・お嬢さん、[死神]の本当の意味って知ってるか?」
「・・・・は?」
その男はずっと本から目を離さないでいる。聞き違いかな?と思ったが、その後もその男の口が動いた事で違う事が証明された。
「死神は生と死を司る神の事だ。あんた等が何かを考えているかは知らんが、野暮な真似は止した方が良い。今のあんた等には荷が重過ぎる。"私の死神がそう言ったのさ"」
まるで自分が発言してるようには聞こえないが、間違い無くこっちの考える事を先読みしている。
「何・・・言ってるの?大丈夫?」
何かしら彼女は重いのを感じた。何かに例えるとすれば・・・プレッシャーに近いものだろう。
「ここでレジスタンス活動するのはいいが、十中八、九は死ぬだろうと言っているんだ」
無表情のまま続ける男は自分の本から目を離した。
「こんな仕様も無い事で死ぬのが本望かい?まだ、デカイ花火を上げるのには早いんだよ。ISAF軍は間も無くエイギル艦隊への攻撃に移り今年度末に衛星を打ち上げて、来年の7月位に此処を奪還する予定だ。それまで動くなと伝えに来た、それともう一つあるんだ。私の任務がね・・・私はフォースリコン001刹那准尉。オペレーションカウントダウン発動まで暫く此処にいるように言われた」
そこまで言うとその男は本を置いて店を出て街に向け歩き出した。その中身はユージア大陸にいる全レジスタンスの名簿だった。
「!?・・・これは・・・・!」
サッと酒場の娘は名簿を隠した。そこには自らの名前も記載されていたのだ。憲兵にばれたら一大事なんてレベルじゃない。
「あいつ・・・・ッッ!!」
娘は刹那を追い始めた。3つほどのコーナーを曲った後に彼を見つけたが。その後継は我が目を疑った。
「・・・!ああ、見られてしまったか・・・・どうだ?血の酒は美味しいぞ?」
刹那はニヤァとしながら口から溢れ、滴り落ちる血を口から垂れ流しながら言った。それの持ち主の男に頚動脈を噛み付かれて血を噴き出している一人の白人の男だった。まだ息はあるが助かりっこない。その他にも首が捥がれたのが一体、体が裂けるチーズのようになった死体、そしてその血溜まりの中に一人が糞便を垂らした男が自分の足が本来の真逆の方向に曲がって骨と血肉がそこから溢れていて動けない。
「ァ・・・ああ・・・・ああああ・・・い、いやあああ!」
娘は逃げ出したが、刹那はまだ息のある奴等にこう言った。
「どうした?無防備の奴に虐殺されて・・・・・・・ククク・・・・灰色よ。そんなに闘争がしたいのなら、地獄の果てまで殺ってやる・・・・闘争の契約に"非人間も人間も神も悪魔も吸血鬼も化け物も"ないからな・・・・"殺すか、殺されるか、打ち倒されるか、打ち倒すか、縊り殺すか、縊り殺されるか、ダスト トウ ダストされるか、ダスト トウ ダストするか"それこそが"闘争の契約"だ。さて、と君等は糞の様な連中だ。ケツの穴を増やすより犬の糞にした方がいいな・・・・Hey!Cool!仕事だよ」
「「「「ヴルルルルルルルル・・・・・」」」」
刹那は血を拭き取る事も無く蒼い独特の模様の小刀を舐めながら黒い軍用犬を数頭呼び出した。
「じゃあ、諸君の健闘を祈るよ+AMEN+」
クククっと哂いながらも軽く十字を切る。
「UGYAAAAAAAAAAAHAHAAAHHHAAAA!!!!!!AGAH!!AAAAAA!」
「あが・・・あ、あ・・・ああ・・・あ・・・ギャアアアアアアアアアアアアア」
ゴキャ!メギャ!グチャ!メギョ!ビチャビチャ!グチャ!メギ!バキュ!ゴキュ!メキメキメキ!ブチャ!メチャ!グチャグチャグチャ!

