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第三十六話:覚悟

7月18日 ノースポイント北部オクジリ基地 格納庫 16:00
「エンジン動かします。下がって下さい!」
懐かしいコックピット、最後に乗ったときと変わってない。だが、時と言うものは結構残酷である。周りを見渡すと機体は全て洋上迷彩と森林迷彩のF-2Cになっていた。かつて、この大空を自由に飛びまわった亡霊は、FCUに分解、清掃され輸出されていた。
キイイイイイイイイイイイイイ!!!
「良し・・エンジンはオールオーケー・・IRST・武器操作・計器類も異常なし、ラダー・エルロン・ノズルも大丈夫・・か」
一通り眺めると、エンジンの出力を下げていった。エンジンが止まるのを確認すると、機体から降りた。
「どう?貴方の愛機の調子は・・」
リョウコ一尉が声を掛けてくる。今の所彼女しか、自分が生きているという事を知っている。
「変わってないですね・・正直、X-6の出力が高すぎて、制御に難があると言った所でしょうか」
今までのエンジンを取り替えて、X-5から派生した、大型機戦闘機用のエンジン、X-6になっていて、非常に出力が高く、A/Bを使用しないで高度7000フィート、7G水平旋回でも速度を落とさない代物だった。
「所で、今夜は余裕があるよね?・・・今まで私をほおって置いた罰よ。今夜はビシバシ色々とやらせて貰うわよ」
拳をゴキゴキ鳴らしながら、にっこりと言うリョウコ一尉。正直、死んだ方がマシなんじゃないのかと思った。
「あ、あの~・・明日午後には防衛省に出頭しないと・・・じゃ・・・駄目ですよね~・・」
弱味を握られている以上、従う他無かった。自分が守るのは国民とその財産。それを壊すかも知れないような事をやっている自分を叱ってやりたかった。
「・・・はあ・・まったく、あんな親父のお陰で・・こんな性格になったのかなあ・・」
親父――流 旭はとにかく血が騒ぐ男だった。戦争とあらばすぐさま駆けつける奴だったのだ。その血を受け継いだせいか、自身もかなり戦いを好んでいるようだ。出来る限りそれを抑えるが、もう一度切れたら、全てを滅ぼしてしまいそうだった。
「じゃ、21:00に私の部屋で」
リョウコ一尉は耳元でささやくと、そそくさと搭乗員待機室に行った。
「21:00・・か・・さて、と」
自身は連絡を待っている防衛大臣に直接ホットラインが出来る小型マイク付き小型イヤホンをつけた。
「・・此方コマンダーバタリオン・認識ナンバー9614253・大臣へ頼む・・・・ああ、大臣。第一任務、完全に完了しました。明日、レポートと共にそちらに、向かいます。・・はい・・はい・・Yes Sir」
プツッと電源を切ると、空を仰いだ。
「・・・・そろそろ、年貢の納め時だね」

ノースポイント北部オクジリ基地 21:08
「ごめーん・・待った?」
リョウコ一尉は自分の言った時刻より遅れて、やってきた。
「・・・・いや、全然。と言うより、自衛官として予定時刻より遅れるなんて如何かと思いますがねえ」
苦笑しながら相手を見る。スクランブルから帰って来て報告で遅れたらしい。
「それならFCUに言って頂戴・・!?・・何・・・その体」
言い訳を言おうとした時、刹那の体を見て驚いた。両腕と両足が人の物ではないのだ。
「これが私が他人を偽った一つの理由です。っても、元から名前なんて無かったですけど」
微笑みながらも軽く皮肉っていった。
「・・・・それ、動くの?」
リョウコ一尉は取り合えず落ち着いて聞いた。刹那は冷静に答えた。
「ええ、人間よりは早く動かせます。能力も十分高いですし。大丈夫ですよ。たぶん中で神経と直接リンクさせ、駆動系を動かしているんでしょうね」
そう言うと腕を動かした。極めてスムーズな動きをしている。
「大丈夫ですよ。・・・所で色々って何するんですか?」
刹那はリョウコ一尉に聞いた。
「あーやって欲しい事は大体済んじゃったからなあ・・・ま、いっか」
そう言うと、刹那の体を押し倒した。
「ホント、貴方には負けるわ。こんなに時が経っているのに、私を本気にさせるとはね」
刹那は何の抵抗もしない。嫌ではあるが敵ですら無い相手に抗っても仕方が無いからだ。
「いずれ、それも出来なくなりますよ」
一言だけぼそりと言った。
「どうして?もう、何所にも行かないんでしょ?」
リョウコ一尉が怪訝な顔で言ったが、すぐに答えた
「私が死ぬからです」
刹那が答えるとリョウコ一尉は黙った。
「・・・次、あの機体が完全武装して、飛び上がったら、地上に降りる時には、スクラップになるはずです。今度の任務は生きて帰れない任務ですから」
そう言うと上にかぶさった彼女を引き寄せた。
「ひゃっ!ちょ、ちょっと!!」
彼女は驚いて声を上げた。が、気にせず言った
「今は・・ちょっと甘えさせてください。多分、体を触れ合わせられるのはこれで最後でしょうし」

