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第十二話:フトゥーロ運河③

フトゥーロ運河中央部 ケストレルCIC 12:19
≪イーグルアイより作戦中の全軍へ、ラウンドハンマー作戦の成功を確認≫
イーグルアイからの報告で歓声が湧くはずのCICはそんな事は出来ない状態だった。
「右舷より敵機!対艦ミサイル発射!!ファランクス!給弾急げ!」
「左舷より接近中のミサイル!11時方向、距離150メートル海面に着弾!」
「!僚艦フランク被弾!・・・フランクより入電[ワレ コウコウフノウ ケストレルノ ケントウヲ イノル]です!」
艦長のウィーカーは歯軋りした。まだ半分だぞ、と
「此方ケストレル!航空機部隊は何をやっているんだ!!」
≪此方ガルム2!ネガテイヴ!敵が多すぎる!もう少し持ってくれ!≫
≪此方チェイン!ネガテイヴ!!もう槍もないし、残弾も!≫
例のガルムの二機は二機のsu-27に足止めされているし、他もほんの一握りの部隊しか敵攻撃隊への対処が出来ていない。
「・・本気で通すつもりは無い様だな・・・」
ウィーカーは半ば諦めていた。すでに、不発の一発が突き刺さって、そこから浸水し僅かに傾斜している
≪こちらミーテイア!敵機が2機!そっちに行ったぞ!クソ!!ミサイルアラート!≫
まるで本艦に止めを刺すように二機がやってきた。
(終わりか・・・)
敵から対艦ミサイル4本が発射された。2本迎撃したが、防空網をねって敵ミサイルは接近してくる。迎撃――不能
俯いたその時だった。
グワッ!!
突然ミサイルが爆発したのだ。
「!?!?!?」
誰もが艦隊が迎撃したものと信じ込んだが、違った。
≪ふう・・危ない危ない・・此方デスサイズ、敵対艦ミサイル撃墜2≫
明るい未塗装の超々ジュラルミンの日の丸をつけたファントムが艦隊ギリギリで迎撃したのだ。
(馬鹿な・・・!いくらなんでもこの砲火に突っ込んでくるなんて)
ウィーカーは驚愕の色を隠せなかった。第3艦隊の全力迎撃の中を何の躊躇も無く突っ込んでくるなんて信じがたいのに。

フトゥーロ運河中部 艦隊より東に2キロ地点上空 12:20
≪ふう・・危ない危ない・・此方デスサイズ、敵対艦ミサイル撃墜2≫
ピクシーは旋回機動を取りながらも周りの状況を把握していた。
(対艦ミサイルを撃墜!?馬鹿な!?)
いくら大柄な対艦ミサイルとは言えど、撃墜は至難の業だ。驚いている間に機動が鈍ったらしい。ミサイルが襲ってきた。
「ぐっ!しまった!避せない!?」
すぐにフレアを出すが、ミサイルは確実にピクシーの機体に迫った。
グ、グワン
後方で二回爆発が起きた。と同時にミサイルアラートは鳴り止み、ロックオン警報も消えていた。
「何だ!?」
後ろを振り返ると追ってきた金色のsu-27は片翼が吹き飛び、きりもみになって落ちていき、ミサイルも爆散していた。
ド・ドオン・・
少し遠くでも同じような爆発が起きた。相棒の方だ。
「相棒!大丈夫か!?応答しろ!」
もしやと思い、相棒に問いかける。
≪・・・私は大丈夫。そっちは!?≫
相棒の声を聞きほっとする。
「ああ・・・でも一体何が・・・」
キョロキョロと辺りを見渡す。が何も見えない。レーダーにも反応は無い。
≪・・・そちらは、円卓から帰った二機ですね?≫
突然、一機のファントムが1番機の所を占位する。
「ああ・・そうだが?」
≪まったく、あの噂は嘘だったんですか?あの程度の相手に苦戦するとは到底思えないのですが・・・≫
答えるのと同時に、若いピリピリとした声がやってきた。
≪!?日の丸!?≫
相棒が驚きの声を上げた。
(日の丸だと!?あの!?)
自身も驚いた。何言ったって、すでにゲルコニス・ラウンドハンマーに参加している筈だったのに何故コスナー作戦に参加しているのかが解らなかった。
≪とにかく、今は全力で艦隊を守りましょう。≫
若いパイロットに促され、機を敵攻撃機に向けた。

フトゥーロ運河中部 艦隊より西に3キロ地点上空 12:21
≪こちらミーテイア押されてる!援護を!!≫
友軍からの救援要請、すぐに急行する。
「・・・ターゲット2機確認、援護目標、藍色の制空迷彩の主翼と尾翼に白いラインのF-15C。」
目標を捉える。そこには2機のF-20と一機のF-15がいた。丁度自機が横から突っ込む感じの状態だ。
≪ミサイルアラート!もう駄目だ!!≫
一発のミサイルがF-15を捉える。
「・・・・堕ちろ・・・」
ミサイルに照準に合わせ一瞬だけトリガーを引く。一拍置いてまたトリガーを引く。
ヴァ・・ヴァアアアアア
バルカンが火を吹いた。と同時に一気に三つの火球が出来たかと思うと、一気にミサイルが起爆し、敵機二機の片翼が吹き飛び、パイロットが脱出した。
「・・・撃墜2・・・無事ですか!?」
F-15に寄り添って聞いた。
≪やれやれだぜ。助かったよ・・・。日の丸さんよ≫
相手のパイロットがほっとしている様子だ。
「今は、艦隊の護衛が先です。安心するのはまだ早い」
注意する。するとこう返してきた。
≪日の丸さん、事を急ぐと元も子も無くしますよ≫

フトゥーロ運河中部 ケストレルCIC 12:22
「踏ん張れ!!空の戦士達の奮戦を無駄にするつもりか!!」
ウィーカーは隊員達を叱咤激励した。
≪行ける!行けるぞ!≫
僚艦からも自らを叱咤するように言い聞かせてる。皆、一生懸命だ。
≪もうすぐだ!もうすぐ突破できる!≫
≪撃て!進め!もう少しだ!≫
「全艦機関最大戦速!!此処を抜けるぞ!!」
≪行けぇ!!遅れるなぁ!!≫
≪そうだ!進め!敵戦列を散らせ!!運河を抜けるんだ!!≫
≪被弾を恐れるなあ!!前だけを見ろ!≫
全ての僚艦から喚起が湧き出ているようだ。
後―――――1キロ!!

フトゥーロ運河中部 ケストレルCIC 12:24
「抜けた・・・」
誰かが言った。
「・・・此方ウィーカー!!我が艦隊は運河の通過に成功した!!航空部隊の諸君!!支援感謝するぞ!!!」
ウィーカーは叫んだ。感動のあまり抱き合う隊員もいる。
この運河にいる全軍が喚起と歓声と喜びにに包まれた。

4月24日 12:24――この日、この瞬間。初めての反抗作戦が成功した瞬間だった。
だが、その中ですすり泣きする声が聞こえた。セリーヌ曹長の特徴のある声
(セリーヌ曹長?まさか・・・)
マクベス隊に接近すると、傭兵の一部が何か言っていたようだ。だが、マクベス隊の誰かが死んでないのなら気にしてられない。すぐに次があるから―――

fin
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第十一話:フトゥーロ運河②

フトゥーロ運河南部 オーシア第三艦隊上空 12:00
「此方デスサイズ。イーグルアイ、着艦許可を願います」
セツナはAWACSに言った。流石に許可をもらわないと着艦は出来ないのだ。
《イーグルアイからデスサイズへ、着艦を許可する》
許可をもらい、着艦体勢に移行する。
《一機降りてくるぞ!退避!!》
ケストレルの甲板員が着艦コースから退避していく。
「3・・2・・1・・タッチダウン!!」
ギュッとランデングフックがランデイングワイヤーに引っ掛かる音がして、140ノットの失速域の機体は制動した。
《ナイスランデイング!直ちに燃料・弾薬補給を実施する!》
「了解!」
<<ミッションコンプリート、ネクストミッション・敵艦船への対艦攻撃その後、艦隊防空>>
AI[エースストライカー]から報告を受ける。
「了解・・5分で燃料と機関砲弾をつんでくれ!」

フトゥーロ運河 ケストレル甲板上 12:05
《デスサイズ、クリアード・フォー・テイクオフ》
射出指揮所から離陸許可をもらい離陸する。
「了解、デスサイズ行きます!」
宣言すると同時に、最大出力までスロットルを上げる。
「グッ・・」
射出のGに耐えながらも、操縦桿を引いた。
高度3000フィートで友軍機編隊と合流し、北に向かう。ラファールM1機とF/A-18E4機、su-325機の編隊が近づいてくる。どうやらオーシア・ユークの対艦攻撃隊のようだ。その他には、敵艦隊上空の掃討を担当するマクベス隊のF-14AとサピンのドラケンとラファールMのエスパーダ隊だ。
対地攻撃隊はユークのメテオロール隊Su-32、8機とオーシアのウィザード隊F-16XL8機だ
《イーグルアイより各機!これ以上奴等を集結させるな!攻撃開始!!》
イーグルアイが戦闘開始を宣言した。