彼のこの忠実な犬達は此処で拾った捨て犬だ。生きる術を叩き込むのに人間も非人間も犬も糞も無い。
「所詮はこの程度か小僧。・・・犬の糞になりな」
吐き捨てるように死体に別れを告げる、彼の道を阻害するものは誰だろうが皆殺しにする。それが"今の"刹那が持つ唯一の信条。そんな彼の横に一人の女性と男性がいる。レヴェッカ・チェスター通称二挺カトラスと鉄脚ウォルター・・・フォースリコンの面々だ
「流石は黒き死神、私も負けてられねえな」
そんなレヴェッカ達の任務は情報収集者の刹那のサポートと逃走時の逃がし屋との交渉だが、刹那にとっては不要なのだろうプイッとそっぽを向けて歩き出した。そして刹那は命令を下した
「003、008、第一段階は終わった。もう直ぐ憲兵がやって来る筈だ。貴様等はファーバンティに行け。私にサポートは必要ない」
「はあ?此処はウォルターの出身地だ。何でそんな簡単に・・・・」
レヴェッカが反論するが、刹那はギロリと睨んで命令に従わさせた。
「レヴィ・・・私には専属の兵がいる。君等は不要と言ってるんだ」
パッと手を上げると二人の完全武装の兵が建物の上からロープで降りてきた。どうやら彼の私兵らしいが、かなりの手だれだ。動きで分かる
「分かったよ、旦那。命令に従いますよ。マイマスター」
大手を振ってさっさと移動し始めるレヴェッカとウォルター。刹那の言った意味は「お前等二人で敵本拠地の偵察をして来い」と言うことだ
「影山軍曹、目標イはどんな警備と人間が居た?」
「はい、奴等は高速道路を改装して滑走路としています。さらにトンネルを基地としているようです。確認しただけでも30機程です」

報告書を渡しながら漆黒の軍装をしている兵士は言った。
「・・・新川曹長、目標ロは?」
「警備は一個飛行隊に、一個歩兵中隊に二個対空小隊です。現在稼動中なのは6門です。現在も監視を続けております・・・所で、大した喰いっぷりですね。戦争の匂いを強烈に感じたんですか?」

兵の一人が無線に集中しながらも刹那に報告するが、彼の目は食い散らかされた死体にある。
「そうだ・・・確実に灰色は追い詰めつつある。このサンサルバシオンの何処かに奴等の拠点があるのは事実だ・・・・喰らい尽くすぞ、曹長・・・・旧軍の精神力に現在のハイテク武器に知識だ。思いっきり戦争を起こそう」
刹那の私兵は旧日本軍の忠誠心を元に自らへの忠誠心と肉体を極限まで鍛え、ハイテクと人間の限界を超える科学と知識を兼ね備えた化け物集団だ。それゆえ数は少ないが一騎当千の働きをしてくれる。刹那はそれに信頼を置き、自衛官を辞めた今はそいつらで灰色との戦争に全力を注いでいる。
「さてと・・・・警戒中の01、02以外は戦闘準備。今日は一等の花火を上げるぞ。できれば此処の憲兵の奴等にも力を見せ付けてやりたい。全員に下令、作戦開始は23:45、奴等も私が来る事位は知っている筈だがな・・・・奴等のケツの穴を100個程増やしてやるつもりで望めと伝えろ」
兵達がコクッと頷くと壁に向けて跳び、壁を蹴っ飛ばしてまた別の壁へと飛んでいくそれを繰り返して文字通りあっと言う間も無く飛び去った。
「さて・・・夜まで別の酒場で飲んでいるか・・・・・クックックッ・・・・」
安っぽいシガーとティルミットを取り出してティルミットを死体にぶっかけて火をつけた。派手に燃え出す死体を背後に町の中に消えて行った。