ノースポイント北部オクジリ基地 23:45
「・・本当に容赦無いのね・・少しは、手加減して欲しかったわ」
服を着ながらもリョウコ一尉は少し飽きれた声を出した。
「もう二度と出来っこないですから・・・・ま、吹っ切れましたが」
刹那はとっくの昔に服を着て、彼女が着終わるのを待っていた。
「ねえ、その任務。付いて行っても良い?」
彼女はいきなり刹那に聞いた。
「はあ?何言ってんですか!?無理です!同行するのはたった一個飛行隊と5000人の部隊と二個艦隊だけ。すでに編成が完成してますよ!?今からではもう遅いです!」
刹那は既に次の指示を受けていた。それは、現存戦力での国境無き世界の殲滅だった。だが連合軍の到着まで持たせれば、良い方だった。だが―
「・・・・じゃあ、私に貴方が死に行くのを眺めてろって事?冗談じゃないわ。貴方が何と言おうと、絶対付いていくんだから!!」

fin
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第三十五話:逃亡者

??? ??? ???
「しつこい連中だなまったく」
基地施設の中を縦横無尽に駆け抜けながら脱出手段を考える刹那。敵は挟撃しながら足止めを狙ってくる。
「・・!!しまった!正面に回られた!」
曲がり角で向こうから足音が聞こえて来る。後ろからも追撃の手がやって来る。狭い道なので戦いにくかった
「クッ、逃げ道は?」
辺りに目を配り、障害物が無い事を確かめると、すぐさま迷う事無く曲がり角を曲がり、やって来た敵兵5人を大鎌で斬り裂いた。その先は戦闘機格納庫だった。
「ついてるんだか、ついてないんだか分からんが、使わせてもらう!」
そう言うとすぐさま増槽のついたミラージュF-1に飛び乗った。エンジンはアイドリング状態だったらしく、すぐに始動した。
「クソッ!!撃てっ!!撃つんだ!!奴を狙うんだ!!」
敵の隊長らしき男が叫んだがもう遅かった。機首を回頭させ、武器を機関砲にセットした。
「これが礼だ。あの世まで持ってけ」
そう言うとトリガーを引いた。
ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
敵兵は20mmで薙ぎ倒され、死んでいった。さらに様々なパイプを撃ち抜たのを確認した後機体を滑走路に進めた。
「クソッ!!逃すなあ!!――――ッッ!!」
敵兵がM16ライフルの引き金を引く寸前に、周りの状況に気がついた。だがもう遅かった。
パン!グワアアアアアアアアアン
M16から発した、マズルフラッシュは周囲のパイプから漏れたガスに引火、大爆発を起こした。
「クク、汚い花火だ。機体に血と内臓が付いてしまったな」
機体をざっと眺めるとあっちこっちに吹き飛んできた人間の血や内臓の一部が付着していた。
「ただ単に逃げるのも勿体無いな、殺るだけ殺ろうじゃないか」
そう言うと機首を急ごしらえの管制塔に向けて、IRミサイルを設定した。
「王手済み(チェックメイト)だ。苦しめ」
躊躇無くトリガーを引いた。ミサイルは僅かな管制塔の機器の排熱を追って、簡素に作られた管制塔の排熱口に突っ込み起爆。すると、機器はオーバーヒートし管制塔の上部はショートの火花に包まれた。あれでは無傷な人間は居まい
「人間の丸焼きの完成だな。よし逃げるか」
そう言うと機を離陸させた。
「さて確か此処は・・やはり、Z基地だったか」
Z基地――ベルカが首都近郊での戦闘を想定して表向きには民間空港として建設されていた空港。無論旅客機が止まれるとこなんて無い。
「と、すると・・デインズマルクはすぐ傍で防空網もまだ完璧じゃない筈・・行けるな」

7月16日 デインズマルク近郊 廃飛行場 07:45
「ふう・・着いた・・・懐かしいな此処は・・なあ、カプチェンコ?」
F-1から降りると、そこに立っていた男に声を掛けた。
「フン、貴様の行き先は大体分かっているからな」
そう言うとG3ライフルを構えた兵士が周囲を囲った。
「そうかいそうかい・・・で?何の様だ?」
すぐに戦闘態勢に入る刹那、それをカプチェンコは見るだけだった。互いに動けないのは重々承知しているからだ。
「貴官には悪い事をしたな・・はっきり言って、あの時はどうかしていた。せめてもの罪滅ぼしとして、ジョシュアが暴走したらそれを止めてくれ。・・・本来、私がやるべき事だが、今の私に追従してくれるのはここに居る奴と、部隊員だけだ・・・」
そこまで言うと少し間を置こうとしたが、刹那はそれをさえぎった。
「分かってる。今のあんたはもうジョシュアの下僕同然だ。その時は、空で逢おうじゃないか。そこで散れば少しは報われると考えているんだろ?」
そこまで言うと、カプチェンコはほっとしたように部下に下がるように言った。
「・・・有り難う。・・ああ、これは偽造パスポートだ。ノースポイントに戻る時に使ってくれ」
そう言うと手帳のようなものを差し出した。
「助かるな・・この借りはちゃんと返す」
刹那はそう言うとデインズマルクに向かって歩き出した。
「・・・?何だ?この紙は・・・!!」
パスポートの中に挟まっていたのはアヴァロンダム周辺の防空・防御についての重要情報だった。ダムより半径500kmまで記入されている。
「・・ったく。私もお前も不器用だな・・・」