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 ベルカイージス艦CIC 12:08
「敵編隊約25機捕捉、方位1-8-0、距離40キロ、速度650マイル、高度2500」
レーダー員が報告する。
「対空戦闘用意!!ESSM!諸元入力開始!」
砲雷長が下令した。どんどん復唱させる。
「来たな、連合軍め、思ったより早いが問題ない、この運河は通さん!」
艦長が舌なめずりをした。
「ESSM!諸元入力完了!」
隊員が叫んだ。
「よし、ESSM!発射始めェ!!」
砲雷長が下令した。
「後部VLS!ESSM!発射ァ!Salvo!!」
ズ、ズンとミサイルが発射された。

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 12:10
「来た!約50基!」
セツナの機のIRSTはミサイルの数を克明に記していた。
《何!?うお!本当だ!!》
他の機がチャフを散らし、回避運動を取り始めた。
≪N・O・Eに移行せよ≫
エースストライカーが命令した。
「了解」
超低空に移行する。ミサイルは確実に近づいてきた。
<<4秒後に急上昇せよ>>
また命令し、それに従う。
「3・・2・・1・・NOW!」
一気に上昇する。と同時に衝撃波が襲ってきた。海面に着弾したのだ。
<<回避成功、損傷無し、友軍損害、対艦攻撃隊、2機。対地攻撃隊1機。制空隊の損害は0>>
エースストライカーが損害を報告する。舌打ちしながらも低空高速飛行に移る。
「エースストライカー、敵軍で最も厄介な奴は?」
<<敵艦隊最後部、敵イージス艦。現状での撃破可能の可能性、0.5%>>
歯軋りをする。
「エースストライカー、現状でイージスを確実にしとめる方法は!?」
<<超低空のままマッハ2で突入、距離500で対艦ミサイル二発を放つのみ、ただし被撃墜の可能性、80%>>
「20%もあるなら十分だ」
軽く笑みがこぼれる。スロットルをマックスにし、突入体勢に入る。積んでいる対艦ミサイルはオーシア製ハープーンミサイル。すでに友軍は一部は対艦ミサイルを放ち2~3隻、潰していて、友軍第二陣が攻撃態勢にあった。次の瞬間、聞きなれないオーシア語が聞こえるのと同時にオーシアのラファールから対艦ミサイル2本が放たれた。
《Rest In Peace・・・》
(安らかに眠れ・・・か)
そのミサイルは迎撃の網を交わし、最後列の巡洋艦2隻に命中し対空火器の殆どと艦橋を吹き飛ばした。だがそれでも敵の砲火は衰えなかった。
「マッハ1.8・・これだけあれば十分!」
敵艦隊まであと―――5キロ

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 ベルカイージス艦CIC 12:12
「敵一機!突撃してきます!」
隊員の一人が悲鳴のように叫んだ。
「何!?ミサイルの迎撃が忙しいってのに!」
副長が叫んだ。
「て、敵機の目標は本艦です!!」
レーダー員がまた叫ぶ。
「何だと!?」
砲雷長は思わず叫んだ。
「クソッ、トラックナンバー2-4-0-5、主砲!撃ちー方始めー!」
「主砲、撃ちー方始めー!!」
発砲を下令する。

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 12:13
「・・・・・」
目の前の目標から砲弾が飛んできて、さらに他の駆逐艦の対空砲も一気に火を吹く。
(・・・何千発の機銃弾の中でも当たる時は当たる、当たらない時は掠りもしない・・・・)
昔、父親に教えてもらったことを頭の中で復唱する。
「・・・・」
目の前で砲弾が炸裂しても、曳航弾が目の前に来ても動じない。ただ目の前の目標を睨み続けるだけ。
(もう少し・・・)

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 イージス艦CIC 12:13
「だ、駄目です、間に合いません!」
隊員が悲鳴を上げた。
「まだだ!CIWS!!AAWオート!!」
砲雷長はCIWSを発射させた。
「ヒ、日の丸・・・し、し、死神・・・・・」
船外監視モニターには一機の日の丸をつけたファントムが何千発の機銃、砲弾の中を疾走して来る姿があった。CICの人間、いやこの艦の乗員にとって死神に見えたのだろう。
「カ、カ、カ、カミカゼ!?」
副長は最悪の事態を想定した。

フトゥーロ運河北部 ラウンドハンマー作戦空域 12:13
<<発射せよ>>
エースストライカーから命令が下るのと同時にトリガーを引き、操縦桿を左斜め手前に倒した。
《――――死神――――》
命中の直前に無線からベルカ語でこう聞こえた。
その後ベルカ軍の攻撃は一気に弱まり、12:18にはほぼ沈黙した。

第十一話:フトゥーロ運河①

4月24日 ウステイオ クレスタ基地 ブリーフィングルーム 06:50
「・・・以上がこの4101号作戦の概要だ。質問は?」
4101号――この作戦は、オーシア、サピン、ウステイオ、ユークトバニア(大陸遠征部隊)の4ヶ国の軍を統合した「連合軍」が行う、初の大規模作戦である。目的はフトゥーロ運河の海運確保であるが、そこには最新空母「ケストレル」が参加する。4101号は「ゲルニコス」「ラウンドハンマー」「コスナー」の三つの作戦で構成される。セツナが手を上げた。
「三つの作戦に全て参加するというのは無しですか?」
司令は少しポカーンとした。作戦時間は順調にいって1時間半、悪けりゃ3時間はするだろう。
「三尉、燃料が持たないから、一つの作戦にしろと言っているんだ。」
質問に答える。が
「何のための空母ですか?燃料補給してくれれば十分です。それに命令系統が統一されたんだから、現場指揮官のAWACS[イーグルアイ]が一言言えば十分でしょ?それに艦載機乗りは私以外にもUAF(ウステイオ空軍)にも沢山いますよ」
と反論された。
「まあ・・・それもそうだが・・・他には?」
司令は口ごもった。

ウステイオ クレスタ基地 野外駐機所 07:45
「いや~あんな司令、はじめて見たよ」
ネクサス・ラグゼ・ステラは愛機の様子を見ながら、セツナに話しかけていた。
「君、ネゴシエイターをやったらどうだ・・って、無視ですか~」
セツナはAIの様子を見ていた。
「今日も宜しくな・・・・相棒」
<<スタンバイ・レデイ>>
無機質な機械音声が無線レシーバーから出た。
《ローレライより各機へ聞こえますか?間もなく離陸しますよ》
《こちらトライデント隊よく聞こえる》
《こちらワイバーン、オールクリア》
《こちらROY SHLANG、よく聞こえます》
《エクスクルード隊、全機、感度良好》
《サンダー1無線感度良好!》
《シグマ1全てOKだ》
《フェンリル隊、感度良好、まったくシン・キチは給料がいいヴァレーなんかに行くなんてな》
「・・・此方デスサイズ、無線感度悪し。途中で置いてかないでくれよ、こっちは増槽2本、対艦ミサイルが2本、対空ミサイル4本、対地爆弾6個+機関砲弾積んでるんだからな」
<<此方ローレライ了解、デスサイズ、ほんとに三つの作戦に参加するつもりですね>>
やり取りを終え、離陸を開始する。次から次えと離陸して行き、自分の番が回ってくる。
「離陸を開始する。・・・・V1・・・・VR・・・・・V2!」
重い機がゆっくりと飛び上がる。目標は―――フトゥーロ運河