サンサルバシオン アクイラ隊野戦基地 15:00
「4・・・何か誰かに見られてないか?」
13は自分の認める護衛機である4に聞いた。
「隊長・・・如何したんですか?整備員と警備の兵士とパイロットしかいませんよ?此処には」
4は落ち着きの無いエーリッヒを心配しながら言った。
「いや・・・この嫌な感じは・・・・・奴だろう・・・あの男が何処かで我々を監視してる・・・・」
エーリッヒの予感は当たっていた。何故なら既に此処から2KM離れた所で刹那の私兵が逐次監視をしているのだ。
「冗談よしてくださいよ・・・まるで亡霊が見てるようじゃないですか・・・今夜は飲み明かしましょうよ・・・そうすれば嫌な感じも消えうせる筈ですし」
4は軽い笑いでエーリッヒの目を見た。
「・・・・そうだな」

ノースポイント 入間統合自衛軍基地 16:00
「刹那は此処には居ないぞ。任務で大陸に行ってるらしい」
セレスティアは基地司令から手に入れた情報をメビウス1以下ISAF軍のパイロットに伝えた。
「今我々が欲しいのはあいつの消息だ。あいつが何所で何やってるかを知りたいんだが・・・・」
ブルフィンチは舌打ちしながらも言った。今の彼等には刹那の腕前を欲している。間も無く敵艦隊の補給路を断つ作戦があり、その後も失敗できないミッションが続いているのだ。勝利を確実にするにはより多くの強い奴が必要なのだ。
「ISAF司令官の話じゃ奴はフォースリコンに志願したらしい・・・今もフォースリコンの何人かが大陸で諜報活動をやっているそうだ」
アフマドが手に入れたばかりの情報を出した。
「フォースリコンだって?あのSAF所属のか!?」
危険が超がつく事で有名なフォースリコンは今や自衛官が多く志願し20名に膨れ上がり、さらにそれに第零中隊が引っ付いたために強大な戦力となっている。
「って事は、だ。奴は今大陸の何処かで諜報活動してるって事だろう?我々なんて如何でも良いんだろうな」
誰かがそれを整理してまとめて言った。
「"やってみろよ"ってあの死神は言ってるんだ。"やってやろうじゃねえか"あいつが帰ってくるまでに驚かせて見せるぜ」
誰かがニヤつきながら言った。
「ああ、やってやる・・・」

サンサルバシオン 旧市街 23:45
≪中隊指揮官殿、此方分隊02。breeching wait≫
≪リコン01より報告、ターゲット確認。≫
≪スナイパーチーム、スタンバイ≫
「中隊指揮官より各隊へ、始めろ。ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ!」
≪ラージャッ、breeching cheage3・・・2・・・1・・・グワッ!!!breeching!ドンドンドン!≫

無線から爆発音と共に銃声が響く。刹那はそれを愉しんでいた。現場にゆったりと近づきながら、銃にアモをマガジンに入れ、スライドを引き、セーフティを外した。そして無線に新たな命令を吹き込んだ
「中隊指揮官より各隊、奴等を月の果てまで吹き飛ばしてやれ。殺して殺して殺しまくれ。一切合切容赦はするな」
「ヤー、マスター。野郎ども、コマンダーから命令だ。ジェノサイド(皆殺し)スタートだ」

さらに銃声が激しくなる。狙撃部隊も撃ちまくっているようだ。
「まったく、限度と言うものを知らない奴等だからな・・・・殲滅戦か」
現場の事務所に到達して中に入るとあらかた掃除はすんでいた。敵の死体を蹴飛ばしつつ、二階に向かう。
「来るな!来るなあ!来るなあ!」
男の一人がミニウージーとWz53を乱射して中に味方が入れない状態だった。
「やれやれ、世話の焼ける・・・・」
刹那はそんな中に平然と入って行った。部下はそれを止めない。刹那が入ってきたのでその男は刹那に撃ちまくった
「うあああああああああああああ!!!!!」
タタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!ビスッドスッメキャッグチャッ