7月18日 ノースポイント北部オクジリ基地 15:00
「通行証を・・・あ、どうぞ」
警備兵が敬礼で通すと敬礼で返し、車を進めた。久々に戻ってきた懐かしい基地。と言っても今は別人だ。階級も5つ位上がっている。
「愛機は何所だったっけ・・・え~と・・・」
今日はSOG隊員に回収させた愛機F-4E改の受領が目的だった。だが、何所に置いてるなんて、別人である自分には教えてもらう筈は無かった。取り合えず、基地司令室へと向かう。
「先に連絡してあったから何ら問題ないとは思うけど・・・」
言動に気をつけなければ、すぐにばれてしまう。廊下を移動している時だった。基地司令室の扉が開いて、誰かが出て来た。
「?・・・!!」
思わず声が出る所だった。そう出てきたのはリョウコ一尉。すぐ帽子を深く被り、軽い敬礼でやり過ごそうと考えた。だが―
「・・・!・・セツナ?ねえ、セツナでしょう?」
ヤバイ――直感がそう言った。ばれたらそれこそ今の新しい内閣にヒビが入るし、死亡したと言ったウステイオの評価も下がる。最悪、外交問題になりかねない。少し考え、可及的速やかに答えた。
「・・・・・失礼ですが、人違いでしょう」
「・・え?」
「あの戦争に巻き込まれて、生きて帰って来たこの基地の人間は居ない筈です。・・失礼」
本心はこんなのは言いたくは無かった。が言わざるを得なかった。やり過ごしたと思い、司令室に入ろうとした瞬間だった。
「・・・待ちなさい・・何故それを知っているの?マスコミも、上層部もオクジリ基地とは一言も言ってはいないわ・・貴方みたいな青二才が中央の幹部な訳無いじゃない・・・やっぱり、セツナでしょ?」
そこまで言われると背筋が凍ったようになった。さっさとしないと・・そう焦りだした刹那。
「歩き方も、敬礼も少し独特な感じがあるし、顔もそっくり、声も、まるで本人の声よ・・やっぱり死んでなんかいなかったんだ・・・」
此処まで来るともう逃げ道は無い。大急ぎで司令室に入室した。
――10分後、用事を済ませ、外に出るとそこにはまだリョウコ一尉がいた。
「・・・・・・何で今まで隠していたの?何も一人で背負う事は無いじゃない・・ねえ、どうして?」
リョウコ一尉はまた質問の雨あられを被せて来る。
「待って下さい。私は貴方とは初対面です。私は流 刹那一等空佐です。貴方が思っている人とは違う!」
少し苛立ちながらも、はっきりと冷静に答えた。
「!!・・・ああ、そうゆう事ね・・7月現在の健在している佐官の中でそんな名の人は居ない、やっぱりセツナなんでしょ?・・・どうしても思い出せないんなら、思いださて上げる・・」
そう言うといきなり体を寄せて唇を合わせた。
「ッッ・・・な、何をするんです!!リョウコ一尉!!」
ハッと気付いた時にはもう手遅れだった。
「やっと思い出してくれたんだ・・・この馬鹿」

fin

刹那の国防計画書

20071028162412
200710281624114
200710281624112
20071028162411
心神改造計画書-F-Xバージョン2・コードネーム[疾風]F-Xバージョン3・コードネーム[烈風]
疾風は心神戦闘機の大規模改造型で、半自動で、高速域だと小型デルタ、中・低速域だとクロスカップルドデルタか前進翼の主翼三段階可変翼、主翼と連動する収納式カナード翼、四枚可変推力パドル、全方位索敵IRSTが特徴。
烈風はその艦上型。大した性能差は無い
装備品・20mm多目的機関砲2門、AAM-4・零式奮進弾×4~8発、AAM-3or5が2~14発、ASM-2or3が4~8発、各種対地爆弾12発、各種ロケット兵装12基、索敵・攻撃・防御赤外線カメラ6基と相対速度計算用スーパーコンピューター、対被探知防止スキンレーダー、可変翼制御機器、ECM・ECCM電子機器
最高速度1320ノーチカルマイル、航続距離2500ノーチカルマイル、重量:ミリタリー推力比1:2.4、IRST索敵範囲60km

第三十四話:国境無き世界との接触

7月9日 オーシア サンド島 14:00
「ファアア・・・あ~ダリィ」
暇で暇で仕様も無い刹那。人に会えるのは週1と言うのだからつまらないのも当然だ。
「ま~だ、連中は動かないのか」
如何しようも無いが、一つだけ気にする事があった。それは「国境無き世界」の動向である。
「Drやピクシー、ウィザードなら、こっちの技術と戦闘力を買って出そうだがなあ・・・」
刹那は今、書類上は死んでいるとは言え、防衛省の重要幹部の一人。世界最高の戦闘能力、技術力を手に入れる事は、彼等にとってこの上ない戦力になる筈だ。どんな手を使ってでも接触を図るに違いないと刹那は読んでいる。その時が奴等を止める一つのチャンスでもある。
「・・・さっさと来いよ・・飽きれて来た」

??? ??? ???
「ジョシュア・・それは本気で言ってるのか?」
カプチェンコはウィザードことジョシュアに問いた。
「あんたの言う理想を完遂するのに必須課程と思うがな。鬼神よりも圧倒的に強いし、何よりも連合の奴等にとっちゃ、ショック以外の何物でもない」
ジョシュアはサラリと答えるとラリーに目をやった。
「・・・確かに、鬼神・・いや相棒は奴を恐れてる。それに上手い事交渉すれば現在、実質世界最強のノース・サウスポイントをこっちに引きずり込めるしな、いい案とは思うが・・アンソニー、君は?」
部屋の隅っこに立っていた黒人にラリーは意見を求めた。
「それで、我々の目標が達成出来るなら。やってみる価値はある」
その言葉を聞いたジョシュアはニヤッとしながらこう言った。
「1対3。決定だな。奴は今サンド島で幽閉されている。働いてもらうには借りを作らなきゃな」

7月15日 オーシア サンド島 23:00
「ん?」
ヒイイイイ・・・・
眠ろうとした時、滑走路の方に静かなエンジン音が響いた。
「なんだ・・?・・!」
そこには、小型のビジネスジェットが一機滑走路の中心で止まっていた。
「国境無き世界の連中・・か」
ぽそりと呟くと、早速、その機体に近づいた。すると拳銃を持った男が数人やって来た。
「刹那一佐だな?来て貰おうか」
迷わずに機体に乗り込むと、手錠を掛けられた。
「手際が良いな。これはカプチェンコかジョシュアの指示だな?」
その質問には答えず、すぐに機体を離陸させた。
(恐らく、適当な空港まで行って、ベルカ国内に移動となるんだろうな・・)

??? ??? ???
「着いたぞ、降りろ」
男に促され、機体から降りると、手錠が外された。
「ようこそ、国境無き世界へ」
そこにはアンソニー・パーマーがいた。
「フ、主要メンバー直々にとはな」
微笑みながらも腰まで伸びた後髪をさすった。
「何か、いる物は?」
パーナーに言われ、刹那は普通に答えた。
「まずは髪留めバンドとシャワーを」