フトゥーロ運河 ゲルコニス作戦空域 11:40
<<ターゲット、捕捉。目標・左翼対空車両、左翼ジャマー施設。全目標破壊後、敵航空機の排除>>
無機質な音声が接敵と作戦目標を伝える。
「頼むぞ、相棒・・・デスサイズエンゲージ!」
《上は任せろ!トライデント隊エンゲージ!》
《同じく上は任せてください!ローレライエンゲージ!》
《此方ワイバーン!下のことは任せろ!エンゲージ!》
《此方レックレス!対地は好みじゃない、まかせたぞ!エンゲージ》
《ミグがいるみたいだな。よし上は任せろ!クロス隊エンゲージ!!》
《イーグル1よりイーグル隊各機へ傭兵に遅れをとるな!イーグル1エンゲージ》
《ブレイズ1よりブレイズ隊各機へ、ウオードッグ隊・ソーサラ隊と連携して対地攻撃を開始する!いいな!ブレイズ1、エンゲージ!》
《ウオードッグリーダーより各機!特にブービー!遅れるなよ!!ウオードッグエンゲージ!!》
《ソーサラ1より各機へ傭兵連中に遅れをとるな!ソーサラ1エンゲージ》
《オーシアの連中に遅れをとっちゃまずいな。ユーク海軍の実力を見せてやる。ファング1エンゲージ!》
《とんだ貧乏くじをひいたようね、私って不幸なのかしら・・まあいいわ、ドルチ隊エンゲージ!》
《レールガンの実力、試すにはもってこいだな。お前らの狂気を見せてみろ!グルグス隊エンゲージ!》
《それじゃいっちょ行きますか!オービット隊エンゲージ!》
ゲルコニス作戦機全機が交戦を宣言し、戦闘が始まった。先に火蓋を切ったのは、イーグル隊とトライデント隊だった。集結中のベルカ機の上から覆いかぶさるようにトップアタックを仕掛け、さらにローレライのグラム隊とクロス隊そしてファング隊が下方から仕掛けて、固まった所にドルチ隊とグルグス隊そしてレックレスが真正面から攻める。誰の指揮も無く、華麗に、正確に、そして速い連携攻撃。その後各機はそれぞれの技量のかぎりを駆使して格闘戦に入った。
対地攻撃隊も負けてはいない。運河・右翼攻撃隊のソーサラ隊が敵を引き付ける間に一気にブレイズ隊が機銃と爆弾で仕掛け、残った敵はウォードッグ隊がミサイルと機銃で攻める戦法を取っている。
左翼はワイバーンがロケットと機銃で適当に掃射して、シンキチとオービット隊がワイバーン周辺の掃討を担当している。
「[エースストライカー]、左翼・第二陣対空車両を相手するぞ」
<<アタック・レデイ>>
爆弾に装備を切り替え、降下角度70度の急降下爆撃を仕掛けようとする。が、対空機銃が火線を張り対空ミサイルが三本、飛んできた。
<<前方、敵ミサイル、迎撃可能。ガンアタック開始>>
「ラジャー」
バルカンに切り替えトリガーを引いた。と、同時に飛んできたミサイル3発が一斉に爆発した。真正面から来たミサイルに命中したらしく、それが誘爆したのだ。
<<撃墜確認、損傷なし。爆弾投下開始。>>
「了解、リリース」
爆弾に切り替え、トリガーを引きながら上昇に転じる。機体の腹から6発の250ポンド爆弾が切り離されるのを感じた。機が水平になるころに後方で爆発がおきた。
<<目標、壊滅。次の目標、左翼第1戦車郡。その後ジャマーの破壊>>
「了解」

フトゥーロ運河 ゲルコニス作戦空域 11:45
「チッ、レーダーが利かない!」
ファング1ことカザロフ大尉は舌打ちした。
《かなり強力なジャミングがあるみたいですね、まあこいつのお陰でBVRミサイルは来ないでしょうけど》
隣に並んだローレライことアクセルがこう言った。
《お二方!敵がまた来るぞ!》
イーグル1が警告を促す。と同時にミサイルアラートが鳴り響いた。
「くっ」
フレアを放出しながら左に急速旋回。ギリギリで交わす。
「やっこさん、しつこいな!イリーナ!ミサイルロック!!」
《もうやってる!》
「あいよ!FOX2!!」
右のパイロンから最後のサイドワインダーが飛び出し、突っ込んできたベルカのF-20を粉々にした。これで5機目。
《グッドキル!ファング1!》
《ドルチ1!FOX2!・・・よし!スプラッシュ1!4機目!》
空の戦いは押しつ押されつの状態になった。
「!?ジャミングが弱まった!?」
レーダーのノイズが少し緩和された。
《此方イーグルアイ、対地攻撃隊がジャマーらしき施設の破壊を確認、制空隊は長距離ミサイルに警戒せよ》
イーグルアイから報告を受ける。
《向こうが撃てるという事はこっちも撃てるって事ですよ!ターゲット捕捉、FOX3!》
アクセルが機体に積んであったフェニックスを放った。
「イリーナ!フェニックスを使うぞ!」
《了解!ターゲット捕捉!》
「ファング1より各機。撃ったら、俺に続け!FOX3!」
自機もフェニックスを放つ。他の友軍機も今まで足かせだったBVRミサイルを一気に北から接近する敵機に向け放った。

フトゥーロ運河 ゲルコニス作戦空域 11:55
<<目標郡、完全沈黙、護衛目標への危害の可能性、0%>>
「了解、ジャマーも壊したから大丈夫だな」
対地目標が全滅したため、対空目標に移ろうかとした時にAWACS から連絡が入った。
《敵航空機、壊滅。残りは撤収した模様。ラウンドハンマー・コスナー作戦開始時刻は12:05だ、どうやらコスナー作戦機の奴等とラウンドハンマー作戦機の一部が遅れているようだ。ゲルコニス作戦機は艦隊の支援に回ってもらいたい》
そこで傭兵達からブーイングが起きた。
《おいおいおいおいおい、ちょっと待った。何で早める必要があるんだ!!》
そこでイーグルアイはこう言った。
《艦隊の護衛に回れば、報酬は倍だが?》
ブーイングは一瞬で収まり、歓喜の声が上がった。

FIN

第十話:謎の組織・2

4月21日 ウステイオ クレスタ基地 野外駐機所 12:40
「・・・う~ん・・・」
セツナは今、携帯と睨めっこしている。
「どうしたんだよ」
整備員が声を掛けてくる。
「この暗号が解らなくて・・・ほら」
携帯の画面を見せる。そこには『-』と『・』で構成された文である。
「んー?こりゃモールスかもなあ。・・・おっと、整備長にどやされる」
整備員はこう言うと作業に戻っていった。
(モールスなのかなあ。やっぱ)
そう思うと、資料室に歩いていった。

4月20日 ウステイオ クレスタ基地 資料室 13:00
「えーと、モールス・・モールス・・・あった」
インターネットで検索してようやく見つけた。
(モールス信号の内容・・・習ったのに、なんでド忘れしてたんだか)
そう思いながらも、内容と照会を始める。15分後にようやく解いた。
「よし、おわりっと・・・えーと何々?」
その内容は―――

ベルカ ??? ??? 13:40
「まだ始末できていないのか?」
カプチェンコは苛立ていた。
「ハ・・しかし、奴の所在地を割り出しました。空で殺るよりも簡単に済みそうです」
若い士官は答える。
「フン!よく言うな!!2回も失敗したくせに!まあいい、そこに一個分隊を送れ、ただし、生かして捕らえろ!そしてそこの関係者に気取られるな!その後はディレクタスまで送ってこい!期日は3日だ!」
カプチェンコはそう言うとすぐに若い士官を下げた。
「・・・ウステイオめ、連合軍などと組みおって・・・!」

4月21日 ウステイオ クレスタ基地付近 16:00 
「フワアア・・・眠い・・・」
雪解け水で濡れている草原の上に寝転がり、目蓋を閉じた
「はあ・・・所詮モルモット、か」
暗号の中身にはこうあった。
[このメールを見ているということは君はまだ生きてるな、今回は君へのプレゼントだ。今度のFXは純国産の機体と言う事は知っているな?そこで戦地にいる君にテストを兼ねての新型AIプロトタイプを送る。これは元はといえば、「心神プロジェクト」の一環で、搭乗員の支援のためにあるが、実際に搭載するとなるとかなりデータ処理に負荷がかかる。このプロトタイプにはカスタマーが出来るようになっていてさらにリミッターがついてはいるが最大限注意してくれたまえ。 NSDF技研本部 兵器開発部部長 ヒヤマ ショウ]
「一眠りしよ・・」
そのまま眠りにつこうとした。
「!?殺気!?」
身を翻しあたりを見回すが、人影は見えない。
(何処だ?・・・!)
地中から周囲を囲むように兵士が5人出て来た。男が3人女が2人
「何者だ!!」
リーダー格らしき女にそう言うとこう答えた。
「来て頂けないかしら、NASDFの坊や?」
次の瞬間一斉に襲い掛かってくる。とっさに銃を構えたが蹴飛ばされた。
「くっ」
転がり囲みから出る。
(クソッ。こいつら特殊部隊の訓練を受けている!戻れば最悪、基地の誰かが死ぬ!)
そう考えながら。次に一手を考えていた。
「逃げ出さないのね。良い覚悟してるじゃない・・・」
2人が一斉にナイフを片手に走って来て切り刻もうとするが、間一発で交わす。
(野郎!!)
交わしながらも、一人にこめかみに右ストレート、もう一人にはハイキックで倒す。
「へえ、なかなかやるじゃない。行きなさい」
また二人かかってくる。しかも息が合っている。二度三度と交わすが五撃目にとうとう捉えられた。
「ぐっ」
右腕を軽くを斬られた。激痛が走るが、交わすことに集中した。
「何時まで逃げられるかしら?フフフ」
リーダーの女は笑っている。
(いい加減にしろ!!)
一人の腕を掴み、無刀取りでナイフを奪い、もう一人の足を切りつけて掴んだ奴は腹に膝を食らわす。無論倒した全員は気絶はせず、最初に倒した奴はよろけながらようやく立ち上がろうとしていた。
「あらら、倒されちゃった。でももう逃げられないわよ?」
そう女は言うと指を鳴らした。次の瞬間、また地中から5人現れ、セツナを捕らえる。
「なっ!?放せ!」
「さ、坊や。行きましょ?」