「ふへっ・・・ふへへへへ・・・馬鹿め・・・ふへへへへ」
間違いなく刹那の体は銃弾の嵐でズッタズタに切り裂かれ、血が、脳漿が、血肉が床にビシャッと広がった。だが・・・
「成る程・・・成る程・・・大した威力だ・・・・」
「へ?」
ゾルッ・・・とゆったりと撃たれた部分を回復させながら起き上がってきた。
「だが、銃では私は殺せない・・・・・」
「ひぐぅっ!!ひ、ひいいいい!!」

完全に起き上がってから刹那はこう言い放った。
「化け物を倒すのは!何時だって人間だ!!!」
そして刹那はゆっくりとSIG拳銃を向ける。
「バ、バッ、化け物ッッ!!」
「よく言われる・・・ならそれと対峙したお前は何だ?人か?化け物か?いいや違う・・・・貴様は灰色の狗だ。狗では私を殺せない」

ニヤリしながらSIGの引金に力を込め始める。
「はっああ・・ああああ・・ああああああああ・・・・」
「シ・ネ」
バン!バン!バン!バン!
刹那は硝煙と血と脳漿の混ざった匂いの中でニヤついたまま撤収を指示した。部下達がM-16A1カスタム仕様(スリー・ツー・バースト[3バーストと2バーストショットが交互に発射される]機能・ダットサイト・引き込み型銃床・砂漠、ジャングル、水中でも発射を可能にした圧縮空気を吹き込む薬室・軽量のためにカーボン樹脂等を多様し強度と軽量化を両立・M203ライフルグレネード改良タイプ[M203を連射できるように5発入り専用箱型弾装で弾を格納、フルオート対応]高威力、高射程、捕獲された際の容易な流用を避ける事を図り6.5ミリARISAKA弾仕様)通称[零式小銃]の安全装置を安全に戻すとすぐさま薬莢を持ち去って痕跡を消毒した。刹那は落ち着いて煙草で一服するとさっさと酒場を目指した。報告ではスカイキッドに黄色中隊が飲む為に向かったらしい。
「奴に挨拶でもしてくるか」

サンサルバシオン スカイキッド 01:15
「既に閉店時間は過ぎてるんだがなぁ・・・・」
店主はあきれながらも給士に徹した。未だに彼等は飲み続けている。
カラン、カラン・・・・
「もう閉店だ・・・!!」
さっさと出てけの台詞の前に店主は黙ってしまった。黒いコート、黒髪、美女の様な顔立ち・・・・昼と違うのは全身に血と硝煙の香りがする事だ。
「あんた、昼の?」
店主が聞くと刹那は周りの目を気にせずにカウンターに座り込み注文をした。
「ウオッカを一瓶。じゃないと酔えん」
店主が直ぐにウオッカを一瓶出すとそれをあっと言う間に一気飲みした。
「んなッ!」
「何だこれは、まるで水だ。一番アルコール度が高い奴を」
刹那は何の顔色も変えずに言いのける。流石に驚愕だったらしい。周りが唖然としている
「・・・・こいつなら酔えるぞ。ウオッカ・スカピリタス、世界でも指折りのアルコール度が高い奴だ」
一瓶渡されてそれをコップに分けて飲み始める。
「成る程・・・これは目が覚めるな・・・だが、血の方がもっと刺激的で旨い・・・・」
クククといつもの笑いをこぼす。すると刹那はそのビンを端のテーブルに向けて投げた。素晴らしいコントロールで正確にエーリッヒのテーブルに乗っかった。
「飲めよ、13。昔の仲だ。久々に語り合おうじゃあないか・・・・」
「・・・ああ分かったよ。話じゃISAFに入ったそうじゃないか?刹那准尉?」
「そうだ。だが今此処で銃を向けあうのは互いに嫌だろう?街を占領されたくなければ銃は向けてくれるなよ?」
「分かってる」

Fin

 

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