??? ??? ???
「中々良いシャワーだった・・じゃあ、話を聞こうか?ジョシュア」
髪留めバンドを後ろ髪につけてパイロットスーツに身を通した。ジョシュア少し呆然としていた。
「?如何したんです?」
「あ、いや・・何でもない・・・」
元々、顔立ちが良かった為か、女性と見間違えられたらしい。
「では・・我々の目的は君の知ってる通り、[大国に対する革命]だ。あの利益優先の超大国共を無くし、世界の人民達に平和を与える事だ。ここにいる者は皆、大国に飽きれ、ある者は復讐を誓っている。そこで・・」
ジョシュアはそこで少し口を止めた。
「我が母国に協力せよ・・だろう?」
刹那はその言葉を継いだ。
「そうだ。君の母国は50年前の敗戦でオーシア、ユーク、FCU、エルジアに恨みがある筈だ。戦力を出せとは言わん、後方支援でも良いんだ」
ジョシュアはまるで女を口説くような感じで言った。
「・・・・・・・・・・気に喰わん
刹那は長い沈黙の後ぽそっと言った。
「何?」
「貴様等は核搭載量産型V2で逆らう奴を殲滅し、その力で世界を抑えるつもりだろう?それが気に喰わんと言ってるんだ」
刹那はまったく感情を表に出さず冷静な声で言い退けた。
「拒否は出来んよ。貴官はもう逃げられはせん」
ジョシュアはニヤリと笑いながら右手を上げた。と同時にその部屋にいた、ラリー、パーマー、そしてその他5人の男が銃を構えた。
「揃いも揃って、玩具を突き付けて、流 旭の血を引く私を殺せるとでも?」
その言葉を言った後、黒い影が飛び、全員の銃がいきなり飛んだ。
「んな!?」
「ウオッ!!」
「ウワアッ!!」
その黒い影は刹那の手でパシッと止められた。
「鎌――だと!?」
それは――長さ1.4M、刃の幅30cm、刃渡り50cmはあろう大鎌。
「金属製の30cm位の笛の様に見えるけどな、実は護身用の鎌だ。拳銃に比べたら圧倒的に構造が簡単なんだよ」
簡単な折りたたみ収納式の鎌は全員の銃を弾き、ブーメランの様に戻って来た。
「此処であんたを殺すのは簡単だが、それじゃあこっちとしても結構困るからな。次会うときは敵同士だ」
そう言うとさっさと立ち上がり部屋から出た。
「クッ!逃がすな!!」

fin

第三十三話:裁き②

6月25日 オーシア オーレッド ???
「主文、被告人に禁固31年に処す」
裁判官はたった4回の裁判で判決を下した。本来なら弁護士も付いて良いのだが、表向きには出来ないので、それすら許さず手っ取り早く始末する必要があった。
「フッ・・思ったより軽い刑罰だな」
苦笑しながらも余裕の表情を出す刹那。元から死刑を覚悟していたが、ありとあらゆる証拠を用いて正面からぶつかって行ったら、存外にも31年の禁固、いや隔離と言う刑罰になった。
「被告人は、数ある証拠を提示し、我々に誠意を持って応じてくれたが、反省の意図が感じ取れないため禁固刑に処した。異論はあるかな?」
裁判官は今にもにやけそうな顔を如何にか普通にしようとしたが、刹那にはバレバレであった。
「じゃあ、あんたの飼い主に言っとけ。いずれ、後悔しても知らん、とな」
ニヤッとしながら、警備兵につられて退室した。
「貴様は、サンド島行きらしい。そこでじっくり後悔するんだな」
牢獄に戻る間に警備兵にこう言われた。
「やーれやれ、もっと涼しいとこは無いのかい・・・」

ノースポイント 首相官邸 14:00
「総理!これは一体如何言う事ですか!?」
「総理!!これから如何責任を取るんですか!?」
「総理!!何故遺骨が返還されないのですか!!??」

マスコミ達、いやむしろマスゴミ達が官邸室に向かう総理に質問の雨あられを掛けて行く。此方では刹那は既に事故死していると報道されたが、それで何故か彼の遺骨を返還要求しないのかで大荒れしているのと、SOGの自衛官が戦場各地で実戦を行なっていたという事が漏れた為だ。
(いい加減にしろッッ!!クソ共ッッ!!)
総理や護衛のSPのストレスは限界に近づいてた。そしてマスコミは邪魔な有名人等を入れてないNHK(ノースポイント放送局)を除き、こぞってこれを叩きに叩いた。自衛官達の家でも市民団体と言う左翼に家に石を投げ込まれるは、罵声は浴びせられるはで、荒れていた。警察はこの対処に追われていて治安はかなり悪くなった。刹那が帰還すれば、この様な事は有り得なかったのだ。自国民が、しかもつい6ヶ月まで国を守っていた国に忠実で優秀な人間が事故死は有り得ないと・・つまり殺害説が急浮上した。
「もう、辞めた方が良いな・・・疲れたよ・・」
総理は疲れきった声で言い出した。

6月26日 オーシア サンド島 04:00
「中々、良いバカンスになりそうだな」
飛行場に降り立った刹那はガラッと周りを見た。そこはまだ大した開発も進んでいない飛行場と僅かな建物と後は自然があるだけだった。どうやらベルカ戦争で建造がうやむやになった基地らしい
「貴様は監視カメラで監視される。この島は絶海の孤島、逃げられはせんよ。週一回食料を届けに来る」
兵士はこう言うと自分を運んで来たC-1に乗り込んだ。
「フン、なめないで欲しいな」
そう言うとすぐに建物の中に入った。
「一応、生きられる様にはしてくれているんだな」
周りを見ると生存には必要なものは全て揃っていた。
「いずれ、此処を抜け出すし、なんら怖いもんは無い」
ニヤッとしながら取り付けられたカメラを見た。
「こんなんで禁固のつもりとはな」
飽きれ半分で言うと体力消費を防ぐためさっさと寝る事にした。