ウステイオ ディレクタス ??? 19:00
「う・・ん」
ゆっくりと目が開く。
「おはよう。坊や」
また女の声がした。椅子に座らされ、両手両足は縛られ、上半身裸の状態である。
「こ・・こ・・は?」
薬も使われているようで、ろれつが回りにくい。
「拷問施設ってとこかしらね」
女が質問に答える。
「な・・に・・がの・・ぞ・・み・・です?いの・・ちです・・・か?」
こう聞くと相手はこう述べた。
「まずは情報、ね。その後思う存分に楽しませてもらうわ。若い男なんて久しぶりよ。フフフ・・・」
そう言うと注射器を取り出し、中に透明の液体を入れる。
「自白剤よ・・たっぷり頂きなさい・・・。」
腕の静脈に針を入れる。
「キ・・サ・・・マァ・・・!」
抵抗を試みるが、体はぴくりとも動かない。
「無駄よ・・・大丈夫、ちゃんと最期まで世話は見てあげるから。ウフフ・・・」

ウステイオ ディレクタス ??? 23:00
「しぶといのね・・・自白剤が効かないなんて、しかもこんなに殴ったり、叩いたりしても吐かないのは初めて・・・」
女は疲れきった声を出した。
「フ・・フ、これ・・でも・・き・たえて・・るんだ・か・・ら・・」
ボロボロの状態なのに、まだ余裕が見られる。
「でも、明日にはちゃんと吐かせてあげる。今までとは違ったやり方で・・・フフフ」
そう言うと女は出て行った。
(行ったか・・・!)
「ガハッゴホッ・・・・ハッ・・ハッ・・ハッ」
突然血を吐き出す。肉体が悲鳴を上げていた。だんだん意識が遠のく。
(こんな所で・・!)

4月22日 ウステイオ ディレクタス ??? 04:00
「う・・・」
目が覚めた。
「おはよう、坊や。傷が痛むかしら?」
またあの女だ。確かに痛いが慣れてきていた。
「足だけは自由にしてあげる。Drの命令には逆らえないからね。」
(Dr・・・?)
足の縄がほどかれる。
「さて・・拷問のやり方って何通りあるか知ってる?」
女が問題を出す。
「三通りでしょ・・・一つ目は・・薬、二つ・・目は、痛み・・三つ目は・・快楽で吐かせる・・・んでしょ・・う」
答えを言う。
「ピンポーン!正解でーす!まあ、三つ目は本当の最終手段だけど、大抵その前に死んじゃうからね。」
にっこりしながらこう言うと、また詰問を始める。
「じゃあ、これが最後の詰問。これで言わなかったら体に聞けばいいんだからね。・・・貴方は何故、いや何のためにここにいるの?」
これで20回目の同じ質問。
「だ・・か・ら、何・・・度も・・・言わ・せないで・・下さい・・よ。私・・・自身の・・独断・・・でウステイオ・・の解放・・・・を手伝う・・ためにいるん・・・ですから」
また20回目の返答。
「・・・聞いても無駄か・・・じゃあ、これならどう?」
そう言うと生傷を舐め始める。
「・・ッッ!!~~~ッッ!!!!」
痛みがさらに倍増した。
「クスクス・・・気持ち良いけど痛いでしょ」

ウステイオ ディレクタス 09:00
「ハア・・・ハア・・・もの凄くしぶといわね・・」
女はもう疲労で限界という所まで来た。
「ハッ・・・ハッ・・・まった・・く信じて・・もらえ・・・ませんね・・・私が・・独断で・・・きたと・・いうこと・・を」
セツナもすでに限界である。女は内線用の電話を取り、こういった。
「・・・Dr、どうしますか?・・・ハイ・・・ハイ・・・解りました。」
やり取りを終え、またこっちに向く。
「Drは私に好きなようにしろ、だって・・・好きなようにさせて貰うわよ・・坊や」
そう言うと女は口にキスをする。
「なっ!?」
「私を満足させられるかしら?」
女はそう言うとベットまで運び、上から覗き込むようにしようとした瞬間だった。
(隙有り!!)
左足を上げ、女の首の横に膝を喰らわし、気絶させる。隠し持っていたナイフで腕の縄を切り解き、鍵を奪って部屋から逃げ出した。

ウステイオ ディレクタス基地地下より移動中 09:10
「此処はやはりディレクタス基地!だったら・・・!」
警備室からG3ライフルを盗み出し、備品室で耐Gスーツに着替え、適当に走っていたら、見に覚えある風景があった。
「おい!貴様!」
ベルカの警備兵に見つかった。
「ちいっ」
すぐにトリガーを引いた。ベルカ兵は2発の弾を頭と胸に喰らいうしろに倒れた。
「こりゃすぐにばれるな」
舌打ちしながらも階段を上り地上に出る。
「やっぱり!戦闘機が!」
そこには無数の戦闘機がずらっと並んでいた。すぐに人気の少ない所の機体を何機かチェックし、端っこのF-5Eに飛び乗る。
「よし、行ける!」
エンジンを始動させ、キャノピーを閉め、すぐにタキシングを始める。
「燃料は満タン、機関砲が弾数300か。油圧もOK・・・」
機の状態を確かめ、滑走路に着くが管制塔がギャーギャー言っているので無線を切って離陸を開始する。
「さあて大空へただいまだ!!」

ウステイオ クレスタ基地 滑走路 12:00 
「ハアアア・・・・やっと戻ってこれた」
大きな溜め息と共に安堵がこぼれた。もし20日のガルムのB7R強行偵察の影響で他のベルカ機は殆ど北に行っていたから助かったのだ。
「お!誰かと思ったらお前か!何でベルカ機なんかに乗っていたんだ!!冷や冷やしたぜ!」
整備員が詰め寄って来る。超低空で基地に入ってきて、レーダーには映らずに着陸したので。最初は何事かとあわてていたようだ。
「そういや、あんたが居ない内にこんなのが届いたんだが・・」
整備員の一人がそう言うと一つの手のひらサイズのカセットを取り出した。
(・・・もしかして、これがAI?)
「ああ、有り難う御座います。・・・ちょっと休ませてください・・・。」
そう言うと自室のある宿舎に歩いていった。

fin

暫く更新できません。

題名の通り、17日から27日まで更新不能となります。ご了承ください。
大会の結果・・・一位:68(52+16)(管理人) 二位:66(60+6)機(gekkyu様) 三位:60(54+2×3) (大鴉様)61(49+12)(hummer様)
55(53+2)(サンダー様)
です。ご参加有り難う御座いました。

第九話:真の敵

4月16日 ベルカ ガルテンブルク空軍基地 野外駐機所 17:50
「まったく・・・天候不良とウステイオ軍のお陰で二日も出れなかった・・・」
セツナは呆れた声を出した。ウステイオ軍の171線攻略とハードリアンライン、円卓の天候不良で二日も出れなかった事に呆れたのだ。地理上と政情的ににどうしてもハードリアンラインと円卓を低空飛行で通らねばならず、天候が悪いと、IRSTの性能が悪くなり、墜落しやすくなるのだ。
「あの時は済まなかったな・・・」
司令はセツナに謝った。もしセツナがラルド家の急所を掴んでなければ、二人ともこの世にはもういなかったのだ。
「いえ・・それに本格的に調べてくれたのは、ノースポイント総合防諜本部ですし・・・まあお世話になりました。では!!」
セツナはそう言うと機体に乗り込んだ。
「今度は敵同士か・・・」
司令はそう呟くと、セツナはこう返した
「そうとも限りません。また、仲間として会えますよ!」
キャノピーを閉めて離陸準備に入る。

??? ??? ??? 同時刻
「一刻も早くあのセツナというノースポイントの士官を殺害せねば、我々の作戦に障害が出ます・・・」
若い男がそう言うと老年の男が切り返した。
「いや、此処は奴を泳がせよう・・・むやみに動けば、オーシア・ユーク・ウステイオ等の連合軍にノースポイント・サウスポイントが加わる事になる・・・それよりベルカ公王の方は上手く行くのか?」
別の若い男がこう言った。
「はっ、それならもう手は打っております・・・」
それを確認した老年の男が少し声のトーンを上げた
「そうか、これでベルカは我が物だ」

ベルカ 円卓 22:50
「・・・ちょっと燃料に余裕があるな。小一時間は余裕がある」
セツナは残存燃料と残りのクレスタまでの距離を計算した。計算し終えるとすぐに機内の明かりを消す。
「あと3時間か・・・」
眠らないように、チューインガムを噛みながらも周りに目を回す。
「静かだな・・・来た時は別ルートだったから、こんなに静かだとはな・・・!?」
ザザッと無線が雑音を発した。とっさにオートパイロットを切り、ウェポンシステムを起動させ、IRSTを最大限使用しサーチした。
<<・・ザザッ、エマージェンシー!エマージェンシー!こちらケーニヒ1!現在戦闘機に追われているため救援もとむ!!繰り返す!・・・>>
(ウェル少尉の声!?何処だ!?)
エマージェンシースコークと無線をたどり位置を特定しようとする。とそこで別の無線が混線してきた。
<<くそ、あいつら岩の間に逃げ込みやがった>>
<<どうやらあのパイロット、相当出来るやつみたいだぞ>>
<<増援が来ると厄介だ。早いとこカタをつけるぞ>>
オーシア語を喋るということはオーシアのパイロットらしい。
(馬鹿な!!この日のこの時間帯は両軍とも偵察以外の出撃は無い筈!!本格的な戦闘なんて起きないはずだ!!)
セツナはそう考えると愛機を無線の方向へと向けた。勿論何が起こっているか確かめるためである。