オーシア オーレッド ??? ???
「外務次官殿、本当にあれだけの処置で良かったので?」
刹那を裁いた裁判官は、外務次官に聞いた。
「やり過ぎたら、最悪ノースポイントと戦争になる。それだけは何としても避けねば、な。今戦争をしたら、こっちが負ける」
量では圧倒的なオーシア軍だが、相手は世界最強、最先端、最高の質を持つ自衛軍である。さらに核戦力をたった3個分隊に壊滅されたのだから、量では敵わない敵だ。
「・・所で、A級戦犯の方も、ノースポイントの邪魔で誰一人極刑にはなってないんでしょう?一体、何を考えているのだか・・・」
裁判官は飽きれた様な声を出した。それどころか、BC級も軽い罰のものが多い。勿論、民間人を盾に使った奴等は別だ。
「奴等は、我々にとって大きな障害であり、大きな戦力だ。簡単には拒否れんよ」
外交官はこう言うと、窓の外からオーレッドの街を見下ろした。
ドシュウ!!ブシュッ!!
その瞬間二人はこめかみに12.7㎜弾を喰らい、頭の1/4を失い脳漿と血を吹き出しながら後ろに吹き飛んだ。
「任務完了っと。終わったよ、Dr」
0.8㎞離れた先に対物ライフルを持った女はバデイと共に自らの主人に報告をした。
≪了解した。・・・フフフ・・これで俗物が消えたな≫

fin

第三十二話:裁き①

6月20日 デイレクタス基地 牢獄 18:00
「何!?・・戦争が・・終わった!?」
セツナは看守が伝えた情報を再度確認した。
「ああ、既に調印式は終わった・・貴様はオーシアで極秘の戦犯として裁かれるそうだ。明日にはオーレッドに移動、との話だ。貴様は本国じゃあ、既に事故死と報道されているからな」
看守は軽く嘲るように言った。だが、セツナ自身にはとても喜ばしい話だ。
「まあ、せいぜい後悔する事だ。多分、極刑か、終身刑が妥当だろうな」
最後まで嘲るように言い切った看守はすぐに自室へと戻った。
「良かった・・もう、殺さなくて済む・・・後は、総理に任せるとしよう」
俯き加減で呟いた彼は、夕食をまったく取らないままベッドに倒れこんだ。

6月21日 移動中 08:00
「・・・・」
セツナは囚人として運ばれている。まるで豚箱の様な粗末な列車内だ。周囲には、A級戦犯達が絶望の底に落ちた様な顔をしながら座っている。
「まったく・・戦勝国ってのは卑怯極まりないな、戦争を起こすように仕掛けておきながら、勝ったら戦犯と称してこぞって裁きたがるからなあ」
皮肉りながらセツナは言った。周りの戦犯は驚きの顔をした。
「た、確かにそうじゃが・・・今の我々じゃあ・・如何しようも無い」
大きな階級章をつけた老人の一人が弱々しい声で反論した。
「安心しなよ。誰一人、死刑にはさせないから」
ニッとしながら周囲に言った。
「・・・?」

6月24日 オーレッド 軍事裁判所 12:00
「では、今戦争においての戦争裁判、第一回公判を開始します」
裁判長が大声で言うと皆立ち上がって一礼をした。
「・・・・・」
ノースポイントの検事代表は明らかに他の判事とは違い、この裁判に嫌悪感を持っていた。
(何が、戦犯だ・・戦犯は大国オーシアと戦争を後押ししたユークとエルジアだろうが・・・)
と思いながら。そして、彼は一つの絶対命令を受けていた。それは、例え戦争になる危険性があっても、ありとあらゆる手段を持って、この法廷で裁かれる戦犯を誰一人死刑にはさせない
「では、特A級戦犯・・・」
既に、彼も別の場所でもう一つの裁判がある事を知っている。

オーシア オーレッド ??? 12:45
「では、B級戦犯、セツナ・コバヤシの裁判を始める。・・さて、貴官の氏名、階級、生年月日を答えよ」
裁判官は冷徹に言い継げた。
「やれやれ、そんな古い情報しか知らねえのかい・・私の名は流 刹那一等空佐だ。何時までもそんな偽名を使うもんかい。生年月日?ハンッ、そんなのとうの昔に忘れたよ」
飽きれた様に言い返す刹那。そう、レクイエム作戦の際、階級が一佐変わる時に名を変えていたのだ。生年月日は実際問題自身の誕生日を知らないし、確かめる事など出来やしない。
「そうか、では流一佐、貴官の罪状を伝える。"1.連合軍に対する反逆行為、2.ハイエルラーク・クレスタ両基地での過剰な破壊・虐殺行為、3.明らかな大口径銃の対人発砲によるハーグ陸戦条約違反、4.宣戦布告していない国軍の兵器を使用し、連合軍兵員を大量虐殺による国際法の違反、5.ホフヌングにおける連合軍に対する明らかな殺意によるパラシュート降下中のパイロットを射殺による陸戦条約違反"・・以上だ。間違いないな?」
確認を取る裁判官に苦笑しながら言った。
「罪状の1と3と5は間違ってますよ・・・第一、我が国はハーグ陸戦条約には批准していない。そして1はウステイオ作戦司令部から刹那三尉に離脱を含む自由行動を許可する、とここに、作戦令状がありますし、ね」
バサッと一枚のB4用紙に書かれた作戦指令所を出す。それ以外にも大量の自身の戦闘記録を複数の視点から見た報告書が証拠として提出した。
「ふ~む、まあ、良かろう。罪状1,3,5は無くそう。では、残りは認めるのだな?」
裁判官は刹那の上手い切り抜けに感心しながらも、確認を取った。
「ええ、一切の嘘はありません」
サッと答えた刹那は、既に死を覚悟していた。