ベルカ 円卓 23:00
「逃すな!追え!追え!」
オーシアのパイロットは旅客機を追い回していた。
<<チッ、ちょこまかと!!>>
僚機が旅客機をロックオンしかけている状態なのに岩を良く使って旅客機はかわし続けていた。
「こいつを落せば勲章なんてレベルじゃない、銅像が建つぜ!!」
<<それに加えて億万長者だ!こんなおいしい任務、他には無い!!>>
オーシアのパイロット達は皆、嬉々として目標を狙っていた。
<<・・・・黙って聞いていれば、一体何をしている!?そこのオーシア軍機!!所属と目的を答えろ!!返答次第では撃墜する!!>>
そこに、謎の機体が割り込んできた。
「ああ?誰に向かって口を訊いている?」
そうオーシアのパイロットが言うと、火球が一つ出来、空に散った。
<<「な!?」>>
オーシアのパイロットは何が起きたか解らなかった。
<<少尉、無事か!?後3分でベルカ軍の援軍が到着する!>>
<<三尉!?来てくれたんですか!?燃料は大丈夫なんですか!?>>
<<後5分位しか、ここに居る事は出来ん!>>
(三尉!?まさか噂に聞く日の丸とやらはこいつか!?)
オーシアのパイロットは混線を聞きながらこう考えた。
「おい、そこのパイロット!早く目標を落すのを手伝え!敵が来るのだぞ!!」
オーシアのパイロットはこう言った。が、このパイロットには最期の言葉になった。何故なら、オーシアのパイロットは次の瞬間には蜂の巣にされて、キャノピーには赤紫の脳漿と血の混合液がついた。

ベルカ 円卓 23:05
<<此方サラマンダー隊、ケーニヒ1これより援護する!>>
<<グリューン隊、ウェル、今から助けてやんよ!>>
「邪魔になりそうだな・・・さよならだ」
そうセツナは呟くと機を1-7-5に向けて遁走した。

??? ??? ??? 23:40
「おのれェ!!貴様らぁ!!何が手を打った、だ!!」
老人の声が部屋に木霊した。それに反論するのは、ベルカの若い高級士官であった
「は・・しかし、貴方様が迅速に尚且つ確実な、といったので、オーダー通り事を進めた結果、こうなりました」
だが、さらに老人は怒りをあらわにした。
「言い訳など聞きたくないわ!!この若造ごときに何が解る!!わしが直接動いてやるわあ!!」
それを咎めたのはドクターことアントン・カプチェンコだった。
「お待ち下さい閣下、貴方が今動いては一気に不利になります・・それにまだ時間はあるのです・・次の時を待ちましょう」
カプチェンコに咎められ、ようやく怒りを納めた。
「う、うむ・・・そうであった・・目先のことに囚われてはいかんのだ・・少し頭を冷やしてくるぞ・・・」
そう言うと暗い部屋から老人は出て行った。
「・・・ふう、これだから老人は扱いにくい・・・カプチェンコ、助かったよ・・・」
若い士官はそう言うと顔を洗いに出て行った。
「・・・あんな奴等に私の理想を邪魔されて堪るか・・・」
カプチェンコはそう呟くと、世界地図に手を添えた。

4月17日 ウステイオ クレスタ基地 野外駐機所 2:30
「やっと戻ってこれた・・・」
セツナはそう呟くと機体から飛び降りた。出迎えなど一人もいない。勿論、大半が眠っており、起きているのは管制塔とスクランブル待機との奴等と基地司令位だ。
「とにかく、司令室に行かないとな・・・」
そう言うと、セツナは司令室に歩き出した。

ウステイオ クレスタ基地 司令室 3:00
「よく戻ってきてくれた。君なら無事に戻れると信じていたよ。」
基地司令は喜びの声を上げた。
「いえ・・・171号線の件は聞いてはいなかったのですが・・・」
セツナは疑問をぶつける。
「あー、それか・・・でもね、敵地に行く作戦の人間じゃない人がそれを知っていたら、敵に教えてるようなもんだからね・・・済まなかったよ・・・ま、何はともあれ戻ってきてくれて助かった。ゆっくりと休みなさい」
「は・・・失礼します・・・」
セツナは敬礼をすると、すぐに退出をした。部屋に戻る途中、携帯のメール欄を見ると一件だけ届いていた。早速内容を見るとそれは特殊な暗号で作られていた。
「暗号・・・か、これは・・・一体何の?・・・」

fin

第8話:謎の組織

4月7日 ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 15:00
「はあ・・・」
ウェルは溜め息をついた。3対1でも勝てない奴がいるからである。しかも敵で今はその奴はベルカ空軍第1飛行教導隊所属のアドラー隊と模擬空戦中だ。
ギュワアアアアア!
「!戻ってきた!!」

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 野外駐機所 15:15
「凄いな、あんた。撃墜されたのは初めてだ」
パトリオット・フォン・ツェッペリン中佐は日の丸をつけたファントムのパイロットを褒めた。
「そんな事はありませんよ・・・本気で戦って、25分も持った相手は初めてですから・・・戦えて光栄ですよ」
セツナは相手に恐縮しながら言った
「こちらこそ、こっちは教導隊なのに戦い方も教えてくれるとはね」
「はは・・・あ、今度はお得意の戦略シュミレーションの腕前を見せてくださいよ、大局的にどう考えるか参考にしたいので、それと報告が終わったら一試合しません?最近、体がなまってきまして」
「もちろん!!」
こんな会話をしながら、敵同士だというの階級差がかなりあるのに仲良く司令室に報告しに行った。
「・・・」
ウェルは陰からそれを見ていた。
(あの人は単純に強い相手と戦いたいだけなのか?)

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 16:00
「ああ、いい汗掻いた。なかなかやるなあ中佐も。ん?」
セツナが戻ってきた。
「ウェル少尉!どうした!?」
何か考え込んでいるウェルに気付き耳元で声を掛ける。
「え!?あ!三尉!脅かさないで下さいよ。」
物事にふけていたウェルには寝耳に水の状態である。
「たく、私が敵だったらどうするんだ?」
敵だろうが、内心毒づきつつも、質問をぶつけてみた。
「あの、三尉。あなたは一体誰と敵対してるんですか?」
セツナは予想外の質問に一瞬目を丸くした。
「誰と敵対?何でそんなもん聞くんだ?」
ウェルはセツナに言われ反論した。
「我がベルカ軍と交戦した人だから聞いているんです。」
フーンと一拍おいて答えた。
「誰と敵対・・・ねえ。んー、しいて言うんだったら、ベルカの上層部。ま、ホントは誰とでも無い、出来る限りの人間、いや生命を救いたいね。私や我が自衛軍の隊員一人一人は力を持つ盾[イージス]なんだ。君らやオーシア・ユークのような矛や剣じゃない」
そう言うと、シャワー浴びてくると言って自室へと向かった。ウェルにはその言葉が重くのしかかった。
(そうだ・・・俺は・・・)

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 司令室 18:40
<<ベルガー・アルデンホフ少将、君は敵を自基地に迎え入れて、尚且つ基地隊員とその敵と交流させているそうだな?>>
受話器から冷たい声が届く。
「は・・いえ・・その・・それは・・・」
返答に困る司令。
<<もし事実なら、君は反逆罪になる。それでも構わんのかね?>>
冷たい声は続けて言った。
「・・・」
(もう、これまでか・・)
と思い受話器を置こうとしたその時だった。
「!?」
「おいおい、随分言ってくれんじゃん。ラルドさんよ!」
横から手が飛び出て受話器を奪った。
<<な、何だ貴様!!>>
五月蝿い。侵略者が喋るな。貴様の弱みはキッチリと握らせてもらったぞ
その男はこう言うと、受話器を切った。
「セツナ三尉・・・」
司令はその男の名を言った
「これで良いでしょう。奴の弱みは私が握っているのですから。」
「どう言う事だ?」
「どの道この戦争、連合軍の勝利に終わります・・・そしてラルド家は多くの軍人や軍の関係者と接触し、この戦争をするように促してた確たる証拠を見つけました。さらに何かの組織に接触をしていました。様々な記録を探した結果、連合軍を含めてのメンバーで構成される大規模な組織が出来上がっています。現在、本国の防諜組織に照会をお願いしてるところです。」
セツナは一とおり説明すると、敬礼をして退出をした。