ノースポイント 防衛省 15:00
「・・・この計画書を見る限り、採算性・有効性等からも言って、あの刹那と言う士官は、非常に使えます。大臣、まさか、あのまま優秀過ぎる人材を殺すつもりでしょうか?」
防衛次官は大臣に問いた。
「それが出来れば苦労はしない・・・だが、我々はもう大きくは動けん・・じき、総理も、我々共々責を取って辞任せにゃならん。そして、我が国は大きな批判を受けるだろうな」
はあ、と溜め息を漏らしながら、天井を眺めた。
「やはり・・お覚悟を・・」
次官はグッと何かを堪えながら言った。
「心配するな。もう代役は決まっておる。・・後は議会が何と言うか・・・とにかく、これからのこの国の守り、いや世界の守りは君達が主役だ。頼んだぞ」

オーレッド ??? 20:00
「あそこまで頭の切れる奴とはな・・・もう少しで、無罪になってしまう所だった。・・奴は危険すぎる。死刑とまでは言わなくても、せめて禁固刑にせねばなるまい」
裁判官はソファーにドッと座り、テーブルの向こうがはの男にこう言った。
「確かにその通りだ。奴はとてつもなく優秀な技術士官であり、情報士官で空軍士官だ。放って置いおいたら世界の軍事バランスと我々の利益が崩される・・・」
その男はふう、と煙草の煙を吐いた。
「せめて、30年くらいは幽閉せねばな・・なあ、外務次官殿?」
「ああ・・・」

FIN

Call of Duty4ModernWarfare Medal of Honor - Airborne

http://www.youtube.com/watch?v=pGWPW95XggA&mode=related&search=


http://www.youtube.com/watch?v=bOsXUDKhPKc&mode=related&search=

箱○・エース6を買う方はこっちも考えては?お金に余裕があればですが。

羅針盤

http://www.youtube.com/watch?v=3KvrDPBJYbg&mode=related&search=

海自+帝國海軍+TVジパング「羅針盤」

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「俺は、君のためにこそ死にいく」

第三十一話:戦う理由②

6月10日 スーデントール最前線 01:52 
「はあ・・はあ・・・酷いな・・まったく・・・」
セツナは此処まで休みもせずぶっとおしで走って来た。そこには無数の死体と甘苦しい程の死臭、さらには血だらけの内臓や人間の体の一部がまだゴロゴロとしていた。放射能を浴びる危険があっても、潜伏のため南に移動する必要があった。
「ガイガーカウンターには大した反応は無い・・・もう大丈夫みたいだな」
撤退途中で愛機のF-4E改の回収を頼んだSOG隊員から譲り受けたガイガーカウンターは微弱に反応するだけだった。
「・・・・!!ウステイオ軍か!!」
死体を撤去する兵士の国際表示を見たセツナはギョッとした。オーシア軍、ユーク軍なら自分の顔は分からないが、ウステイオ軍だと陸軍の軍人達とは交流がある為、顔が割れ、見つかればすぐに逮捕される。何としても逃げ切らなければならないのだ。隠れようとしたその時だった
「・・・・!!おい!待て!!」
兵士がカチャッと銃を構えた。こっからでは逃げ切れない。諦めて両手を上げた。
「・・!貴様・・まさか!こんな所にッッ!!」
顔を見らてはもう観念するしかない。
「来いッッ!!」
明らかに怒りをあらわにした兵士に手錠を掛けられ、臨時指令所に運ばれた。
「なッ!?・・・貴様、良くもまあ我々の前にノコノコと現れおって!!この裏切り者め!!」
ドゴッ!!ガッ!!
指揮官らしい男の前に連れ出たセツナは思いっきり腹を殴られ、後頭部を銃で殴られた。
「グハッ!!グアッッ!!」
殴られた直後、気を失った。

6月11日 ??? ??? 16:00
「う・・・」
固いベットの上で気が付くと、周りを見渡した。どうやら牢屋の中らしい。
「此処は・・何・・・所だ?」
まだ痛む後頭部を摩りながら誰も答える事の無い質問をぶつけた。すると返答が帰ってきた。
「此処は独房だよ、ディレクタス空軍基地の」
その声の主は扉の向こうのもう一つの扉から聞こえた。
「僕はホルスト。元ベルカの戦車兵さ。と言ってももう戦車は無いけどね」
笑いながらも皮肉りながら言う青年は自分よりも少し年上の様だ。
「私はセツナ。どう言う経緯でこうなったか知らないけど、これから宜しくお願いします」
丁寧なベルカ語で答えるセツナ。

デイレクタス空軍基地 司令室 18:00
「で、どうしても確かめたいと?」
司令はわざわざクレスタ基地からやって来た二人を見た。
「はい・・何故彼があっちに行ったのも確かめたくて、そして何故彼が・・いやノースポイントがこの戦争に非常に深く関係してるのかを・・・そして何故彼等が自衛軍究極、最強のジョーカーとも言える特殊作戦群を動かしたのかを・・・」
二人の片方がやや小さめの声で言った。
「・・分かった。会わせよう。来たまえ」