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 19:00
「ねえウェル、あの人何時までここにいるの?」
マリーはウェルに質問した。
「セツナ三尉?隊長の話では14日までだって。」
「ふーん、あ、セツナ三尉。パイ焼けてますよ」
「ああ、有り難う。中佐の分も用意しておいて、私が持っていくから。」
「はーい」
(例の組織・・・かなり慎重に調べないと危険だな。傭兵の出来る奴まで手が回ってる・・・)
セツナは手に入れた資料を見ながらこう考えていた。

fin

第七話:国家を超えて

4月5日 ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 10:10
「信じられる?こんなの・・・」
リザ・ベルクマン大尉は、部下達に話した。グスタフ・ノイマンが戦死して間もなかったが、そんな悲しみを吹き飛ばすような話が入ってきたからだ。それは日の丸をつけたファントムである。
1日にデイレクタス基地で出撃準備中だった戦爆連合80機のど真ん中に単機で突っ込み、僅か15分の間に、8機の戦闘機を撃墜、撃破しさらに20機の爆撃機が地上撃破され、尚且つ一人の死者も出さなかったと言う話である。
「・・・信じられませんね・・・・まるで騎兵だ」
部下の一人、ウェル・フォン・シュライヒャー少尉は驚きの声を上げる。
「それにそのファントム、開戦初日に単機でロト隊の二番機を中破したそうよ」
「な!?フ、フレイジャー中佐の隊の!?」
ロト隊はベルカ空軍の顔と言うべき部隊。機体もTyhoonと高性能機で、さらに腕前もかなりのものである。
「今の所ウステイオでしか確認できてないけど注意が必要ね・・・あの白線のF-2もだけど」
「ええ・・・」
ギュワアアアア!!!
滑走路に轟音が走った。
「!?今の時間帯はフライトなんてないはずじゃ!?」
全員が滑走路を見た。
「ひ、日の丸ファントム!!??」

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 誘導路 10:15
「ランデイング完了っと」
セツナは愛機を誘導路に入れ其処で停止した。
「!来た来た、警備兵と野次馬が!」
目線の先には、ライフルを持った警備兵と、野次馬らしき基地の整備員、搭乗員等が走ってきた。
「りょ、両手を挙げろ!!ぶ、武器を捨てるんだ!!」
警備兵が震えたベルカ語でこう言った。
(相当、動揺してるな・・・腹がいてえ)
笑いを堪えながら耐Gスーツを脱ぎ、制服姿になる。
「私はNASDF所属、遠征隊隊長のコバヤシセツナ三尉です!!私は武器の類は持ってはいない!!ベルガー・アルデンホフ少将閣下に会わせて頂きたい!!」
こう群集に向けてベルカ語で叫んだ。機から飛び降り、その群衆に向け歩き出す。唖然とする野次馬の中に、一組の男女を見つけた。
(! ウェル少尉にリザ大尉か・・・確かあの二人は婚約したんだっけ)

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 基地司令室 10:20
「アドルフ曹長!入ります!!例の搭乗員を連れて来ました!」
「入れ・・・」
正直、司令は焦っていた。参戦国ではないとは言え、我が軍と交戦した奴をゲストとして迎えていいのか、と
「失礼します・・・コバヤシセツナ三尉です」
そう言うと、若い多少痩せた桜の階級章の制服姿の男が敬礼をした。模範的な敬礼である。
「うむ、遠征、ご苦労・・掛け給え」
「ハ・・失礼します」
席に座る男、コバヤシセツナ三尉はまっすぐ司令を見据えた
「お若いが・・いくつかな?」
「今年で19であります」
「ほう、うちの基地の最年少の隊員より二つも下か・・・もしかして我が軍で話題になっている[日の丸ファントム] は君かね?」
「ええ、そうです。予定では4月14日にクレスタに戻ります」
「うむ、聞いてはいる。が、他の隊員は?」
「戦争が始まり、撤収させました。私が残っている訳はウステイオの解放です。」
其処まで話を進め、司令はうーむと唸った。
「これでは簡単に返す訳には行かんな」
「もし帰さないと言うならば、実力行使をしてまででも帰ります。」
即答される。
「まあ、ベルカ上層部にはうまく言っておこう。9日間よろしく頼む。君の部屋は・・・そうだなネーヴェル隊の所にしておこう。下がっていいぞ三尉、案内はアドルフ曹長に頼む」
「ご高配有り難う御座います。失礼しました。」

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 10:40
「た、た、た、大変です!!隊長!!」
様子を見に行ったヘルマンが大慌てで帰ってきた。
「どうしたの!?」
「れ、れ、例の日の丸ファントムのパイロットが我が隊舎に!!!」
其処まで聞いてリザは驚愕した。
「な、何ですって!!??」
あわてて外に出る。とそこには一人耐Gスーツを脇に抱えた、制服姿の男とライフルを持った兵士が3人此方に歩いてくる。こっちに気付いた様だ。足を止めこっちに敬礼をした。思わず敬礼をし返してしまった。
「NASDF所属、遠征隊隊長・コバヤシセツナ三尉!!9日間お世話になります!!」

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 11:10
「・・・じゃあ、あの話は本当!?」
リザは驚きの声を上げた。
「そうです。ついでに言っときますが、私は何処の軍の指揮下にもありません」
セツナが付け加える。
「信じられない・・・・その若さで・・・・ウェルより若いじゃない・・・」
そこにマリーがやってきた。
「・・・あれ?見知らぬ人が・・・あなた、誰?」
ウェルが説明する。
「ああ、彼はセツナ三尉、協同訓練のために来たんだ。」
「本当に~~?なんか基地の皆さんは亡命だの、スパイだのって言ってますよ?」
マリーは疑いを捨てなかった。
「酷い言われようだな・・・」
セツナは呆れた声を上げた。


ベルカ ガルテンブルク空軍基地 滑走路 14:00
「やれやれ、整備員が勝手にしようとするから大変だった。」
セツナはまたも呆れた声をあげた。
<<本当に3対1でいいんですね?三尉>>
「ああ・・・だが、手加減しないからな。ネーヴェル隊の皆さんも本気で頼みますよ」
<<・・・3対1なんて勝てるわけないのに・・・>>
リザが呆れた声を出した。
<<ネーヴェル隊、デスサイズ、クリアードフォーテイクオフ>>
管制塔から離陸許可が出て発進する。目標は訓練空域Zである。

ベルカ 訓練空域Z 14:20
<<ブレイク・ナウ!!>>
リザが宣言した。
「本気で行くぞ・・・」
自らを無心にし、意識を集中させ、視界を広げる。長年、大自然で生き残る訓練をしてるうちに習得した、「無我の境地」である。常人では考えられないほどの力が出るのだ。
機を左にバンクさせ、二番機を狙う。当然後方に敵機が喰らい付く。一気にスパイラルダイブ。ここぞとばかりに三機が撃ってくる、が、掠りもしない。そして高度零飛行に入る。
「・・・遅すぎる・・・」
<<な、何て低い所を!?>>
ウェル達がが驚いてるうちに太陽に向かってA/BONで急上昇。敵の二番機が喰らいて来る。そして――
<<んな!!??き、消えた!?>>
ヘルマンはアドバンテージを採っていたのに突然、敵が消え、驚いた。
<<ヘルマンさん!!後ろです!!>>
<<え・・・>>
一気にペイント弾が機尾から操縦席にかけて当たった。
「戦場なら死んでますよ・・・」
そうセツナが言うと次の目標に機首を向けた。次はリザのF-35である。ヘッド・トウ・ヘッドで互いにレテイクルをあわせ、向かい合う
<<このぉ!!>>
「・・・・」
機関砲で撃ち合った。結果は―
「スプラッシュ1・・・・次でラスト・・・」
<<う~落とされた・・・ごめん、ウェル>>
リザのキャノピーに命中弾、しかもど真ん中。セツナに被弾なし。
<<隊長まで!?くそっ>>
ウェルはセツナの後ろに回りこんだ。またセツナは、太陽に向かって上昇する。
<<二度も木の葉落しには引っ掛かりませんよ!!>>
セツナは木の葉落しを仕掛けたが、ウェルも木の葉落しを仕掛けて、アドバンテージを維持する。
「・・・・・」
セツナはそのまま機首を水平にし、ウェルが戻るまで"待った"。
<<頂きィ!!――!?>>
セツナは失速域の愛機を地面から垂直にした。
<<コブラ!?くっ>>
ウェルもコブラで対抗する。が、セツナがしたのはもっと何倍もハイレベルなものだった。
ベシャシャシャ!!
<<な!!ダ、ダブルクルビットォ!?>>
ウェルのF-35は機体上部全体がペイント弾の着弾で染まった
「目標郡α、全機撃墜、生存者無し・・・ミッションコンプリート、RTB・・・サア帰りましょう」
セツナは無我からいつもどおりに戻った
<<し、信じられない・・・私達全機を6分で・・・・>>
リザやウェルは呆然としたまま基地に戻る事になった。

ベルカ ガルテンブルク空軍基地 ネーヴェル隊舎 15:30
「ねえ~教えて!!どうしてあんなに強いの!?」
リザはすでに10回目の台詞を吐いた。
「・・・・教えても・・・信じないと思いますがね・・・」
そう言うと、外で自分の機の清掃をするウェルとヘルマンを見た。
「やりすぎたな・・・御免なさい、ウェル少尉、ヘルマン少尉」
セツナはそう言うと五月蝿いリザをおいてウェルたちの手伝いに行った。

fin

第六話:仲間との別れ、新たな戦友

4月1日 ウステイオ南部 クレスタ基地 ブリーフィングルーム 14:00
「・・・生き残ったのは・・・これだけか・・・」
セツナは溜め息混じりに、こう言った。ブリーフィングルームには正規兵が20人、傭兵が30人程度と言った具合だ。結局、ウステイオ空軍は奮戦するも9割を失う結果となった。比較的大きな基地は残りはヴァレーとこのクレスタ、そしてビアンカ位である。そこには撤退してきた正規軍と5日前から戦況の不利を悟った政府が、雇った傭兵で埋め尽くされることになった。
「致し方ないですよ・・・まさか、あんだけの軍備で来るなんて・・・」
アクセルもハアと溜め息をついた。此処の傭兵達とは、なかなか意気投合することは出来た。が、いつ負けて国が消えるか解らないのにこんな事をしてる暇はあるのか、と言う声も出た。
「だが、言い換えればその軍事力を打ち破れば俺達は一躍ヒーローになれる・・・が、こんなよせ集め集団では無理な相談か」
傭兵の一人、ロンディネ・ハインリックが言った。確かにそうだが、傭兵と正規兵の混合部隊なんてのがセツナ以外では全てなのだ。勝てるかどうか。セツナは一応、遠征隊は居るが戦闘行為なんてとてもさせてあげられる物ではない。なので、事実上一人の隊である。
「だがウステイオを取り戻すためには、絶対負けられないんです・・それに負けたら、傭兵の皆さんは、収入がゼロになりますからね」
セリーヌが大声で後半は傭兵に言い聞かすように言った。
「そうだ、ぜってぇ負けらんねえ!!」
傭兵のシン・キチが大声で叫んだ。
(ああいう具合に言ってる奴等はかなりの金欠だからな・・・真面目に戦うことは戦うだろうが、戦闘中は敵しか見えなくなる)
セツナはこう考えていた。それが味方から孤立しやすく、撃破されやすい。
「諸君、静粛に!ブリーフィングを始める!」
基地司令が大声を上げた。
「さて、諸君も知ってのとおり、本国は降伏寸前である、だからこそ傭兵の諸君に集まってもらったのだが、現在、敵軍はこのクレスタとヴァレーそして、ビアンカへの爆撃を試みようとしている、現在の所、その基地を叩くためのミサイルも爆弾も不足し、さらには一つの基地でも陥落した場合、他の基地は孤立しさらに降伏に近づくであろう、・・・接取されたディレクタス基地には爆撃機が集結していて、集結が済み次第攻撃が行われると推測される、機数は推測で約60機の爆撃機と30機の戦闘機だ」
ざわざわと騒がしくなる。無論その機数を聞いてである
「静かに!!だが、いち早くウステイオを攻略するための三つの基地同時攻撃のため、一つの基地あたり爆撃機20、戦闘機10だ、尚敵の爆撃機はB-52とデータベースに無いものが含まれる恐らくベルカが作り出した戦略爆撃機と推測される、十分に警戒してもらいたい」
そこで傭兵から質問が出た。
「じゃあ俺らにどうしろと?」
司令は一泊おきにこう言った
「現在もAWACSとレーダーによる周辺監視が継続されている・・・つまり君等の仕事は迎撃だ・・・攻撃に回ることは現状では不可能!なのでまず全軍でデイフェンスに回る、その後のオフェンスはビアンカとヴァレーが対応する・・・が、一人だけこの命令に逆らう権利を持っている奴がいる」
そう言うと司令はセツナを指差した。
「!?」
「君だよ・・・セツナ三尉、私やウステイオ軍、いや今日作られた連合軍の総司令官も君は束縛できない、つまりいつでも出撃が出来るし、脱走も出来る」
「いつでも降りることが出来るし、いつでも死ねるって事ですか」
セツナは司令の言ったことを確認した。さらに司令はこう言った
「故郷が恋しくなったらいつでも降りていいぞ・・・今日何とか遠征隊が返せそうだからな・・・とりあえず以上だ、何か質問は?」
傭兵側から質問が出た
「何なんだ?遠征隊って」
「・・・知らないのは仕方ない、元々ノースポイント、サウスポイントの非公開の主催だからな、遠征隊は今言った二ヶ国の優秀な新人空軍パイロットを世界に遠征させ、各国空軍と友好と訓練をつむために作られた部隊で、セツナ三尉はその隊長でありながらも今戦争に参加してくれるそうだ、だから彼には我々の干渉できる所が無い・・・他には?」
その他の質問は無かった。

ウステイオ南部 クレスタ基地 野外駐機所 15:00
「・・・って言っても敵さんが来なきゃ話にならん」
傭兵があきれた声を出した。
「暇だなあ・・・ファァ・・・ん?」
ルドルフ・ストレイトは大欠伸をすると4人ほど固まった集団を見つけた。一人の自身と変わらない男が3人の男女に責められているようだ
「何だ?何だ?」
近づいてみた。
(一人の男はブリーフィングルームで・・・確かセツナとかいったな、じゃあ残りは遠征隊の奴らか・・・何やら、いい空気ではないな)
風がさっきから吹いていてあまりよく聞き取れなかったがこう聞こえた。
「だ・・なんで・・らきゃいけないん・・か!?」
「なんどもい・・・ろ!!危険だか・・・行くんだ!!」
「だからって・・・がなんで・・・・すんですか!?」
こんな会話をしていた。そして――
パンッ
「あ!!」
「この馬鹿ッ!!」
とうとうセツナの方に平手が炸裂した。そして女が一人宿舎に向けて走り出した。他の隊員2人は吐き捨てるように言葉を発し同じ宿舎に行った。すぐにセツナに駆け寄る。
「お、おい何があった?」
「・・あいつ等をサピンからユージア大陸経由で帰らせようと説得しようとしたんだ、このままではあいつ等を巻き添えにするからな・・・」
セツナはそう言うと、愛機に向かった。
「一体何て言ったんだ?」

ウステイオ南部 クレスタ基地 宿舎 15:30
「隊長の言うことは正しいけど・・・なんで・・・」
ハヤシ三尉は泣きながらも何度も自問自答していた。
「まさか、ベルカ軍と戦うつもりなんてな・・・その上で俺らに本国に帰れなんて」
ゼン三尉も呆然としていた。
「・・・だが現に、あの人の機体には・・・対空ミサイルと機関砲弾と増槽を積み込んでいた・・・あの人は本気だ」
シン三尉は悲しい声を上げた。それをルドルフ・ストレイトは扉の前でで聞いていた。
(良い覚悟してるな、あいつも・・・隊員を巻き添えにしない為には頬ひとつ犠牲させてもでも良いと言う訳か)

ウステイオ南部 クレスタ基地 滑走路 15:40
<<フェザーいやデスサイズ、クリアードフォーテイクオフ・・・本気なんだな?>>
「ああ・・・敵基地に強襲をかける!爆弾は無くてもミサイルが無くてもやれるだけやる!」
セツナは管制塔にこう言った。
<<了解・・・死ぬなよ!戦友!!グットラック!!!>>
「発進する!!」
スロットルを最大にして一気に飛び立つ。

ウステイオ南部 クレスタ基地 宿舎 15:43
ギュアアアアアア
「!!??何だ!?戦闘機!?出撃は控えるよう言われてたはずだろ!!」
搭乗員や整備員達がわらわらと各自の部屋から出て行き、滑走路を見た。
「セツナの奴だ!!あいつ何を!?」

ウステイオ中部 ディレクタス基地 16:00
「間もなく爆撃機50機、集結が完了します!!」
下仕官から報告を受けたベルカ上級将校はにやりと笑った。
「ふふふ、もうすぐだ、もうすぐウステイオは落ちる!!完全にな!ハハハ!!」
そう高笑いしている所に、もう一人士官が慌しく入ってきた。
「少将!!しょ、正体不明機が急速接近!!後二分で此処まで着ます!!」
報告を受けたとたん、笑いの表情は消え去った。
「何!?機数は!?所属は!?」
士官は報告を続けた
「ハッ!!機数は1機!!所属は監視哨の報告では、機体はファントムらしく、こ、国籍マークは日の丸です!!」
「単機だと!?もう迎撃には上がっているのか!?さっき所属は何て言った!!??」
将校はあわてていた。何故敵機が!?と
「はい!!もう迎撃には上がっていますが、哨戒の第一小隊は全滅!!迎撃の第14小隊は壊滅!!第48小隊も苦戦しています!!国籍マークは日の丸です!!!」
士官はこう言った。傍に控えた者達は、即座に防空壕に入るように言った。将校は戦闘の勘を働かせこういった。
「もう遅い!!伏せろ!!」
その直後、轟音と共に黒い影が基地の上を通り過ぎた。
「ウワアアア!!」
かなり多くの人間がソニックブームで吹き飛ばされた。
「クソ!!爆撃機を退避させろ!!もっと戦闘機を上げろ!!陸軍にも応援を頼め!!敵はロト隊と単機で戦って互角だった奴だぞ!!」
将校はこう言うと防空壕に走っていった。