デイレクタス基地 面会室
「・・・ほう、珍しい客ですな」
面会室に入ったセツナは意外な相手に驚いた。
「久しぶりですね。三尉・・いや、今は一佐でしたか」
「随分と、長い間姿をくらましていたんですね」
それは、セリーヌとアクセルだった。
「今更何様だ?私は命乞いなんてせんよ」
フッと微笑みながら相手に話しかけた。
「貴方の戦う理由が知りたくて・・じゃ、駄目ですよね?」
アクセルも同じよう微笑んで答えた。
「ケッ、反吐が出るな。ウステイオ解放までが仕事だったのによ。そっちが図に乗って勝手に向こうに攻め込んだ。そして戦友だから共闘してやった。そしてホフヌング、スーデントールに爆弾を浴びせる計画を考えたのはテメーらの上司なんだからな」
相手を睨みつけて棘々と言った。
「だからって・・裏切って、尚且つ私達を皆殺しにしようとした貴方の言う台詞ですか?」
セリーヌが反論する。
「ほ~う・・クククククフフフフハハハハ・・・所で?セリーヌさん、親父の仇を沢山討って満足かい?敵を皆殺しにして満足か?戦いを楽しんだか?」
ニヤリとしながらセリーヌに言った。
「なっ・・ふざけないで!!
ガタッと席を立って、殴りかかろうとしたがアクセルに抑えられた。
「落ち着いてください!・・・今の貴方は何も出来ない。こっちの質問に答えてください」
キッとセツナの瞳に睨みつけて言った。
「フフフ・・・アクセルさんは、そう言えばベルカの出身でしたよね。同胞を大量に殺せて満足か?殺人を愉しんだかい?ちゃんと一人残さず殺したか?クククク・・・・」
それでも余裕の表情で嘲るセツナ。
「なっ・・・・」
余りにも反省が無い事に絶句するアクセル。
「貴様等には一生掛かっても分からんだろうがな。私は貴様等とは違う、こっちは自分達の命を投げうってより多くの生命を救おうとしているだけだ!貴様等の大国追従主義とは正反対のな!」
口調を急に変え、感情を表に出して来たセツナ。それは、怒り、悲しみ、憎しみとかなりの感情がごっちゃ混ぜになっていた。
「貴様等が今此処でウステイオの首都にいられる理由は何だ!?ホフヌングから帰還できた理由は!?そして今!!死体にならずに済んだのは誰のお陰だと言うんだ!?全てノースポイントが私に制約と力を貸したお陰だろうが!!あの日にウステイオやオーシア、サピン等が核に焼かたり、死の灰を浴びなかったのはこっちが死や厳重処罰や国民、世界から強烈な非難を覚悟して全力を挙げて止めたお陰だろう!!違うか!!」
有無を言わさない極めて強い声で吐き散らした。確かに情報部からそういう情報が極秘で入っていたが奴は平気で言いのけたのだった。セツナ自身、もう死ぬ事を前提にして吐き散らしている。迫力が違うし、何よりも物凄い殺意に満ちていた。
「・・・・」
もはや何も言い返せない。そう、各国のMD(ミサイル防衛)はまだ検証段階で、迎撃など出来ず、結果的に何億人かは死んでいただろうし、さらにセレス海から流れて来る独特の季節風と大西洋の季節風で濃度が濃い死の灰、死の雨が世界各地に向かって舞い上がり飛んで行ってしまっていただろう。暫くの後、セツナが口を開いた。
「それにな・・私は軍人が10人死のうが、100人死のうが、千人死のうが、1億人死のうが、1兆人死のうがそんなの知らん!!!ただな・・ただ、この闘争に大して関係ない民間人が死ぬのは、見ちゃいらねぇんだよ!!!!」
fin

第三十話:戦いの果ての戦い

6月6日 デインズマルク ベルカ首相官邸 14:42
「そろそろ、限界だな。あいつ等も空母[リュウジョウ]に着いた頃だろうけど」
首相官邸の首相執務室で今も尚、抵抗を続行するセツナ。アサルトライフル類は揃って弾切れ、拳銃も残り30発ほどだ。空母[リュウジョウ]とは試験航行を兼ねてノースポイントから来た軽空母で、旧海軍空母「龍驤」の設計図を元に再設計、最新イージスシステムを搭載、高い防空能力を持つ防空、対潜、対艦空母。二番艦に「ソウリュウ」が建艦中。今回のラストバタリオンの軍勢の約三分の一を運んで来た。パイロットが精神的に着艦を楽にする為に、飛行甲板・カタパルトの下に艦橋があるが、この艦橋の防音能力は100m位上空でソニックブームが起きても、ジェットエンジンが5000m程はなれた所で聞こえるのとほぼ同じ位なのだ。
「奴等ももう痺れを切らしてるみたいだからな・・・」
敵軍は何とか正面玄関まで来たが、クレイモアのワイヤー切除に時間を掛けている。せいぜい15分と言う所だ。
「・・・・例の計画書・・・通ったかなあ」
ギッと椅子に深く腰掛け、フト思いにふける。計画書――今後のノースポイントに対する行動への具体的な意見書と2001年制式化を目指す更新の遅い89式に変わる64式小銃を全て更新する低コスト・高性能新式多目的用小銃、ステルス戦闘機「心神」の再改造設計図・性能要求書、零式奮進弾の改良計画書、新たなCQB技術、対テロ攻撃対応戦闘術etc、etc・・・だ。一介の一佐の意見だがラストバタリオンの初代実戦指揮官なら如何にか通りそうな物だ。
「7発の核は、起爆するだろうなぁ・・・結局、止めらん無かったか」
核兵器99発の内93発は報告通りなら破壊、水没処分で再使用不可になった筈だ。だが不明の七発は行方は解らず、使用を許す結果になる。とは言え、北半球壊滅・核の冬による閉鎖は現状では有り得無くなった事は大きい。
「・・・まだ、死ねないな・・奴等を、徹底的に殺すまではな・・・」
外を眺めながら呟いた。そう、この戦いの次には「国境無き世界」との決戦があるのだから――
ドカッ!!
「フリーズ!!(動くな!!)」
下手なオーシア語と共にベルカ兵達がG3を手に突入してきた。
「やあ、招かれたお客さん。良い景色だねえ、ここは」
親しそうに声を掛けるセツナ。隊長格らしき老いたベルカ兵は驚きの顔をした。
「な!?ば、馬鹿な!?・・・ローザさん!?そんな馬鹿な!!あんたは・・あんたは10年前に死んだんじゃあないのか!?」
その台詞を吐き終えるか否かの時、南から強烈な太陽の光とも言える光が、あとから轟音がやって来た。
「始まったな・・・ホ・ロ・ビが」
ニヤリとしながら椅子から立ち上がった。
「う、動くな!!」
ベルカ兵が銃を構えたがセツナはそれよりも早く黒き風の様に割れた窓から飛び出ていた。
「お、追えー!!逃がすなー!!」
ベルカ兵が無線に叫んだ頃には既に視界から消えていた。
「顔はローザさんにそっくりだったが・・・声は流だった・・・まさか・・・いや、あいつだって行方不明の筈だ。生きていたなんて聞いていないし・・・」
老いたベルカ兵はブツブツと言っていた。
「何が正義だ・・何が正統だ・・言ってる事もやってる事も全て悪だろうがッッ!!」
セツナは南に全力疾走しながら、ギリギリギリッッと歯軋りしてこう呟いた。

スーデントール最前線 1505
「何てこった・・・・・」
オーシア兵士は核爆発を眺めながら呟いた。偶然物陰に居たため核の爆発で火傷もせずに済んだが、体がだるく、銃で体を支えていた。自分でも気付いていたが、放射能のシャワーを既に浴びているのだ。周りには多数の火傷者と同じくだるい人間が多かった。
「て、敵襲ーーッッッ!!!!!!!」
誰かの大声が聞こえた。咄嗟に銃を構え、敵の居る北に向け。体を伏せた。だが銃弾は飛んでこない。
「何だ?・・・な、なあッッ!?
其処にはライフルに銃剣を付け、血をあちこちから垂れ流しながら突っ込んで来るベルカ兵だった。
「う、撃てぇ!!撃って撃って撃ちまくるんだぁ!!!」
誰かが叫び、その直後ありとあらゆる銃火器が火を吹き、戦車砲や迫撃砲、滑空砲、対空機関砲も応戦を開始した。
ドン!!グワッ!!ダダダダダダダダダダ!!!!!ダカカカカカカカカカカカカカカ!!!!ドガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!ドウッ!!!ドタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!
だが、数千単位のベルカ兵を止めるには至らず、あっちこちで白兵戦が始まった。
「グハア!!」
「だ、誰かぁ!!援護をぉ!!!」
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
「た、助けて・・た、たすけ・・ひっ!!ヒギャアアアアア!!!」
「スコット!!しっかりしろ!!おい!!・・う、うあああああ!!!GYAAAHAAAAAHAAAAAAAAAAHHAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」
「う、うあ・・・や、やめろぉ!!!!落ち着け・・おい、冗談じゃない・・ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「止めてくれえ・・ゴフッ・・ゲフッ・・・もう、止めてくれ・・・ガハア!!」

狂った相手には並の白兵戦ではあまり歯が立たなかった。まさに地獄・・・・・・・・いやむしろ地獄でもまだかわいい物だ。これが様々な前線で行なわれた。セツナが言ったホロビとはこれだったのだ。地獄でも滅びでも無く、何よりも強いホロビ。今のセツナにはほんのちょっとの事しか出来なかった。それは・・・
「ヒッドイ風景ダナ・・・」
「ああ、まったくだ」
前線基地から500M東の小丘に対NBC装備を万全にし、偽装している90式戦車・89式装甲車をも含む約二個機動小隊がそれを眺めていた。
PIPIPIPIPI
「指令だ。征くぞ!」
隊長格の男は命令を下した。と同時にこの二個小隊は戦闘地域に突撃して行った。
タタタン!!タタタタン!!パン!パン!ドン!ドン!グワッ!!!パパパン!!!タタタン!!
機動展開をしながらも正確に狂っているベルカ兵を撃ち抜いて行き、ベルカ兵に反撃の隙を与えずに効果的なヒットアンドアウェーをして行く。彼等も「SOG」通称ラストバタリオンの隊員達だ。
「まったく・・慌てずに戦えば良いのにねえ・・これだから数を物に言わせる大国の軍隊は・・・」
彼等はWAIRの隊員達で、ゲリラ戦、対ゲリラ戦、電撃戦のエキスパートたち。彼等は正確な射撃をしながらも慌てて後退もままならないオーシア軍やユーク軍に飽きれていた。
「もう、大軍の時代は終わった。今は一騎当千の兵をより多く持つものが勝つ」
古い思想かもしれないが、大軍ではすぐに素早く動き回れる小規模の部隊には対応出来ないのだ。それは戦場が野戦よりCQBを大きく意識しやすい市街地、うっそうとした森林、室内での戦闘を想定しているノースポイント陸上自衛軍上層部の議論の結果だった。月月火水木金金の勢いで訓練し続ける自衛軍ならではの戦術だ。彼等の強靭な体力、精神力はこんな状況でも落ち着き払っていた。
「う~ん、やっぱり動きずれえな・・」
軽装甲機動車に乗る隊員が言った対NBC装備+セラミック防弾プレート入り防弾チョッキ+対陸戦装備なのだからメチャクチャ重い。
「我慢しろ。それより早く撃て」
隣の兵士も重さに耐えながら89式小銃で狙い撃ちをする。
「これらが実戦ねえ・・訓練のほうが10倍キツイわ」
笑いながらも敵兵に発砲する隊員達。勿論この笑いは嘲るのではない、余裕の笑みだ。ハイパーレンジャー隊員が三分の二を占める「SOG」の訓練はあまりにも厳しすぎて実戦が緩く感じるくらいだった。
「5ヶ月潜伏訓練とか、近距離機動射撃訓練とか・・色々あったけどさあ。実戦が一番楽だねえ」
運転席でカーレーサーもびっくりの素晴らしいハンドリング捌きを左手でしながら運転する隊員も9mm機関拳銃を右手で車外右に発砲しながら余裕の表情を見せる。
「対戦車ミサイルやロケット弾なんて掠りもしねえじゃん。基地施設が邪魔してさ」
車上で状況報告とM249によって射撃をしている兵士も余裕そうな声を出す。機動戦闘では彼等の右に出るものは居ない。90式戦車にはSOGではなく教導隊がやっているが、此方もべルカのレオパルド2等の機動主力兵器を上手く撃破していく。誰も想定しなかった援軍はたった20分戦闘したけで引き上げたがその頃には連合軍が反撃体制を整えていた。

fin

 

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