ウステイオ ディレクタス基地上空 16:10
ヴァアアアア
機関砲が火を噴き、主翼に当たる、敵機の翼がもげた
「8機目!次でラスト!」
セツナは撃墜・撃破した敵機の数を数えていた。
<<そんな!俺一人!?もう駄目だ!!!>>
逃げ出す敵機を尻目に下の野外駐機所のB-52と初めてみる爆撃機に機首を向けた。
(アレを一つでもやれば・・・!!)
ヴァアアア
グワッ!!グワッ!!!グワン!!
機銃掃射を仕掛け、一気に5機が被弾し搭載爆弾が誘爆を起こす。必死に消火をしようとする兵士達。5秒ほど直進、そして右旋回し、正面に白銀の爆撃機を見据える。
ヴァアアア
ドオン!!ドカッ!!グワッ!!
そしてもう一撃。今度は7機が爆発した。
<<畜生、畜生!何時の間に来たんだ!!畜生!>>
敵の声だろう。さっきの同じように旋回し、攻撃態勢に入る。
ヴァアアアア
グワアン!!ズウン!!グワワ!!
さらに一撃、8機があっと言う間もなく吹き飛んだ。
ピピピピ
(IRSTに感!チッ!増援か・・・死者は無い様だ)
セツナは方位1-8-0に機首を向けてマッハ1.5で引き上げた。

ウステイオ南部 クレスタ基地 野外駐機所 17:20
「ふう・・・何とか戻ってきた・・・」
セツナは愛機を駐機所に止めると、タラップを待たず機から飛び降りた。目の前には多くの搭乗員が居た。
「こんのやろー!抜け駆け・先討ちしやがって!!」
「攻撃するんなら一声掛けろよ!!俺達の取り分を取るな!!」
と、思いっきり絡んできた。それらを巧みにすり交わし宿舎に向かった。

ウステイオ南部 クレスタ基地 宿舎 17:25
「「「・・・・お帰り・・」」」
フェザー隊の顔がそろっていた。
「ああ・・・それより、早く準備したらどうだ?さっさとしないと命の保障は出来ないぞ」
と、声を掛ける。
「・・・・どうしてもそうしなきゃ駄目なの?」
ヒカル三尉が質問してきた。
「当然だ」
すぐに答える。
「・・・・・何であなただけが戦うんです?」
ゼン三尉も同じく質問してくる。
「私には戦う義務がある・・・さっさと用意しろ、命令だ」
同じように答え、冷たく言い放った。
「おい!黙って聞いてりゃ随分つめてえな!隊長!あんたが残るんだったら、俺等ものこ――!?」
ブシュウ!!
鮮血がセツナの右腕から出た。気が付けば左腕にナイフがある。
「頼む、早く用意してくれ!あんた等と居ると迷いが出る!!これじゃあ戦うに戦えない!!」
「な・・・何してるんです!!早く止血しないと!!」
ヒカル三尉が止血をするために傷に布を押し付けた
「・・・もう仲間を失いたくないから・・・私は自分に迷いが出た時、必ずこうやって傷つける、痛みで迷いを消せるからね・・」
「・・・解ったよ・・用意するよ」
ゼンとシンはセツナの覚悟を知って、諦めた。事実、彼の体には大量の傷があったから理解できたのだ。

ウステイオ南部 クレスタ基地 野外駐機所 18:00
「隊長、ご無事で!」
「死んだら、殺すからな、隊長」
「ちゃんと帰ってきてくださいよ、隊長」
三人との最後の言葉を交わす。
「ああ、体に気をつけてな」
それぞれの機のキャノピーが閉まり、タキシングを始めた。
滑走路に着き、離陸を始めた。
「良かったのか?これで・・・」
傭兵の一人が声を掛けてきた。
「・・・これでいいんだ、これで・・・・」
セツナは悲しそうな声でそれに答えた。

FIN

第五話:戦う理由

3月26日 ウステイオ ディレクタス基地 11:00 通信室
開戦から一夜経ち、慌しい基地の通信室にセツナはいた。通信兵に頼み、一つだけ軍事用電話回線を開いていた。
「ノースポイントから電話が来ました!」
通信兵から連絡を受ける。
「回してくれ・・・」
「了解、まったく・・・貴方が遠征隊ではなく、味方の救援をしてなかったら絶対に許可は出ないですよ」
苦笑しながら通信兵は回線を回す。
「はい、ディレクタス基地のフェザー1です、蕎麦なら三丁目の蕎麦屋に、傭兵なら大使館にでも駆け込んでください・・・ご用件を」
と、相手の緊張を和らげるような冗談を言った。
<<セツナ三尉か、クレスタに居ないから何事かと思ったぞ・・・>>
「隊司令・・・心配させて済みません」
相手の声で誰だか解り、安心する。
<<何、無事でよかった・・・此処は何処だと思う?>>
「隊司令室ですか?」
司令の質問に答えた。
<<違うな、総理官邸だ・・周りには記者団と閣僚や総理が居られる、私でも滅多に入らない所だ・・・この電話は全国に流れている>>
ほう、と声を上げるセツナ
<<つい2・3時間前にベルカから報告が来てな、これは国民が初めて知ることだが、セツナ三尉、貴官の機体がウステイオ軍機と共に戦闘行為に参加し、ベルカ軍機を4機撃墜、一機小破させた、と来た・・・此処で一つ目の質問だ、以上の事は事実か?>>
一拍置いて隊司令は質問してきた。
「ええ、紛れも無い事実です・・ただ、ベルカ軍搭乗員の脱出は撃墜した4機とも確認しました・・正確には"させた"の方が正しいです・・あの後、救助されたと思います」
うーむと唸る隊司令。そしてこう言った。
<<報告では、貴官はベルカ軍に暴言を浴びせ、挑発したとある・・・これも事実か?>>
「ええ、ベルカ軍の目を引きつけ、ウステイオ軍機の援護にためにしました」
今度は沈黙をする隊司令。
<<では質問を変えよう、何故こんな事した?>>
「・・・一週間とはいえ、寝食を共にした、ウステイオの仲間達を守りたかったからです・・・今はもう戦友ですが、その戦友達を見殺しに、なんてさせたくはありません」
ふむ、と隊司令は聞いていた。
<<つまり、自らの良心に従ったと言うわけだ・・・では、ベルカは別なのか?>>
「いいえ、先に答えたとおり、私は落としたベルカ軍機を脱出させました・・・不可抗力で殺ってしまうかもしれませんが、彼らを殺そうとは思ってはいません、ただ勝手に他国を攻めるのだから兵を失う事のリスクはベルカも考えているでしょう」
また沈黙する司令。セツナが言っている事は一部道理だからこそ危ないのだ。
<<だが、貴官は他の遠征隊隊員と同じで参戦国ではない国の軍に所属し、その上でその国の軍事力を使える、だが国際法では第三国の介入は非軍事的な事でしか介入してはならないとある貴官は立派に国際法を違反したのだ、しかるべき所に出てもらう・・・と、言いたいが>>
そこで司令は言葉を切った。そしてこう言った。
<<最後の質問だ・・・三尉・・・貴官は、これから如何したい?>>
セツナは暫く考えて、こう言った。
「・・・・このままでは、私の過去を誰かが必ず、しかも複数の人間が繰り返します、なので、まず他の隊員の安全を確保し、尚且つこの戦争で先に述べた人を一人でも多く減らすため、戦友や、この後来るであろう新たな仲間と共に戦い抜き、その後、法の元に罰を受けたいと思っております」
暫く、黙っていた司令が最後に、こう言った
<<その覚悟、私にはもう止められ無いほど強いな・・・じゃあ、死なないように気をつけてな・・・オーヴァー>>

ノースポイント・総理官邸・執務室 11:20
「今日の夕刊には間に合わせるぞ!!メインは巻き込まれた防人だ!!」
「ビデオと録音!!ちゃんと録ったか!?今日のゴールデンに入れるぞ!!編集室に急げ!!」
記者達が慌しく、行動を始めた。
「・・・これから何処の国より大変になりそうですな、総理」
官僚の一人が総理にこう耳打ちした。
「うむ・・・だが辛いのは戦争に巻き込まれたあの隊員の部隊の仲間だろう・・・」
そう言うと総理は受話器を置いて俯いたままの隊司令を見て、近寄りこういった。
「・・・君も辛いだろうが気をしっかりもつんだぞ」
「はっ、心得ております・・・」
隊司令は俯いたままこう答えた。

ウステイオ ディレクタス基地 野外駐機所 12:00
「本当にあんなんで良いんだな・・・もう戻れんぞ、戦友」
基地の隊員はこう言った。セツナは驚いた
「え!?な、何で知っているんだ!?」
「カッコ良かったぜ、戦友!!」
(他の隊員も知ってる!?・・・と言うことは放送されていた!?)
一気に恥ずかしくなるセツナ、そして次の台詞がもう穴を掘って永眠したくなるほど恥ずかしいことだった。
「あれ全部通信兵の奴等が同時通訳で全軍に放送してたぜ!宜しくな!戦友!!」
(な、な、な、何てこった・・・)
そこまで考えると、頭が真っ白になった

fin

 

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